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2019年7月

2019年7月31日 (水)

イランはなぜ大切にされ、守られるべきなのか?

2019年7月28日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook

 私がこの記事を書いている中、イランは地球上最強の国に立ち向かっている。もし世界が速く目を覚まし救出を急がなければ、イランは更にものすごい全滅の危険に直面する。

 素晴らしいイランの都市は危険にさらされているが、なにより国民だ。誇り高く、美しい、創造的な、地球上最も古い最も深遠な文化の一つに作り出された人々。

 これは世界が思い出すきっかけだ。イランは全く何の理由もなしに、爆弾を投下され、破壊され、ひどく傷つけられるかもしれない。繰り返そう。イランを攻撃する合理的理由は皆無だ。

 イランは一度も誰も攻撃したことがない。イランはアメリカにも、イギリスにも、あるいはすぐにイランを破壊することを望んでいるサウジアラビアとイスラエルにさえ何の悪事もしていない。

 イラン唯一の「罪」は打ちのめされたシリアを助けたことだ。イランが本気でパレスチナの味方をしていることだ。そして、彼らが大いに必要としていた時、キューバやベネズエラのような遥か遠くにある国の救出にイランが行ったことだ。

 私は最も単純な言葉を選ぼうとしている。ややこしい表現や知的訓練など不要だ。

 現在ホワイトハウスを占拠している精神病質者が、核合意に署名した前任者に恥をかかせたいと望んでいるというだけの理由で、間もなく、何千人も、何百万ものイラン人が消えるかもしれないのだ。この情報は彼自身のスタッフが漏らしたものだ。誰がより大きなギャングかという問題ではない。イランを敵に回すことが、イランとは全く何の関係もないというひどい事実自身が問題なのだ。

***

 それで私はこういう疑問を思いつく。我々は本当に一体どういう世界に住んでいるのだろう? こんなことが許容できるのだろうか? 地球上の最も偉大な国の一つが、いかなる正当化もなしに、攻撃的な残忍な勢力に侵害されるのを、世界は座視していられるのだろうかに?

 私はイランを愛している! 私はイランの映画、詩、食物が好きだ。私はテヘランを愛している。私は礼儀正しい、教育された、センスあるイランの人々を愛している。私はイランの思想家を愛している。私は彼らに良くないことが起こるのを望まない。

 人はもちろん、決して欧米マスコミからは知らされないが、イランは社会主義国だ。それは「イランの特徴を持った社会主義」と定義することが可能なシステムを公言している。中国同様、イランは地球上の最も古い国の一つで、イランは完全に、自身の経済、社会システムを作り出し、発展させることができるのだ。

 イランは極めて成功した国だ。欧米の通商停止とひどい恫喝にもかかわらず、イランは、国際連合開発計画UNDPの定義で、依然「非常に高い人間開発」の閾値付近に位置している。ウクライナやコロンビアやタイのような、欧米のお気に入りよりずっと上に。

 イランには明らかに国際主義精神がある。イランは、中南米の国々を含めて、欧米帝国主義によってめった打ちにされている国に強い団結を示している。

***

 私は宗教を持たない。イランでは人々の大部分が宗教を信じている。彼らはシーア派イスラム教徒だ。それが何だろう? 私は、皆が私のよう考えろなどとは主張しない。私のイランの友人、同志、兄弟姉妹は、私が彼らと同じように感じたり、考えたりするようになど一度も主張したことがない。彼らは狂信者ではない、彼らは彼らとは違う人々を、疎外されたようには感じさせない。我々は違っていながら、非常に似ているのだ。我々はより良い世界のために戦っている。我々は国際主義者だ。我々はお互いを尊重する。我々は他の人々を尊重する。

 イランは誰も征服しようと望んでいない。だがイランの友人たちが攻撃される時には、イランは手助けをする。シリアへのように。

 過去、イランは欧米に植民地化され、1953年、イランの民主政治は、その天然資源を自国民の生活改善に使うことを望んだというだけの理由で打倒された。パーレビー・イラン皇帝の病的な独裁国家は外国が据えつけたのだ。次に、後に再び、欧米による全面的な、露骨な支援で、イラクによりイランに対して、ひどい戦争が放たれた。

 私はこのエッセイを短くするとお約束した。長ったらしい説明する時間はない。そして実際、これは全く本当にエッセイではない。それは要請だ。

 この記事が印刷にむかう中、イランの多くの人々が不安だ。彼らは自分たちがしたことがこれに値すると理解できない。制裁、イラン沿岸を航行しているアメリカ航空母艦や僅か数マイル離れたところに配備されている致命的なB-52。

 イラン人は勇敢な誇り高い人々だ。もし対決したら、もし攻撃されたら、彼らは戦うだろう。そして、もし他のいかなる選択肢もなければ、彼らは尊厳をもって死ぬだろう。

 けれどもなぜだろう? なぜ彼らは戦うべきなのか、なぜ彼らは死ぬべきなのか?

 皆様、欧米に住んでおられる読者には勉強して頂きたい。急いで勉強して頂きたい。そして自国政府にこう質問して頂きたい。「このひどいシナリオの理由は一体何だ?」

 イラン映画をレンタル願いたい。それらは、あらゆるフェスティバルで受賞し、いたるところにある。イラン詩人をお読み願いたい。イランの食物を食べに出かけて頂きたい。歴史的、近代的なイラン都市の画像を捜して頂きたい。人々の顔をご覧願いたい。これが起きるのを可能にしてはならない。精神異常の論拠で、何百万人もの生命を破壊するのを許してはならない。

 イラク、アフガニスタン、リビアやシリアに対する戦争には本当の理由はなかった。欧米は、国全体を駄目にして、最もひどい帝国主義介入を行ったのだ。

 だがイランの件は全て更に一歩先を行っている。欧米側には論理と説明責任が完全に欠如しているのだ。

 ここで、千年間、世界に無数の文化遺産を与えてきたイランの人々に、イランという国に、私の全面的支援を宣言する。

 イランが破壊され場合、人類が生き残れることを私が疑っているからだ。

 Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書いている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/28/why-should-iran-be-cherished-and-defended/

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 今日の孫崎享氏のメルマガ題名は

対イラン(軍事攻撃への)有志連合に、米国務長官「望んでいたよりも時間がかか るだろう」と述べ、各国との調整が長期化する見通しであることを明らかにした。 緊張は米国が核合意から離脱し、経済制裁強化したから。独仏等米国離脱に批判的。

 日刊IWJガイドの見出しは

日刊IWJガイド「日経に『参院に維新と会派構想』と報じられた国民民主党が、今度は衆院でれいわ新選組と合流案!? そのれいわ新選組の政策を右翼がネット番組で『全部実現可能』と絶賛! その理由はMMT理論にもとづいているから!?」 2019.7.31日号~No.2512号~(2019.7.31 8時00分)

 日刊ゲンダイ記事

丸山穂高議員が入党「N国」拡大の不気味と接触リスト12人

2019年7月30日 (火)

アメリカ中東政策の核心にあるカタール

2019年7月23日
ヴィクトル・ミーヒン
New Eastern Outlook

 最近のカタール首長タミーム・ビン・ハマド・アール=サーニーのアメリカ訪問と、そこで署名された契約と協定が、アメリカ-カタール関係の現状と、ペルシャ湾岸地域のワシントン政策をほぼ正確に査定するのを可能にしている。

 まず第一に、カタールは、独自政策を行おうとさえせず、明らかに、ほとんどアメリカ政策に同調している。カタール首長は、D・トランプ大統領のみならず、政権の多数の高官との交渉でも大成功したが、その全てを列記するには何ページも必要だ。

 多くの点で首長国は、アメリカの偉大な友人で、同盟国で、カタールとアメリカ間の戦略的提携が、あらゆるレベルで未曾有の高みに達しており慶賀に堪えないとアメリカ大統領は述べた。タミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー殿下の多数のアメリカ訪問が、強力で急速な両国関係を反映していると彼は強調した。この点に関し、大統領は、アメリカ-カタール関係が、単なる軍事、法律、貿易協力を遥かに超えていることを大いに強調し、人身売買、不正資金浄化、テロへの資金供給を含め、国家を超えた脅威に対処する上でのアメリカ-カタール協力を高く評価した。

 第二に、ドナルド・トランプにとって現在最優先課題で、解決すれば彼の再選を確実に決定するはずのイラン問題は詳細に話し合われた。ドーハは最近テヘランと、どちらかと言うと強い関係を確立し、アメリカに関し、イランの政策にある程度まで影響を与えられるだけでなく、ワシントン-テヘラン交渉で仲裁人にもなれることが良く知られている。カタールとイラン間の最も強い経済関係はガス問題と関係がある。両国はペルシャ湾のガス田、つまり採掘可能埋蔵量2150億バレルの石油と14兆立方メートルのガス(世界の総埋蔵量の8%)がある南パース/北ドームを共有している。この理由で、ドーハはイランの孤立化に興味はない。現在、ワシントンとペルシャ湾の国々が益々イランに圧力を加える中、カタールはテヘランと政治的、経済的関係を維持している唯一の国だ。

 非常に影響力のある新聞ワシントン・ポストのインタビューで、アメリカ政権高官が、アメリカは、メッセージをイランに伝えるため、カタールを使うことを明確にした。「これが何らかの正式な仲介人の役割と思わないように。だが我々は、彼らがメッセージを伝え、緊張緩和の取り組みの可能性について報告し、対話に何らかの道を切り開くことを期待できる。」 この種の声明は、現在アメリカとのいかなる直接接触も避けているイランとの対話におけるカタールの役割を促進する。

第三に、彼の訪問中、首長は再び、軍事的つながりの堅固さと、継続中のアメリカ兵器大量購入を保障した。カタール・マスコミによれば、6月末、国防総省はステルス技術(「見えないジェット」)を使った多目的F-22戦闘機を、ドーハから遠からぬ巨大基地アル・ウディドに派遣した。カタール基地へのアメリカ空軍攻撃機配備は、イランとの武力衝突の高い危険があるペルシャ湾で、アメリカの軍事的存在を強化する、もう一つの措置となった。「これらの戦闘機(F-22)は、これまでで初めて、中東におけるアメリカの軍と権益を守るためカタールに配置される」という、担当地域が中東を含むアメリカ軍隊中央司令部(USCENTCOM)声明をお読み願いたい。(カタール軍の兵士数より多い)15,000人以上の兵士が配備される基地はイラン阻止戦略の主要要素だと思われる。だが基地の存在は、逆に、カタールをイランの第一標的にするのだ。

 第四に、ドナルド・トランプ大統領は、ボーイング、ゼネラル・エレクトリック、レイシオン、ガルフストリームやシェブロン・フィリップスのような巨大アメリカ企業とのアメリカに有利な多数の貿易契約に署名するようカタールに強いた。アメリカ大統領によれば、カタールとの協力の結果、アメリカには多くの雇用が生まれた。カタール首長に敬意を表する厳粛な晩餐会で、アメリカ大統領は、タミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー首長に向かって演説し、機嫌よく宣言した。「我々のではなく、主としてあなた方の資金だったのは、有り難いことです。実際、もっと良いのは、それは、我々のでなく、全て彼らの資金だった。それは益々結構だ。」

 例えば、カタール石油は、シェブロン・フィリップス・ケミカル社と、メキシコ湾のアメリカ海岸で新しい国際石油化学製品プロジェクトを実行する協定に署名した。厳粛な調印は、首長とアメリカ大統領を前に、ホワイトハウスで行われた。推計約80億ドルの費用で、アメリカ石油化学製品プロジェクト湾岸2(USGC II)は、年間200万トンという巨大な能力の、世界最大のシステム熱分解装置と、2ブロックの、それぞれ年間100万トンの高密度ポリエチレンのエチレン・システム熱分解装置になる。

 折よく先月、カタール石油は、カタールにシェブロン・フィリップス・ケミカル社とジョイント・ベンチャーを立ち上げると発表した。工業都市ラス・ラッファンでの、中東最大で、世界最大の1つとなる年間190万トンの能力のエタン熱分解装置がある世界規模の石油化学製品工場だ。

 もう一つの高額契約に、GEエンジンに関し、カタール航空とGEアビエーションが署名したものがある。契約に従い、カタール航空は、エンジンの維持管理、修理とオーバーホール(MRO)のための、TrueChoice TM フライト・タイム契約とともに、GEnxエンジンを、30機の新しいボーイング787-9飛行機のために選んだ。カタール航空は60機のボーイング777X飛行機に搭載されるGE9Xエンジン用のMROサービスのため、TrueChoice TM フライト・タイム契約に署名した。これら全ての契約の総額は50億ドルを超える。カタール・メディアの推計によれば、署名された契約の総額は100億ドルを超える。

 カタール首長のアメリカ訪問は、アメリカとイラン間の緊張が増大し、地域のいくつかの隣国によるカタール封鎖が2017年から続いている困難な時期に行われたのを指摘する必要がある。継続中のカタール封鎖が、この危機に関係している全ての国と親密な軍事的、外交的関係を持っているアメリカを、かなり居心地悪い立場に置いていたのは疑う余地がない。だが、それにもかかわらず、ワシントンは、カタールの豊かな首長国に対するその強い影響力を維持し、アメリカの政策に無条件に賛成するよう強いるのに成功した。

ヴィクトル・ミーヒンはロシア科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/23/qatar-at-the-heart-of-the-us-policy-in-the-middle-east/

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 国名を替えても意味は通じる。独自政策を行おうとさえせず、明らかに、ほとんどアメリカ政策に同調している。

 選挙後、突然生まれ変わる人がいたたり、病気がよくなって、気色わるくも機織鮮明にする人物の話題。おぞましい。

日刊IWJガイド「このままでは登院できない!? 参院選で当選したれいわ新選組の船後靖彦氏と木村英子氏に早くもあらわになった国の障害者福祉サービスの差別的矛盾!」 2019.7.29日号~No.2510号~(2019.7.29 8時00分)

 

2019年7月29日 (月)

湾岸危機:返報は、大惨事に向かうのか、平和的解決に向かうのか?

Finian Cunningham
2019年7月24日
Strategic Culture Foundation

 イギリス国旗を掲げたタンカーが先週イラン軍隊に拿捕された後、イギリスはイランを「敵対行為」のかどで告発し更に多くの軍艦をペルシャ湾に派遣している。イギリス・メディアによればイギリス艦船に加わるのは最新のアスチュート級原子力潜水艦一隻だ。

 ロンドンは先週金曜日の、貨物船ステナ・インペロのイランによる拿捕を非難し、湾岸の軍艦のプレゼンスを強化したのは、商船の「航行の自由を守る」ためだと述べた。イギリスは、地域に派遣するため現在ワシントンが組織しているアメリカ率いる海軍連合と提携することを期待される。

 イランは、ヘリコプターからイギリス船上に懸垂下降するイランのエリート奇襲隊のビデオ映像を発表した。ステナ・インペロはそれから、ホルムズ海峡のイランの港町バンダル・アッバスで没収された。テヘランはタンカーが漁船との衝突に関係しており、安全規則に従うことを拒否したと主張している。イランは調査を行っており、多くがインド人の乗組員を拘留した。

 イラン・タンカーの「不適切な」拘留に対するイギリスの抗議は、偽善ではないにせよ、空虚に聞こえる。現在、イラン石油タンカー、グレイス1は、7月4日にイギリス海軍奇襲隊に拿捕された後、ジブラルタルのイギリス海外領土で拘留されている。ロンドンは、シリアに向かう途上とされる200万バレルの石油を積載しているイランタンカーを拿捕することで、シリアに対する制裁を実施しているのだと主張している。イランはイギリスの主張を拒絶し、ジブラルタルでの拿捕を「海賊行為」だと非難した。

 イラン最高指導者アヤトラ・ハメネイは、イランはジブラルタル事件に報復するだろうと誓っていた。今イランが、イギリス船の没収で、まさにそれをしたかのように見える。イランが「国際法に違反した」というイギリスの非難は、イギリスによるイラン石油タンカー拿捕についての、もっともなイランの反訴でお返しされるだろう。

 イラン特殊部隊によるヘリコプターからのステナ・インペロへの劇的降下と、それに続く船の拿捕は、イギリス海兵隊員が、ジブラルタルからイラン・タンカーを拿捕したことへの直接の返礼だ。イランが行動の同等性を実証するため、意図的に先のイギリス作戦を真似しているように思われる。

 返報のこのゲームは二つの方向があり得る。彼らが5月からしてきたように、イギリスとアメリカはペルシャ湾での軍隊強化を続けることができる。混雑した水路へのイギリス原子力潜水艦と、更に多くのフリゲート艦派遣とされるものは確実に危険を高め、そこでの計算違いや小ぜり合いが、悲惨な全面的軍事対決に向かって連鎖的に変動しかねない。

 イランは後退しないだろう。イランは、もしその国境と権益が攻撃されたら、激しく反撃すると繰り返して警告している。イギリスとアメリカによる軍事力のあらゆる強化は、イランによる同等の措置を招くだろう。我々の船の一隻を奪えば、我々はお前たちの一隻を差し押さえる。我々の領空にスパイ無人飛行機を送り込めば、我々はそれを撃墜するだろう。等々。

 状況を一層不安定にするのは、自己中心の道化役者、アメリカ大統領がいることだ。彼の一貫性のない政権は、ベトナム徴兵忌避者ジョン・ボルトンのような横柄な戦争狂人により、無分別に率いられている。更に、イギリス政府はブレグジット茶番行為で危機に瀕している。今週数人の大臣が、無能なボリス・ジョンソンが新首相になるのを予期して、辞表を提出する状態で、誰も首相官邸の責任を持っているようには思われない。最大の懸念は、ブレグジット後に、貿易ライフラインを利用するために、ロンドンはワシントンを喜ばせておく必要があるので、ロンドンがトランプ政権に対し、通常そうである以上に、遥かに追従的になりかねないことだ。

 つまりトランプがイギリスに「飛べ」と言うと、イギリスのブルドッグが「どれだけ高く?」と言うことを意味する。高まるペルシャ湾危機に関して、イランに対するどんな無謀なアメリカの侵略でも、同じように、テヘランに、それ以上の挑発するロンドンの盲従により増大させられる可能性が高い。最近の出来事の動きは既にそれを実証している。

 しかしながら、もし正気が勝れば、返報は、逆の方向、平和的解決に向かって機能し得るのだ。イランは戦争を望んでいないと言って、緊張を緩和するための交渉の道を申し出ている。テヘランはトランプ政権に、制裁を撤廃し、対話のための外交規範に従うよう求めた。イランは2015年7月に署名された国際的核合意が、全ての当事者によって尊重され、国連が承認した協定に義務づけられている通りに、貿易と外交関係が正常化されることを望んでいる。

 要するに、イランは標準的な国際関係に向かう返報を申し出ているのだ。核合意を遵守する責任は大いにアメリカとヨーロッパにある。去年のトランプによる協定からの一方的な離脱が、相互の敵意への第一歩だった。

 アメリカとイギリスは、更に多くの軍艦をペルシャ湾に送って、大かがり火になりそうなものに、より多くの燃料を加えているのだ。このような動きは、大惨事への突進で、ばかげている。もしトランプ政権と不運なイギリス政府が、言っている通り戦争回避を望むなら、彼らは交渉による平和的解決に向かってイランに返報しなければならない。それは理論上実行可能だ。だがそれにはワシントンとロンドンが、イランの主権と権利に敬意を払う必要がある。横柄な英米に、それをねだって得られるかどうかは議論の余地がある。

 Finian Cunninghamは、主要なニュース報道機関の元編集者・記者。彼の記事はいくつかの言語で発表されており、国際問題について広範囲に書いている


 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/07/24/gulf-crisis-reciprocation-towards-disaster-or-peaceful-resolution/

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 昨日、国民民主党・玉木雄一郎代表の話題の発言、冒頭だけだが、見てしまった。「文化人放送局」という名前のネット放送局番組で、真顔で語っているのにびっくり。「文化人放送局」というものを、Wikipediaで探して、レギュラー出演者を見て、またびっくり。すごいお歴々。小生、昨日まで、一度も拝見したことがない。引用しよう。

「報道特注」の歴代レギュラー出演者は、生田與克・和田政宗・足立康史・上念司・山口敬之・加藤清隆らである。

 今日の日刊IWJガイドにも、彼の話題や、吉本関連の話題がある。

日刊IWJガイド「このままでは登院できない!? 参院選で当選したれいわ新選組の船後靖彦氏と木村英子氏に早くもあらわになった国の障害者福祉サービスの差別的矛盾!」 2019.7.29日号~No.2510号~(2019.7.29 8時00分)

 たとえば、

国民民主党・玉木雄一郎代表「『#裏切り者には死を』は殺害予告!赤坂警察署に相談」~IWJは本日18時より「玉木に説教スタンディング」を中継取材

 あるいは

吉本興業が第三者委員会を設置し、所属芸人と契約書を交わす方針が明らかに! ところが第三者委員会の座長の川上和久国際医療福祉大教授は吉本所属だったという指摘が!?

 昨日、有名タレント評論家の呆導番組冒頭をちらり見た。選挙率の異様な低さを言っていた。大本営広報部の必死の協力で、それが実現していることは批判したのだろうか?期日前投票の異様な高さの理由は追求したのだろうか?ペルシャ湾への軍隊派遣は当然という雰囲気の話しが始まったところで、チャンネルを変えたのでどうだったのか知らない。

2019年7月28日 (日)

タイをアメリカのようにするのを支援したがっているアメリカ傀儡

2019年7月23日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook

 アメリカは世界中で政権転覆に関与している - 南米のベネズエラから、東ヨーロッパのウクライナまで、中東のシリアから、中央アジアのアフガニスタンまで。

 しかしこれら注目度の高い見出しになる戦争やクーデターや、カラー革命や介入は、アメリカ干渉の全貌とはほど遠い。

 アメリカは、中国周囲に沿った政権転覆の取り組みにも、ずっと従事している。これには、東南アジア中、特にタイも含まれる。

 アメリカの代理人連中にとって困難な時期

 今年早く行われた最近の選挙が、アメリカに支援される代理人タクシン・シナワトラと、彼の妹のインラック・シナワトラと彼らのタイ貢献党(PTP)を追い出した2014年クーデターへの支持を実証した。

 軍とつながる国民国家の力党(PPRP)は一般投票で議会過半数を勝ち取り、連合政府を作った。PPRP党首プラユット・チャンオチャはタイ次期首相への議会投票を獲得した。

 前回選挙中のシナワトラ戦略の一部は、もし一党か二党が解党させられても、議会の議席に立候補するために、いくつかの他のものが残るようにすべく、彼の党を複数党に分けることだった。

 これらの政党の一つが億万長者タナトーン・ジュンルンアンキット率いる新未来党(FFP)だ。党の創設メンバーには、非政府組織(NGO)を装ったアメリカとヨーロッパから資金供給されるフロント組織の指導者や活動家がいる。

 政治に取りかかって以来、タナトーンは、タイ海外特派員クラブ(FCCT)で行われた催しの際に見られたような欧米メディアのみならず、バンコクに本拠を置く欧米大使館からも、計り知れない量の支援を受けた。

 新未来党FFPは、国民国家の力党PPRPより数百万少ない票で、遥かに離れた第三位で、選挙では振るわなかった。第三党になたにもかかわらず、タナトーンがシナワトラの代理ではないと主張したにもかかわらず、タクシン・シナワトラのPTPは彼を彼らの首相候補者に指名したが、勝つには遥かに不足だった。

 支援を求めて海外での物ごい

 今や、タナトーンは、選挙法の一連の違反に起因する益々多くの刑事事件と、扇動に関する告訴に直面している。もし有罪判決が出されたら、海外で刑務所から逃れられることを希望して、タナトーンはアメリカとヨーロッパを「巡業し」、ワシントン、ブリュッセルとロンドンの支持を要請し、受けているのだ。

 NBCのアンドレア・ミッチェルとのお膳立てされたインタビューで、タナトーンはタイの頻繁な軍事クーデターの歴史と「民主政治」の欠如を嘆いた。彼は新未来党FFPを創設した動機が「タイで、クーデター文化を終わらせる」ことだったと主張した。

 2014年のクーデター以前に起きていたことへのいかなる言及も、ミッチェルの質問にも、タナトーンの周到に準備された答えにも欠如していた。

 打倒された政府が、逃亡者としてドバイ、UAEに住んでいたにもかかわらず、公然と不法に、タクシン・シナワトラに運営されていたことは全く触れられなかった。打倒された政府による、ほとんど百万人の稲作農業者に対する強盗や、タイ米産業に損害を与えたことについては全く言及されなかった。打倒された政府が、鎮圧の試みで、抗議行動に対して致命的な暴力を使ったことへの言及もされなかった。

 軍とつながる国民国家の力党PPRPが一般投票を獲得した最近の選挙によって正当化され、軍の介入はタイ国民に歓迎されたのだ。ところが欧米メディアは、実際そうであった安定性の回復ではなく、権力略奪として描写するため、どんな苦労もいとわなかった。

 流浪する偽善者

 タイにおける「民主政治」と「人権」のための彼の戦いを紹介するタナトーンの海外ツアーにもかかわらず、彼は明らかにタクシン・シナワトラと彼のタイ貢献党とも直接つながっており、「赤シャツ」として知られる彼の強暴な街頭戦線の支持者なのだ

 シナワトラには、2003年「麻薬撲滅運動」とされるものの間に、わずか90日で2,000人の人々の大量虐殺した、タイの歴史上最悪の人権実績がある。彼は2004年のタクバイ抗議行動の一日でも、85人を殺した。彼の赤シャツ街頭戦線に実行された暴力で、2009年-2014年の間に警察官と兵士を含めて、100人以上の人々の死をもたらした。

 これらがなぜ欧米メディアで少しも言及されないかについては、 アメリカ権益を支持するタクシン・シナワトラの実績を見なければならない。アメリカのイラク戦争へのタイ軍隊派遣から、タイ石油化学産業の民有化、CIA拷問サイト運営にまで及ぶものを。

 シナワトラが奉仕した権益は、タナトーンも熱心に奉仕を望んでいる権益だ。

 タナトーンは、権力の座につき損ねたにもかかわらず、中国とのタイの増大する結びつきを巻きもどし、その代わりにアメリカとヨーロッパの権益を好むと誓ったのだ。

 これにはバージンを含め、アメリカ、ヨーロッパに本拠をおく企業に提案されている、今のところ実在しないハイパーループを支持しての、現在のタイ-中国共同の高速鉄道建設反対もある。

 記事「タイは中国製ではない高速鉄道、ハイパーループを必要としている:タナトーン」でブルームバーグはこう報じている。

タイ軍事政権に反対の政治家に転じた財界大物がハイパーループ技術がより現代的選択肢を提供するという理由で、中国との56億米ドルの高速鉄道プロジェクトを非難。
新未来党党首タナトーン・ジュンルンアンキットによれば(飛行機のような速度で旅行する容器のネットワークを構築することで活動している)リチャード・ブランソンのバージン・ハイパーループのような選択肢の方が、タイが技術的リーダーとなるのを助けるから、タイにとっては、より良いのだ。

 タナトーンは老朽化しつつあるアメリカ武器在庫に代かるべく中国から武器購入を始めるバンコクの決定も批判した。

 「新未来党、軍予算削減を誓う」という題名のバンコク・ポスト記事で、彼の党は中国のようなパートナーからの追加武器購入を阻止し軍予算の大幅削減を提案している。

記事はこう主張している。

ピヤブット・センカンオックン事務局長によれば、新未来党(FFP)は軍事予算を削減し、軍将官の人数を減らすと誓った。

 アメリカだけが世界中で行っている複数の戦争に明らかに無関心なバンコク・ポストは、タナトーンの事務局長の言葉を引用して主張する。:

「今日の世界では、もはや誰も戦争をしていません。」

 そして、タナトーンは、欧米メディアではなばなしく書き立てられ、欧米各国政府のホールで宣伝され、アメリカとヨーロッパを見て回ることで、タナトーンと新未来党の、自分自身と外国スポンサーのためではなく、タイのために働くことに関して残っていた幻想もすっかり雲散霧消した。

アメリカのようになることを熱望し、アメリカによる支持を切望

NBCインタビューで、タナトーンは大いに共感的なアンドレア・ミッチェルに質問された。

あなたは何を実現したいと望んでおられますか? あなたは旅をしておられます。あなたは様々な国を訪問しています。あなたはアメリカで、我々に何をして欲しいとお望みですか? あなたは世界中の人々が、タイのために何をすることをお望みですか?

