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2024年10月18日 (金)

イスラエル国防軍兵士が殺害された時とガザで病院患者が生きたまま焼かれた時のメディア報道



ヒズボラによる19歳のイスラエル国防軍兵士4人殺害に対するマスメディア報道と、ガザでイスラエル国防軍に生きたまま焼き殺された19歳の入院患者に対するマスメディアの全くの無関心との間の大きな乖離ほど、マスメディアの悪行を具体的に示すものはない。

ケイトリン・ジョンストン
2024年10月15日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 19歳のイスラエル国防軍兵士4人のヒズボラによる殺害に対するマスメディア報道と、ガザでイスラエル国防軍に生きたまま焼き殺された19歳の入院患者に対するマスメディアの全くの無関心との間の大きな乖離ほどマスメディアの不正を示すものはない。

 月曜日のスカイニュースに「ヒズボラのドローン攻撃によるガザの学校攻撃で「23人が死亡する中、死亡した十代兵士の名前をイスラエルが発表」という衝撃的で恐ろしい見出しが掲載された。見出しは「イスラエルは、軍事基地へのヒズボラ・ドローン攻撃で犠牲になった十代の若者4人の名前を発表 ― ガザ中心部の学校への攻撃で少なくとも23人が死亡したと報じられている」という更に恐ろしい一文で始まる。

 「23人死亡」とスカイが表現する際の疑問符や受動的言葉遣いや、現役兵士が、いわれのない攻撃で「殺された」無辜の幼い子どもの「犠牲者」として描かれていることに注目願いたい。ガザでの殺害は、常に受動的に起きる「死」として主流メディアに表現され、常に「伝えられるところによると」や「ハマスが運営する保健省によると」といった疑わしい言葉で表現されるが、イスラエル人は常に「殺された」犠牲者だ。

 欧米メディアによるプロパガンダ言説は、イスラエルを好意的に、パレスチナ人を非好意的に描くために広く行われており、詳細に文書化されている。1月にさかのぼると、ザ・インターセプトが、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズなどのメディアが、10月7日のイスラエル人殺害とそれ以降数か月のパレスチナ人殺害を表現するのに全く異なる言葉を使用しており、「虐殺」「恐ろしい」「大虐殺」などの扇動的言葉が前者には一貫して使用され、後者には決して使用されていない調査結果を発表した。今年4月のザ・インターセプトの別報道で、これが偶然ではないことが明らかになった。ニューヨーク・タイムズから漏洩した内部メモは、イスラエルの情報利益を損なう特定の言葉を避けるよう明確な指示を同社職員が受けていることを明らかにした。

 戦闘で死亡したイスラエル武装兵士の名前を挙げながら、彼らを怪物に虐殺された罪のない赤ん坊としてスカイニュースが描写している様子をご覧願いたい。そして主流メディアのどこにもシャバン・アル・ダロウの名前が載っていない事実と比較願いたい。

 亡くなった時、シャバン・アル・ダロウも19歳だったが、イスラエル兵と違い、彼は病院のベッドに横たわる民間人で、彼らより遙かに苦痛に満ちた恐ろしい死を遂げた。

 最近、あなたがソーシャルメディアを少しでも利用していれば、アルアクサ殉教者病院へのイスラエル軍空爆後、炎上する地獄の中で必死に助けを求め叫びながら、点滴を受けたまま病院のベッドで焼死したアル・ダロウの胸が張り裂けるような映像を見たことがあるかもしれない。

 本稿執筆時点で、Googleニュースで私が見つけた記事の中にアル・ダロウの名前が一 回だけ登場しているが、それはMiddle East Eyeの記事だ。  
シャバン・アル・ダロウ、あなたたちが昨日焼かれるのを見た20代の若者。

 彼の記憶を忘れないで欲しい。彼の顔をよく覚えておいて欲しい。

 決して忘れないで欲しい。決して許さないで欲しい。pic.twitter.com /HMslun1HU3

— アブバケル・アベド(@AbubakerAbedW)2024年10月14日
Middle East Eyeの記事は次の通りだ。  
「ガザ地区のアル・アズハル大学でソフトウェア工学を学び、コーラン暗記者でもある19歳のシャバン・アル・ダロウは、イスラエル軍空爆によりアル・アクサ病院が攻撃され、三人死亡した後、生きながら焼死した。