タナトーンは、アメリカ権益の代理としての自分の役割を確認して、それに答える。

アメリカの友人たち、私はタイが今民主主義国ではないことを心に留めるようお話したい。あなたが今見ているのは選挙がある独裁政権だ。私は我々のアメリカの友人たちに、我々が民主的なタイを築くのを支援するために、我々と共に立ち上がるようお願いしたい。共に、より良い社会を築くため。タイが国際問題を解決するのに役立つ強力な大国になれるように。例えば、ミヤンマー問題、インドネシア問題。これらの問題は注目を必要としており、タイは地域で、グローバルな問題の解決を支援する強力な国であり得ます。

私はアメリカが偉大な国だと信じています。民主主義の価値観の上に構築された国です。法による統治の上に構築されており、我々がそうなろうと熱望しているものです。それで私は、アメリカ政府が我々の大義を支持してくれると信じています。

 タイが地域への干渉の中心に変わるのを見たいというワシントンの願望に、タナトーンが共鳴するのは偶然の一致ではない。これは、これまで何十年間も、ワシントンの計画だ。

 ベトナム戦争時のタイの役割にもかかわらず、タイ自身は、その領土を、中国を包囲し、封じ込めるため、あるいは近隣諸国と彼らの内政に干渉する作戦の基地としてに使うアメリカの試みに抵抗している。

 タナトーンがタイが関与するのを見たいと望んでいる正にその「問題解決」が、最近、タイ政府に封じられた。先に言及したタイ海外特派員クラブFCCTがベトナム政府を批判する催しを計画しようとした際、タイ警察が即座にそれをキャンセルしたのだ。

 ロイターは「警察がFCCTにおけるベトナム人権イベントを中止」という記事でこう不平を言っている。

金曜日、東南アジア近隣諸国の関係を傷つけかねないと言って、警察が、ベトナムによる少数民族迫害を主張する人権団体に報告発表をキャンセルするよう強いた。

 現在の政府が、地域の多くの政府と共に、タイをアメリカの「アジア基軸」から離れた軌道に置いているのは明らかだ。それはタナトーンのような政治家を通して、抵抗運動に資金を供給したり、経済弾圧や暴力さえ画策したりする、よく知られた手段によって、アメリカとヨーロッパが阻止しようとしている動きなのだ。

 欧米の画策は機能していない。自身の国タイに対する支援のために、タナトーンがヨーロッパとアメリカじゅうで物ごいをするのは、タナトーンの党が既に敗北を経験しており、法的な危機の渦中にあって、タイにとっての最大利益ではなく、その逆のために働いていることを毎日暴露されているタイで気付かれないはずがないのだ。

 タナトーンはタイを一層アメリカのようにしたいと熱望していると言う。タイ人はアメリカの現在の没落状態を見て、タイのために働いていると主張する人物が、なぜアメリカが渡ろうとしているのと同じ崖の上にタイを送ろうと熱望するのか自問しなければならない。

 Tony Cartalucciは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/23/us-puppet-wants-help-making-thailand-like-america/

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 日本人は、アメリカの現在の没落状態を見て、日本のために働いていると主張する人物が、なぜアメリカが渡ろうとしているのと同じ崖の上に日本を送ろうと熱望するのか自問しなければならない。

日刊IWJガイド・日曜版「ポンペオ米国務長官が日本に対してホルムズ海峡における安全確保を目的とする有志連合への参加を要請! 日本国内では参議院で改憲に向けた多数派工作の動きが表面化!」 2019.7.28日号~No.2509号~(2019.7.28 8時00分)

2019年7月27日 (土)

なぜ反移民論は全くの偽善なのか?

2019年7月12日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook

 我々は、ほぼ毎日、ヨーロッパでの移民賛成策を標的にした不満の爆発について読まされる。抗議や暴動さえある。報道によれば、ヨーロッパ人が「緩和された移住規制にうんざりした」がゆえに、右翼政権が選出されている。

 我々は、そう聞かされる。それが、我々が理解し、共鳴さえすべきものなのだ。反移民感情は、世界に対し「ブリュッセルや、そのエリートから独立を獲得する」というヨーロッパ人の願望と同義のものだと宣伝さえされている。右翼で、往々にして人種差別的で、甘やかされた利己的なプロレタリアは、多くの人々に、進歩的情熱を持った、辛抱強い、良く働く人々の集団として描かれている。

 遠くから見ると、このような主張は法外で、侮辱的でさえある。少なくとも長い歴史で既に生命を失った何十億人もの人々にとって。ヨーロッパと北アメリカの拡張主義による大量虐殺の被害者にとって。今日まで、母国が破壊され、生計が破壊され、政治意志が侵害され、結局、自由で無条件な入国が拒否された人々にとって。まさに世界のあらゆる所で、恐怖と破壊を広めながら、あらゆる国際法を破り続けている国々への入国を。

***

 このエッセイでは、できるだけ具体的にしたい。簡潔にしたい。

 最初に、全てのアフリカ人、全てのアジア人、中東の全ての人々と全てのラテンアメリカ人(とにかく、この「ラテン」と「アメリカ」という名は何と倒錯的なことか)はヨーロッパと北アメリカに自由に入国可能にすべきだと私は宣言する。更に彼や彼女は、欧米人が享受しているあらゆる良いものを無料で享受し、望むだけの期間留まるのを許されるべきだ。

 以下はこの声明を裏付けるいくつかの(全てではない)基本的な道義的、論理的主張だ。

 第一に、ヨーロッパと北アメリカは、そこに住む人々のものではない。ヨーロッパと北アメリカは、地球のあらゆる場所の人々のものだ。いわゆる欧米を築くため、近代と、近代とは呼べない時代に(友人の国連統計学者たちによれば累積で)ほぼ10億人が死ななければならなかった。劇場、学校、病院、公園、鉄道、工場や博物館など事実上全てが、文字通り、征服された民族の骨と血の上に作られたのだ。現在に至るまで、本当に何も余り変わっていない。ヨーロッパ、後に北アメリカが、地球のほぼ全てを侵略した。彼らは略奪し、殺し、奴隷にし、拷問した。彼らは世界から全てを奪い、宗教と彼らの国を略奪し続けている卑屈で鼻持ちならない一群の「エリート」以外、何もお返ししなかった。ヨーロッパと北アメリカは付けで築かれたのだが、今この付けの支払期日がきているのだ。

 第二に、西洋文化は、全く競合相手のない地球上最も強暴な文明だ。繰り返そう、全く競合相手がいないのだ。西洋文化は、何十億人を軽く越える人命の損失なしには、軍事的に打ち破ることができない。だから更なる世界的悲劇の規模を小さくする唯一の可能性は、人種や文化的な優越性という欧米原理主義文化を「薄める」ことだ。ロンドンやニューヨークのような都市で、欧米人が今少数派になっている事実が、イギリスとアメリカ合州国が、恐ろしい犯罪を行い、攻撃し、外国を略奪するの完全に止めるわけではない。だが、もしヨーロッパと北アメリカが均質のままでいれば、自由な独立国家は、世界のどこにも、ほとんど残るまい。欧米への移民は、少なくともある程度、世界を救うのに役立っている。第一世代や、最も古い世代の移民が、少なくとも、ある程度、非西洋人の声に耳を傾けるよう要求するのだ。

 更に、もちろん、これは良く知られている主張だ。イラクやリビア、ベネズエラ、イランやシリアなど、かつて豊かだった国々の人々がなぜ移住を強いられるのかという唯一の理由は、彼らの国が石器時代に戻るよう爆弾を投下されたり、加虐的な制裁によって破壊されたりしたためだ。なぜだろう? そうすれば政府が変わるだろうし、天然資源からの利益は、国民ではなく、欧米企業のためになる。もちろん「ドミノ効果」を防ぐためでもある。欧米は「ドミノ効果」の考えを憎悪している。つまり、そうした国々の国民生活を改善する決意が強い共産党員や社会主義者や革新政府の、地域的、世界的影響力を。欧米は、偉大な英雄や、聡明な思索家ではなく、従順な、おびえた奴隷を必要としているのだ! 不幸な国々のごく一例をあげれば「ドミノ効果」を止めるため、1965年のインドネシア・クーデターや、インドシナ(ベトナム、ラオスとカンボジア)で、コンゴ民主共和国で、イラクで何百万人もが死ななければならなかった。もし、あなたが、豊かで、社会的に均衡が維持された国に行って、自分と自国民の繁栄のために、そこから全てを奪い、政府を打倒し、「破綻国家」におとしめた場合、その国の一部の人々が、あなたが盗んだ資源の後について来ようと決めた場合、あなたは衝撃を受けるだろうか。つまり、あなたの国への移民になろうと決めたら。

 この一連の論理を欧米の人々が追えない理由は、彼らが徹底的に無知だからに過ぎない。何十年も何世紀も、一生懸命無知のなままでいようとしてきたのだ。無知を主張すれば行動しなくても良い。代償を払わずに略奪品を享受できるのだ。実に単純ではないか?

***

 イギリスやハンガリーやギリシャやフランスやイタリアや他のEU加盟国の右翼有権者は、本当に見えないのか、道徳的に余りに頽廃していて現実が分からないのだろうか?

 彼らは、もう一世紀か二世紀「ただ乗り」するつもりなのだろうか?

 ヨーロッパの学校では歴史を教えているのだろうか? 私は疑問に思う。もし教えているのであれば、どんな種類の歴史だろう? 国際連合で働いているスペイン人の友人たちの何人かが、スペインが中南米で行った残酷行為について全く何も知らないのを知って私はショックを受けた。あるいは今のブラジルやカーボベルデででのポルトガル。

 今、北部同盟(そう彼らが好んで言いたがる「反体制」)が、しっかり政権に入っているイタリアは、(主にフランスと他のEU諸国に破壊された)リビアや他の打ちのめされたアフリカ諸国から航海してくる「ポートピープル」がイタリア海岸に着くのを助ける人々を違法にしている。善良な「労働者たちは」、何百人も何千人もの人々が既にそうなったように、難民には地中海の真ん中で沈んで欲しいのだ。この反移住言説は実際「勇敢」で、「反体制」として称賛されている。ヨーロッパ文化は、いかに酷く、低劣であり続けるのだろう。ヨーロッパ文化は、常に極端に強暴で攻撃的だったが、今やそれは浅薄で、非論理的で、狂信的だ。それは、もはや人種差別ではない。それを遥かに超えている。それは超人種差別的で、法外に利己的だ。彼らは「原理主義者」で、ISISやヌスラ戦線のような連中の「論理」に見られるものと変わらないと私はしばしば書いている。

 アメリカ合衆国で状況は遥かに悪い。メキシコ国境の壁? 自分の歴史を勉強していただきたい! アメリカは拡張主義戦争を通して、メキシコの半分にドロボウに入った。不法に国境を越えている移民の大部分が、実際はメキシコ人(メキシコは、あらゆる社会問題を抱えてはいても、OECD国だ)ではなく、貧困に陥った中米諸国からだ。これらの国はなぜ貧困に陥っているのだろう? 彼らが国民のために機能する用意がある革新政府を民主的に選出すると、アメリカは常に、即座にファシストの独裁的「モンロー主義」を適用し、政府を打倒し、右翼暗殺団を送り込み、民営化を強制し、イナゴの大群のように国から全てを奪い去るのだ。グアテマラ、サルバドール、ホンジュラスやドミニカ共和国の人々には、アメリカへの略奪品の後について、そのすぐそばで居を構える完全な権利がないのだろうか?

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 欧米の教義は単純で、同時に全く非合理的だ。それは定義されていないが、定義されるとすれば、このようなものだろう。「我々は、どこであれ選んだ場所を攻撃し、強盗し、移住することができる。なぜなら我々は、白人で、キリスト教で、誰よりも優れた文化と、武器を持っているのだから。他には何も理由はないが、これで十分なのだ。他の連中は、はるか遠くで、近寄らないようにしていなければならない。さもないと! もし彼らが服従しなければ、彼らはイタリア人に沈められ、ギリシャ人に外海で、ゴムホースで打ちすえられるだろう。壁が作られ、もし難民が南から北アメリカへ越えようとするなら、人々は、今行われているように、不快な収容所に集結させられる。」

 おお、北アメリカ、主としてヨーロッパ人の一世だが、二世や他の世代が、先住民族をけもののように、追い詰めて捕まえた場所。ファースト・ネーション、北米先住民族の大多数が恐ろしい死を遂げた場所。アメリカ合衆国とカナダで、先住民族が、しばしば、今日に至るまで、全くの貧困で暮らすことを強いられる場所。北アメリカ、しかしオーストラリアも、同じ文化、同じパターン、同じ「論理」だ。

 そして、先住民族を虐殺した後、何が次におきただろう? 「新しい世界」を築くために、ヨーロッパ人によって奴隷として連れて来られた鎖につながれた何百万というアフリカ人。拷問にかけられ、尊厳を奪われた男性たち。毎日、女性たちは畑に縛りつけられ、白人プランテーション所有者によって、レイプされた。民主主義。自由。欧米風。

 合衆国のような「国」が、一体誰がその国境を越えるべきか、一体誰をその領土に定住させるべきか決める道義的権利を持っているのだろうか?

 私はそう思わない。あなたはそう思われるだろうか?

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 全く違う状態があり得る。ソ連時代のロシアをご覧願いたい。決して中央アジアの共和国を占領しなかった。彼らは自発的に参加したのであり、ウズベキスタンやキルギスタンで人々に話をすれば、大多数が、再び、楽しくロシアに加入するというだろう。ほとんど全員がソ連を郷愁的に感じている。

 ソビエト社会主義共和国連邦時代、モスクワはタジキスタンやキルギスタンの生活水準がロシアとほぼ同じになるようにしていた。ロシアは強奪するのでなく、大量の助成金と国際主義で支持した。

 それから、ソ連が、外部勢力(欧米との軍備競争と、欧米プロパガンダ)によって破壊された後、国はいくつかの独立国家に分裂した。そして移民の流れが始まったのだ。

 ロシアは決して国境を閉鎖しなかった。(ワシントンに不安定化された)中央アジアから、今や裕福なロシアまでの旅行は容易だ。旧ソビエト共和国から何百万という人々がロシア連邦中の至る所で楽しく働いている。そしてロシア国家は彼らに対する「道義的責任」はない。この全ては実際、常識、共有した歴史と価値観への敬意と普通の人間の優しさなのだ。

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 一部の人々は言うだろう、欧米がしたことは、全てずっと昔に起きたのだ。だが、違う、そうではない。それは今も、まさに今、起きているのだ。

 もちろん、もしあなたがどこかのパブかロンドンのクラブで、ぼーっとしているなら、あるいは、パリで豪華なカフェに座っているなら、あなたは決してそう思うまい。あなたが望んでいるのは、邪魔をされずに、快いヨーロッパの生活を送ることだ。何億という被害者の骨と血の上に形成された生活。

 巨大な、超金持ちのヨーロッパは、破壊された中東から流れ出る数百万人の人々さえ受け入れることができないのだろうか? 本当に? ごく小さなレバノンは、いわゆる「シリア危機」の絶頂で、200万人の難民流入から生き残ることに成功した。犯罪率は急上昇せず、国は崩壊しなかった。なぜかご存じだろうか? なぜならレバノンの人々には心と品位があるから。欧米にはその種の性格は皆無だが。

 もし強盗して、人を殺したがゆえに、あなたの家族が金持ちになったなら、あなたは強奪品を返そうと望むだろうか? あなたはご自分の親や兄弟が拷問にかけ、略奪した人たちのために、ドアを開けるだろうか? 一部の人はそうするだろう。状況を理解した後、彼らはそうするだろう。だが欧米はそうではない。欧米は奪うだけだ。欧米は決して与えない。欧米は与える人々を憎む。欧米はあらゆるまともな国を中傷し、攻撃さえする。

 恐怖は、灰と化された国で、中国やロシア、旧ソ連邦中央アジア共和国、イランやパキスタンに潜入し、損害を与える準備ができている原理主義者の訓練基地にされた、打ちのめされたアフガニスタンで、いまだにおきている。私はそこで働き、私は知っている。あるいはシリア。私はそこでも働く。あるいは地球上の私の大好きな国の一つ、ベネズエラ。そしてリストは延々と続く。

 イギリス、フランス、イタリア、北アメリカ、ギリシャの、恩恵だけを欲し、自国政権が全世界で犯している世界的大量虐殺に気付かないままでいると決めている有権者の独善的な偽善の噴出を読むのを私はもう耐えられない。

 これらの人々は、誰が彼らの福祉に対して支払うか、あるいは彼らに特典を与えて、一体何百万人が死ぬかに、全く何の関心もない。

 彼らはさらに多くを欲する。彼らは常に「彼らはなんと貧しく、搾取されているのだろ!」と不平を言う。彼らは新植民地主義を止めることを望まない。彼らは自身のため、より多くの金と生活条件改善を切望するだけだ。「我々は全て人間だ」と彼らは言う。「我々はすべて被害者だ」。それから彼らは最右翼を選出し「難民」が締め出されるよう要求する。

 彼らは血塗られた手の持ち主だ。彼らの大部分が被害者ではなく虐待者だ。彼らは国際主義者ではない。単なるミニ帝国主義者、彼らの文化、植民地政策の利己的産物だ。

 何世紀もの間打ちのめされてきた世界のために、欧米は扉を開かなければならない。

 「外の」一部の人々は、欧米が繁栄できるように文字通り乞食に変えられたのだ。

 ロンドンやニューヨークの「政治的公正」は外部世界がどれぐらい素晴らしいかと言ってウソをつく。とんでもない! そうではない。その多くが貧しく、壊疽にかかり、非常に不快だ! むかつく。なぜなら、そのように作られたからだ。なぜなら、それは打ちすえられ、侵害され、何世紀間も強奪されたから。

 これらの人々、正真正銘の被害者は、たった二つだけ要求する。そっとしておかれ、自分の利益のみを追求するNGOや欧米の支配下にある国連政府機関なしで、欧米の軍事介入なしで、彼ら自身の国を作ることが可能になるように。それが一つだ。

 二つ目は、彼らが行きたい時に、盗まれた彼らの富があるところに行くことだ!

 彼らは受け入れられ、補償され、罪の許しを請われるか、それとも彼らの権利を行使して、門を壊すかのいずれかなのだ。

A Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書いている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/12/why-are-anti-migrant-arguments-in-the-e-u-u-s-pure-hypocrisy/

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 岩波新書『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』を読んだ。
 88ページにこういう文章がある。

事実、フランスなどの諸国を征服したのちのドイツの占領政策は、資源や工業製品の徴発、労働力の強制動員といった点を強調したものとなる。そのおかげで、ドイツ国民の生活は、戦時下であるにもかかわらず、一九四四年に戦争が急速に敗勢に傾くまで、相対的に高水準を維持していた。彼らは初期帝国主義的な収奪政策による利益を得ていることを知りながら、それを享受した「共犯者」だったのである。

 212ページにこういう文章がある。

つまり、ヒトラーに加担し、収奪戦争や絶滅戦争による利益を享受したドイツ国民は、いよいよ戦争の惨禍に直撃される事態になっても、抗戦を放棄するわけにはいかなくなっていたのである。

 いつも不思議に思うのが、労働者の不利益になる政策を支持する労働組合の存在。反労働組合だろう。核や軍需のような、国家に保護された産業で働いていると、そこでの比較的高水準な生活を享受するために、「共犯者」になるのだろうか?そうした組織の票に依存する政党に多くを期待するのは無理だろう。

日刊IWJガイド・土曜版「選挙後、突如『生まれ変わった』と言い出した国民民主党・玉木雄一郎代表が『憲法改正の議論を進めていきますし、安倍総理にもぶつけます』と衝撃発言!『改憲の議論を進めること』は、5野党・会派と市民連合との政策協定違反!!」 2019.7.27日号~No.2508号~(2019.7.27 8時00分)

 

2019年7月26日 (金)

S-400購入でアメリカ覇権に別れを告げるトルコ

2019年7月22日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 NATO主要ライバルのロシアに対する防衛協力に従事するNATO同盟国が、NATOとその最大軍事大国アメリカからの強い反対に直面しながら、行動していることほど、世界的舞台でのアメリカ覇権衰退を示す、うってつけの例はない。ロシア兵器購入に対する、アメリカによる制裁の恫喝にも、トルコがひるまなかった事実は、ここ10年ほどのアメリカ覇権衰退が、どれほど急激かを示している。アメリカは、シリアで大失敗をこうむっており、1兆ドル以上もの資金と、何千人もの無辜の生命を浪費した後、アフガニスタンからの脱出を交渉しようと懸命だ。マイク・ポンペオのようなアメリカ政府幹部が、その不従順に対し、アンカラが直面する可能性がある制裁について、はっきり言ってきたのに、かつての「立場の低いメンバー」に、ロシア第一級の防空システムを買わないよう強要するのに、手ひどい失敗をしたのだ。主としてイスラエル圧力団体を代弁し、ポンペオは「法律は制裁を要求しており、我々が法律に従うこと、トランプ大統領が法律に従うことを私は確信している」とワシントン・ポストで明らかにした。これも、7月17日のF-35開発計画からトルコを完全に排除するというトランプ決定も、もちろんトルコに対してうまく機能するまい。

 ロシアのS-400購入決定で、トルコは断固としているが、これはトルコの主権と国益の公正な行使以外の何ものでもないが、アメリカの決定は、アメリカ-トルコ関係と、中東におけるアメリカの権益を大きく損ないかねない変曲点だ。従って、アメリカはトルコを「罰する」上で慎重にする必要がある。しかしながら、ホワイトハウス声明は、その攻勢がひき起こしかねない想定外の否定的影響を心に留めていないように思われる。声明は「S-400受け入れは、ロシア・システムを避けるというNATO同盟国全ての誓約を傷つけると述べた。これはNATO同盟とトルコとの相互運用性に悪影響を及ぼすだろう。」声明は、S-400購入によって生じた状態と「制約」に脅かされながらも、トルコとの協力は続くと述べた。言い換えれば、この協力はせいぜいごくわずかなものとなる可能性が最も高い。

 最近日本でのG-20サミット際に、トランプがエルドアンに宣言したように、トルコは制裁からは免れるかもしれないが、トルコとの協力を激しくはねつければ、地域にとって重大な影響があるだろうことは否定できない。

 いよいよとなれば、トルコはトルコ内の基地からのアメリカ軍退去を実施できる。このような決定は、核兵器60発のほとんどをトルコ領土から撤去することになりかねず、アメリカ軍撤退は、アメリカが作戦上重要な基地を失うことを意味するだろう。更に、このような措置は、北シリアのクルド人に対する、トルコの全面的軍事行動開始のための前提条件を生み出すだろう。クルド民兵の消滅は、地域のもう一つの重要な同盟者を失うことを意味し、アメリカが、シリア現地で状況に影響を与える能力に障害を与えられる可能性があるだろう。トルコは既に、一連の軍事活動で、国防総省をいささか神経質にしている。7月13日、アメリカ国防省は、トルコがこれまで数日にわたり、シリア国境沿いに軍隊を集結しているという報告に対応して、アメリカが支援するSDF部隊が占領しているシリア地域には、いかなる一方的軍事行動もせぬよう、トルコに警告した。

 この段階では、トルコが独自作戦を始めることはありそうもないように思われるが、トルコが実際にアメリカが制裁を課すのを妨げることを狙って、対抗する動きをしていると考えられる理由がある。

 これらの懸念を別として、トルコを強制し続けるワシントンの願望が、トルコを更に深くユーラシアと統合するようにし、ロシアと中国との協力を一層強める口実をトルコに与えることは否定しようがないだろう。

 この段階では、このような措置は、ワシントンとテルアビブ双方にとって、ことをずっと悪化させるだけなので、アメリカは制裁を課す立場にないように思われる。トルコは既に公然とハマスを支援しており、エルドアンは一度ならず、イスラエルはナチ国家だと言って、イスラエルのネタニヤフと激しいやりとりをしてきた。アメリカは、もちろん状況が、それ以上更に悪化するのを望んでおらず、それが、上記に引用したホワイトハウス声明が、なぜ、ロシア防空システム購入のかどで、トルコに対して、あり得る制裁に言及するのを思いとどまったかの説明になる。

 アメリカは懸念しており、将来トルコとの協力が、どのように限定されるかは示したものの、これまでのところ、彼らは余り露骨にはねつけるのは思いとどまっている。従って、アメリカ外交政策は、同盟国の一つに対し、このような状況下で通常するだろうことをするのを阻止する制約という暗雲の下で動いている。依然、アメリカはNATOの最大国家かもしれないが、もはや、ずっと小さな非核保有国を強制的に屈伏に追い込むのに十分なほど強くはないのだ。それどころか、ずっと劣勢な国が、制裁と中傷から構成される、いつもの政策を、アメリカが再考するよう強要しているのだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題の専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/22/with-the-s-400-deal-turkey-bids-farewell-to-the-us-hegemony/

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選挙後、夕方、たまたま民放の報道をちらり見た。れいわと、もう一党に、「ネオ野党」とレッテルをつけていたのに驚いた。もう一党「ネオナチ」というのならわかるが。

2019年7月25日 (木)

エルドアンとキプロスとNATOの未来

2019年7月19日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 ここ数週間、帰属問題で係争中のEU加盟国キプロスを取り巻く排他的経済水域での、トルコの》石油掘削装置をめぐって、緊張の劇的なエスカレーションがおきている。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、北キプロスの水域のみならず、ギリシャのキプロスが権利を主張している、そこからかなり遠い水域でも、トルコは掘削する権利があると主張している。石油とガス掘削プラットホームを、この水域に移動するトルコの行動は、エネルギー源の豊富な東地中海で、劇的な新しい衝突を生み出している。当事者の顔ぶれは、トルコが、キプロスとギリシャと衝突する可能性のみならず、ロシアと中国が強い関心で見守る中で、イスラエルとアメリカとの衝突さえありうる、対立する利害の政治的火炎瓶となりつつある。

 6月20日、トルコは石油とガスを求めてボーリングするため、キプロス沖水域に、二隻目の船を出航させたと発表した。トルコは、キプロス島のトルコ対岸部、北キプロス・トルコ共和国を承認しているので、北東地域で海の権利を持っていると主張している。島が1974年に分割されて以来、トルコだけが、島のおよそ36%を占める北キプロス・トルコの共和国を公式に承認している。キプロス共和国として知られている島の残りの部分は、独立のEU加盟国として認知されており、歴史的にギリシャに近い。2017年7月、国連が仲介した島の統一に関する協議が失敗し、エネルギー上の緊張が増大した。

 2011年、巨大な石油と、特に天然ガス田が、キプロスに近い東地中海と、イスラエル、レバノンと、可能性としてエジプトの沖で発見された。地域全体には500兆立方フィート以上のガスを埋蔵している。その時以来、東地中海は、エネルギー地政学と高まる緊張の焦点になった。キプロスが去年2月にENIに採掘権を与えた際、トルコは、ENIにその掘削を断念することを強いて、軍艦をその区域に送った。11月、キプロスがキプロス南西水域で、アメリカのメジャー石油企業エクソンモービルに採掘権を与えると、エルドアンは同社を「海賊」と呼び、それを放棄するよう要求した。

 ここ数週間、エルドアンは、キプロス共和国が領有を主張する水域に数隻のトルコ掘削船を送って、状況をエスカレートさせている。

 舞台裏では

 今、大論争となっているキプロス沖合での掘削を露骨にエスカレートしているトルコの背景は一体何だろう。膨大なガス埋蔵が最初に発見された時から、8年以上の間多かれ少なかれ知られていた問題が、なぜ今なのか? それを説明できる要因がいくつかある。

 第一に、最近、10年以上で初めて彼の権力に疑問を投じた、エルドアンの劇的な選挙敗北がある。彼がキプロスに対するトルコの主張で断固たる態度を取ることが、特に、トルコ経済が、ここ数カ月厳しい景気後退に入っている中、彼の衰えた人気を復活できると彼が判断した可能性は排除できない。拡大する政治不安で、トルコ経済は、失業率増加や内需崩壊やリラ下落で打撃を受けている。エルドアンは、アメリカ代案ではなく、ロシアの先進的なS-400防空システム購入に、アンカラが固執していることで、ワシントンと進行中の戦いの中にある。トルコがギリシャと同様にNATO加盟国であるという事実が、地政学的波瀾を高める。7月17日、ワシントンは、ロシアのS-400防空システムを購入した結果、トルコは、F-35統合攻撃戦闘機を購入することを許されないと発表した。

 トルコとロシア

 何年にもわたり、特に、ペンシルベニアに亡命中のCIA資産フェトフッラー・ギュレンのせいだとエルドアンが主張する2016年7月のクーデター未遂以来、ワシントンがギュレン引き渡しを拒否しているため、エルドアンとワシントンの関係は緊張状態にある。

 今、以前の、トルコによるシリア領空でのロシア戦闘機撃墜後のトルコ-ロシア関係の決裂後、ロシアはトルコに大いに進入して、ワシントンの懸念を引き起こしている。ロシアのS-400防空システム購入に加えて、エルドアンは、ロシアの黒海から、トルコまで、ロシアとのトルコ・ストリーム・ガスパイプライン建設に加わった。2018年11月、それがトルコ領土に至ったので、ロシアのプーチン大統領が、ガスパイプライン最初の910キロ海底区間完成を祝うためイスタンブールを訪問した。2番目の平行するパイプラインがトルコ経由で、ギリシャに、可能性として、セルビア、ハンガリーや他のヨーロッパ市場にロシアのガスを輸送するはずだ。プーチンとエルドアンは、相互貿易のかなりの増加を議論して、最近の大阪G20サミットでも協議を行った。

 しかしながら、掘削船をキプロス水域に送る最近のトルコの動きは、ギリシャがトルコ・ストリームからのトルコ・ガス購入に同意しないだろうことを、ほとんど保証するにすぎない。さらに、トルコがキプロスとギリシャの領空と領海をカバーする新しいロシアのS-400ミサイル部隊を南西トルコに配備した事実は、ギリシャ側からトルコやロシアとの関係を温める役にはたたない。

 7月16日、キプロス沖での、無許可の掘削船派遣のかどで、EUがトルコに対する制裁を発表した際、トルコのメヴリュット・チャヴシュオール外務大臣はこう応えた。「EUの決定を、制裁を呼ぶことは、それを真剣に受けとめることを意味する。そういうことはするべきではない。ギリシャ系キプロス人を満足させるために、この決定がなされたのだ。こうしたものは我々に影響を与えない。」彼が話をした通り、アンカラは東地中海に四隻目の探査船を送るとを発表した。謙虚どころか、エルドアンの外務大臣は、トルコには、キプロス海岸から200マイルを含む、キプロス共和国政府と同等の掘削の権利があると主張し、ギリシャの排他的経済水域に食い込む地中海の一部の権利さえ主張しているのだ。トルコは、キプロス沖の掘削船を護衛するため、無人飛行機、F-16戦闘機と軍艦で支援している。

 NATOの未来

 この全てがエルドアンがトルコ地政学の大きな新たな章に入り、中国とロシアが率いる上海協力機構を好んでNATO離脱を準備しているのかどうかという疑問を引き起こす。

 トルコは、モスクワとの軍事的結びつきを深めるのをいとわないように思われるだけではない。7月2日、最近の北京訪問で、エルドアンは新疆ウイグル自治区での百万人以上のイスラム教ウイグル人抑留とされているもので、中国を非難するのを拒否した。かつて、トルコは、ウイグル族を、民族的にトルコ人と見なしていて、新彊を、東トルキスタンとして言及して、中国によるウイグルの取り扱いを非難する唯一のイスラム教国の一つだった。今回驚くべきことに、エルドアンは中国メディアで「我々は双方の微妙な点を考慮に入れることで、問題への解決を見いだすことができると私は信じている。」と穏やかな語調で語ったのだ。エルドアンの北京訪問の明確な目的は、ここ数カ月間、アメリカ制裁によって大きな打撃を受けている弱体化したトルコ経済に対し経済援助を得ることだった。既に中国企業は、新しいイスタンブール空港同様、新しいイスタンブール-アンカラ高速鉄道路線の一部の建設に従事している。

 トルコは、最も有利になるようにする取り組みで、東と西に二股をかけることがよくあった。疑問は、今エルドアンが、NATOでの立場への危険を冒して、中国とロシアとの明確な連合へと移行しつつあるのかどうかだ。もしそうであれば、キプロスとの石油とガスの掘削に関する現在の紛争は、EUにとってのみならず、ワシントンにとっても大きな課題となり得る地政学的構造的転換に向かう過程での小さな事件であり得よう。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/19/erdogan-cyprus-and-the-future-of-nato/

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 (国際原子力機関 (IAEA) 事務局長天野之弥氏が亡くなった。

 2011年3月21日に掲載したクリス・ヘッジズ氏記事「今度は地球丸ごと道連れ」の後記で、機内で撮影された天野IAEA事務局長発言への違和感を書いたのを今でも覚えている。

 他にも、下記記事や後記で、彼氏に触れている。検索エンジンというものが、実際は隠蔽エンジンであることが、こうした記事でも確認できる。

 またもや戦争へと燃えあがるアメリカ資本主義

 イランを覆いつつある戦雲 (不思議なことに、この記事、今朝の時点で、yahoo、Google検索から隠蔽されている。 ペルシャ湾侵略有志連合参戦に不都合だからだろうか?) 

IranyahooIrangoogle

 福島の危機、6ヶ月で収束予定(不思議なことに、この記事は、今朝の時点で、yahoo検索から隠蔽されている。)

Fukushimay

 “福島-1”原発を巡る状況とは無関係に原発建設は進行中とIAEA事務局長

 喜劇に特別興味はないが、あの企業、不思議な組織と思っていた。今日の日刊IWJガイドを拝読して納得。

日刊IWJガイド「吉本興業の本当の闇は芸能と権力の結びつきにある! 吉本興業とNTTが沖縄県那覇市に立ち上げた教育コンテンツ等を国内外に発信する国産プラットフォーム事業に対して、官民ファンドのクールジャパン機構が最大100億円も出資! 」 2019.7.25日号~No.2506号~(2019.7.25 8時00分)

2019年7月24日 (水)

没落前の思い上がり

Finian Cunningham
2019年7月20日
スプートニク

 思い上がりは、通常差し迫る災難の事前警告だ。極端な横柄さは、傲慢な人に、その力の限界を見えなくする。それで、彼らはやみくもに無謀な行き過ぎた行為を押し進め、悲惨な結果に至るのだ。

 現在イランとの緊張が高まる中、アメリカ合州国とイギリスは、この狂った思い上がりの典型だ。

 今週ペルシャ湾で、イランがイギリス貨物船を拿捕した後、イギリスのジェレミー・ハント外務大臣が、イランの動きを「不適切だ」と非難し、テヘランは「危険な道を選択して」いると警告した。

アメリカのドナルド・トランプ大統領もイランを非難した。「我々には最も偉大な艦船、最も致命的な艦船があるが、我々はそれらを使わなければならないのを望んでいない」と彼は金曜ホワイトハウスで記者団に語った。「我々は彼ら[イランの]のために、彼らがばかげたことをしないよう希望する。もし彼らがそうすれば、彼らは、これまで誰も支払ったことのないような代償を支払うことになるだろう。」

 イギリスはイランがイギリスが運用する船を没収するのは不法で、「航行の自由」に違反すると主張している。イランは、それがイラン漁船に衝突した後、狭いホルムズ海峡を通過する上での安全規則に従わなかったので、船を拿捕したと主張している。

 正確な事情が何であるにせよ、ロンドンは、イランに抗議する法律上や道徳的な権限を極めてわずかしか持っていない。テヘランは、イギリス船による違反とされていることの捜査を行っていると主張している。イランにはそうする主権がある。

 イギリスの公式反応は、まったく偽善の気配がある。ダマスカスに対する欧州連合の制裁への違反とされるもので、船が石油をシリアに輸送していたという主張で、7月4日、イギリス海兵隊が船に乗り込み拿捕した後、イランの石油タンカーは現在イギリス海外領土、ジブラルタルで拘留されている。

 イランはイギリスによる拿捕を「海賊行為」と酷評し、イギリスの動機の合法性に異議を唱えている。イランをいらだたせるため、ワシントンと結託して、イギリスの行動が意図的に行われたと信じる十分な根拠がある。

甲に許されることは、乙にも許されて当然だ。もしイギリスがイランによる出荷違反とされるものに「法」適用するなら、テヘランは領海ペルシャ湾、あるいはその近くで、イギリス船と推測されるものに、同じことをするあらゆる権利がある。

 イギリスと合衆国の横柄は驚くほどだ。偽善とダブルスタンダードは自滅している。

 イランが緊張を「エスカレートさせて」いるというワシントンとロンドンの非難は、ばかばかしい現実逆転だ。今週、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、もしトランプが、イランから厳しい制裁を撤廃することで報いるなら、紛争を解決するための協議は可能だとアメリカ合州国に要請した。それ以上公正にはなり得ない。

 より大きな構図を想起しよう。危険な状況は、ワシントンが去年イランとの国際核合意から非難すべき離脱をしたことで作られた。それから、4月、トランプはテヘランに壊滅的打撃を与える制裁を再び課して、イラン経済をそれ以上の混乱に追いやったのだ。このような経済戦争は国際法の下で非合法だ。イラン系アメリカ人評論家ソラヤ・セパフポール・ウルリッヒが適切に表現しているように、それは「経済テロリズム」だ。

 5月、トランプ政権はギアを入れかえ、軍艦とB-52核搭載爆撃機をペルシャ湾に派遣し、裏付けのない、イランによる安全保障の脅威から「守る」と称する軍事攻撃としか呼びようのない政策に着手した。

 これまで二カ月間、アメリカ合州国がイランのせいにした、商用船舶に対する一連の妨害工作事件があった。イランはいかなる関与も否定し、事件は、テヘランに罪を着せようとする悪質な勢力が画策していると推測している。

 今月早々のジブラルタル沖でのイギリス奇襲部隊によるイラン石油タンカー拿捕は、同じ意図的挑発のパターンに当てはまる。

 だから、イギリスのジェレミー・ハントが、法律上の誠実さと、正義という傲慢な態度をとった際の思い上がりは、到底耐えられるしろものではなかった。

 ワシントンとロンドンは公式に、イランとの戦争を欲しないと言った。だが他の全ての兆候が、彼らが戦争をする用意が調っていることを示唆している。おそらく連中は、軍事力を自慢して見せびらかせば、イランを震え上がらせ、慈悲を嘆願させるのに十分だと思っているのだ。それは要するに国家テロだ。

だがイランは、その指導部が何度も繰り返し警告しているように、一筋縄ではゆかず、おもちゃではない。テヘランはアメリカ合州国とイギリスが戦争を始めるかもしれないが、「それを終わらせる」のはイランだと言っている。

 イラン軍の防衛は手ごわく、イラン・ミサイルが、アメリカとイギリスの軍艦を海底の藻くずにできることは疑いようがない。

 我々は、軍事衝突が地域戦争や、世界戦争にさえ爆発しかねない、地政学的に極めて危険な緊急事態状態にいる。アメリカと、そのイギリス・ブルドッグが、面目を失う状態で、本当に心配なのは、連中の極端な横柄さが、思いも寄らぬもの、つまり核兵器で、連中の大惨事を崩壊から救う気にさせかねないことだ。

 没落前の思い上がりは、腐敗したアメリカとイギリスのならず者政権だけを巻き込む没落の可能性がある。しかし恐ろしくて考えたくないのは、没落が、膨大な人数の無辜の人々や、我々が知っている地球さえ巻き込むかもしれないということだ。

 しかしながら、一つ反駁不能なことがあるように思われる。イランと世界の他の国々に対するアメリカとイギリスの犯罪的ないじめは止めなければならない。世界は、もはや連中の極端な無法状態を大目に見ている余裕はないのだ。

 本記事の見解、意見は筆者のものであり、必ずしもスプートニクのものを反映するわけではない。

 Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201907201076306024-hubris-before-the-fall/

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 IWJガイドの見出し。「参加などするな」としろうとは思う。彼らがころべば、簡単に三分の二。

日刊IWJガイド「参院選で9議席も減らしながら『改憲議論をすべきという国民の審判』!? 改憲スケジュールまで提示した安倍総理の呼びかけに国民民主の玉木雄一郎代表は『憲法の議論には参加する』!」 2019.7.24日号~No.2505号~(2019.7.24 8時00分)

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名をコピーさせていただこう。

日本国内は対韓経済制裁を7割近くが支持。だが国際社会は支持するか。米国の経済・金融の通信社ブルームバーグは社説で、「両国が不当と感じる理由があるのは事実。安倍首相の対応は非常に偽善的。更に日本のサプライヤーは市場シェアを落とし、信頼性を落とす」

 題名で、孫崎氏が『日米開戦の正体』の「はじめに」で、書いておられるのを思い出す。

日本は今「あのとき」と同じ曲がり角にいます。

 

2019年7月23日 (火)

S-400究極の撃墜

Finian Cunningham
2019年7月17日
スプートニク

 ロシアのS-400防空システムをトルコが受領したことに対するワシントンの激しい反応には、いくつか要因があるが全てアメリカ戦略上の権益への大打撃によるものだ。

 二年にわたるアメリカのいじめと恫喝の後、トルコは最終的に先に進み、今週S-400システムを受領した。ワシントンのぼう然とした反応は、2017年最初に署名したロシアとの契約に対する制裁というアメリカの恫喝をアンカラが振り切ったことへの驚きを示している。

だから何よりも、これはアメリカの威信と、下位の国々を傲慢な要求で屈伏させると考えられている権力への打撃だ。ワシントンが息を切らせて怒っても、トルコはロシア防空システム購入を中止しろというアメリカの命令を無視したのだ。

 トルコの先例に倣って、他の国々がロシア防衛システムを購入する道が開かれたのだ。報道によれば、インドや他の国々が、ワシントンの叱責に対するトルコの反抗的態度に励まされ、S-400購入に列をなしている。

もう一つの要素は、国防総省とアメリカ軍産複合体の莫大な長期的事業損失だ。

 今週、トランプ大統領は、S-400取り引きの結果、ステルスF-35戦闘機、100機を、アメリカはトルコに売らないことを確認した。

 トルコは最先端のアメリカ戦闘機を注文していたが、S-400購入に対する「罰」として、ワシントンにキャンセルされた。ジェット機一機の販売価格は約一億ドルなので、製造業者ロッキード・マーティンの減収は100億ドル以上になる。

 トルコへのF-35キャンセルを発表しながら、トランプはアメリカの事業と雇用の損失を嘆いた。

 S-400が、この航空機の性能弱点を発見しかねないので、国防総省はS-400近辺でF-35を運用する可能性を懸念している。

 アメリカのF-35が過大評価され、非常に高価過ぎることは、長い間、独立した航空専門家たちに推測されていた。一機がF-16と比べて二倍もし、購入には費用がかかるが、「最新世代」とされる戦闘機には、その性能への技術的問題と疑問がつきまとっていた。

皮肉にも「F-35開発計画から外される」のは、トルコにとって実際は「罰」ではないかもしれない。アンカラは多くの浪費を節約できさえするかもしれないのだ。

 さらに、もし他の国がその先例に従って、ロシアのS-400を買えば、アメリカは、F-35の将来の注文を更にキャンセルするよう強いられるだろう。航空機の開発費が何兆ドルにもなることからすれば、アメリカ連邦政府や国防総省請負業者にとって、財政的に破滅的なものでないにせよ、他の国々に対する販売が減少する将来は陰気なものだ。

 それは全て各国がロシアのS-400を購入するせいだ。またアメリカの地政学の戦争行為がロシアに向かって法律的に追い込まれている。「敵対者に対する制裁措置法」(CAATSA)として知られているアメリカ法は、ロシアを悪者化することが狙いだ。ロシアのS-400を購入しているトルコのような、ロシアと事業をする他のあらゆる国に対して、アメリカが制裁を課す義務があるのだ。それが法律上の必要性からF-35プログラムが中止された理由だ。言い換えれば、アメリカは、非合理なロシア嫌悪という自縄自縛で、壊滅的な打撃を与える可能性がある財務損失で墓穴を掘ることとなったのだ。

 トルコのS-400契約でワシントンが激怒しているのには、もう一つの戦略上の要因がある。

 トルコは、アメリカ率いるNATO連合で、二番目に大きな軍事力だ。ロシアとのこの大規模な防衛契約を強化するアンカラの動きは、ロシアをアメリカとヨーロッパに対する実存的脅迫として描く方法を探している、ワシントンと大西洋主義者の宣伝を徹底的に弱体化する。NATOの本当の暗黙の狙いは、何らかの「有害勢力」として冷戦時代のモスクワ悪魔化を引き延ばすことだ。もしNATO加盟国トルコが、ロシアに航空防衛の提供を安心して任せれば、モスクワを悪者にするNATO茶番は丸ごと崩壊する。

 NATOの付随する戦略上の機能は、ミサイル防衛システムと軍用飛行機の売上高一兆ドルの買い手が売り手を選べない市場を、アメリカ軍産複合体に与えることだ。買い手が売り手を選べない市場は、ロシアが、アメリカ同盟者が、高価なアメリカ兵器によって、それから守られる必要がある敵だという、全く偽りの前提に依存しているのだ。

 最も堅く守られている秘密は、アメリカのミサイル防衛システムが、ロシアのS-400より劣っていることだ。欧米の防衛専門家たちでさえ、S-400がアメリカ製パトリオットや終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を凌ぐ最も良い「万能」システムであることを認めている。ロシアの航空防衛技術は、アメリカの同等品より経済的であるだけでなく、航空機とミサイルの標的設定、高度、速度と探知範囲の全ての分野で、この両者を上回る。

トルコによるS-400購入は、更に多くの国がS-400と比較評価をする機会があるだろうから、アメリカ航空防衛システムがより劣っていて高価過ぎることが暴露されるだろう。

 そこで、本当の「敵」が、ロシアではないことが広く理解されるかもしれない。本当の敵は、アメリカ軍国主義と、ロシアで人を不安に陥れ、顧客をだまして行われている法外な価格の兵器を売る寄生的慣行だ。それこそが究極の撃墜だ。

 Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年以上、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。

 記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201907171076274269-s-400-ultimate-shoot-down/

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 人気芸能人事務所社長の話題や、与党宣伝お笑い屋の内紛をしつこく呆導し、選挙を盛り下げた大本営広報部。あらゆる手をつくしても、与党は勝てなかった。連中の工作による低い投票率ゆえ、与党圧勝を恐れていたのだが。

植草一秀の『知られざる真実』 熱帯低気圧「れいわ」がスーパー台風に発達し本土直撃へ

(相撲しか見ていないので実は何を呆導していたか知らない。)大本営広報部のお仕事、歪曲隠蔽だけではないようだ。大本営諜報部。

 孫崎享氏の今日のメルマガ題名。

望月衣理子著「官邸が記者をスパイに仕立て上げる」(月刊日本?掲載)の抜粋。「官邸は一部の記者をスパイに仕立て上げているようにも見えます。皆がそうだとは思いませんが、一部の政治部記者が官邸に“諜報活動要員”として利用されているのだと思いました。

 2014年10月に訳したロバーツ氏記事がある。ドイツ人ジャーナリストの話。彼の本、英語版は絶版だ。ドイツ語版では買っても読めない。“大手マスコミの主立った連中は皆CIAの手の者

 投票率引き下げのための大本営広報部の大活躍もあったが、それでも首の皮一枚状態の参院。

日刊IWJガイド「参院選で改憲発議に必要な3分の2議席まであとわずか4議席!? 国民民主などの野党議員切り崩しが早々に始まる!? 選挙翌日にはトランプ米政権のネオコンの象徴ボルトン大統領補佐官が来日! 政府は『改憲と戦争』に前のめり!」 2019.7.23日号~No.2504号~(2019.7.23 8時00分)

 

2019年7月22日 (月)

トランプに「やれるものならやってみろ」といどむトルコ

2019年7月14日
エリック・マーゴリス
ericmargolis.com

 トルコは、ロシアのS-400対空ミサイル購入を進めて、ドナルド・トランプに「やれるものならやってみろ」といどんでいる。ワシントンの怒りは非常に激しい。反抗的なトルコに地獄の業火のような制裁を浴びせるとトランプは誓っている。

 S-400はロシア第一級の対空のミサイルだ。それはステルス機、巡航ミサイル、中距離弾道ミサイル、無人飛行機と若干の他タイプのミサイルを含め、あらゆる形の航空機に対して大いに有効だと信じられている。自身のホーミング・レーダーによる自己誘導版と、砲兵隊レーダーに誘導される、それほど高価ではない「セミ・アクティ」版オプションがある。

 この地対空ミサイル(NATO用語でSS-21)を特に恐ろしいものにしているのは、注目に値する400キロの射程距離だ。S-400はステルス航空機の覆面をはがせるとロシアは言っている。私は大昔の1990年、ソ連保全当局者に、彼らのレーダーはアメリカのステルス航空機を探知できると言われたことがある。

 ミサイルの注目に値する射程距離と探知能力は、アメリカ戦闘能力の主要要素、特に、空飛ぶレーダー機、E-3AWACS早期警戒管制機や、アメリカ電子戦機、給油機や、もちろん、新しいステルスF-35、改良版F-15、F-22やB-1、B-2や長距離巡航ミサイルの輸送に使われる由緒あるB-52重爆撃機など、一部の戦闘機を危険にさらす。

 ロシアの地対空ミサイルは‘発射し、走り去れる’、発射してから素早く移動できるのだ。さらにいっそう重要なのは、S-400システムは、主要競合システム、アメリカのパトリオットPAC -2システム価格の約半分のコストなのだ。S-400は、一層信頼でき、正確かもしれない。ワシントンのアメリカ大統領は満足ではない。

 トランプ政権は、新しいステルスF-35、100機のトルコの注文をキャンセルすると脅して、S-400を買わないようトルコに激しい圧力を加えた。トルコがこの問題で、アメリカを拒絶すると思った人々はごく僅かで、彼らはアメリカに対するトルコの怒りの深さを理解し損ねたのだ。

 アメリカに亡命して暮らしている、宗教・政治指導者フェトフッラー・ギュレンが運営するうさんくさい宗教団体を通して、アメリカが、アンカラの民主的政府に対する2016年のクーデター未遂を画策したと、大半のトルコ人は信じている。選挙で選ばれたトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、シリアと湾岸に関し、アメリカの政策にと衝突し、ワシントンにとって余りに独立志向だった。パレスチナ人のために公正を要求することに対しても、彼はアメリカのイスラエルロビーの激怒を受けていた。

 トルコは今ワシントンによる経済攻撃の下にある。トランプ大統領は、古くからの忠実なアメリカの同盟国トルコに対する制裁(経済戦争と読むべき)を警告している。朝鮮戦争の際には、トルコ部隊が、アメリカ兵を中国の包囲から救った。だがトルコ人は大半がイスラム教で、イスラム教徒はトランプと彼の同盟者に憎まれている。

 S-400ミサイルが今トルコに到着しつつある。トランプは何をするだろう? F-35や他の軍装備品や保守部品のトルコ輸出中止。NATOからトルコを追い出す恫喝。イスラエルとギリシャに、トルコを威嚇させる。

 トルコは、F-35なしでゆけるのだ。それは余りに高価で、喧伝されているより一層脆弱かもしれない。トルコはロシアから類似の、それほど高価でない軍用機を入手できる。インドも中国もS-400を購入している。モスクワは売却を延期しているが、サウジアラビアさえ彼らに加わるかもしれない。S-400は、ロシア軍により、シリアにも配備されており、海軍版も予定されている。

 もしアメリカが更なる怒りで反応すれば、トルコはNATOを脱退すると脅し、南東トルコにある戦略上大いに重要なインジルリク空軍基地からアメリカを追い出しかねない。NATOで、トルコがアメリカに次ぎ二番目に大きな軍を提供していることは思い出す価値がある。全く無知なトランプに、誰かが、トルコがないNATOは骨抜きになるのを思い出させなければならない。同じぐらい重要なのは、NATOに拘束されないトルコは、欠乏していて、絶望的に必要としている石油源と、新しい同盟を探すだろうことだ。

 僅か一世紀前、イギリスとフランスの帝国主義大国に奪われるまで、イラクの肥沃な油田はオスマン帝国の一部だった。従属的な飼い慣らされたトルコの日々は終わるかもしれない。

記事原文のurl:https://ericmargolis.com/2019/07/turkey-calls-trumps-bluff/

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 孫崎享氏の『日米開戦の正体』を読んでいる。上巻の8ページにこうある。

明らかに間違った方向を日本がひたすら進む、どうしてそんなことが起こるのでしょう。

そのすぐ後にカレル・ヴァン・ウォルフレン氏の『日本に巣喰う4つの怪物』からの引用がある。

「日本のメディアは(略)極めて重要な“怪物”である。(略)ほかの怪物たちを活性化させる役割をはたしているからだ。メディアの働きなしに、こうした怪物たちは現在のように脅威を与える存在には決してならなかっただろう。(略)

33ページにこうある。

私たちはどうして時の政権にやすやすと騙されるのでしょうか。

34ページに伊丹万作の言葉が引用されている。

「だまされていた」といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。

 記事「過度の楽観主義にご用心」のPaul Craig Roberts氏の考えも、伊丹万作の言葉を思わせる。

 英語のことわざ“Fool me once, shame on you; fool me twice, shame on me.”が引用されている。

 孫崎氏のメルマガ題今日の題名は下記の通り。

「改憲勢力三分の二は届かず」。公明+3、維新+3に隠れているが、自民は?10で57と大きく減。安倍首相は今後改憲に国民の抱き込みを図る。ただ本選挙結果で公明は改憲に慎重姿勢になろう。事前に朝日などは「三分の二うかがう」、毎日は「届かず」と報道。

 そして日刊IWJガイド

日刊IWJガイド「日本政府は参院選後になって有志連合への参加の是非について本格的に検討開始!? 明日22日には、来日するボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が岩屋毅防衛相らと会談する予定! 米国からいったい何を要求されるのか!?」 2019.7.22日号~No.2503号~(2019.7.22 8時00分)

 孫崎享氏の『日米開戦の正体』、明らかに間違った方向を日本がひたすら進むようにした日本軍の暴走の過程を記録している。敗戦以来、属国と化している日本が、明らかに間違った方向をがひたすら進むようにしている日本軍ならぬ宗主国を止めるものは一体何だろう。

 従属的な飼い慣らされた日本の日々、終わることがあるのだろうか。

 

2019年7月21日 (日)

ウソ工場CNNは崩壊しつつある。ありがたいことだ。

2019年7月18日
Paul Craig Roberts

CNNはジャーナリズムを捨て、民主党全国委員会とCIAとFBIの不正な幹部連中のための宣伝省になった。3年間、民主主義国家とされているものにおける報道機関とされるものとして、今までで最も法外な嘘をついてきたCNNの視聴率は崩壊した。CNN転じて宣伝省は、ゴールデンタイムの視聴者が40%減ることになった。無頓着なアメリカ人でさえCNNが嘘工場以外の何ものでもないのが分かったのだ。 https://russia-insider.com/en/cnn-continues-implode-after-russiahoax-its-much-worse-people-realize/ri27465

 CNNは教訓を学んだはずだと思いたいものだ。だが明らかに、そうではない。人間の屑というかCNNを運営する阿呆連中は、そのいずれにせよ、その代わり、更にもっと多く嘘を語ると決定した。宣伝省はCNN視聴者の40%を追い払ったものより更に一層信じられない話を仕組んだのだ。アレックス・マルクヮルトが「報じた」話は以下のようなものだ。

 ロシア・スパイであるアサンジは、ロシアを喜ばせるべく、アメリカ大統領選挙結果を操作するため、亡命していたロンドンのエクアドル大使館を司令本部に変えたのだ。大使館基地から、アサンジが、どのようにして、エクアドルのコレア大統領やエクアドル駐イギリス大使からの妨害を受けずに、ハッキングされた資料を入手し、ロシアや世界的に有名なハッカーとのいかがわしい会談に助けられて、アメリカ大統領選挙を傷つけたかという空想をマルクヮルトは紡ぎだしているのだ。https://www.cnn.com/videos/politics/2019/07/15/julian-assange-embassy-documents-marquardt-dnt-tsr-vpx.cnn

 ダブニー・フリードリッヒ連邦地方裁判所判事が、ロシアのアメリカ選挙干渉に関する「全面的で組織的」だというマラー報告の主張は、証拠なしの起訴にすぎず、それゆえ無効な起訴だと裁定した後で、CNNがこのたわ言を語っているのだ。裁判官はマラーに不当な主張をするのをやめるよう命じていた。https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/17/robert-mueller-should-be-arrested-for-conspiracy-to-overthrow-the-president-of-the-united-states/

 言い換えれば、マラー報告では何も見つけられなかったのだ。どういうわけかCNNは、視聴者にこの基本的事実を話さないことに成功した。

 アサンジ亡命中のほどんどの間、エクアドル大統領だったラファエル・コレアは、CNN物語に、その目的が、ワシントンが計画しているアサンジに対する明白なぬれぎぬを、アメリカ人に信じさせるための「たわごと」だと烙印を押した。

 「CNNや他のメディアが言っていることは、たわごとだが、我々はそれに慣れている。彼らは見せしめ裁判の準備をしているのだ。彼らがアメリカにアサンジを引き渡させ、彼に終身刑を宣告する際、国民の支持が欲しいのが理由だ。連中はそのお膳立てをしているのだ。」https://www.rt.com/news/464409-correa-cnn-assange-embassy/

 ここには、アメリカが例外である理由が二つある。ニュースはウソで構成されており、アメリカ司法省の機能は見せしめ裁判を手配し、罪がない人々を罪に陥れることだ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/18/the-lie-factory-cnn-is-collapsing-thank-god/

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 日本語のCNN記事を読んで、このことかと納得。我が目を疑うデタラメ記事、というより許せない中傷ゴミ記事。あの記事を真に受けたかたはいるのだろうか? 良く見ると7月17日づけの記事。本当に、帝国主義宗主国のプロパガンダ機関でしかない。

 アサンジ被告、大使館を米大統領選介入の指令所に利用

 ケイトリン・ジョンストンさんも、この話題で詳細な記事をかいている。
 New CNN Assange Smear Piece Is Amazingly Dishonest, Even For CNN
(CNNの新たなアサンジ中傷記事は、CNNのものにしても驚異的に不正直)

 昨夜、ステルス氏、秋葉原に出現したようだ。知っていれば国難見物にいったのに。記事更新後に、投票に行く予定。

 植草一秀の『知られざる真実』今からでも間に合う日本の命運左右参院選への参加

 興味深い文章を読んだ。

  • 今日の恐怖と国際的無法は数年前から始まった。
  • 他国の内政に干渉し外国の領土への侵略が始まり、文明の基礎が深刻に脅威にさらされるようになった。
  • 平和愛好国家は一致した行動を執らなければならない。
  • 無法という伝染病が広がりはじめるときには、社会は蔓延を防ぐため患者を隔離することに賛成し、協力する。

 この文『日米開戦の正体』下、146ページにある、ルーズベルト大統領の1937年10月5日、シカゴにおける「隔離演説」。独日伊を「無法という伝染病」にたとえ、世界平和のために「隔離」を主張したもの。今の状況でいえば、ペルシャ湾有志連合こそ、そのものだろうに。社会は蔓延を防ぐため、患者を隔離することに賛成、協力していない。

日刊IWJガイド・日曜版「本日7月21日はいよいよ参院選投開票日!! 激戦区での結果が選挙戦の行方を左右する!/国民民主党は改憲勢力へ引きずり込まれてしまう!? 伊藤直也氏によるスクープ記事と、横田一氏による玉木雄一郎代表直撃取材の記事を、あわせてご覧ください!」 2019.7.21日号~No.2502号~(2019.7.21 8時00分)

 今日のこのガイドの有志連合についてふれた部分をコピーさせていただこう。大本営広報部、この種の記事を載せているのだろうか。

米国が構想する中東の有志連合について、米国は「対イランの軍事連合ではない」と苦しい言い訳!? その一方で「米国は他国の船を護衛しない」との脅しも! イランは日本を含む7カ国に不参加を促す!「有志連合への自衛隊参加の是非は参院選の主要争点にすべき! 日本政府が有志連合への参加について曖昧な態度を示し続ける中、IWJは緊急アンケートを実施! 政党・候補者・有識者の方々より続々回答が届いています!