 「イスラエル軍に家を破壊され、昨年強制的に避難を余儀なくされたシャバンは、2023年9月に大学で勉強を始めたばかりだった。

 「先週20人の命を奪ったイスラエルのモスク攻撃からシャバンは奇跡的に生き延びた。

 「イスラエルがガザの避難民テントキャンプの病院を攻撃し、火災に巻き込まれたシャバンと母親が亡くなった。」
 私が見つけたアル・ダロウの死に関する主流メディアの言及はどれも彼の名前をあげておらず、単に「男性」または「個人」(「十代」ではない)が火事で亡くなったと言及しているだけだ。

 「現場のビデオには、傍観者がただ見ているしかできない中、一人の男性が生きたまま焼かれる様子が映っていた」とワシントンポストは報じている

 「ソーシャルメディアで共有され、NBCニュースが確認した複数ビデオでは、生きたまま焼かれながら炎の中から手を伸ばす少なくとも一人の人物が映っていた」とNBCニュースは報じている

 これとは対照的に、イスラエル国防軍兵士4人の死亡を伝える番組では、厳粛かつ敬虔な態度で彼らの名前を読み上げ「4人全員まだ19歳だった」事実をスカイニュースは繰り返し強調した。

 2018年にルパート・マードックがコムキャストに売却したスカイニュースは、ここ数日、イスラエル犯罪の増加を好意的に伝えるために残業している。兵士四人を殺害したヒズボラ攻撃に関する日曜夜の報道は、攻撃が軍事基地に対するものだった事実に一言も触れずに、イスラエルのショッピングセンターか何かをヒズボラが攻撃したという印象しか視聴者に残さなかった。イスラエルへのイラン・ミサイル攻撃に関するロンドンの対応についてのスカイニュース記事は、アル・ダロウが殺害されたガザの燃える医療センターの写真を主要画像として使い、建物火災はイスラエルではなくイランが引き起こしたと示唆したとして非難された

 イスラエル人とパレスチナ人の死者に関する主流メディアの報道方法に大きな差があるのは、主流メディアがアメリカを中心とした中央集権的な権力同盟のためのプロパガンダ機関である証拠だ。しかし、それはまた、パレスチナ人が、欧米諸国の政治メディアに、人間として見なされていない証拠でもある。

 レバノン人作家リナ・ムンザーは最近こう書いている。「昨年で最も痛ましい実感は何かと、アラブ人に尋ねてみれば、我々が人間性を奪われた程度が余に大き過ぎて、以前と同じように暮らすのは不可能だと分かるだろう。」

 アーロン・ブッシュネルは自ら焼死する前にこう言った。「これが我々の支配階級が正常だと決めたことだ。」

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/15/the-media-when-idf-soldiers-get-killed-vs-when-a-hospital-patient-is-burned-alive-in-gaza/

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 日刊IWJガイド
「ガザにおいてジェノサイドの最終段階が始まった! 食料、水、医薬品を遮断し、残留した人々を軍事目標とする『将軍の計画』の開始!」2024.10.18号

■はじめに~イスラエルはガザのパレスチナ人皆殺し作戦を最後までやり抜くつもりでいる! 連日のようにガザ全域の難民キャンプで、無力なパレスチナ人難民を数十人を単位で殺害! 北部ジャバリア難民キャンプで、食料、水、医薬品の供給を完全に遮断し、残留した人々を軍事目標とする、イスラエルの「将軍の計画」が始まった兆候があると人権団体が警鐘! クリス・ヘッジズ氏は、ガザにおいてジェノサイドの最終段階が始まっていると危機感を募らせる! イスラエル軍は数ミリの金属片を無数に詰め込んだ兵器を人口密集地で使用、アムネスティは「死傷者を最大化するように設計されている」と分析! イスラエルに全世界が制裁を行うべき!

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