永井幸寿弁護士から緊急寄稿!! 有志連合(米国)への攻撃に対する集団的自衛権の行使と、米国による対イラン戦争が大掛かりに仕掛けられた場合の自衛隊の参戦は、「明らかに違憲」! 永井弁護士による詳細な解説をぜひご覧ください!

 

2019年7月20日 (土)

戦争の危険を高めるアメリカ率いるペルシャ湾海軍連合

2019年7月17日
サイード・モハマド・マランディ
Moon of Alabama

 ボルトンとポンペオが、地域を最大の緊張に向かって押しやり、イランを壊滅させるとトランプが卑劣な脅迫をする中、アメリカ軍はペルシャ湾で、反イラン海軍連合を作り、率いる意図を発表した。一方、米軍が攻撃的にイラン領空領海に侵入した際、イラン地対空ミサイルによる最先端無人機の屈辱的撃墜を招いた後、トランプ自身が認める通り、アメリカはイランに対する経済戦争を行っている。

 遠く離れた国からの少数の軍艦は力の均衡を変えるまいが、混乱と大きな地域紛争の可能性を高めるだろう。イランは、そのような組織を、好戦的なアメリカ海軍プレゼンスの拡張と見なすだろう。

 アメリカによる非合法で悲劇的なイラク占領以来、イラン・イスラム共和国は、あり得るアメリカ攻撃を予想して、ペルシャ湾、ホルムズ海峡とオマーン湾沿いに、地下ミサイル防衛施設の巨大ネットワークを構築してきた。イランとその強力な同盟諸国も、地域中で手ごわい非対称の能力を発展させた。彼らは、好戦勢力と決定的に交戦する、覚悟と手段の両方を持っている。

 総力戦に対するどんな欲望も阻止するため、限定された軍事攻撃に、イランは、侵略者と、その共犯者双方に目標を定め、大規模な不釣り合いな反撃で対応するだろう。いかなる形であれ侵略を支援する、UAEやサウジアラビアのような地域政権は、彼らの石油資産と重要インフラ構造の速やかな破壊を予期すべきだ。他方、総力戦の場合、ホルムズ海峡両岸の船舶同様、全ての石油とガス施設の消滅を意味するだろう。このような状況下で、海峡閉鎖は、ボルトンにとって、瑣末な問題だろう。

 アラブ首長国連邦とサウジアラビアの政権は速く崩壊する可能性が高い。欧米占領軍が地域から追い出されるにつれ、イエメン軍とその地域同盟諸国がサウジアラビアを圧倒する中、何百万人もの年季労働者が、アブダビやドバイを荒らし回るだろう。EUや他の世界が経済破滅に直面する中、何百万人もの人々が、ヨーロッパに流れ出るだろう。

 イランは対決を歓迎したり戦争を望んだりしておらず、その大規模で徹底的な軍事抑止力は、そうした状況を防ぐよう意図されている。アメリカ同盟諸国は、世界を更に悲劇に近く追いやるのではなく、核合意と交渉の席に、アメリカ合州国を押し戻すべきだ。

 サイード・モハマド・マランディはテヘラン大学の英文学と東洋学教授。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/

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  ひさしぶりに床屋に行った。ペルシャ湾有志連合の話がでた。「選挙が終われば参戦する。自民党や公明党や維新に投票するのは参戦賛成投票と同じ。投票しないのも同じ。そういう連中が多い国は潰れる」と言っておいた。

 相撲は千秋楽までわからなくなった。相撲が終わると、おもしろいドキュメンタリーがなければ、テレビを消す。大本営広報部ではなく、ネット上の情報をまじめに読んでいる。

 植草一秀の『知られざる真実』 生活破壊の消費税、選挙棄権で容認ですか

 日刊ゲンダイ 維新に5.7億円もの“セルフ領収書”疑惑 参院選直撃は必至

日刊IWJガイド・土曜版「<新記事紹介>【特別寄稿】スクープ! 官邸への忖度か!? 参院選静岡選挙区に関する報道をめぐって、『報ステ』から消えた『6分』のVTR! 官邸は国民民主候補への支援と引き換えに改憲賛成を要求か!?」 2019.7.20日号~No.2501号~(2019.7.20 8時00分)

 文庫本化された孫崎享氏の『日米開戦の正体』を拝読中。上巻の90ページにある記述、今もそのまま。当時は暴走する日本の軍部と大政翼賛報道にやられたが、現在は、占領軍と大政翼賛報道にやられている違いはあるが。

 すでに『戦後史の正体』で書いたことですが、トルーマン大統領は次のように記述しています。
「マサチューセッツ大学の総長コンプトン博士は(日本から)帰国した後、ホワイトハウスに来て私に説明した。彼からもらった覚書は次のとおりである。
 日本は事実上軍人をボスとする封建組織の中の奴隷国であった。
 それで一般の人は、一方のボスのもとから他方のボス、すなわち現在のわが占領軍のもとに切り替わったのである。」

2019年7月19日 (金)

ロシアゲート2.0へと変わりつつあるブラジルゲート

2019年6月21日
写真:Wikimedia
ペペ・エスコバール

 それはハッキングではなく漏洩だった。そうなのだ。インターセプトが公開した形勢を一変させる一連の衝撃的ニュース、ブラジルゲートは、熱帯のロシアゲートに変わるかもしれない。

 インターセプトに内部告発した人物、匿名情報提供者が、多少常識があるブラジル人なら誰でも既に知っていることを、とうとう詳細に明らかにしたのだ。司法/法律を攻撃に悪用する機構のによる、一方的なカーウォッシュ(洗車作戦)汚職調査が、実際は、四つの目的を実現するための大規模茶番で、犯罪的な詐欺だったことを。

  • 2016年、ジルマ・ルセフ大統領弾劾と、エリートに操作された傀儡副大統領ミシェル・テメルを大統領につける条件とを作り出す。
  • 次の大統領選挙で地滑り的に勝つはずのルーラ前大統領の2018年投獄を正当化する。
  • スティーブ・バノンの手先(バノンは彼を「キャプテン」と呼ぶ)ジャイール・ホルソナロを通して、ブラジル極右の勃興を促進する。
  • 元裁判官セルヒオ・モロを、スパイ活動に厳しく、市民的自由は軽視する一種のブラジル版愛国法を制定できる極端な法務大臣に就任させる。

 連邦公共省の13人のタスク・フォースを率いるデウタン・ダラグノル検察官と共に、モロは法律を攻撃に悪用する詐欺自警団の星なのだ。フェイク・ニュースの沼であえぐ極端に集中したブラジル主流メディアは、過去4年にわたり、この二人をキャプテン・マーベル級の国民的英雄として称賛してきた。思い上がりが、とうとう沼にはまったのだ。

ブラジルの お仲間連中

 インターセプトはスノーデンのものより大きな掘りだし物だといわれる、あらゆるファイル、チャット、音声、映像と写真を公開すると約束している。これまで公開されたものが、モロ/ ダラグノルは協力している戦略2人組で、モロはボス中のボスと裁判官と陪審と死刑執行人をひとまとめにした人物であることを明らかにしており、一連の証拠捏造にみちている。これは、それ自体がルーラの起訴やその後の有罪判決を含め、彼が関係した、真面目な法廷では決して採用されるはずがない「証拠」に基づいていたカーウォッシュ(洗車作戦)汚職調査事件を全て無効にするのに十分だ。

 NSAが巨大エネルギー企業ペトロブラスやルセフのスマートフォンの秘密捜査を開始して以来、ウィキリークスは初めからそれを明らかにしていた。同時に、無数の国や個人が、アメリカ司法省が持っていると称する治外法権のおかげで、司法省が、どのようにでも、誰でも、何としても、どこでも追跡するのを可能にするかを知ったのだ。流血場面の詳しい描写があるドラマ、ツイン・ピークスの原則「フクロウは見た目と違う」はブラジルゲートにも、ぴったりあてはまるように思われる。なぜならカーウォッシュ(洗車作戦)汚職調査の起源には他ならぬアメリカ政府(USG)がからんでいるのだから。しかもルーラが何年にもわたり、あらゆるインタビューで強調していた通り、アメリカ司法省だけではないのだ。作戦は闇の国家による最悪のものだった。

 それは一度も反汚職ではなかったのだ。それどころか、これは地政学、地政経済的領域で、全面的に干渉するアメリカの「正義」だ。最近で最も派手なものはファーウェイだ。

 それでも、マフィアのモロ/ ダラグノルの(ぺンタゴン用語を使えば)「有害な行動」は、BRICSメンバーで、南の発展途上諸国のリーダーでもある強力な新興国の経済を破壊する上で倒錯した新たなレベルに達した。

 カーウォッシュ(洗車作戦)汚職調査は、ブラジルのエネルギー生産チェーンを破壊し、市場価格以下の売却を実現した。21世紀最大の石油発見である、大量の高価なプレソルト石油埋蔵だ。

 カーウォッシュ(洗車作戦)汚職調査は、エンジニアリングや土木建設や航空産業で(ボーイングによるエンブラエル買収のように)ブラジルのチャンピオン企業を破滅させた。カーウォッシュ(洗車作戦)汚職調査は、「青いアマゾン」の防衛に不可欠な原子力潜水艦の建設のような重要な国家安全保障プロジェクトを致命的に損なった。

 外交評議会と同様、「外国投資家」は言うまでもなく、ホルソナロが2017年の昔に訪問したアメリカ評議会にとって、ネオリベのシカゴ・ボーイ、パウロ・グエデスを財務大臣につけるのが夢だった。グエデスは公表を前提に、ブラジルのすべてを事実上売り物にすることを約束していた。これまでのところ彼の仕事は紛れもない失敗だ。

いかに犬を振り回すか

 マフィア・メンバーのモロ/ ダラグノルは、ボブ・ディランの歌詞を引用すれば、両者とも忘れられている「やつらのゲームの歩」に過ぎなかったのだ。

 ルーラはブラジルや南の発展途上諸国にとって鍵となる問題は主権だと繰り返し強調した。ホルソナロの下、ブラジルは、バナナ新植民地の地位におとしめられた。たくさんのバナナがある。一流ポータルのBrasil247編集者レオナルド・アットゥチは「ルーラを破滅させるのが狙いだったが、破壊されたのは国だった。」と言っている。

 アメリカ政府の中心部で全く禁句BRICSは、そのうちの「B」を失った。北京とモスクワは、ブラジルを大事にしているかもしれず、「RIC」を復活させるため最善を尽くしてはいるものの、ワシントンの不明瞭なインド洋-太平洋戦略支援役を演じるのではなく、ユーラシア統合が行くべき方向であるのを示そうとして、プーチンと習がインドのモディ首相に差し当たり言っているのは「RC」戦略的提携だ。

 そこで我々は、ブラジルゲート問題の核心に辿り着く。予測可能な将来、アメリカとロシア-中国間の無制限の対立という地政学チェス盤上で起きるあらゆることを左右するマスター戦略上の言説上でブラジルは皆が欲しがる玉なのだ。

 既にオバマ時代、アメリカの闇の国家は、内側からBRICSを損なうための戦略上の「弱い」ノードがブラジルなのを見いだしていた。そして、そう。またしても石油だ。

 ブラジルのプレソルト石油埋蔵量は驚異的な30兆ドル程度の価値があるかもしれない。要点は、アメリカ政府が分け前を欲しているだけではないことだ。要点は、ブラジル石油の大部分を支配することが、強力な農業関連産業権益に対する干渉に、どう結びついているかだ。闇の国家にとって、ブラジル石油の農業関連産業に向かう流れの支配は、中国に対する封じ込め/影響力に等しいのだ。

 アメリカとブラジルとアルゼンチンは合計すると世界の大豆の82パーセントを生産する。中国は大豆を切望している。大豆はロシアやイランから来ず、一方両国は中国に十分な石油と天然ガスを供給するかもしれない(例えば、シベリアの力(Power of Siberia)1と2を参照のこと)。イランは結局ユーラシア統合の中心の一つだ。ロシアは最終的に大豆輸出大国になるかもしれないが、それには約10年かかるかもしれない。

 スティーブ・バノンが何を怒鳴りたてようとも、ブラジル軍は、アメリカより大きなブラジル最大の貿易相手国中国との密接な関係が不可欠なことを知っている。けれどもロシアは全く別の話だ。アミウトン・モウロン副大統領は、習近平と会った最近の北京訪問で、国防総省プレスリリースを読むような口振りで、ロシアは「世界中でハイブリッド戦争」をしかける「有害な当事者」だとブラジル・メディアに述べた。

 だからアメリカ闇の国家は少なくとも最終目的の一部は達成しているのかもしれない。分割して統治せよ戦略でロシア-中国戦略的提携を分裂させるのにブラジルを使うのに。

 ことは一層きわどくなる。リークウォッシュに仕立て直されたカーウォッシュ(洗車作戦)汚職調査は大規模影絵芝居だ。2人のアメリカの手先が尻尾を演じ、尻尾が犬を振り回す作戦として解読することが可能だ。

 モロは、FBI、CIA、アメリカ司法省や闇の国家お墨つきの手先だ。彼の超ボスは究極的にはロバート・マラー(だからロシアゲート)だろう。それでもチーム・トランプにとって、彼は容易に使い捨て可能だ。たとえ彼がバノンの手先ホルソナロの下で働くキャプテン・ジャスティスであろうとも。もし彼が権力を失えば、モロはアメリカ在住やアメリカの大学での講演が完備したゴールデン・パラシュートを保証されるはずだ。

 インターセプトのグリーンワールドは、あらゆる左翼から、皮肉やら、皮肉なしで、ある種アメリカ/ブラジルのシモン・ボリバル強化版として称賛されている。だがここには重大な問題がある。インターセプトは情報戦争で筋金入りの練達の師ピエール・オミダイアが所有しているのだ。

誰のハイブリッド戦争か?

 今後の重要な疑問は、この叙事詩的泥沼で、ブラジル軍が一体何をたくらんでいるのかと、ワシントンの「分割して統治戦略」に、彼らがどこまで従属させられるかだ。

 それはブラジルで頭字語GSIとして知られている全能を有する「安全保障室」を中心に動く。GSIの連中は全員ワシントンと意見一致だ。「共産主義」ルーラ/ ディルマ支配の後、この連中は、アメリカと全く同様、全面的政治支配を監督し、今ブラジルの闇の国家を強化している。

 インターセプトの衝撃的ニュースのわずか数日前、6月初旬に密かに発令された命令によって、GSIは、外交政策と防衛と諜報機関全体を支配している。キャプテン・マーベルのモロさえGSIに服従している。モロは彼らに、例えば、アメリカ司法省や、アメリカ闇の国家と論じる全てを承認してもらわなければならないのだ。

 非常に情報に通じたブラジル人対話者である、軍がどのように考えるか詳細に知っている人類学者ピエロ・レイルネルや、スイスを本拠とする国際弁護士で国連顧問のロムルス・マヤと私が論じたように、アメリカの闇の国家は、自身を、ブラジル軍の保証人と、ブラジル軍の直接上昇を生み出すメカニズムとして位置づけているように見える。基本的に、中国だけとの貿易関係と、ロシアを孤立化することで、いつでも振り子を振れるのだ。

 結局、実際、アメリカ政府が、全ての中南米諸国の軍隊やブラジル軍に期待している唯一の実際的役割は「麻薬撲滅運動」での突撃隊だ。

 まだ、決定的証拠はない。だが、極めて洗練された完全支配心理作戦、ハイブリッド戦争の進歩した段階の一環としてのリークウォッシュ・シナリオが深刻に考慮されなくてはならない。

 例えば、強力な極右軍事部門とグロボ・メディア帝国は、インターセプトの衝撃的なニュースが「ロシアの陰謀」だと、突然歪曲報道を始めた。

 大半が事実上、アメリカ海軍大学校から直接コピー、ペーストした内容をたっぷり掲載している主要軍事シンクタンクのウェブサイトを読めば、彼らが、ブラジルに対するロシア-中国ハイブリッド戦争を、どれほど熱烈に信じているかに驚かされる。その戦争の橋頭堡は、左翼まるごとや、ベネズエラのボリバル主義者や、コロンビア革命軍FARC、ヒズボラ、女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、性同一性障害を含む性別越境者、原住民などのありとあらゆる「反国家分子」だというのだ。

 リークウォッシュ後、モロとダラグノルの電話をハッキングしたことに対し、フェイク・ニュースの一斉電撃攻撃が、Telegram app(「彼らは悪のロシア人だ!」)のせいにし、Telegramは即刻、公式にその誤りを暴いた。

 すると、ジルマ・ルセフ元大統領と、現在の労働者党党首グレイシ・ホフマンがリークウォッシュの衝撃的なニュースのわずか5日前にモスクワを「秘密」訪問をしていたことが表面化した。私は、議会訪問と、クレムリンにとって、ブラジルが、少なくとも差し当たりは、優先事項ではないという事実を確認した。優先事項はユーラシア統合だ。それ自体が、ブラジル極右が、その後で、彼の邪悪なハッカーを放ったプーチンに、ディルマが助けを求めたという歪曲報道の誤りの暴露になるはずだ。

 カーウォッシュ(洗車作戦)の二期目たるリークウォッシュは、ネットフリックスとHBOのパターンに倣うのかもしれない。番組「True Detective」の三期目は本当に大当たりだったのを想起願いたい。ブラジル軍が、アメリカの闇の国家による全面的支援を得て、左翼を永久に違法にし、ホルソナロ一派と、動物以下の集団的知性を排除すべく、沈黙のクーデターを計画するため、リークウォッシュと「ロシア」ハイブリッド戦争の組み合わせを手段として利用しているのを示唆している証拠の断片を、マハーシャラ・アリに匹敵する追跡者が、かぎつける必要があるのかもしれない。連中は道化のような仲裁人無しの、全面的支配を欲している。彼らは手に負えないことをするつもりなのだろうか?

 ベテランのブラジル人ジャーナリスト、ペペ・エスコバールは香港を本拠とするAsia Times特派員。最新著書は「2030」フェースブックで彼をフォローする。

記事原文のurl:https://consortiumnews.com/2019/06/20/pepe-escobar-brazilgate-is-turning-into-russiagate-2-0/

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 『私の闇の奥』で「ブラジルの政治的大地震、ルーラとボルソナール」という記事を拝読したが、大本営広報部による呆導は目にしていない。不都合な真実は報じないのだろうか。

 Democracy Now!は、この話題で、グレン・グリーンウォルドにインタビューしている。対話内容は英語のまま。

殺害脅迫を受けながらもグレン・グリーンウォルドがブラジルにおける大規模な汚職スキャンダルの暴露について発言

 有り難いことに、『私の闇の奥』で藤永茂氏が「ブラジルの政治的大地震、モロの大芝居」として、このDemocracy Now トランスクリプト前半を訳しておられる。

 上西充子教授の『呪いの言葉の解きかた』をよみ終えた。「ごはん論法」という言葉を発案・命名された方の本だ。安冨歩教授の『原発危機と「東大話法」』『生きる技法』を思い出しながら拝読した。

 巻末に「呪いの言葉の解きかた文例集」がある。

 政治をめぐる呪いの言葉

 デモに行くなんてよっぽど暇なんですね。

 に対しては、

 よっぽどデモをして欲しくないんですね。
 デモの効力をしっているのですね。

 が載っている。

 今、読んでいるのは、植草一秀氏の『25%の人が政治を私物化する国』。大本営広報部の麻酔呆導とは全く違う実態が描かれている。

 32ページの一節を拝読しながら、異様な放火事件を思った。

 選挙が近づくと、資産家殺人事件など、大きく報道する必要のない話題に関する情報が延々と報じられる。ワイドショーは誰かに指図されたかのように各局横並びで、政治以外の問題に報道時間を充当する。この行動の背後には、一般市民はできるだけ選挙に行かないでくれ、という利権勢力の強い願いがある。

 こうした本をよむ人やIWJ読者の数が多ければ、世の中良い方向に変わるだろう。

日刊IWJガイド「札幌市で街頭演説を行った安倍晋三総理にヤジや抗議の声を上げた聴衆が、北海道警に取り押さえられる事態が発生! IWJの直接取材に応じた上脇博之・神戸学院大学教授は、『選挙の自由妨害罪には該当しないと解釈すべき』『基本的人権を侵害している』と批判!」 2019.7.19日号~No.2500号~(2019.7.19 8時00分)

2019年7月18日 (木)

トルコへの新アメリカ大使 - 破綻した結婚は終り?

2019年7月2日
マーティン・バーガー
New Eastern Outlook

 アメリカ-トルコ関係の現状について論じながら、トランプ政権が、ウズベキスタンカザフスタンタジキスタンアゼルバイジャンに任命した大使を検討してきたので、アンカラを服従に戻るよう強いるワシントンの試みで、アンカラ新アメリカ大使が演じようとしている役割に、時間をさいて綿密な検討をする頃合いだ。

 2月、トランプ政権は、アンカラでアメリカ外交団を率いるべく、近東担当国務次官補デイビッド・サターフィールドを派遣するつもりであり、上院外交委員会が彼の指名を迅速に推進したとを明らかにした。

 過去二年間、アメリカ-トルコ両国関係に主要ないらだちをもたらしたトルコのタイイップ・エルドアン大統領の政策に対し、ワシントンの欲求不満が増大しつづけていた。ワシントンでNATO団結を主張説する人々は、エルドアンが、一つの目的から別の目的へと「頭がないニワトリのように」やたらかけずり回り、パニックといらだちを振りまいたと主張し、この傾向を逆転しようとしているのは明確だ。これらタカ派は、現在のトルコは、国際舞台で立場を強くする狙いで失敗したと確信している。

 他のアメリカ政治家たちは、トルコとアメリカが共通の価値感や権益を共有できるふりをやめる頃合いだと主張し、この悪化する関係に疲労の兆しを見せていた。彼らの意見では、アメリカ政府との協力にトルコが熱狂的だった冷戦の日々の状態に戻すことはできない。彼らはワシントンは、権威主義的な東の国々の中に場所を占める運命にあるトルコを諦めるべきだと提案している。この概念の最も主要な提案者の一人は、トルコは依然、アメリカの同盟国であるかもしれないが、到底パートナーではないと述べた、外交問題評議会会長だ。

 この文脈で、トランプが就任するや否やトルコへの前アメリカ大使ジョン・バスを、彼の地位を空席にしたまま、アフガニスタン・アメリカ外交団を率いるべく派遣したのは、かなり興味深い。ホワイトハウスがこの措置をとるには多くの公然と秘密の理由があったが、テロ宣伝のかどで、アメリカ人牧師アンドリュー・ブランソンを、トルコがほぼ二年間投獄したことは再三言及されている。

 さらに、ムスリム同胞団をテロ集団と指名したジョン・ボルトンの狙いは、タイイップ・エルドアンが、ある意味、地域のムスリム同胞団の非公式指導者なので、アンカラが激しい怒りを表明する結果をもたらすことだという憶測があった。多くの情報提供者によれば、トルコでエルドアンの党は、トルコのムスリム同胞団と呼ばれている。

 さらに、同盟国がロシアのS-400という最高級防空用システムを購入するのを阻止しようとするワシントンの試みと、超高価なF-35戦闘機のトルコへの販売を巡る、二つの首都の間で進行中の大崩壊がある。

 去年、ホワイトハウスは、再選でエルドアンを祝うトランプの電話について新聞発表さえしなかった。アメリカ政府はエルドアン就任式典に特別代表団さえ派遣せず、代わりに在アンカラ・アメリカ大使館から代理大使を参加させただけだった。

 ワシントンを悩ませているもう一つの要因は、アメリカの対イラン政策に協調するのをアンカラが拒絶していることだ。

 これらすべての要因から、アメリカ政府内のあらゆる派閥が異なる方向を目指して、ホワイトハウスは、大いに必要とされる政界実力者の代わりに、もう一人の「制御された混乱状態」の支持者を派遣することができず、合計18カ月間もアンカラ新大使を任命できなかった。

 それゆえ、北シリアでのクルド民兵の運命について、アンカラとワシントン間で意見の相違が限界に達したアメリカ-トルコ関係の重大な岐路で、サターフィールドを選ぶ決定は偶然ではない。ホワイトハウスの見地からは、クルド民兵は、ISIS に対する想像上の戦闘でアメリカ同盟者で、他方トルコは彼らはテロリスト勢力だと確信している。

 サターフィールドの背景を調べると、彼は、2003年のアメリカによるイラク侵略の余波の中、イラクで実に長年過ごしたことが分かる。ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で、彼はコンドリーザ・ライス国務長官の補佐官を勤め、アメリカがイラクで追求した政策を調整した。バラク・オバマの下で、サターフィールドは、シナイ半島駐留多国籍軍監視団事務局長の地位を得た。彼はリビア担当国務長官補佐の資格で雇用されていた。

 ワシントン専門家の一部は、サターフィールドはほとんど完ぺきなアラビア語の能力を持つ「聡明なアラビスト」だと主張する。ある時点で、サターフィールドは多国籍治安維持軍司令部の前指揮官デイビッド・ぺトレイアスとイラクのヌーリ・アル・マリキ前首相との1対1会談の際に、通訳の役割を果たしていた。だが多くの前任者と全く違い、サターフィールドはトルコ語を話さない。

 デイビッド・サターフィールドを駐トルコ・アメリカ大使に任命することで、ホワイトハウスは、複雑な問題を沈静化させられる外交官をまだ持っていることを示そうと望んでおり、彼は北東シリアでの勢力の処置に関するワシントンとアンカラ間で継続中の論争を解決するよう期待されている。タイイップ・エルドアンの見地からは、アンカラがテロリストと指名したクルド人民防衛隊に対処するため、国境近くに15マイルの緩衝地帯設置をトルコは着実に続けているのだから、論じるべきことなど皆無だ。だがサターフィールドは、以前に交渉で、ベイルートやバグダッドやトリポリにおけるアメリカの重要な権益に対する多くの深刻な脅威に対処しており、彼なら問題を片づけられると思われている。

 だが安定したペースで進んでいるトルコとロシアの関係改善を頓挫させるよう彼は期待されているので、サターフィールドの最終目的は遥かに複雑だ。1952年、NATOへのトルコ加盟前でさえ、ワシントンとアンカラが享受した軍事協力は、ソ連に対する抑止力の重要な要素と見なされており、アメリカ政治支配層はトルコを「極めて重要な同盟国」だと記述していた。ソ連崩壊後、ワシントンは、地域における権益を推進するため、様々な民族集団を利用しながら、トルコは、独立国家共同体(CIS)中のチュルク系の人々の権益の代表者だと宣伝した。

 アメリカ上院外交委員会に対する彼の証拠で、サターフィールドは、これらの立場を進んで支持することを再確認した

 そのため、著名な中東外交官をトルコに送るという決定は、ホワイトハウスが、アンカラを、アメリカの従順な衛星諸国の仲間に戻す必要がある中、両国関係を再開する可能性に自信を持っている兆候を示している。

 だが現在のアンカラは、黙ってワシントンの命令に従うことに同意し、アメリカ傀儡のままでいるだろうか?

 マーティン・バーガーはフリージャーナリストで地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/02/new-us-ambassador-to-turkey-bad-marriage-no-more/

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 いささか古い記事だが、あしからず。

 国民から自民党を守る党が、かなり得票するという文章を見た。見え透いた政治版オレオレ詐欺、ひっかかる人々がいるのだろうか。与党別動隊に決まっているだろうに。大本営広報部は、そのあたり、報じているのだろうか?壊改の本当の狙いは、九条をいじることではなく、憲緊急事態条項であることや、湾岸での帝国主義連合参加について、大本営広報部、まともな情報を伝えているのだろうか?大関が全滅した相撲しか見ていないので知らないが。

日刊IWJガイド「参院選投開票まであと4日!『戦略的投票』も視野に入れ、自公維など改憲勢力が改憲を発議できる3分の2の議席確保を阻止へ!」 2019.7.18日号~No.2499号~(2019.7.18 8時00分)

 日刊IWJガイドは、イランを敵視する有志連合への自衛隊の参加について、主要候補者にアンケートしておられる。一部をコピーさせていただこう。詳しくは、上記リンクで、原文をお読み願いたい。

 そこで、IWJは参院選の選挙戦の折り返し地点にあたる14日から、自民、公明、立憲民主、国民民主、共産、社民、維新の各政党とれいわ新選組、全国の選挙区候補者215人のうち主要候補者と、比例代表の注目の候補者、さらに有識者の方々に、自衛隊が有志連合に加わることについて、イランをめぐる国際情勢および改憲問題に関わって緊急アンケートを発送しました。設問は以下の通りです。

1. イランを敵視する有志連合への自衛隊の参加に賛成ですか反対ですか。

2. 有志連合(米国)への攻撃に対する集団的自衛権の行使に賛成ですか反対ですか。

3. 米国による対イラン戦争が大掛かりに仕掛けられた場合、自衛隊の参戦に賛成ですか反対ですか。

4. 国民が政府の思い通りにならない時、与党は現代の全権委任法たる緊急事態条項を持ち出して改憲を発議し、マスメディアに広告を大量に投じて国民投票をクリアし、改憲に持ち込むかもしれません。内閣に全権限を集中する緊急事態条項に、賛成ですか反対ですか。

5. この参院選で、自公維の改憲勢力が、発議可能な議席を占めることに不足した場合に備え、安倍総理は国民民主党の一部など野党内の右派議員に発議賛成に回るように呼びかけていますが、衆院だけでなく、参院でも改憲勢力が発議可能な議席数を占めることに賛成ですか反対ですか。

2019年7月17日 (水)

野放しの資本主義が世界を破壊していると言えるだろう

2019年7月15日
Paul Craig Roberts

 今、フランスのリビエラとエリー湖とメキシコ湾に影響を与えている有毒藻類ブルームに関する報道がある。以下を参照。https://www.motherjones.com/environment/2019/07/this-years-wild-wet-spring-has-led-to-massive-blobs-of-toxic-algae/?utm_source=mj-newsletters&utm_medium=email&utm_campaign=food-for-thought-2019-07-14https://www.theweek.co.uk/102263/holidaymakers-warned-about-toxic-algae-on-french-beaches?_mout=1&utm_campaign=theweekdaily_newsletter&utm_medium=email&utm_source=newsletter、およびhttps://www.sarasotamagazine.com/articles/2017/4/26/florida-phosphate

 企業農業は有毒藻類ブルームの大きな原因だ。昔、農業は賢明に経営されていた。毎年土地の一部を休耕中にしたり、鋤込まれて土壌を回復させる植物を植えたりしていた。この慣習が土地が疲弊するのを阻止していた。現在は、土地から全ての利益を搾り取るべく農業が行われている。過剰利用が土壌を疲弊させる。化学物質が輪作にとって代わった。企業農業では化学肥料の大量散布が必要だ。散布されたリンを雨が小川に流し、小川が川や湖や海に汚染物を運ぶ。メキシコ湾には、生物が存在しない広範囲の「酸欠海域」がある。リンは帯水層に入り、上水を汚染する。野放しの資本主義によって損なわれ、破壊される環境資源に依存している環境や第三者に、事業主体がそうした負担を負わせるのが許されるているがゆえに、こうした途方もなく犠牲が大きいできごとが起きるのだ。

 現在、資本主義は、環境に対する悪影響の費用と比べれば、ずっと僅かな短期利益のために、残された熱帯雨林を伐り倒している。実際の事実として、野放しの資本主義は、生命を維持する環境を破壊する犯罪組織だ。もう一つの言い方では、野放しの資本主義は、大量殺人犯だ。

 それでも、大量殺人犯には多くの擁護者や弁明者がいる。本当に、ジュリアン・アサンジのような警察国家に勇敢に反対する人物を擁護する人々より遥かに多くの擁護者が。

 アメリカ人にとって、1ドルをもうけることは社会における最大の価値だ。ドルを稼いでいる連中は、自分たちが世界を住めなくしていることを気にかけない。彼らにはヨットや自家用飛行機や大邸宅や、おしゃれな女性がいるだろう。だが彼らの子孫が、もしいるとすれば、その未来は先細りのはずだ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/15/a-case-could-be-made-that-unregulated-capitalism-is-destroying-the-world/
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 ロバーツ氏、この話題ではいくつも書いておられる。たとえば下記をお読みいただきたい。

 湾岸有志侵略連合派兵、緊急事態条項導入によるファッショ化とペアだろう。ようやく、テレビで、緊急事態条項をあつかったようだ。投票によるファシズム化という某氏の願望まもなく実現するのだろうか?

日刊IWJガイド「はじめに~ れいわ新選組の参院選候補者・野原善正氏が公明党の山口那津男代表に『ガチンコの喧嘩』を宣言!『公明党を下野させさえすれば、この社会は本当に変わる!』7.15 れいわ新選組街頭演説~ IWJ記者は、米国が構想する有志連合への自衛隊参加の是非について、野原候補に直接質問!」 2019.7.17日号~No.2498号~(2019.7.17 8時00分)

 

2019年7月16日 (火)

ペルシャ湾でのアメリカ海軍連合は極端な挑発

2019年7月12日
論説
Strategic Culture Foundation

 今週、アメリカ軍のトップ、ジョセフ・ダンフォード大将は、イランの妨害工作とされているものから「船舶を守る」べく、アメリカ率いる海軍連合がペルシャ湾をパトロールする計画を発表した。

 だがこの動きは、イランに対する一層攻撃的な軍事姿勢で、アラブ同盟国を動員する、トランプ政権による一連の取り組みの最新のものに過ぎない。両人ともイランと対決するため、より組織的な戦線を強く主張している、マイク・ポンペオ国務長官とジョン・ボルトン国家安全保障担当補佐官による最近の地域訪問後に、これが起きているのだ。

 ダンフォード大将が提案した最新の海軍連合は、ホルムズ海峡を通過して、ペルシャ湾からインド洋に出るものと、アラビア半島の西側で、バブ・エル・マンデブ海峡を通過して紅海に出る石油タンカーを護衛する任務を課されることになろう。前者の航路は、アジアへの石油供給を行い、一方、イエメンとエリトリア間の後者は、地中海とヨーロッパに向かう船舶をスエズ運河に導く。二つの狭い海峡は、毎日出荷される全ての原油の約20-30パーセントが通過するので、グローバル石油業界にとって戦略的要衝だ。

 「航行の自由を保障する」というアメリカの一見騎士道風な動機は、うさんくさく、国際石油貿易に対して決定的な軍事支配を確保するワシントンの口実のように聞こえる。それが、このアメリカ提案に反対する一つの最大の理由だ。

 第二に、アメリカとイラン間で、いつでも火がつきかねないほど緊張している時期に、国防総省指揮下で、更に多くの軍用艦艇をペルシャ湾に派遣するという考えは、余りにも過激で無謀な挑発だ。

 国防総省が海軍連合を要求した同じ週、アメリカとイギリスは、ホルムズ海峡近くで、イギリス石油タンカーを阻止しようとしたとしてイラン軍を非難していた。イランは海軍艦艇が、どんな形にせよ、イギリスのタンカーを妨げたという主張を切り捨てた。ロンドン、ワシントンいずれも、イギリス海軍フリゲート艦がイランの船を防ぐため介入しなければならなかったと主張した。イランのモハマド・ジャバード・ザリーフ外務大臣は、非難を「価値がない」として切って捨てた。

 ペルシャ湾での最近の事件は、石油タンカーに対する一連の正体不明の襲撃者による破壊攻撃に続くものだ。アメリカはイランを非難した。イランはいかなる関与も激しく否定した。テヘランは、緊張が「悪意ある陰謀」に煽りたてられていると反論した。

 ペルシャ湾や、より広い地域での、この既に過熱した地政学的文脈では、どのような追加の軍隊でも、誤算か、誤解か、より悪意ある動機から、容易に破滅的なものになりかねないことは誰にでも容易に予想できる。

 さらに、マスコミ報道が、隣国イランとの対決に押しやられつつあることに、一部の湾岸アラブ諸国で警戒心が高まっているのを示している。近隣諸国のより良い判断に反して、アメリカ政策は無謀に地域の緊張をあおっている。

 ワシントン・ポストが今週こう報じた。「ペルシャ湾でのエスカレートしつつある緊張は、一つには、トランプ政権が、どれほど攻撃的にイランと対決すべきかを巡って、アメリカと地域の同盟諸国間の差異を明らかにした。これらの国々は、イランのあらゆる軍事衝突で、自らが前線となる可能性が高く、一部の小国は、アメリカと、地域大国のサウジアラビアとUAEの更なる闘争的姿勢を支持することをためらっている。」

 記事は更に続く。「サウジアラビア、特にムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が提唱する、より積極的なアプローチは、王国を危機が交渉を通して解決されるの望んでいる地域のより小さなアメリカ同盟諸国の一部と対立している。イランとの二国関係を追求しているクウェートとオマーンは、彼らに、より対決的外交政策を採用するよう圧力をかけているサウジアラビアの試みを、長い間、不快に思っているとアナリストが言う。」

 カタールは、増大する緊張に懸念を持たずにいられない、地域のもう一つの重要な当事者だ。ガスに富んだ首長国は、サウジアラビアとUAEによる2年間にわたる貿易と政治的つながりの封鎖で痛い目にあわされている。カタールはアメリカ同盟国で、伝統的にサウジアラビアと提携してきたスンニ派アラブの隣国だが、カタールは北のシーア派イランとも地域の親密な歴史的な貿易のつながりを共有している。何世紀も重なり合ってきた文化的つながりが、反イラン枢軸で、地域を分極化しようとする、アメリカと同盟国のサウジアラビアとUAEによる試みと矛盾するのだ。

 大惨事の戦争が勃発する危険に気付いて、地域のいくつかの国々が、アメリカ率いる海軍連合という最近の提言に一層警戒しているのは正しい。ワシントンはグローバル石油業界を支配しようとして、傲慢にも、厚かましさの限度を超えており、極端な挑発で地域の緊張を高めている。アメリカ率いる無謀な敵意が、ワシントンで安穏と座っている将軍や戦争屋連中より遥かに多くを失う立場にある、より賢明な地域の国々によって拒絶されると良いのだが。

 しかも、地域の緊張を鎮め、解決する正しい方法は、トランプ政権がイランに対する攻撃を止め、昨年一方的に破棄した2015年の国際的核合意を尊重することだ。制裁と地域の軍艦を撤去し、根本的変化のために、国際法と外交と平和的交渉を尊重することだ。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/07/12/us-naval-coalition-in-gulf-a-provocation-too-far/

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 朝日の記事 自衛隊の中東派遣なら…志位氏「地獄の門開けることに」の見出し。一部をコピーさせていただこう。こういう感覚が普通だろう。もちろん、売国傀儡与党は、選挙後の派兵を決めているはずだ。

トランプ政権がイラン沖に有志連合をつくると表明し、日本の対応が大きな問題になっている。米国がイランへの軍事攻撃に踏み出した時、自衛隊が有志連合としてあそこに派遣されれば、ともに戦うことになる。中東の地獄の門を開けることになる。そのような自衛隊派兵には強く反対する。

 IWJも重視して、アンケートもされている。

日刊IWJガイド「米国が構想する中東の有志連合への自衛隊参加の是非は参院選の主要争点にすべき! IWJ緊急アンケートを実施! 政党・候補者・有識者の方々より続々回答が届いています!」 2019.7.16日号~No.2497号~(2019.7.16 8時00分)

 

2019年7月15日 (月)

最大のアサンジ擁護アカウントをツイッターが削除

2019年7月12日
ケイトリン・ジョンストン
CaitlinJohnstone.com

 ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジに関する情報の配布と擁護に専心している最大のツイッター・アカウントの一つ@Unity4Jがサイトから完全に削除された。アカウント運営者は、ツイッター・スタッフから廃止理由は示されておらず、彼らの要請に対する回答も受け取っていないと報告している。

 著名なアサンジ擁護者が、迫害に対する反対意見を述べるべく登場する大いに成功したUnity4Jオンライン徹夜の祈りの宣伝を支援するのが始まりだったUnity4Jアカウントを、ツイッターで活動しているアサンジ支援者なら全員知っているはずだ。この記事の執筆時点で、アカウントは一日半、消えたままだ。

 「7月11日木曜日中部標準時間午前8時45分頃、我々のUnity4Jツイッター・チーム・メンバーの一人が、Twitterアカウントに投稿しようとして、アカウントにアクセスできないことに気がついた」とアカウント運営者の一人、アサンジ擁護活動家クリスティー・ドップが報告している。「我々がそれぞれアカウントにアクセスしようと試みた際、我々は全員同じメッセージ「アカウントは停止されました。」を受け取った。ツイッターは我々に、停止の理由や違反を説明していない。それで我々は要請を送った。ツイッターが我々の依頼を受け取ったという回答を受けたが、本件はまだ決着していない。不幸にも、これがどれぐらい長くかかるか我々にはわからない。」

 私自身、アサンジ支援者として、ツイッターで大いに主張しており、@Unity4Jアカウントを初期からしっかりフォローしているが、このアカウントでは、大いに専門的なジュリアン・アサンジ擁護以外のものを読んだことがないと断言できる。ツイッターのどの規則に違反する罵倒も欺きも他の違反も一度も見たことがない。

ジュリアン・アサンジを擁護し、それゆえ報道の自由と言論の自由を守る主要ツイッター・アカウント#Unity4Jは停止された。#Unity4Jは英雄を擁護したかどで停止された。

- リー・キャンプ[Redacted](@LeeCamp) 2019年7月12日

 このアカウント削除は、途方もない影響力を持ったソーシャル・メディアによる、ウィキリークスとアサンジに対する明らかに偏った一連の動きの最新版に過ぎない。彼が投稿していた際、彼が否定し難いほど重要な有名人で、ツイッターは本物のアカウントだったことを知っていたにもかかわらず、彼のアカウントを認めるのをツイッターが不合理にも拒否したことで、この偏りは極めて明白だ。ツイッターは、彼らの意見を排除するための不公平な投稿ロック制限や、シャドウバン使っているかどで、アサンジ支援者から常に苦情を受けている

 「過去数日、数週間、(ヨン・ソリタリーやモニーク・ジョリー)などの個人やUnity4Jのようなアカウントの停止を含め、アサンジ支援者たちは、アカウント停止の標的に定められていたように思われる」とUnity4J共同創設者エリザベス・リー・フォスが今日私に言った。「これら停止は全て容認できないが、特にUnity4Jの停止は、Unity4J活動のみならず、ツイッター上の全てのイベントを拡散する役を演じていたので特に言語道断だと思う。決してツイッターの規則を破ってはおらず、沈黙させられ「姿が見えなくなった」ジャーナリストを支持する活動のアカウントだったから、この停止は彼の抑圧の延長だ。アサンジは我々に彼の声になるように頼んだのに、ツイッターのようなプラットホームはそうした取り組みの可能性に反対する方向で積極的に働いているように思える。」

 アサンジ擁護活動家は@Unity4J停止に対し、ツイッター上で声高に反対している。

 「ジュリアン・アサンジを、それゆえ報道の自由と言論の自由を守っている主要ツイッター・アカウントが停止された」とコメディアンで、Redacted Tonightの司会者リー・キャンプがツイートした。「英雄を擁護したかどで@Unity4Jは停止された。」

 「助けてください!! 世界的な#FreeAssange支援アカウント@Unity4Jをツイッターが停止しました!」とアサンジの母親クリスティーン・アサンジがツイートした。「政治的に迫害されているジャーナリスト、私の息子ジュリアン・アサンジについての最新情報やインタビューや活動の中心です! どうか@TwitterSupportと@Jackがそれを復活させるよう要求してください。#Unity4J本当にありがとう」

「アサンジやウィキリークスやチェルシー・マニングや他の人々を支援するための団結イベントや活動についての有用情報のハブだったがゆえに、@Unity4Jのツイッター・アカウントが停止処分を受けたと私は確信している。@TwitterSupportはアカウントを停止する恐ろしい検閲だ」とエリザベス・リー・フォスがツイートした

「もし@Unity4Jが復活されなければ、ツイッターは、マンデラ解放運動や「テロリスト」からノーベル被指名者に転じたあらゆる他の大衆模解放運動に反対している証明だ」とUnity4J共同創設者スージー・ドーソンがツイートした

助けて。@Twitter@Unity4Jを停止処分にしました

世界的な#FreeAssange支援アカウントです!

政治的に迫害されているジャーナリスト、私の息子ジュリアン・アサンジに関する活動やインタビューの最新情報の中心点です!

@TwitterSupport@Jackジャックに、アカウントを復活させるよう要求してください。

#Unity4J本当にありがとう

- クリスティーン・アサンジ(@AssangeMrs) 2019年7月11日

 全く妥当な活動家アカウントを、不公平に沈黙させることに他の多くのアサンジ支援者が反対して、ツイッターSupportアカウントと、ツイッター社CEOジャック・ドーシーに警告しているが、これまで何の効果もない。

 オンライン・メディアでの政治的発言に対する検閲は益々大きな問題になっている。ツイッターは、遥かに追従屋のFacebookやグーグルよりは、ましだったが、この時点では、反体制政治言説に対する差別は否定し難い。戦争挑発屋ジョン・マケイン上院議員が世界にいない方がましだろうと言っただけでツイッターから私自身昨年排除され、著名ツイッターユーザーたちによる抗議後に復活された経験がある。

 企業権力と国家権力の有意義な分離がない大企業支配政府体制では、企業による検閲は国による検閲だ。巨大シリコンバレー企業は、政治反乱を鎮圧するのを手伝わなければならないと上院で訓戒され、大西洋協議会のような国から資金供給されている、いかがわしいプロパガンダ・シンクタンクと提携し、アメリカ軍から言説支配の影響力として標的にされた、これらハイテク巨大企業が支配する政治言説に起きていることと、あからさまな全体主義政府で起きていることの間には、無視できるくらい僅かな相違しかなくなっている。唯一の違いは、人々が、それについて話すよう選ぶ言説でしかない。

 この口封じ活動に反対して声を上げる時は今だ。次はあなたの声なのだから。

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 お読みいただいたことに感謝! インターネット検閲を回避し、私が公開する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトで、メーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて、電子メールで通知が行く。私の記事は全て読者の支持によるものなので、本記事を良いと思われたら、共有し、Facebookで「いいね」評価し、私のTwitterをフォローし、私のpodcastをチェックし、PatreonPaypalに投げ銭し、新刊『Rogue Nation: Psychonautical Adventures With Caitlin Johnstone』や前の著書『Woke: A Field Guide for Utopia Preppers』を購入頂くようお願いしたい。人種差別的サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事も)再配布したり、使用したりされるのを私は無条件に許可している。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2019/07/12/top-assange-defense-account-deleted-by-twitter/

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 Paul Craig Roberst氏記事「ソーシャル・メディアを利用するのはゲシュタポ警察国家を支援するのと同じ
の対になる記事。

 同じ筆者による「大企業支配政府下において、企業検閲は国家検閲だ」もお読みねがいたい。

 

ソーシャル・メディアを利用するのはゲシュタポ警察国家を支援するのと同じ

2019年7月13日
Paul Craig Roberts

 無頓着なアメリカ国民は、ソーシャル・メディア中毒がゲシュタポ警察国家を支援することになるのに気が付かず、無関心だ。ツイッターやFacebook、いずれも警察国家が、アメリカ人を検閲し、憲法修正第1条を廃絶する仕組みだ。ソーシャル・メディアは、真実を語る人々を隔離し、国民が知る言説を支配して、国民を支配するのに使われている政府のウソを暴露する反体制派を見えなくするために使われている。

 自由に対する最新の攻撃は、ファシスト組織ツイッターによる、ウィキリークス創設者でワシントンの犠牲者ジュリアン・アサンジ支援アカウントの停止だ。

 ウィキリークス擁護アカウントの停止は、読者全員がツイッターを運営するファシスト屑連中について知るべきことを示している。ツイッターで働いたり、同社への投資に関心があったり、使用するのがくせになったりしている人々を哀れもう。彼らのあらゆる品格は、この企業を運営する警察国家の使用人にはぎ取られている。従業員や投資家やユーザー全員、アサンジを、より容易に、ぬれぎぬで起訴するためのワシントン・ゲシュタポによる真実を語る人々の隔離に共謀させられているのだ。まともな人が一体どうして、このようなナチスごみ企業で働いたり、投資したり、その製品を使うことができよう? ゲシュタポ警察国家を作りだしているのは無頓着なアメリカ人自身なのだ。

https://www.rt.com/news/464082-waters-twitter-unity4j-suspended/

https://caitlinjohnstone.com/2019/07/12/top-assange-defense-account-deleted-by-twitter/ 日本語訳「最大のアサンジ擁護アカウントをツイッターが削除

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/13/if-you-use-social-media-you-support-the-gestapo-police-state/

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 想像していた通りのとんでもないハイテク・スパイ企業。個人的に全く使っていないが、恥ずかしながら、いずれもアカウントを作った記憶はある。

 商船保護という名の対イラン湾岸戦争挑発作戦参戦、たしかに参院選挙の大テーマのはずだろう。選挙後、属国傀儡ほぼ確実に参戦するのでは?テレビは昼から夜まで相撲しか見ていないので、大本営広報部がこれについて何か呆導しているのかどうか全く知らない。

日刊IWJガイド「米国が構想する中東の有志連合への自衛隊参加の是非は参院選の主要争点にすべき! IWJが全政党とれいわ新選組、および主要候補者に緊急アンケートを送付! 早速立憲民主党と山口二郎氏から回答が届きました!」 2019.7.15日号~No.2496号~(2019.7.15 8時00分)

 

2019年7月14日 (日)

グローバル軍事結社を弱体化させるS-400

2019年7月12日
ジーン・ペリエ
New Eastern Outlook

 アンカラとニューデリーの両方に、ワシントンが前代未聞の政治圧力をかけたにもかかわらず、ロシアの最先端S-400対空システム購入を進めるというインドとトルコ両国の決定に、非常に多くのアナリストが注目している。本質的に、この決定は、アメリカ軍事支配に対する国際的な闘いの転換点だ。ある時点で、インド、トルコ両国がワシントン同盟国だったのに、両国は、そのための兵器販売の収益が全てアメリカ軍事産業の懐に入る、多数の国に軍事インフラを確立するあらゆる取り組みを進めている英米帝国から膨大な圧力を受けていたことは述べておくに値する。

 最近ベルギーのあるマスコミがこう報じた。「喧嘩腰で覇権主義的姿勢のワシントン・オリガルヒの、比類ない強欲のための軍装備品や兵器の売り込みとなると、アメリカの営業担当者(ポンペオのたぐい)の振る舞いは全く破廉恥で失礼なものだ。彼らは、常に「最新版」を購入する以外に選択肢がない立場に顧客を置く流通機構を確立しようとしている。全てが、いくら速く走ろうとも、決して逃れられないタコの触手や泥沼に似ている。

 これに加えて、アンカラに、ワシントンのパトリオット・ミサイルの代わりに、ロシアのS-400システムを購入するようにさせた理由をより良く理解するには、NATOが課しているワシントンの集団防衛と共通安全保障政策は一体何であり、一体誰がそれで恩恵を受けているかを思い起こさなくてはならない。

 たとえアンカラが、NATO経由でパトリオット・ミサイルを購入すると決めたとしても、引き渡し後はペンタゴンに委任されて交替勤務するNATO要員が配備されるだけで、トルコ軍はシステムの直接運用にかかわらないはずだ。過去のワシントンからの兵器購入で、トルコは既にこの種の経験をしており、どこかの時点で、この構造はトルコの国防目的で設計されておらず、国家安全を保障しないのをトルコ指導部は悟ったのだ。本質的に、アンカラは購入した武器のいずれも、国防総省が使って良いと言った時しか使うことができなかったのだ。

 2016年、先のトルコ・クーデター未遂の際、タイップ・エルドアンがワシントンの家臣としてのトルコの役割にうんざりして、自ら率いる国に有益な自立した政策を追求し始めるにつれ、欧米がエルドアンを何とかしようとする中、トルコ軍の一部が彼の命令に服従していないのを素早く知ったのだ。暴徒から逃れるためエルドアンがヘリコプターに乗った際、軍隊が最高指揮官に反抗し、国防総省の命令に従っていたので、トルコ全土に配備されたNATO防空システムで、トルコ空軍にヘリコプターが撃墜されかねないことを知らされたのだ。

 アラブのマスコミが明らかにしたように、軍事クーデターを始動する暗号化された命令をロシア諜報機関が傍聴し、何が起きようとしているかトルコ国家情報機構に警告したおかげで、エルドアンは、かろうじて死を逃れたのだ。さらに傍聴されたメッセージの中には、その時点でタイップ・エルドアンが宿泊していたマラマリスのホテルを目指して飛行する軍用ヘリコプターからの通信があった。アルジャジーラは、ヘリコプターがホテルに発砲する数分前、トルコ大統領はかろうじてホテルから逃れたと報じている。

 この点に関し、「全能の」NSAを含めアメリカ諜報機関は監視施設を世界中に配備していて、完全に暗殺未遂に気付いていたはずなのに、トルコに何の警告もせず、黙って見ていることを選んだことに大いに注目すべきだ。

 主としてこうした苦い記憶のおかげで、アンカラが支払ったアメリカ製兵器システムに要員を配置している部隊の裏切りによって、彼自身の安全と彼が率いる国家の安全保障の両方が、二度と危険にさらされないようにするとエルドアンは固く決心しているのだ。ロシアの対空システムが、アメリカが構築されたシステム対する唯一の代案であることにはほとんど何のも秘密もない。さらに好意を示そうとして、モスクワは、兵器システムの出荷と共に、S-400システム製造に必要な技術を部分的に移す意図を発表した。さらに、5月に、タイップ・エルドアンが明らかにしたように、S-500対空システムの共同製造でトルコが役割を演じる可能性を論じ始めた。これは、モスクワがアンカラを信頼しており、S-400の出荷が、単なる貿易取り引きを大きく越えるものであることを示している。

 他の国々も気がつかないわけがなく、彼らがそうするのを阻止するため、ワシントンがあらゆる術策を駆使したので、S-400を手に入れるため共にあらゆる苦難を体験したトルコとインドの例に、まず確実に従うにつれ、この進展で、今や彼らが国際武器市場でロシアに最有力の地位を奪われる危険があるため、アメリカ軍需産業内部に大規模なパニックを引き起こした。

 S-400のようなロシアの新世代レーダーと防空体制の購入が、アメリカの単極支配体制全体を破壊するのは確実だ。2015年、中国は最高高度36キロ、最長400キロの距離で、超音速迎撃が可能なS-400に賭けた。S-400を入手する機会を待っている国々のリストには、カタール、サウジアラビア、エジプト、アルジェリア、モロッコ、ベトナムや他の多くの国々がある。

 トルコのテレビ局T24が明らかにしたように、アメリカとトルコ間に、このような緊張をひき起こしたS-400システムは、中東政治の世界で形勢を一変させるものに思われる。S-400は、ワシントンへの属国服従を離脱する抵抗枢軸の象徴になったように思われる。

 ジーン・ペリエは独立研究者、アナリスト、有名な近東・中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/12/s-400-undermines-the-global-military-cabal/

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 クーデターについては、Engdahl氏記事を翻訳した。グラハム・E・フラーよ、7月15日の晩、あなたはどこにいた?

 金を払わされた上で自分の命を狙われるのはトルコだけではない。欠陥戦闘機爆買い。宗主国のためのイージス・アショアの自前購入。Mr.ステルスのたわごと、正しい解釈「宗主国の要求通り、不沈空母をハワイとグアムの醜の御楯にし、自分の地位と命を守り抜く上でイージス・アショアはどうしても必要だ。いうなりになる第三者と御用専門家を入れ、徹底的に調査をしたふりをしていく」ということだろう。

 呼吸するようにウソをつく、破壊された頭脳、あきれるしかない。

日刊IWJガイド・日曜版「7.21参院選の前に必見! 本日午後8時より、『韓国大法院判決に対する安倍政権の反発と韓国への経済制裁は外交史に残る失敗! 2007年、日本の最高裁は徴用工個人の請求権を認めている!! 徴用工を酷使した暗い歴史に目を背け、反韓ナショナリズムを煽って政治利用し、現代において奴隷的外国人労働者の搾取を再現しようとする安倍政権~岩上安身による岩月浩二弁護士インタビュー』を再配信!」 2019.7.14日号~No.2495号~(2019.7.14 8時00分)

 

2019年7月13日 (土)

ワシントン帝国主義の表看板オバマ

2019年7月6日
Paul Craig Roberts

 クラリティー・プレスは、今時、官許言説でなく、本当の情報を提供するのをいとわない著者にとって良い出版社だ。最新の例は、ジェレミー・クズマロフのオバマ評価『Obama'S Unending War (オバマの果てしない戦争)』だ。第44代大統領は、大企業支配とワシントン帝国主義にとって、うってつけの傀儡だったように見える。https://www.claritypress.com/product/obamas-unending-wars-fronting-the-foreign-policy-of-the-permanent-warfare-state/

 イスラム教七カ国に爆弾を投下したオバマは「無人機王」で、ホンジュラスで民主政治を覆し、カダフィを打倒し、殺害し、シリアでアサドに同じことをしようとし、ウクライナで民主的に選ばれた政府を転覆して、ロシアとロシア大統領を悪者にし、民主的に選ばれた中南米のモラレスやチャベスやオルテガ大統領を弱体化させたり、打倒したりし、しらじらしいうそをつき、軍安保複合体とグローバル資本主義者の支持を得ていた。これら犯罪的仕業の締めくくりで、オバマ政権は適法手続きなしで、嫌疑だけでアメリカ国民を殺害する政策を採用した。オバマと横に座るジョン・ブレナンCIA長官が、顔写真と、誰が作ったかわからない経歴からテロリストと推測される人物を選び、毎週火曜日に処刑命令が出された。「中には17歳にしか見えない十代の女性もいた。」

 残虐行為を防ぐという名目で、オバマ政権は大量の残虐行為をした。その結果の一つが、彼らの家を破壊し、家族を殺し、体を不自由にした兵士と爆弾を送ったために、アメリカ人やヨーロッパ人やオーストラリア人やカナダ人を憎悪して当然の難民の、アメリカや、帝国の同盟諸国への大量流入だ。

 オバマは残酷な帝国にとって完ぺきな表看板だった。黒人の血が入っているから、人道的で、ジョージ・W・ブッシュ政権が軍靴で踏みつぶした肌の黒い人々に思いやりがあると説明することができた。イリノイ選出の一期目上院議員には支持者も政治基盤もなく、組織化された強力な既得権益集団に立ち向かう能力はなかった。大統領の座に据えられると、独立した政府を破壊し、石油の流れを支配し、中東に対するワシントンとイスラエルの覇権を確立しようと努めて、巨大な政治力を持つひと握りの支配者集団が望む暴力と大混乱をひきおこした。

 オバマに関するクズマロフの記事は、多くの人々が報じているワシントン介入モデルと合致している。たとえば、スメドリー・バトラー将軍: https://www.paulcraigroberts.org/2019/05/27/something-to-think-about-on-memorial-day/。(日本語訳は、こちら)ジョン・パーキンスの『エコノミック・ヒットマン』や、スティーブン・キンザーの『ダレス兄弟: 国務長官とCIA長官の秘密の戦争』。違いは、オバマは、自分が支配している企業の隠れみのになってるのを自覚していたのに対し、バトラー大将は、初めは、ニューヨークの銀行とユナイテッド・フルーツ社の権益ではなく、アメリカの権益を擁護していると思っていたことだ。パーキンスは、彼が働いていたプロジェクトの標的にされた国を助けていると思っていたし、ダレス兄弟は大統領と無関係に活動していた。オバマは自分が誰に仕えているか知っており、自己欺まんで苦しむことはなかった。

ドナルド・トランプは大統領職の自立を回復しようと試みて、ロシアゲートのぬれぎぬで、はめられた。大統領の権威を回復できるのか、それとも以後、大統領職は支配体制の傀儡となるのかどうか見るのは興味深い。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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 ボクシングは快挙だったが、見たくもない顔と、真っ赤なウソを聞かされたのは大減点。

 選挙後、宗主国の真珠湾攻撃ではなく、宗主国に命じられてのペルシャ湾出撃がまっている?宗主国は、自作自演の偽旗作戦がお得意だ。属国、そのわなにはめられるのだろうか?

2019年7月12日 (金)

アフガニスタンで勝利しているタリバン

Brian Cloughley
2019年7月9日
写真:Wikimedia
Strategic Culture Foundation

 6月26日、アフガニスタンで、アメリカ特殊部隊の兵士2人が殺されて、死傷者人数調査組織iCasualtiesによれば、無益な戦争で亡くなったアメリカ軍人の合計が2429人とった。アフガニスタンでの戦争の是非についてどう考えるにせよ、このような死亡を記録することは悲しいが、心に浮かぶのは次の疑問だ。彼らは一体何のために死んだのか?

 アメリカ国務省によれば、アフガニスタンが、治安、統治、各機関や経済を改善するのを助けるためアメリカが資源を投資し続けている」ため軍はそこにおり、国防総省は「主要目標は、アフガニスタンとアメリカに都合の良い条件で、アフガニスタンでの戦争を終結させることだ」と言っている。

 一体どうやって?

 ホワイトハウスの現在の住民や、2020年に大統領になるのを熱望している他の連中、いずれもこの悲惨な紛争を終わらせる、いかなる実行可能な提案も出せず、6月27日、民主党大統領候補二人の意見交換で、いらだちと混乱の暗闇に多少光があたった。ティム・ライアン下院議員とトゥルシー・ギャバード下院議員は激しく議論したが、(イラクで軍務経験がある)ギャバードは「我々が行くずっと前からタリバンはいたし、我々が去る前も、ずっといるでしょう。タリバンをどうにか制圧するという考えで、アメリカ兵をアフガニスタンに駐留させ続けることはできない。」と発言した。彼女は解決策を示さなかったにせよ完全に正しいが、ライアン下院議員の返事は驚くべきものだった。「私は彼らを鎮圧しろとは言っていない。我々がまだ行っていなかった時、連中はわが国のビルに飛行機を突入させた。」と言ったのだ。

 そうなって不思議はないが、ギャバードは驚いて、こう答えた。「タリバンは9月11日に我々を攻撃したのではありません。アルカイダです。私や非常に多くの人々が軍に入った理由は、アルカイダを追求するためでした。 タリバンではありません。」

 まさにそのとおり。だがライアン議員の無知の暴露は、控え目に言っても気掛かりだ。もし下院議員が、9月11日に、タリバンがニューヨークのビルと、ペンタゴンに飛行機を突入させたと本当に信じているなら、民主党は深刻な問題を抱えていることになる。確かにライアン議員は決して大統領にはなるまいが、要点は、歴史に対する彼の無知は、アメリカ国民の間でも広がっていることだ。 (この一例が、1775年に、アメリカに空港があったという独立記念日演説でのトランプ発言だ)

 19人のアルカイダ・ハイジャック犯中、15人がサウジアラビア人で、アラブ首長国連邦とが2人、レバノン人とエジプト人が、それぞれ一人だ。「USAトゥデー」は、彼らが、長年、アメリカ大使だったサウジアラビアのバンダル王子の知人たちと「複数のつながりがあった」と報じていた。文書は、サウジアラビア王室から、アメリカ在住のサウジアラビア人や、サンディエゴのハイジャック犯二人に対する金の流れらしきものを示している。書類は、カリフォルニアにある、かなり過激なイスラム教のモスクへの相当な支援も示している。タリバンなど一人も見当たらない。親玉の邪悪なビンラディンはアフガニスタンにいて(後にパキスタンでのアメリカ特殊部隊襲撃で死亡した)、9/11事件計画の中心はハンブルグだった事実にもかかわらず。

 ギャバードは「ファルージャでの大虐殺から一年後、戦争の「原因」がペテンだったことが明らかになった2004年に、イラクで人々を殺しに行くと名乗り出ており、ソンミ村虐殺事件、ペンタゴン・ペーパーズ公表後に、ベトナム服務に登録するようなもの」だとジェフリー・セントクレアが、カウンターパンチ誌で書いているのに、彼女がアフガニスタン・カードを使ったのは興味深い。

 アフガニスタンでの益々悲惨な人々の状況について、大統領候補のいずれも、言うべき言葉はなかったが、ニューヨーク・タイムズに毎週載る、完全なものでないにせよ、粛然とさせられる戦争死傷者数報告ををみれば、多少感じはわかる。

 例えば、6月28日から7月4日の週は「先週、アフガニスタンで、少なくとも親政府勢力の264人と、一般人58人が死亡し、2019年で最高の死者数だと指摘している。アメリカ交渉者がドーハでの和平会談七回目でタリバン当局者と会った際、タリバンによる攻撃が全国で急増した。」道路脇爆弾や自動車自爆の他、タリバンは政府軍に対し、40件の地上攻撃をした。毛主席の三段階革命戦争の二段階目の終わりに近づいているのだ。

 4月30日、アフガニスタン再建特別監察総監(SIGAR)ジョン・ソプコ氏は議会に、NATOが運営する確固たる支援任務団(RSM)は「もはや、アフガン政府の地区レベルでの安定や、反政府派の影響力や、反政府派制圧を実現できていない」と報告した

 国防総省はこのような情報の提示を一年以上拒否しており、2019年5月1日、ミリタリー・タイムズはソプコ氏がこう言ったと報じている「理にかなっているとは思わない。アフガニスタン国民は、どの地区がタリバンに支配されているか知っている。タリバンは、明らかに自分たちがどの地区を支配しているか知っている。我が軍も知っている。アフガニスタンにいる全員それを知っている。何が起きているか知らない唯一の人々は、この全てに金を支払っている人々、アメリカ納税者だ。」

 それが結論だ。アメリカ軍は事態が悪化しつつあることを知っており、国民にそれを隠しておくため連中は最善を尽くしている。アフガニスタンが混乱状態にあることが火を見るよりあきらかで、たとえばソプコ氏が指摘しているように「2019年3月11日の時点で、大半のアフガニスタン人家庭が酷い食料不足に直面しており、急性栄養失調に苦しむか、最小限の必要をみたすため資産を使い果たすよう強いられる可能性が高い」のに、アメリカ政府もカーブルのアフガニスタン政府も、アフガニスタンの状況を制御できないと認めるのを拒否している。

 これが、非合法移民の子供の扱いに対する公式政策が、犯罪と言って良い程、非人道的なワシントンは懸念をしそうもない。ニューヨーク誌が、テキサス州のある強制収容所では、351人の子供が、実に酷い肉体的、精神的状態で、家族から切り離されており、100人は13歳以下で、一番幼い子は、生後わずか4カ月で、子供たちの多くは、三週間、あるいは更に長く収容されている。」と報じた。だからアフガニスタンで飢えつつある子供のための同情などほとんどあるまい。

 タリバンが慈悲深い慈善家だと言うわけではない。それからはほど遠い。彼らは野蛮で、ひどく残忍で、人権を尊重しない。彼らの女性の扱いは中世より酷く、彼らの統治の考えは徹底的な退行的法学であるシャリア法の実施だ。だがこれが、18年におよぶ戦争が、歴史的に無秩序な国の頂点に押し上げたものなのだ。

 タリバンが優勢だという最も重要な最近の指標は、典型的銃撃戦での、アメリカ特殊部隊兵士二人の殺害だった。連中がどこにいようと、反抗分子を攻撃するのに利用可能な巨大なアメリカ空軍力のおかげで、アフガニスタンはこのようになっているはずはないのだ。タリバンがこういう形で攻撃可能だったのは驚くべきことだ。不都合な事実を隠匿する公式政策を考えれば、銃撃戦の詳細が報じられないのは驚くべきことではないが、そもそも戦闘が起きたこと自体、タリバンに主導権があるという最も重大な兆候だ。

 今のアメリカとタリバン間の一連の交渉は何らかの合意を生むかもしれないが、協議にカーブル政府代表は参加していない。アシュラフ・ガニー大統領がアメリカ-タリバン合意を受け入れるかどうか誰も知らないが、タリバンには彼をのけものにする必要があるのだから、重要でなくなりつつあるのだ。彼らは既にアフガニスタンで勝っている。

Brian Cloughley
イギリス軍とオーストラリア軍の退役軍人、元カシミール国連軍事使節副団長、元在パキスタンのオーストラリア国防担当大使館員

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/07/09/taliban-have-won-in-afghanistan/

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 駐米イギリス大使による、アメリカ政府に対する本音の正確な報告が漏洩して、イギリス大使は首になった。属国、ここだけではない。

 今日の孫崎氏のメルマガ題名は、

英国の凋落と堕落:トランプ大統領を批判した英国大使報告がリークされ、トランプが報復。公的行事への出席を排除し、英国大使は辞任を申し入れ、英国政府受理。だがソ連時代、ソ連に厳しい評価をしている大使にソ連政府が行事に参加させない時、召喚したか。

 ホルムズ海峡を航行する船舶を守るというふれこみの有志連合に、選挙後、最大属国も派兵するのだろうか? 正体不明な激しい攻撃を受け、イランのせいだとして日本が交戦する筋書き?現代版ルシタニア号事件?

 今日の日刊IWJガイドも、この件に触れている。

日刊IWJガイド「自民党出身の向日(むこう)市長が立憲民主党候補の演説会で『共産党を追い出してほしい』と反共演説! 鍵を握る公明党支持者は2013年の参院選では38.9%が民主党候補に投票!? 『オール京都』と称して共産党と対立する京都選挙区の特殊事情」 2019.7.12日号~No.2493号~(2019.7.12 8時00分)

 

米国がホルムズ海峡での民間船舶護衛のための有志連合参加を日本にも要請! 政府は「詳細さし控える」!? 今こそ安保法制を参院選の大きな争点に!/本日午後7時より「岩上安身による『近代日本の植民地主義とジェンタイル・シオニズム』著者・パレスチナの平和を考える会事務局長 役重善洋氏インタビュー 第4弾」前編を再配信!

2019年7月11日 (木)

公海上の海賊行為 イラン核合意潰しを狙うアメリカとイギリス

Finian Cunningham
2019年7月8日
写真:Wikimedia

 イギリス特殊部隊による200万バレルのイラン原油没収はイランを挑発して戦争に駆り立てるのを狙った露骨な海賊行為だ。イギリスの地中海領ジブラルタルでのスーパータンカー没収は国際核合意を維持する最後の機会を潰すことを狙っているようにも見える。

 2015年の合意を実行し、アメリカ制裁を避けて、イランとの貿易を十分に正常化しなかったことで、テヘランが欧州連合を非難し、イランは、特に濃縮ウラン備蓄を増やすことで、包括的共同作業計画(JCPOA)の一部を一時停止すると既に警告していた。

 先月末の日本でのG20サミット後、ヨーロッパはアメリカ制裁を避ける(Instexとして知られている)イランとの取り引き機構を設置する決心を最終的に固めたように思われた。

 最近のイギリス特殊部隊による公海でのイラン原油捕獲のタイミングと、彼らがアメリカの諜報機関と共謀していた兆候は、ヨーロッパは約束を果たせるという、テヘランのあらゆる信頼を破壊するのに役立ち、イランを核合意から離脱するよう促すことになる。

 イギリスは、シリアにEU制裁を課すべくイランが所有する貨物をフェリー輸送しているスーパータンカーをイギリス海兵隊が拿捕したと主張している。このEU制裁は(今まで)シリア政府が戦争(アメリカとNATOに支援された代理勢力により密かに始められた戦争)で国民を弾圧しているという根拠の弱い主張に基づき、2014年から実施されている。

 いずれにせよ、地中海の西開口部、ジブラルタル海峡を横断していた際、推定1億2000万ドルの価値の原油を積んだ、船長330メートルのグレース1に、木曜日早朝、暗闇に紛れて、多数のイギリス特殊部隊員がヘリコプターと高速モーターボートから乗り込んだ。

 乗組員は主にインドとパキスタンの船員で、報道によれば、船はパナマ国旗を掲げ、シンガポール企業が所有している。だが高額の貨物はイランのものだ。イランは、イギリスの動きを「海賊行為」と非難して猛然と反撃した。イランのイスラム革命防衛隊の前のトップが、イギリス船を拿捕して報復するよう促した。

 この報復のエスカレーションは、まさにアメリカとイギリスが、イランとの武力衝突の口実を作るために画策していることを強く感じさせる。

 イギリスによるイラン石油タンカー拿捕を、ワシントンと共謀して意図的に行われた、緊張を煽りたてるための無謀な挑発だと、ロシアは素早く非難した。

 トランプ大統領のタカ派国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンは、イギリスの事業が「素晴らしいニュース」と言ってほくそえんでいる。トランプ自身はイランがどのように事件に対処するか「非常に、非常に注意深くある」べきだと警告した。予想していたような反応は、事件が計画された挑発だったことを示唆している。

 この拿捕は、ボルトンや他のアメリカ当局者がイランのせいだとしたペルシャ湾近くの石油タンカーに対する外見上明白な偽旗攻撃のいくつかの前の事件に続くものだ。先月末、イラン領を侵害した後、アメリカのスパイ無人飛行機がイランに撃墜された。事件で、間際にトランプが中止したアメリカ空襲による「反撃」が始まるところだった。

 制裁されている国には、喉から手が出るほど必要な輸出収入源であるイラン財産の実際の没収により、今や挑発は一段強化されたのだ。

 イギリス政府は、イラン石油拿捕はジブラルタル当局に認可されたと主張している。石油の向け先とされるシリアに、EU制裁を実施するため、タンカーを拿捕すべく、ジブラルタル警察掩護用に、イギリス海兵隊を緊急派遣したとロンドンは主張している。

 イギリスの言い分は到底信じがたい。このような危険な作戦を計画するには長大な兵站が必要なはずだ。ジブラルタルのような小さな領土が始められるしろものではないはずだ。しかも、ジブラルタルの帰属についてイギリスと歴史的に論争しているスペイン政府は、イギリスがアメリカ諜報機関に従ってに行動していたと主張している。

 もしイランが思い切って報復としてイギリス船舶を拿捕すれば、エスカレーション・ゲームは高度危険レベルになる。このような動きは反イラン・タカ派が望んでいる戦争理由になりかねない。

 イギリスは自身がワシントンに忠実な戦争挑発共犯であることを示している。ロンドンは、悪名高い背信と欺瞞の黒魔術も見せている。結局、イギリスは、他のヨーロッパ列強とともに国際核合意を支持している国のはずなのだ。

 ブリュッセルの欧州連合幹部は、イラン原油を阻止するイギリス作戦に関与していたり、通知されたりしているようには見えない。もし作戦が、シリアに対するEU制裁を実施することだったのなら、なぜブリュッセルが仲間に入っていなかったのだろう?

 アメリカとイギリスは、シリアに対するEU制裁を実施する目的で拿捕作戦を実行したのではなく、むしろ単にイランの反感を買うために実行したように思われる。加えて、イギリスとアメリカが主張するような想定されたEU制裁の責務は、核合意を維持するため、ヨーロッパは、ワシントンから独立して行動をできるという、テヘランのあらゆる信頼を破壊する効果があるだろう。

 イランには核合意を破棄する以外の選択肢はほとんどないだろう。そうなればアメリカは、イラン石油の世界輸出を全て阻止するため、第二の制裁強化を自己正当化するのが可能になる。イランの命綱、石油輸出を「ゼロ」に封じ込めるというのはトランプ政権が繰り返し自慢していることだ。

 この容赦ない犯罪的なイラン挑発が、どうして戦争を招かないのか理解するのは困難だ。

 Finian Cunninghamは、大手マスコミの元編集者、記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/07/08/piracy-on-high-seas-us-and-british-aim-to-sink-iran-nuclear-deal/

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 選挙が近づくと毎回憂鬱になる。低い投票率。売国与党の多数。

日刊IWJガイド「参院選はいよいよ中盤へ! 与党の仕掛ける『トラップ』が止まらない!? ハンセン病家族訴訟をめぐる異例の控訴断念を総理が『英断』!? 安倍総理は『民主党の枝野さん』と8か所で連呼! 」 2019.7.11日号~No.2492号~(2019.7.11 8時00分)

2019年7月10日 (水)

アメリカ合州国はまだ存在しているのだろうか?

2019年7月8日
Paul Craig Roberts

 ファリード・ザカリアは、白人の権益を代表するのは人種差別的だが、黒人や他の非白人の権益を代表するのは人種差別的ではないと主張して、途方もない不誠実さを示している。彼は、誰が白人で、誰がそうではないか知るのは難しいと主張して、不誠実さを上塗りしているが、マイノリティー優遇措置に関する限り、黒人やインド人にとってこの問題は存在しない。ファリードにとって、白人カテゴリーは、マイノリティー優遇措置に十分ではないが、黒人カテゴリーは十分に強固なのだ。http://www.unz.com/article/jared-taylor-on-cnns-the-state-of-hate/

 アメリカや、基幹の国民が白人である他の国々で、我々が経験しているのは、指導者の地位からの白人、特に男性の排除だ。彼らは押しのけられ、ファリード・ザカリアのような外国生まれの移民に取って代わられている。

 周囲を見回せば、かつての世代のアメリカ人なら、アメリカ人とは認めなかったはずの人々で、指導者の地位が埋められているのに気づくだろう。アメリカは文化意識をはぎ取られた。アメリカは、バベルの塔に、アイデンティティーを失い、多様性と多文化主義によって作り出されたアイデンティティ政治によって分裂させられた地域になってしまった。結束なしに国はない。

 アメリカの外部帝国-イギリス、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリア、日本について散々聞かされている。アメリカ自身、敵対する人種、民族、文化、宗教、性、狙いの内部帝国になったと私は思っている。帝国は不安定だから、アメリカは二倍不安定だ。

 同化する移住政策を廃棄する決定は、国を分裂させる意図的決定だった。逆差別と結びついた多様性が、基幹の国民を疎外したのだ。それは国家の自殺行為だ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/08/does-the-united-states-still-exist/

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 よくないものをみてしまった。インターネット広告。日本の明日を切り刻む。政治は宗主国と大企業のもの。自滅党

 国民からNHKを守る党のテレビ広報も。即座にチャンネルを切り換えた。

 諸般の事情で、翻訳の時間があまりとれない。大本営広報部の洗脳も見る時間がほとんどない。なにより相撲さえ見ていない。いつもは昼からみるのだが。今日はみられそうだ。森羅万障氏と北朝鮮アナウンサーばりのびっくり発言女性の恐怖漫才が評判のようだが、恐ろしくてみられない。

日刊IWJガイド「朗報!? 7月21日投開票の参院選で、参院の改憲勢力が改憲発議可能なラインである3分の2を下回る見通し!? いや油断禁物!! 安倍晋三総理は発議に向けて国民民主党に秋波を送る! 切り崩されていいのか国民民主党!!」 2019.7.10日号~No.2491号~(2019.7.10 8時00分)

2019年7月 9日 (火)

中央アジアで健在のモッキンバード作戦

2019年6月26日
マーティン・バーガー
New Eastern Outlook

 ワシントンが「カラー革命」戦術を実験した国々での内部状態は、現地メディア情報源が推進しようとしているメッセージと、標的に定められた国にとっては有害で、アメリカにとっては有利なクーデターをもたらすことが可能な「革命感情」のレベルとの間に、明らかに正の相関関係があることを示している。ワシントンが長い間この事実を知っていたのは明らかで、それはまさにメディア操作の仕事が常にCIAの最優先事項だった理由だ。

 ジョセフ・J・トレントは彼の本『The Secret History of the CIA CIAの秘密の歴史』で、CIAの特別プロジェクト部門(SPD)が、1948年以降、どのようにプロパガンダへの熱情を発展させたかを大量の詳細で記述している。モッキンバード作戦の計画を立てることと、実行に対して、主に責任があったのが同じSPDだったのは奇妙だ。

 モッキンバード作戦の主な目的は、ジャーナリストをリクルートし、世界中の種々の編集委員会に常任のCIA要員を潜入させることを通じて、アメリカと外国メディア情報源の両方に対し影響を及ぼすことだった。1953年以降、アメリカの新聞と通信社の圧倒的多数は、モッキンバード作戦の犠牲者となり、CIAエージェントだらけになって、宣伝と反情報を広めることで忙しかった。60年代と70年代、ABCやNBCやCBSやタイムやニューズウィークやAP通信やUPI通信やロイターやハースト新聞やスクリップス・ハワードのようなメディア報道がこの作戦の影響を受けており、多数の刊行物がモノマネドリ作戦の本当の規模を明らかにしている。モッキンバード作戦立案者は、外国メディアや海外の政治的出来事に影響を与えようとしていたが、そうした狙いに成功したように思われる。

 1975年に、後にチャーチ委員会とあだ名をつけられた、諜報活動に関する政府の作戦を調査するためのアメリカ上院特別委員会の議長を務めた民主党員上院議員フランク・チャーチが、モッキンバード作戦の特定の詳細を明らかににした。

 それでも、彼はこの作戦を終わらせ損ね、CIAが一般大衆をだますことを目指す秘密作戦を行う方法は、ほとんど変化しないままになっている。国内、国際的両方の狙いをワシントンが支配する便利な道具なので、モッキンバード作戦がまだ健在なのは明らかだ。彼らの仕事で、ワシントンの指示を行うことに対し、多くのアメリカとヨーロッパの主要マスコミ名士が、かなりの金を受け取り続けているのも明らかだ。CIAに支配されたメディアを通して、有望な政治家に関する誤報を広め、宣伝を推進し、欧米圧力団体の利益を傷つける可能性がある、あらゆる話題を消去するのだ。

 最近、CIAとドイツ連邦の諜報機関が、トップのマスコミ名士に賄賂を使い、金を受け取らない人々を恫喝することによって、ドイツ・メディアの言説を形成する能力を持っていることが知られるようになり、アメリカ諜報機関がメディアを操作している事実はヨーロッパで多くの注目を受けた。

 数年前、有名なドイツ人ジャーナリスト、ウド・ウルフコッテが、CIAが、どのように主要なドイツストメディア情報提供者の大部分をこき使うことが可能かを大量の詳細で述べた『Bought Journalist 買収されたジャーナリスト』という題名の本を出版した。

 もしウクライナの危機を綿密に観察すれば、事実上、ヨーロッパとアメリカの報道機関ほぼ全てが、この問題に対するロシアの立場を徹底的に無視していることで、この作戦の有害な触手が明らかになる。

 だがこの全てにおいて、最も悪い部分は、モッキンバード作戦が前進していることで、この結論は、2016年に行われた二つの上院外交委員会聴聞会から引き出すことができる。当時まだ、リトアニアへのアメリカ大使として承認されていなかった、アン・ホールと、ウクライナ大使に指名されたマリー・ヨワノヴィッチが、リトアニアとウクライナのジャーナリストが「ロシアの宣伝に対処する」訓練を受けていたことを明らかにした。2015年8月、リトアニア・クーリエは、ジャーナリストにワシントンが訓練をおこなう最初の東欧の国はリトアニアだと書いた。当時、リトアニアのアメリカ大使館は、高い志を持ち、経験豊かなロシア語を話す記者に、調査ジャーナリズム研修プログラムを提供した。「バルトにおける調査ジャーナリズム訓練」と名付けられたこのプログラムは、アメリカ政府から50万ドルもの交付金を受け取った。プログラムは、三つのバルト国全てを対象に設計されており、三つのアメリカ大使館全てが、訓練活動の計画と調整に参加したが、ビリニュスのアメリカ大使館が資金割り当てを監督した。

 モッキンバード作戦が健在だというもう一つの裏付けがある。カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタンとトルクメニスタンで、アメリカ中央司令部によって行われた、アメリカに忠実なニュース番組キャスターとメディア・マネージャー捜索の首尾良い成果だ。アンクルサムに厳選された人々は、アメリカで来月訓練を受ける予定だ。

 アメリカ国務省は、既に中央アジア中の様々なマスコミ名士に、適切な招待を送っており、他方地域じゅうのアメリカ大使館員の全てが、万事円滑に進むようにする仕事を与えられている。予想通り、この「実務研修」プログラムの資金はアメリカ中央司令部が提供する。

 公式には、このプログラムは、新しいメディア形式と近代的放送装置で仕事をするよう中央アジアのジャーナリストを訓練することが狙いだ。はるか彼方の土地で精選されたそれらメディアマネージャーたちは、主要アメリカ・メディア企業代表者との会談に出席することになると思われる。それら新人は、国務省職員や心理作戦分野専門家にもインタビューを受ける予定だ。このような会談の間に、更に彼らを教える前に、アンクルサムは、それらのメディアの人々がアメリカに、どれほど忠実か知ろうとするはずだ。

 これは世界がアメリカ風民主主義に対して支払っている本当の代償だ。本当のジャーナリズムの死だ。

 マーティン・バーガーはフリージャーナリストで地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/06/26/operation-mockingbird-is-alive-and-well-in-central-asia/

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 ようやく『新聞記者』を見た。初日に見たかったのだが、諸般の事情で昨日まで外出できなかった。平日の昼でも、若い人もいた。映画の前に、トンデモ政党の宣伝があったのにはびっくり。観客の間から「笑い声」が聞こえたような気がするのは幻想だったのだろうか。そして、トンデモ作家の作品名のすぐあとに、戦艦大和の姿の映る映画の宣伝にも驚いた。茶坊主作家の作品を映画化した監督の新作映画。どちらも、この映画の観客の関心はひかないように思えるのだが。

 とうとうイランもしびれをきらしたのだろうか。一方的に宗主国が悪いのだが。

日刊IWJガイド「イランがウラン濃縮濃度引き上げを発表! イランは『核合意維持に向けた行動』と発表するもイスラエルはイランへの制裁を要求! 偏愛するイスラエルのために米国は戦争にも踏み込む! 愛されていない日本は戦争に利用されるだけ!?」 2019.7.9日号~No.2490号~(2019.7.9 8時00分)

 

2019年7月 8日 (月)

人々が知りたいとは思わない新駐ウズベキスタン・アメリカ大使

2019年6月2日
マーティン・バーガー
New Eastern Outlook

 中央アジアにおいて常に増大しつつあるロシアと中国の影響力が、アメリカをかなり興奮状態に保っている。十分予想された通り、過去2年間、地域を支配する取り組みで、ワシントンは経済的、軍事的措置を目立って強化している。

 この文脈で、アメリカがウズベキスタンとの結びつきを発展させようと力を入れているのは特段の言及に値する。二国間関係を深めるために投入された努力は、しばしば陰のCIAと呼ばれるアメリカ企業ストラトフォーによって、かなり詳細に評価されている。予想通り、旧ソ連圏全ての国の中で、ウズベキスタンが遥かに最強なのだから、この全ての精力的な動きは無駄におこなわれたわけではない。それがまさに、ワシントンができるだけ早急に、モスクワと北京両方をこの共和国から追いだしたいと思っている理由だ。ウズベキスタンの経済開発のため、ロシアと中国により行われている投資の件数が常に増大しているにもかかわらず、アメリカは、タシケントとの経済的な結びつきを復活させようとしていると言われている。同時に、ストラトフォーは、アメリカがまたしても、アメリカの外交政策には役立たない、地域じゅうの、あらゆる協定や組合や連合を台無しにさせようとしている事実を全く隠そうとしていない。

 アメリカが一帯一路(OBOR)構想を急停止させることが望める唯一の方法は、中央アジアを不安定化することで、それはかなりの大業だが、北京は完全にこの事実を知っている。加えて、もしワシントンが多くの国々の首都で足場を得るのに成功すれば、中国のイスラム教徒人口が多い新疆ウイグル自治区の状況に、より強い支配力を行使することが可能になるだろう。そして、もしアメリカが現地住民を過激化する試みに成功すれば、ロシアは、ビザ制限がないため、頻繁に中央アジアに旅行する大規模なイスラム教徒の共同体を抱えており、モスクワ自身、特に脆弱なことに気がつくだろう。

 ウズベキスタンを欧米影響力の大黒柱に変えるワシントンの取り組みは、地域の国の全てと国境を共有する人口の多いイスラム教国であるという事実が、アメリカが世界のこの地域で、長期的外政策目標を確保する助けになるかもしれない事実から規定される。

 去る2月、国防総省が中央アジアと南アジア両方の高位将官の会談を要求して、ウズベキスタン-アメリカ協議の更にもう一回の会合がタシケントで開かれた。アフガニスタンとの対立解決を目指す交渉で調停者の役割を果たすよう、ウズベキスタンをアメリカが応援していることが最近明らかにされた。

 ウズベキスタンとアメリカ間の軍事協力が、9/11テロ事後、ピークに達したことに留意すべきだ。当時、アメリカは、アフガニスタンでのワシントンの作戦を促進するために使われるであろう軍事基地をこの共和国に置くつもりだった。しかしながら、当時の状況のへの対処で、タシケントを非難するほど十分大胆にワシントンが思ったアンディジャン事件の余波の中、状況は変化した。ウズベク当局は自尊心を抑えようとはせず、彼らは駐留するアメリカ軍に、荷物をまとめ撤退するよう要求した。だが近年、アメリカウズベキスタン間の二国間関係が次第に改善し始め、両国が共同で様々な軍事活動を行うことに対する興味を見いだしており、これはウズベキスタン首都へのアメリカ軍事使節の頻繁な訪問で明白だ。

 この背景に対し、ワシントンは、タシケントで種々の地位を占めるべく経験豊かなベテランを派遣し、この国の大使館を早急に強化しようとするはずだ。そのため、ウズベキスタンの状況をじっくり見てきた人々にとって、ダニエル・ローゼンブルムがタシケントの新アメリカ大使に任命された発表は驚きではない。

 この決定は、アメリカ大使がしばしば変わる今の傾向と、彼らの一部、特に最近中央アジアに派遣される人々に一致しているように思われる。それら紳士、特にウィリアム・メーザーや、ジョン・ポマーシャイムは有名なトラブル・メーカーという評判を享受している。だがダニエル・ローゼンブルム任命はこの傾向と一致しない。結局、彼は正規の下院議員やもう一人大統領選運動スポンサーではなく、経験豊かな専門家なのだ。

 ダニエル・ローゼンブルムはエール大学卒業生で、ソ連時代の研究と国際経済学の学位を持っている歴史家だ。実際、彼は南アジアと中央アジア担当国務次官補だ。さらにこのポストの前任者とは異なり、彼は単なる専門家ではなく何年も現場で働いた人物だ。

 ローゼンブルム大使が、NGOや公共団体の管理で広範な経験を持っている外交官なのは奇妙だ。さらに彼の父親はソ連からの移住を促進するユダヤ組織の枠組みを使って、ソビエト社会主義共和国連邦を傷つける取り組みで数十年を費やしていた。ローゼンブルム・ジュニアは、米国国際開発庁から、独立国家共同体CIS中の非政府組織の資金調達をして、アメリカ外交政策を進め、彼が標的に定めた国々の一部に、不安定化やクーデターを経験するようにさせて、その伝統を受け継ぐはずだ。

 だから、ダニエル・ローゼンブルムの任命は、中央アジア地域がアメリカ外交政策の基礎になった証拠なのだ。タジキスタンとカザフスタンでの任命同様、この地域をロシアと中国から離れさせるという最終目的を達成する窮余の動きで、ウズベキスタンや中央アジア全体での政治プロセスの発展に影響を与えるため、経験豊かなトラブル・メーカーが、長年蓄積した経験を活用するのを、ワシントンは期待しているのだ。

 マーティン・バーガーはフリージャーナリストで地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/06/02/new-us-ambassador-to-uzbekistan-you-just-dont-wanna-know/

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 演劇『みすてられた島』を見た。「終戦後の一時期、日本から切り離されようとした伊豆大島で「大島大誓言」と呼ばれる「暫定憲法」が作られた実話をもとにしたもの。前文で平和主義を謳っているとは驚き。実際は、結局、分離されずに終わったので、独立に向かう動きの部分はユートピア。笑いと涙満載ながら、経済市場主義の今と逆の、人間をおもいやる世界の建設をめざすお話。土日の二日だけの上演は残念。

 近々『新聞記者』を見る予定。近くで森羅万障ステルス氏の出現予定がわかれば一緒に「やめろ」といいたいもの。

日刊IWJガイド「安倍総理が中野で街頭演説、自慢話と民主党政権批判の繰り返しに飛び交う『安倍やめろ』の怒号!」 2019.7.8日号~No.2489号~(2019.7.8 8時00分)

 

2019年7月 7日 (日)

近づく9/11事件18周年記念日

2019年7月4日
Paul Craig Roberts

 今度の9月で、9月11日から18年になるが、我々はまだ、アメリカ政府から、あの事件の信じられる説明を受けていない。9/11事件は、ネオコンがイスラム教の中東と北アフリカに対する戦争の開始と、アメリカ警察国家の整備に必要な「新しい真珠湾」だった。こうした物事は、信じられる公式説明がない出来事による言語道断な結果なのだ。

 私は長年、この異様な事件について何度も書いている。2011年に書いた記事の一つはここで読める。https://www.globalresearch.ca/the-critics-of-9-11-truth-do-they-have-a-case/26520 (小生の翻訳は「9/11真相究明運動の批判者達: 彼らの言い分に理はあるか?」)

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/04/approaching-9-11s-18th-anniversary/

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 彼氏の最新インタビューはこちら。https://www.youtube.com/watch?v=4IK7D3RWU2o&list=PLlrCpcbN8MxjcppbagnHfPKx8RwgEHbX4&index=2&t=116s

 ここ数日、大本営広報部を見てない。この問題は報じているのだろうか。

日刊IWJガイド・日曜版「維新議員は『セルフ寄付』『セルフ領収書』をせっせと作っていた!? 党首討論会で維新の会・松井一郎代表が共産党・志位和夫委員長に文通費の領収書公開を迫ったところ、維新・杉本和巳議員の怪しい領収書の存在が発覚! IWJは政治資金問題に詳しい上脇博之・神戸学院大学教授に取材!」 2019.7.7日号~No.2488号~(2019.7.7 8時00分)

 

 

2019年7月 6日 (土)

欠陥機737 Max 8のコスト削減のためボーイングはソフトウェア開発を外注

ブライアン・ダイン
2019年7月3日
wsws.org

 ブルームバーグによる新たな報道で、巨大航空宇宙企業ボーイングが、経費削減策の一環として、737 Max 8のソフトウェア開発を、大学新卒者たちに時給わずか9ドルで外注したことを明らかになった。ライオンエア610便と、エチオピア航空302便という二機のMax 8の致命的な墜落事故で、総計346人の生命を奪ったのは、飛行機の「致命的に欠陥がある」ソフトウェアだった。

 社外でソフトウェア開発するボーイングの決定は、2001年以来、35,000の雇用を減らした広範な経費削減活動の一環だ。これは航空宇宙大手の上級経営責任者として就任最初の二年に、20,000人以上の従業員を切ったデニス・ミレンバーグ会長兼最高経営責任者(CEO)の下で加速した。

 737 Max 8きのものが、同社とその経営者の利益を増やすためのボーイングの決定の一つだ。飛行機は、より高い燃料効率と、パイロット訓練時間短縮のおかげで、エアバス320neoより安い選択肢だと宣伝され、開発された。この主張を実現するため、同社は50年来の737の機体を選び、より大型なエンジンを取り付けたため、飛行機はピッチアップ(急激な機首上げ)や失速しやすくなった。

 新エンジンを搭載するために機体デザインを適切に設計し直すのではなく、ボーイングは、おそらく二件の墜落の原因となった可能性が高いソフトウェアManeuvering Characteristics Augmentation System操縦特性補助システム(MCAS)を外注した。それはパイロット・マニュアルでは言及していない(飛行機のソフトウェア基準に従わず、複数ではなく)一個の迎角センサーを、飛行機を自動的に下方へ向かせるために使い、それが、究極的に、二件の致命的な墜落を引き起こした。

 報告に応えて、ボーイングは即座に、インド企業HLC技術社に雇用された請負業者は、MCASシステム開発には関与していなかったと主張した。同社は、連邦航空局に暴露され、Max 8の証明書更新を少なくとも3カ月遅らせた、より最近のソフトウェア不具合に対する彼らの関与も否定した。

 これらの声明は額面通りには受けとれない。ボーイング自身、システム開発を請負業者に任された可能性を示唆しており、Max 8にとって、MCASが重要なシステムだと思っていないのだ。さらに元ボーイング従業員で、2017年にレイオフされたエンジニア、リック・ルーディックが述べているように、ボーイング自身のソフトウェア・エンジニアのコストに触れ、ここで我々は非常に高給なので「仕事をプージェット・サウンドから移動する」ことを含め、Max 8を急いで製造できるようにすべく同社はあらゆることをしていた。

 もう一つのコメントで、元ボーイング・エンジニアのマーク・ラビンが、ソフトウェアのさらなる開発は必要でないから、2015年に「部屋一杯に、数百人の大半が上級のエンジニアが集められ、我々は必要とされないと言われた」ことを指摘した。

 ボーイングにとって、HLCとの契約には金融上の恩恵もあった。2005年、ボーイングによるHLCを含めたインド企業への17億ドル投資と引き換えに、インド航空から110億ドルの注文を得た。これは急速に拡張するアジア航空宇宙市場でヨーロッパを本拠とするライバル、エアバスとの市場占有率を巡るボーイングの進行中の戦いで重要な一歩だった。

 ボーイングのソフトウェア開発慣行についての暴露は、飛行中にリチウムイオン電池が火事を起こした後、2013年に運航停止にされた同社の前の主力航空機787ドリームライナーに対する拡張された司法省調査についての新報道と同時だ。二件の墜落の再検討に加え、連邦当局は、サウスカロライナ州チャールストン郊外の製造工場での「典型的な不正行為」と経費削減報告を調査している。

 これらボーイングが工場の労働者に押し付けた生産の熱狂的なペースから、エンジン内の片づけられていない破片やが置き残された道具を含め、安全管理の不行き届きを起こしている。数機の飛行機で、コックピットと操縦装置配線の近くで飛行中の制御喪失の危険がある金属裂片が発見された。ドリームライナーは一度も墜落したことはないが、あるボーイング内部告発者の言葉によれば、この種のミスは「壊滅的」になる可能性がある。

 もう一つの新事実は、自動的に消火するよう設計されたスイッチが、時々故障するという警告をボーイングが公表することを強いた、ドリームライナーの重要な消火活動機能が常に機能するわけではないという発見だ。「航空機の火事が制御できなくなる可能性がある」という政府機関の警告にもかかわらず、航空会社が月に一回スイッチが働くのを確認するのを命令するだけで、飛行機を飛行停止にする命令を出さなかった。これは、人命よりも、ボーイングの利益を優先して、FAAが行った選択の長大なリストの一つだ。

 787調査は、おそらく、いかなる重要な結果も産み出さない可能性が高いが、ボーイングの前の重要資産の航空機に対する、いかなる脅威も、ダモクレスの剣のように、航空宇宙大手企業に差し迫っている。2011年の787-8、-9と-10の発表と開発以来、同社は840機の飛行機を製造し、1,441機を受注している。全てのMax 8の注文が破棄された場合の、920億ドルの潜在的損失だけでなく、もし787の全注文がキャンセルされれば、同社は売上高でおよそ4000億ドルを失うだろう。いずれかのシナリオが現実となった場合は、ボーイング破産のまさに本物の危険がある。

 このような恐怖は、確実に、ボーイングの指導体制とその株主の間で広まっている。エチオピアの航空会社の墜落以来、同社の株は20パーセント下がり、企業価値が470億ドル以上減り、飛行制限で、これまでのところ更に10億ドル以上費用がかかっている。会社の嘘と怠慢に対する賠償金を要求する、株主、パイロットと墜落事故犠牲者家族による三つの集団訴訟が、ボーイングに対して開始された。

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2019/07/03/boei-j03.html

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 不沈空母は宗主国のハワイ防衛のために、秋田に、グアム防衛のために、山口にイージス・アショアを設置する。空母はの二地点は標的になるが、宗主国のためなら高い買い物も喜んで。問題の飛行機は注文しているのだろうか。

日刊IWJガイド・土曜版「秋田県に続き、安倍総理のお膝元である山口県でもイージス・アショア配備に反対の声が高まる! 岩屋毅防衛相が配備候補地に関する調査報告書の誤りを謝罪するも、山口県阿武町の花田憲彦町長は『町をあげて反対している状況は全く変わっていない』と批判!」 2019.7.6日号~No.2487号~(2019.7.6 8時00分)

2019年7月 5日 (金)

アドリアン・ホンの仲間は金正恩の異母兄殺人に関与していたのだろうか?

2019年7月3日
コンスタンチン・アスモロフ
New Eastern Outlook

 アメリカ・マスコミは、金正男が2017年に殺害される前に、中央情報局(CIA)のために働いていたと報じ続けている。WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)記事以外にも、金正男のCIA情報提供者としての役割は、Anna Fifield
の新刊書『The Great Successor 偉大な後継機』で言及されている。本で引用された匿名の「熟知している情報提供者」によれば、金正男は、通常、シンガポールとマレーシアで、情報局員と会っていた。彼の死後、彼と一緒に見つかった現金(120,000米ドル)は彼の諜報活動の仕事に対する報酬(あるいはカジノでの稼ぎ)だった可能性がある。

 こうした報道は、金正男殺人の数週間前に大統領になっており、その時以降の「報道が本当かどうかわからない」と繰り返し述べているドナルド・トランプに対する遠回しの攻撃のように思われる。6月11日にも、自分の監督下なら「CIAに北朝鮮指導者金正恩の異母兄をリクルートすることは許さなかったろう」と彼はジャーナリストに述べた。

 CNNは、ドナルド・トランプは、金正恩の異母兄が、CIAに協力していたという「報道を確認したり、否定したりしないはずで」彼がこの件を事前に知らなかったと強調した。アメリカ大統領は、彼が国家指導者である間は、朝鮮民主主義人民共和国指導者の金正恩に対して情報提供者を使うことを「CIAに許さなかっただろう」と述べた。

 彼の発言は、CIAがさまざまな手段によって、金正恩を秘密にスパイしていたといううわさの公式の否認と見なされた。それは、従って、ドナルド・トランプが本当に、このいずれの知識も持っていなかったことなどありそうもないと思う、大統領の敵による批判を引き出した。たとえそれが本当だったにせよ、それは、朝鮮民主主義人民共和国との対話を再開する目的のため、アメリカ諜報機関に進んで協力していた人の恥知らずな(外国における化学兵器使用を含む)暗殺に、アメリカ大統領が強硬路線をとらないことに決めたことを意味するだろう。2018年、「アメリカはロシアのセルゲイ・スクリパルと娘に対する毒ガス攻撃への報復として60人のロシアの外交官を追放した」。ところが、金正恩が似たような犯罪で告発された際、ドナルド・トランプは厳しい対応を抑え、代わりに「北朝鮮に決して」「このようなスパイ活動を再び起こさせない」と急いで述べただけだ。だから、将来のあらゆる情報提供志望者へのトランプのメッセージは明らかだ。「アメリカはあなたの面倒はみない」。

 マイク・ポンペオはドナルド・トランプよりいっそう曖昧だった。6月16日、彼はFoxNewsインタビューで、CIAと金正男の結びつきに関するうわさについて発言した。マイク・ポンペオは、アメリカは、北朝鮮によるあらゆる「危険と脅威」を確認するため必要なあらゆる行動をとっていると言った。テレビ番組のホストが、国務長官に、CIAトップとしての在任中、金正男と連絡をとっていたかどうか尋ねた際、マイク・ポンペオは安全保障上の懸念のため「諜報問題に関して発言する」のを拒否した。CIAもこの問題について全く発言を拒否している

 アメリカの関与に関するこれら全ての議論が、この場合、彼の死の前に金正男と会っていた人物が、誰か「見つかりにくい工作員」ではなく、アドリアン・ホン・チャンだった可能性を著者が考慮するようにさせた。後者は(自由朝鮮としても知られている)千里馬民間防衛のリーダーで、現在スペイン北朝鮮大使館に対する襲撃に関連して、当局により手配中だ。

 我々は読者に、アドリアン・ホン・チャンの魅力的な伝記を想起願いたい。現在、彼は金正恩と同じ年齢の35歳だ。彼の親はメキシコで働いた韓国人キリスト教宣教師だ。これがアドリアン・ホン・チャンが、メキシコ・パスポートと、アメリカのグリーンカードを持っている理由(すなわち彼はアメリカの合法的永住者だ)だ。ワシントンDCに本拠地を置く人権団体の情報提供者によれば、彼は2004年に、朝鮮民主主義人民共和国市民の人権を弁護する運動に加わり、他方彼はエール大学で歴史を学んだ。その時、アドリアン・ホン・チャンは朝鮮民主主義人民共和国からの亡命者キム・ヒョンシク(ロシア文学教授の金賢植)の講義で、北朝鮮での人権侵害について知った。2005年、彼は自由北朝鮮(LiNK)と呼ばれる団体を共同設立し、ソウル、パリや他の国々に支部を開いた。

 2009年に、平壌に対してより断固とした処置をとる必要があると悟り、アドリアン・ホン・チャンはLiNKを去った。

 2011年、ムアマル・カダフィが打倒された後、アドリアン・ホン・チャンはアメリカ政府との契約に署名し、現地で暫定政府の編成を促進するため、リビアに出張した。彼のコンサルタント業の仕事はしばしばCIAにからんでいた。後に、アドリアン・ホン・チャンは、アラブの春は、北朝鮮のための最終リハーサルだと思ったと述べた。

 2014年、朝鮮民主主義人民共和国関連の仕事に従事していたある情報提供者が、NKニュースで、彼が、危険な状態にある人々に手を貸すことよりも、政権転覆に熱心だったので、彼らにとって、アドリアン・ホン・チャンの戦略は危険に見えたと言った。

 2015年、アドリアン・ホン・チャンは朝鮮研究所を設立し、所長になった。研究所は現在の北朝鮮政権の突然崩壊の可能性を研究し、この過程を速める施策を立案した。加えて、アドリアンは「閉鎖社会に侵入して、これらの国々に住んでいる人々に力を与えるために現代技術を使う会社だと彼が説明する戦略助言企業、ペガサス戦略有限会社の社長だとも見なされている。彼の弁護士リー・スコット・ウォロスキーは「重要な国家安全保障の職位で、三人のアメリカ大統領に仕えた。

 2016年に、アドリアン・ホン・チャンは、北朝鮮体制にうまく対抗するには、亡命政府樹立が不可欠だという結論に至った。2016年1月、サンディエゴ・ユニオン・トリビューンに掲載された記事で彼はこう書いていた。「我々は、リビアのカダフィ後、部外者が競い合う派閥を支持して、イスラム国家に役立ち、平和と自由に値する民衆を傷つけた過ちの繰り返しを避けなければならない。」 提案された亡命政府は、朝鮮民主主義人民共和国でいくぶん影響力を持ったままでいる高位亡命者で構成されていなければならなかった。理想的には脱北者は名誉を傷つけられたキム一族の一員や親類を含むべきなのだ。

 韓国の保守的放送局が、アドリアン・ホン・チャンが、何度となく、金正男が自由朝鮮を率いるよう提案したと報じたが、金正男は毎回拒否した。ワシントン・ポストと韓国の朝鮮日報の両方が、以前これについて書いた。

 保守的な韓国新聞、朝鮮日報は、金正男の息子キム・ハンソル(金漢率)救出後に明白になったが、アドリアン・ホン・チャンと彼のチームが、アメリカ諜報機関と協力していると公然と報じていた。(北朝鮮に関する「えたいの知れない記事」で悪名高いことを指摘するべきだが)この放送局によれば、CIA工作員が、(彼が中国に戻るのを避けようとする試みで、そこに隠れていたかのように)第三国へ向かう途上だったキム・ハンソルを、台北で空港から「連れ去り」、アメリカ(もう一つの説によれば、彼は政府機関職員に、自発的に同伴するよう説得された)に送った。アドリアン・ホン・チャンは「マドリッド大使館の資料を、FBIに引き渡した」。

 キム・ハンソルについては、2019年5月29日、どうやら前述のうわさに応えて、自由朝鮮が、「アドリアン・ホン・チャンとクリストファー・アーンのための自由」キャンペーンを始めて、千里馬民間防衛組織を世界に紹介するのに役立つビデオを発表して、金正男の息子を巻き込んでいる。

 映像は、彼らの支援に対して、アドリアン・ホン・チャンと彼のチームに感謝を表明するキム・ハンソルを描写している。彼はキム・ハンソルの父親金正男が暗殺された時にも、朝鮮民主主義人民共和国のジュネーブの国連常任委員次席だったチョー・ミョンナムが署名した彼のパスポートの一部を見せた。発表された最初のビデオで、この情報はピンボケで、若者がアドリアンの名に言及する際、彼の声は常にくぐもっている。

 組織のウェブサイトと韓国のチャンネルAは、彼の父親が殺された後、アドリアン・ホン・チャンに語ったキム・ハンソルの助けの依頼と両名の写真を公表にした。写真は前に国際メディアが公表していたが、その信ぴょう性は問われていた。

 二つの情報源は、自由朝鮮を支持するウェブサイト: www.freefj.isとwww.supportfj.orgを売り込んだ。だがさらに興味深いのは、彼の父親が暗殺される前でさえ、キム・ハンソルがアドリアンと彼のチームとつながりを持っていたように思われることだ。金正男と息子の関係は、多くの理由で複雑だった。第一に、彼の父親が、日本訪問中に苦境に陥ったのは、キム・ハンソルのためだったと信じられている。第二に、彼の死の前に、金正男は再婚し、新しい家族を始めており、彼の暗殺の時点で、彼の愛人、元高麗航空客室乗務員と一緒に暮らしていた。第三に、金正男はさまざまなインタビューで、彼の息子を、冒険を求め、無制限の自由を楽しむ若者だと説明して、息子、キム・ハンソルとは問題があると述べていた。

 著者が最初にこの事件を扱い始めた時以来、彼はこの殺人に対しては、北朝鮮同様に、韓国の関与がありそうだと指摘してきた。千里馬民間防衛の活動家が、二年後にマドリッドの朝鮮民主主義人民共和国大使館を攻撃した際、ねじれた謎が実体化し始めた、つまり、彼の父親の死後、金正男の息子を救助することで名声を得た組織は、実際は、彼の暗殺の背後にいたのだ。

 もちろん事件のこの解釈は、多くの仮定と他の「大いにありそうな」陳述によって裏付けられ、確かに陰謀理論に似ている。だがそれでも、もし我々が、朝鮮民主主義人民共和国の関与という主張を支持するために使われている大まかな証拠を考えれば、我々の理論は確実に利点がある。

 アドリアン・ホン・チャンの組織が殺害を組織した可能性はあるだろうか? 理論上、我々が多くの要因を考慮すれば、その可能性はある。第一に、もし金正男が(その元の形ではなく)実際に二成分版VX神経ガスで毒殺されたのなら、この武器の二つの成分は研究所で合成できたはずだ。事件に関する調査の初めに発見された研究所が毒を作るために使われた可能性はある。だが調査の過程で、この場所に関するあらゆる言及も止まった。

 第二に、おそらく金正男毒殺に責任がある女性たちは、北朝鮮系ではない人々と交流できたはずなのだ。我々は読者に、弁護士が最初に被告のために働き始めたとき、彼らの物語が異なっていたことを想起させたい。事件のこの大本の版によれば「いたずら」の後で女性たちは彼らのスポンサーに会っており、それは後者が殺人の直後に出国したはずがないことを意味する。

 加えて、二人の若い女性は、ソーシャル・メディアで、明らかに日本人や韓国人とおぼしき人々と知り合いだった。実際、被告の一人は確かに韓国を訪問し、彼女のスポンサーだった多くの韓国人のフェースブック知人がいた。千里馬民間防衛メンバーは確かにこの記述にぴったりだ。

 女性たちがつきあった人々と、マレーシアを去った朝鮮民主主義人民共和国国民との関係を確立するという考えはその後に起きたものだ。物語の大本版は、李ジョンチョルが、女性たちを車で送ったことが明らかになったためか、二人の女性に証言を変えるよう弁護士が説得したという事実によって、変化した。

 それでも、マレーシアを去った四人の朝鮮民主主義人民共和国国民に対し、インターポールがレッドノーティス(発見したら手配元の国に引き渡す方向で協力するよう各国に要請するもの)を出したが、彼らは捜査担当者による尋問のため指名手配されているだけで、有罪と証明されるまでは無罪だ。同様に、大使館にいて、調査途上で、事件の容疑者になった二人の北朝鮮国民は、捜査担当者には彼らを尋問する可能性があったので、公式にあらゆる悪口の嫌疑が晴れていることは指摘する価値がある。韓国諜報局により、暗殺を巧みに操り、化学工学学士号のため毒を合成したとして告訴されていた李ジョンチョルも、早くに犯罪の嫌疑は晴れている。

 実際的理由で、弁護士は完全な防衛戦略を選択して、死刑宣告から二人の女性を救うことが可能になった。弁護団は数人の「神秘的な」北朝鮮人が暗殺の画策に責任があったと主張したが、不幸にも、彼らには尋問することができなかった。二人の若い女性は、彼らがいたずらをしようとしていたと思うようだまされて、誰も殺す意図を持っていない被害者だった。彼らの戦略はうまくいった、女性の一人は釈放された(だが法廷はその決定が免罪ではないと明示した)、もう一人は、より軽い犯罪で告訴され短い刑期を勤めた後、仮釈放されることが可能になった。

 第三に、暗殺の背後の連中は、キム・ハンソルから金正男のマレーシア訪問のことを知ることができたはずだ。自由朝鮮メンバーが、若者と連絡をとり、彼を父親に敵対させたか、彼から有用な情報を引き出すことに成功した可能性はある。

 次に、殺害の動機を調べよう。金正男が、ランカウイで彼に対してなされた、彼が断ることができないはずの最後の申し出を拒絶し、それで彼が殺されたという可能性を我々は排除することができない。彼の息子は亡命政府中の役割で、遥かに良い候補者であることが判明した可能性がある。

 だが、実際は金正男を暗殺する別の理由があったのだ。第一に、彼の死は、おそらく朝鮮民主主義人民共和国政権の残虐性と妥協しないことの申し分のない例として役立つよう意図されていたのだ。賭は成果をあげ、結果的に、アメリカはテロ支援国リストに北朝鮮を載せ、次に化学兵器の使用のかどで、北朝鮮に制裁を課した。

 第二に、もし我々が故人が北朝鮮の秘密作戦の責任者だったと想像すれば、彼の死は彼が中心にいた非合法コネ・ネットワークに打撃を与えただろう。結局、彼の死の時点で彼の所有として見いだされた現金は、マレーシアでの北朝鮮商品の合法、非合法、両方の貿易の所得であった可能性がある。李ジョンチョルの事件から、このような市場が存在するのを我々は知っている。彼は北朝鮮のために金を得て、同じくアメリカ制裁下の商品を朝鮮民主主義人民共和国にもたらす仲介者だった。李ジョンチョルは、金正男暗殺で、結局彼の疑わしい関与の容疑で逮捕されたが、犯罪で告訴するのに十分な彼に不利となる証拠がなかったため、彼は追放された。彼の釈放のすぐ後、彼は、とりわけ捜査担当者が、彼に特定の自白をするようしきりに促したと述べる記者会見を行った。加えて、李ジョンチョルは、マレーシア人のみならず、韓国情報局員らしき人物にも尋問されたと述べた。この市場の崩壊は、朝鮮民主主義人民共和国への重大な経済的打撃だったに違いない。

 おそらく、千里馬民間防衛のメンバーが韓国諜報機関と協調して行動したか、少なくとも、韓国諜報機関に彼らの計画を知らせたのだ。このおかげで、マレーシア捜査担当者が同じ結論に至るずっと前に、韓国諜報機関が暗殺に「関与した」人々の間の結びつきに関する詳細報告を発行することを可能にしたのだ。更に、いずれかの時点で、調査を担当しているマレーシア当局が益々韓国の援助に頼り始めたという印象を私は受ける。結局、彼らは韓国諜報機関に提出された理論を、単に証明が必要なものとして扱い始めたのだ。

 保守主義者の黄教安が大統領として韓国の権力の座にいた間に殺害が行われたことを我々は忘れるべきではない。だから、それは彼らの支配の間に計画されていたに違いないのだ。だが韓国では権力は所有者が変わり、文在寅が国家情報院の「春の洗浄」を組織化した途端、アドリアン・ホン・チャンとクリストファー・アーンとのどんなつながりも断たれ得たはずだ。一方で、二人は前に利用できた資源に欠けていたが、他方で、彼らが計画を他の誰とも調整する必要がなくなり、彼らはテロを実行する決断をしたのだ。

 著者としては、これは単なる理論であることを繰り返したいと思うが、もしそれが真実から遠くないことが分かっても決して驚くまい。当面、我々は注意深く金正男の暗殺や、自由朝鮮に関連するあらゆるニュースを追い続けるつもりだ。多くの興味深い展開が起こるだろうことを我々は確信している!

 コンスタンチン・アスモロフは、歴史学博士、ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮研究センター主任研究員。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/03/were-adrian-hong-s-associates-responsible-for-murder-of-kim-jong-un-s-brother/

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 不思議なことに、今朝確認してみようと、この原文のサイトを見ようとしたが、Forbiddenという表示がでて全く読めない。どうしたのだろう。(11時確認した所、復活している。)同じ筆者によるこの話題の記事は下記を翻訳してある。

 今日の日刊ゲンダイ DIGITALに、孫崎享氏の記事がある。

安倍首相は完全に「蚊帳の外」だった板門店の米朝首脳会談

 昨日は、スラップ訴訟裁判の日だった。判決言い渡しは9月12日。

昨日4日、維新の会「生みの親」橋下徹氏からのスラップ訴訟の最終弁論が開かれ、岩上安身が法廷で意見陳述を行いました! 判決の言い渡しは9月12日! この不当な訴訟により、岩上安身は肉体的にも精神的にも経済的にも大きなダメージを受け、IWJの損害は1800万円以上に及んでいます! どうぞご支援、応援よろしくお願いいたします!

 大阪維新の有名人についての下記記事を読んだ。

ナチス突撃隊張りの足立康吏衆院議員の野党攻撃、維新は結社の自由、政党の存在を否定するのか
-大阪維新のこれから(9)-
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)

 

2019年7月 4日 (木)

リベラリズムは欧米を弱体化させた破綻したイデオロギーだとプーチン大統領

2019年6月29日
Paul Craig Roberts

 「リベラリズムという考えは陳腐化している。それは圧倒的多数の国民の利益と対立するようになった。」 - ウラジーミル・プーチン、ロシア大統領 https://on.rt.com/9x4u

 プーチンの声明が重要なのは、それが正しいだけでなく、ロシアのリベラル大西洋主義者による政策を拒絶している点にある。欧米の世界経済上の利権に、ロシアの国益を従属させようと努める欧米権益と連携する、大西洋主義者と呼ばれる、リベラルなロシア人の集団は、余りに長い間ロシアで容認されてきた。プーチンは、ずっと前に彼らを解任すべきだった。大西洋主義者の政策は、ロシアの主権を世界的権益の犠牲にして、ロシア経済に損害を与えた。現代欧米芸術や文化の特徴である頽廃のロシアへの導入も、彼らは支持している。https://russia-insider.com/en/christianity/russian-christians-interupt-play-glorifying-sodomy-urge-audience-leave-many-do/ri27310 See also: https://russia-insider.com/en/violence-erupts-west-turns-its-sexual-subversion-weapon-georgia/ri27312

 プーチンのリベラリズム拒絶は、大西洋主義者の拒絶を暗示している。これらアメリカ模倣者の危険な考えがロシア政府から一掃されれば、ロシアの隆盛も一層早まるだろう。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/06/29/putin-said-that-liberalism-is-a-failed-ideology-that-has-undermined-the-west/

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 まれにオペラやバレーを鑑賞するが、ほとんどロシアのもの。数日前には、国立モスクワ音楽院室内合唱団を聞いた。第一部は古典と現代音楽。第二部はロシア民謡とソビエトの愛唱歌。第二次世界大戦にまつわる歌「おお、道よ」や「鶴」、翻訳歌詞の意味は、「愛唱」というには重すぎる。

 対韓半導体輸出規制には驚いている。今日の孫崎享氏のメルマガ題名:

対韓半導体輸出規制の動き。なぜ自由貿易か。双方に利益あるから。輸出規制は双方にマイナス。韓国企業に大打撃。それは確かだ。だが供給者の日本企業は供給なしでマイナス。さらに関連日本企業もマイナス。韓国内製化→中長期に打撃。関連記事転載。

 「党首討論」見ていない。大本営広報部のいい加減な司会だったようだ。

日刊IWJガイド「いよいよ運命の夏が始まる! 本日、参院選の公示日! 争点は改憲と金! 」 2019.7.4日号~No.2485号~(2019.7.4 8時00分)

 

2019年7月 3日 (水)

独立記念日の憂鬱な考え

2019年7月2日
Paul Craig Roberts

 愚かものの集団たる人類は、自身を危うくする判断をし続けている。

 例えば、飛来するICBM警告システムの単純な間違いが、地球上全ての生活を終わらせ得る。核兵器を発明した超聡明な阿呆どもは、自分たちの創造物がもたらしかねない、思いがけない結果を考えられなかった。連中はナチを打倒しようと願ったが、それが連中の想像力の限界だった。

 もし、この例がお気にめさなければ、これをお考え願いたい。デジタル革命は、電力系統を動かしているもののような通信管理システムに、我々が依存するようにさせたが、この電力系統は、我々が頼りにしている太陽で二、三千年に一度生じるスーパーフレアで駄目になるし、ハッカーによっても停止されかねない。https://www.airspacemag.com/daily-planet/yet-another-looming-disaster-180972494/?spMailingID=40059465&spUserID=NzQwNDU0NzQ5NDMS1&spJobID=1542273286&spReportId=MTU0MjI3MzI4NgS2

 私の理解では、大気中での核爆発でも同じことが起こり得る。電力系統が停止すれば、原子炉は過熱し、福島炉心溶融を起こし得る。多数のこのような炉心溶融の結果を想像願いたい。それでも、我々はこれらの危険な技術や、オーウェル風警察国家の存在を受け入れている。

 一体なぜだろう? 人類が愚かだからだ。合理的決定をする能力がある大いに知的な人間以外の動物と異なり、人間は目先のことしか見えないのだ。人間が反応するのは金のにおいだ。

 そして5Gの展開に関連した技術の健康リスクがある。たとえば以下を参照。https://www.paulcraigroberts.org/2019/06/29/5g-the-stupidest-idea-in-the-history-of-the-world/

 にもかかわらず、物質的利益、すなわち企業収益のためになるので、5Gは次々と展開されている。これら利益の外部費用は、もし異議を唱える多くの科学者や医療関係者が正しければ、医療費、不妊、苦悶や寿命短縮などで、5Gの全利益を大きく上回る。

 だが政府や5G企業が、気にかけるなどと思ってはいけない。

 アメリカ人は洗脳された羊になっている。おそらく粉砕されて消えてなくなるまで、彼らは洗脳された羊のままだろう。洗脳された人々は反乱を起こす能力があるのだろか?

 今年7月4日、すぐにそうと分かるわが国の圧制者に対し、誰も蜂起を呼びかけるまい。公共の場で話すのを許されている連中全員が、わが国の圧制者に雇われているからだ。

 アメリカ人は救出が困難なほど『マトリックス』にがっちり閉じ込められている。

 世界が「素晴らしいアメリカ民主主義」に直面する際には、世界は、クリントン政権以来、その使用へ制約が取り去られている核兵器に裏付けられた物質的利益の支配に洗脳された大衆と直面するのだ。

 洗脳されたアメリカ人は、独立記念日に旗を振って唱えるだろう:USA、USA、USA。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/02/unhappy-thoughts-for-the-fourth-of-july/

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 ポール・クレイグ・ロバーツ氏、再三『マトリックス』に触れている。たとえば昨年の記事は、明日は『マトリックス』強化の日

ジュリアン・アサンジ拷問

2019年7月1日
Paul Craig Roberts

 数日で7月4日がやってくる。我々は、イギリス植民地状態から、我々の自由を勝ち取った何と素晴らしい民主主義であるかについて無頓着な演説者や論説委員から果てしないたわごとを聞かされるだろう。

 アメリカがまず間違いなく、そうではないものの一つは民主主義国家だ。民主主義国家は、情報に通じた有権者を必要とするが、アメリカは最まず間違いなく、情報に通じた有権者がいない。アメリカ・メディア、実際、欧米の印刷とTVメディア丸々、ワシントンとひと握りの支配者集団のための宣伝省として機能している。言論は支配層の狙いに役立つよう制御されている。ジュリアン・アサンジの迫害と拷問が、アメリカ憲法修正第一条が空文化した修正であることを決定的に証明している。

 偉大なアメリカ民主主義ご自慢の、法による支配は、空文化した法の支配だ。クリントン政権以来、アメリカでは、勝利した連合国自身の戦争犯罪から目をそらすため、遡及してニュルンベルグで裁かれたドイツのナチスより、戦争犯罪上、ずっと有罪な大統領と高官連中で構成された4つの犯罪政権が続いている。

 誠実なジャーナリストなしで民主主義国家が専制政治になるのを阻止するのは不可能だ。アメリカで専制政治は遥かに進んでいる。拷問に関する国連特別報告者ニルス・メルツァーが明らかにした、ジュリアン・アサンジの完全な潔白に関する真実に、アメリカ人が何らかの方法で気が付いたと想像願いたい。暴力的な革命と、支配層の完全な排除以外、それについて国民は一体何をすることができようか?

 以前は、アメリカ憲法は崇拝されていたが、今日では、法学部や裁判官さえ、回避する方法を見いだすべきものとして、憲法を見ている。アメリカ人の圧倒的多数が、憲法が自分たちの独立と自由の防波堤だと考えていない。

 アメリカ人は一体感も失った。大量移民が団結しようのない多様性を生み出した。団結のかわりにあるのは、アイデンティティ政治による分裂だ。優先される少数人種や性のほうが、コアな国民より有利なのだ。こうした深刻な問題のいずれも、7月4日の演説は触れないだろう。

 アサンジの処遇を調査することで、人類に対する政府犯罪を明らかしてはならないという前例を確立するために、作り出された全く偽りの構図から、ニルス・メルツァーがどのように自由になったか述べている。「アメリカ民主主義」において、国民は知ることを許されないのだ。

 「結局、私はプロパガンダで目をくらませられていて、彼があばいた犯罪から注目を逸らすために、アサンジが組織的に中傷されていたことを、とうとう、私はわかり始めた。我々が火あぶりの刑に処した魔女と全く同じように、隔離と、ちょう笑と恥辱によって、人間性を奪ってしまった後は、世界的に大衆の怒りを引き起こすことなしに、最も基本的な権利を彼から奪うのは容易だった。こうして、我々自身の無頓着さを良いことに、こっそりと、前例が確立されつつあるが、それは将来、ガーディアンやニューヨーク・タイムズやABCニュースによる暴露にも、同じように適用され得るし、適用されるだろう。

 「たとえそうであっても、世界中で無数の他の人々がに拷問にかけられている時に、どうしてアサンジばかりにそれほど大騒ぎするのか?と思われるかもしれない。なぜならこれは、アサンジを守るのみならず、西洋民主主義の運命を封ずる可能性が高い前例を防ぐためだからだ。権力者連中は罰を受けずに済む状態で、真実を語ることが犯罪になってしまえば、軌道修正には手遅れなのだ。我々の意見は検閲に、我々の運命は、とどまるところを知らない専制権力に、屈してしまうだろう。

 「ガーディアン、タイムズ、ファイナンシャル・タイムズ、シドニー・モーニングヘラルド、オーストラリアン、キャンベラ・タイムズ、テレグラフ、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、トムソンロイター財団とニューズウィークに、この論説を掲載するよう提供した。

 一社も前向きに対応しなかった。」

 ニルス・メルツァーはスイス人学者で国際法分野の著者で弁護士。2016年11月1日から、メルツァーは、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する国際連合特別報告者をつとめている。

本記事は "Medium"初出。https://medium.com/@njmelzer/demasking-the-torture-of-julian-assange-b252ffdcb768

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/01/the-torture-of-julian-assange/

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  報道、世界中で、大本営広報部呆導。

 本日から明日にかけ九州地方を中心に猛烈な雨だという。昨年、下記IWJインタビューを拝聴したことを覚えている。

 IWJは昨年7月に西日本を襲った豪雨被害について、現地に記者を派遣して詳細なレポートを行い、また、岩上安身がダム行政や治水事業に詳しい拓殖大学政経学部の関良基教授とジャーナリストのまさのあつこ氏にインタビューを行っています。ぜひ、以下の記事をご覧ください。

※問題だらけの治水事業! 西日本豪雨被害は天災ではなく人災!? 大都市圏を豪雨が襲うリスクに迫る! 岩上安身による拓殖大関良基教授+ジャーナリストまさのあつこ氏インタビュー 2018.7.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/427924

 

2019年7月 2日 (火)

一帯一路構想:批判者と新メンバー

2019年6月20日
ニーナ・レベデワ
New Eastern Outlook

 北京での第2回BRF -2019サミットは、2016年に、以前の名、「一帯一路One Belt, One Road (OBOR)」を「Belt Road Initiative帯路構想(BRI)」に変えたこのインフラ・プロジェクトの実績を示す画期的な催しとなった。「帯」は陸上経路、一方「路」は海上航路を表すが、無数の異なる側枝が作成されたので「一、一」は名前から取り除かれた。

 サミット主催者として、中国は以下の6つのカテゴリーに細分された283の成果案件を含む、実質的な成果と参加者に対する討論用の疑問と提案のリストを提供した。「1)中国に提案されたか、着手された構想; 2)2回目のBRFの前、あるいは、すぐに署名された二国間、多国間の文書;3) BRF枠組みの下での多国間協力メカニズム;4)投資プロジェクトとプロジェクト・リスト;5)資金調達プロジェクト;6)地方自治体と企業によるプロジェクト」。これらの協定には、赤道ギニア、リベリア、ルクセンブルグ、ジャマイカ、ペルー、イタリア、バルバドス、キプロス、イエメンと、セルビア、ジブチ、パプアニューギニア、アフリカ連合と一緒の行動計画、国際連合人間居住計画(国連ハビタット)、国連アフリカ経済委員会や他のものに署名された覚書が含まれている。明らかに、このような業績は強い印象を与えざるを得ない。

 中国国家主席を始めとした高官は(一斉に)全員成功について語った。OBORに関する前のNew Eastern Outlook記事で強調したように、習近平は演説で、多くのプロジェクトにまつわる間違いや危険があったことを初めて認め、将来「共に利益になる」手法に従うことを約束した。同様に、王毅外務大臣も、BRIは「国々が落ち込みかねない「借金地獄」ではなく、現地に恩恵をもたらす「経済的なパイ」」であることを聴衆に納得させようとした。2019年サミット中、中華人民共和国の劉昆財務大臣は「リスクを防ぎ、解決するための債務の持続可能性の枠組み」構築計画を発表した。

 習近平主席が、グローバルなメディアによって強化することを意図している中国の宣伝機関が、常に構想の背後にある原動力だったのは確実だ。まさしくこの目的で、2017年に一帯一路ニュースネットワーク(BRNN)が設立された。それは86カ国の182以上の印刷媒体を含んでいる。彼らの目的は批判に対処し、不都合な事実は軽く扱い、構想の立場を高め、それに関する肯定的なニュース記事を出版することだ。これを達成するため、ジャーナリストが北京での研修に招かれた。

 中国が他国に、自身の装置や材料や労働者を持ち込み、現地資源を利用したり、雇用を生んだりしかった事実に不賛成を表明する人々の数が減らないので、それは適切な措置だった。建設工事を管理し、その後、現場を経営する基準も非常に低かった。多くの例で、まともな土地が現地から没収された。あちこちで北京は多少の譲歩をし、マハティール・ビン・モハマド首相が厳しい声明を出した後、マレーシアでの140億ドル大プロジェクト経費は3分の1切り下げられた。パキスタンやタイやラオスなどとの協定が再交渉され、負債レベルを引き下げる処置がとられた。

 習近平国家主席は、2019年のサミットに、37人の外国の国家指導者を招待したが、更に多くの人々が次の催しに出席すると予想している。彼は全ての国の中でも、日本がBRIへの参加希望を表明することに、まだ希望を待ち続けている。一方、東京の戦略立案者たちはBRIについては複雑な心境だ。一面では、一帯一路構想は、日本の権益と、日本の主要同盟国アメリカの権益を犠牲にして、北京の世界的立場を強化するプロジェクトと見なされている。また一面では、日本は二つの重要なパートナーの間で引き裂かれている。中国は重要な貿易相手国だが、アメリカは安全の重要な保証人だ。公式には東京はBRIの一部ではないが、2018年10月、長い歴史がある輸送企業日新が、シノトランス社(中国対外貿易運輸総公司)とヨーロッパでの商品輸送路線試験運用を始動した。このような協力は多くの例がある。アメリカの他の同盟国やパートナー諸国と同様、日本はユーラシア統合の取り組みに将来性を見ている。BRIの背後にある原則を一貫して長い間拒絶していたインドさえ、中国が設立したアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の大きい融資を組んだ。

 2回目のBRFで、「現代のマルコ・ポーロ」が3月、ローマで23の覚書と、約30の他の異なったタイプの文書に署名したイタリアに、習近平主席は最も暖かな挨拶をした。イタリアは公式に中国の大プロジェクトを支持する、7カ国グループ(G7)で最初の先進西欧国となった。イタリアが協定を準備するため外交努力を続けるにつれ、大陸の近隣諸国に「ドミノ効果」を持ち得る、確立された秩序(評論家たちによれば)の転覆に既に成功したのだ。皮肉にも一日前(3月22日に)、欧州理事会(EC)は、中国に対するEUの全体戦略を論じるため会合した。新しい欧州連合(EU)の取り組みで、北京はヨーロッパの「体制的ライバル」として初めて言及された。中国と3つのヨーロッパの国、ドイツとフランスとイギリス間の貿易量が目立って増加したにもかかわらず、これが起きた。ユーロスタットデータによれば、2018年、ドイツは中国に938億ユーロ(1060億ドル)の商品を輸出した、イギリスの輸出は234億ユーロ、フランス208億ユーロで、イタリアは(4位で)131.7億ユーロドルだ。

 EUが中国に対する旧い2016年戦略を置き換えるため、様々な展望を策定していた間に、中華人民共和国は「ゆっくりとEUの「柔らかい」中央と南周辺を突き崩した」。2012年から、それは「16 + 1″プラットホームを経由して11の新たなEU加盟国の支持と5つの潜在的なEU候補を獲得した。後にギリシャ(2018年8月)とポルトガル(2019年1月)がBRIの一部になった。

 イタリアはBRIからどんな形で恩恵を得ようと期待しているのだろう? 意欲的な覚書は物流分野、輸送インフラ、人的交流、貿易障壁の引き下げ、環境保護、財政、投資障壁の撤廃で協力を深めるイタリアと中国の意図を概説している。中華人民共和国の海のシルクロード構想(BRIの不可欠な一部)の枠組みで、イタリアは中国にとって、ヨーロッパにおける重要な戦略パートナーだ。ずっと前に考え出され、現在実行されている「5つの港」概念によれば、北京は北アドリア海港湾協会を通して、スロベニアのコペルと、クロアチアでリエカ(元イタリア領フューメ)と同様、ベニス、トリエステ、ラベンナとの結びつきを確立するだろう。

 近年、経済成長がかなり緩慢なイタリアは、BRI加盟のおかげで、中国との貿易が増加することを期待している。結果として、上記ヨーロッパ諸国に、イタリアが追いつくことが可能になり、例えば、中国の巨大複合企業から何億ドルも受ける予定のトリエステのように、港湾インフラへの投資を引き付ける機会が増す。一方、中国は、時間とともにイタリア経由で他の主要西欧諸国へのアクセスを得ることを望んでいる。

 マッテオ・サルヴィーニ副首相は(おそらく彼は、BRIに突きつけられた批判を覚えているのだ)北京とのどんな協定の契約条件であれ、イタリア政府は手ごわく交渉すると強調した。彼は「我々は誰とでも話をする用意があるが、もし外国企業イタリアを植民地化する話題なら、我々は決してそうする用意はない」と述べた。マッテオ・サルヴィーニは、戦略上重要な部門が損なわれないことを保証するため、出資を受ける分野を監視することは重要だとを警告した、すなわち「イタリアの機微な情報は、イタリアの手中になければならない」と。

 イタリアにとって、金融と負債の「罠」になりかねない中国大規模プロジェクトの一部になることを思いとどまらせる機会を、ワシントンは見逃さなかった。ヨーロッパの首都からも類似の警告が当然おこなわれ、北京とのより親密な結びつきを求めるのは、欧州連合の枠組みを通してのみ(中国に対するEUの2016年戦略に従ってもしほかに何もなければ)可能であることをローマに想起させた。しかしながら、ジョージ・C ・マーシャル安全保障ヨーロッパセンターの戦略イニシアチブ部門の議長イタリア人政治学者ヴァルボナ・ゼネリによれば「イタリアは、ヨーロッパで最も重要な経済的、政治的当事者の一つで、イタリアを排除する、あらゆるEU対応は、不完全で、成功しない」。彼女の意見に同意するのが合理的だろう。

 ローマの運命に対する海の反対側からと、ヨーロッパからの警告をローマは無視することに決めたのだ。だから我々は、この結果を 1)中国対アメリカのサッカー試合の得点は、1 - 0 2)イタリアからの「軽い警告」、あるいは 3)現在の世界秩序の中で、時代の流れに乗らないのは危険であるという有効な指標だと見なすことができる。

 アメリカの専門家連中さえこの傾向を把握し始めた。ランド研究所の専門家たちが行った「中国一帯一路構想:国際貿易に対する輸送接続性改善の影響を測定する」(2018年8月)という題の包括的な分析は、世界経済のこの部門に対するプロジェクトの増大する影響に関するBRF-2019の際の、習近平主席の言葉を文字通りおうむ返しにしている。もう一つの有名なアメリカの機関シティグループのGPSが、2018年12月に「五年目の中国の一帯一路」進捗報告を出版した。文書は書類情報や様々なの数値やグラフを用いて、一帯一路構想が、どのように(すでに)次第に中華人民共和国中心の「1対多」モデルから、より多面的で包括的な「多数対多数」に変わりつつあるかについて概説している。

 2018年11月、APECサミットでの演説で、(とりわけ)マイク・ペンス副大統領が、アメリカが中国より「良い進路」を提示しているという意見を公式に広め続けた。彼はアメリカ企業が雇用を生み出し、ハイテク部門が地域に繁栄をもたらすと言って、この選択肢を手短に説明した。それでも、アジアの何百万人もの人々は、言葉の約束だけでなく、実際に物理的インフラを必要としているように見える。

 それ故、一帯一路構想は、話題の興味深い論争の的のままだ。だが、この構想の支援者を中傷者から切り離す傾向は依然存在するものの、最近、懐疑論者の数が益々減少し、参加者の数が増加し続けていることを認めずにいるのは困難だ。

 ニーナ・レベデワは歴史学修士、ロシア科学アカデミー東洋研究所インド研究センター主任研究員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/06/20/obor-initiative-critics-and-new-members/

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 宗主国も属国も、外交ではなく、害行が得意。

日刊IWJガイド「板門店での米北韓首脳の歴史的再会の裏で『ぼっち』の日本は韓国への半導体原材料の輸出規制強化を発表! 『徴用工問題への対抗措置ではない』と言いながら、G20で掲げた自由貿易の理念へのダブルスタンダード!? 韓国はWTOへの提訴検討を発表!」 2019.7.2日号~No.2483号~(2019.7.2 8時00分)

 

2019年7月 1日 (月)

保護を失った「自由」

2019年6月28日
Paul Craig Roberts

 7月4日は哀悼で日あるべきだ。我々の先祖がそのために戦った権利は奪い去られた。

 私の人生の上で、司法当局の憲法上の権利に対する姿勢に基本的変化があった。憲法上の権利のいかなる減少も警戒することが、もう一人の犯罪人に有罪宜告するより重要だと考えられていた頃を私は覚えている。人に有罪宜告するために必要とされる証拠は、憲法上の権利を侵害して、収集したり、もし、そうして収集されていたりした場合、使用できい事例があった。警察や検察官や裁判が、彼らの権利を侵害したがゆえに、犯罪者が無罪放免になった多くの例がある。無思慮な大衆の多くは裁判官が犯罪者を放免するのを激怒するだろう。大衆は裁判官が、犯罪者の権利と同様、彼らの権利も守っていたことを理解できなかったのだ。

 これは古くからある問題だ。ロバート・ボルトの芝居『すべての季節の男』では、犯罪者をもっと良く追跡するために法律を曲げるのを拒否したことで大法官トマス・モアが批判される。トーマス卿が彼を批判する人々に尋ねる。悪魔を追いかけるために、もし私が法律を切り詰めたら、当局が無辜の人々を攻撃した際、彼らに一体何が起こるだろうか? この疑問は、以前は、法廷で強力な存在感があった。

 私の人生の間に、憲法上の権利を守ることから、憲法を法の執行に対する障害と見ることへと重点が移行した。一人の個人、あるいは個人の集合に有罪を宜告するため、皆を保護する憲法上の権利を無視する先例が確立された。更に一人の罪人を、より容易に有罪を宜告できるよう、司法当局は全国民の憲法による保護を剥奪し始めた。

ラリー・ストラットンと私は著書『The Tyranny of Good Intentions』で、人々を守る楯から政府手中の武器へと、法律がどのように変えられたか書いた。( https://www.amazon.com/Tyranny-Good-Intentions-Prosecutors-Constitution/dp/0307396061/ref=sr_1_4?crid=3MJ5WKAER6NZA&keywords=paul+craig+roberts+books&qid=1561671688&s=books&sprefix=Paul+Craig%2Caps%2C144&sr=1-4 )「犯罪に対する戦争」「麻薬に対する戦争」「児童虐待に対する戦争」「対テロ戦争」がアメリカ憲法を凌遅刑でじわじわ破壊したのだ。

 ほとんど誰も犯罪者が自由の身になることは望まないが、時に犯罪者を自由の身にすることは、我々の憲法上の権利を守る唯一の方法なのだ。以前は、自由を守ることは、あらゆる犯罪者を罰するよりずっと重要だということははっきり理解されていた。ほぼ毎日、ラザフォード研究所のジョン・ホワイトヘッドが、消えつつある我々の権利の例をあげている。たとえば以下を参照。https://mailchi.mp/rutherford/us-supreme-court-rules-that-police-can-forcibly-warrantlessly-carry-out-blood-draws-on-unconscious-drivers?e=c5472441ea

 権利章典が与えている保護をたたき切るため、法廷は無数の例外と特別な状況を使っている。私はホワイトヘッドが論じている裁判で、飲酒運転の有罪判決を支持する最高裁判所の5-4の裁定を、大半のアメリカ人は全く問題と思わないと私は請け合う。実際、もし彼らが裁判について知ったら、修正第4条の守るために立ち上がった4人の判事を「犯罪人を社会に野放しにしたがるリベラル裁判官」と彼らは痛烈に非難したはずだ。

 『すべての季節の男』でのトーマス卿の警告は無視された。今日、アメリカの犯罪的司法制度の基本目的は、有罪判決を確保するため、我々の権利を縮小することだ。慣行は実に腐敗しており、今日、アメリカ政府は、物質的利益を追い求め、アメリカ自身の法も、国際法も当たり前のように侵害している。アメリカ覇権の進路や、政府のなんらか目的を満たす虚偽の自白を得ることができる拷問を、ただの法律が阻止することなど、ネオコンには想像も及ばないのだ。ワシントンが、脅迫と弾圧政治と管理された言説に完全に頼っている現在、アメリカ外交について語ることはもはや不可能だ。

 7月4日の祝典で美しく描写されるアメリカはもはや存在していない。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

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記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/06/28/liberty-has-lost-its-protection/

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 緊急事態条項が成立すれば、自由の減少どころではなく、完全に自由が剥奪されたたファシズムが宗主国崩壊まで続くことになる。もちろん大本営広報部大政体制翼賛機関、9条のことだけを報じ、壊憲の本当の狙い、「緊急事態条項」には決して触れない。大本営広報部に頼らず、自分でお金と時間を使うしか実態を知る方法はない。

 憲法に緊急事態条項は必要か (岩波ブックレット)

 へつらうポチは好きなように搾取され、中古兵器を爆買させられ、そのうち血まで流させられる。一方、逆らう相手には、それなり礼をつくして対応する帝国。

日刊IWJガイド「朝鮮半島平和構築への動きに弾みがつくか!? 昨日6月30日、金正恩委員長とトランプ米大統領が板門店で電撃会見! なお東京六本木では『IWJファンドレイジングシンポジウム・2019 改憲か否か!? 運命の夏』を開催いたしました! 録画の視聴は今後も可能です! 引き続きIWJへのご支援・応援をお願いいたします!」 2019.7.1日号~No.2482号~(2019.7.1 8時00分)

 

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