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2013年4月 7日 (日)

ベッペ・グリッロ、五つ星運動の政治的意味

wsws.org

Marc WellsとPeter Schwarz

2013年3月9日

最近のイタリア選挙でのベッペ・グリッロの五つ星運動が成功した展開は入念な検討が必要だ。2009年に設立された五つ星運動(M5S)は、投票の四分の一を勝ち取り、代議院では単独政党としては最大となった。(訳注:意味不明。代議院で最大政党はベルサーニの民主党 297議席、五つ星は109議席で第二勢力。)

労働者階級と中流階級層が、欧州連合(EU)とマリオ・モンティ首相政権が押しつけた緊縮政策への反対を表現する為に、M5Sに投票した。しかしながら、グリッロの綱領は、彼のポピュリスト的な訴えの犠牲者となった人々の階級的利害とは極めて対照的だ。彼等は、間もなく、彼の反動的右翼綱領の現実に直面することになるだろう。

グリッロの勃興を理解する為には、二つの事を考慮に入れる必要がある。イタリアと、ヨーロッパの資本主義の深刻な危機と、伝統的“左翼”政党の完璧な破綻だ。

ヨーロッパの支配エリートは、2008年金融危機の重荷を、緊縮政策によって、そっくり労働者層に押しつけ、イタリアを荒廃させた。2011年末、国際的銀行を代表して政権についたマリオ・モンティ政権の下、工業生産は、わずか一年で、5.4パーセント落ちた。モンティの政権は定年年齢を引き上げ、労働者権利を奪い、労働者と中流階級に高い税を押しつけた。失業は8から11パーセント、若者の間では30から37パーセントに増大した。国民が6000万人の国で、貧困生活をしている人々の数は、900万から1000万に増えた。

かつて影響力が強かったイタリア共産党(PCI)の後継組織は、モンティの政策に反対しなかった。逆に、ピエル・ルイジ・ベルサーニの民主党は、モンティの最も重要かつ信頼できる同盟者だ。イタリアの政党制度が、腐敗スキャンダルの奔流で、20年前に崩壊して以来、PCIの後継政党は、労働者階級に対する大規模攻撃を始めたテクノクラート政権を、繰り返し支持してきた。

やはり共産党から派生した共産主義再建党(PRC)は、似非左翼プチブル連中を丸ごと取り込み、より卑劣な役割を演じた。自ら民主党に対する代替の左翼代替と称しているが、反労働者階級政策が、議会の必要な多数派を確実に得られるようにするのが常だった。2006年、モンティの先駆者ロマーノ・プローディ政権に入り、自らの信用を失った。

グリッロは、民主党とPRCが残した政治的真空を埋めようと邁進した。彼は既存政治勢力と欧州連合に対する、怒り、嫌悪感と不満を、自らの目的に利用した。

非常に多様な社会構成が、グリッロの支持基盤だ。中流、上流中産階級層と共に、典型的に“左翼”とされる労働者階級の有権者層が、既存政治勢力全体を攻撃する言辞によって、ひきよせられた。

M5Sは、特にイタリアで“1,000ユーロ世代”として知られ、国際的には“プレカリアート”と呼ばれている、20歳から30歳の集団で成功している。彼等は高学歴の若者で、大学卒業後、実務研修、臨時仕事や、短期契約で何とか生き抜くことを強いられていて、収入は月わずか1,000ユーロ以下で、安定したまともな給料の仕事につける見込みはない。

M5Sの160人の代議院、元老院議員達は大半がこの層の出身だ。彼らの平均年齢は37歳で、他の議員達より、ほぼ20歳若い。90パーセントという学者の比率は並外れて高い。

M5Sの綱領

グリッロは、こうした若い高学歴層に強く訴えた。政治階級全体の腐敗に対する彼の猛烈な攻撃は、いわゆる“左翼”を含め、イタリアの既成政党が、大企業の冷酷な擁護者として機能しているという経験をした世代の心に響いたのだ。

M5Sの要求の多くは、環境運動やオキュパイや海賊党運動等の学生や学者向けのプチブルジョア抗議運動からの借用だ。M5Sは、より環境に優しいエネルギー政策とCO2排出削減策を要求している。本土・シシリア橋やトリノ-リオン高速鉄道等の大型プロジェクトの中止を要求してきた。都市での私的動力交通手段の使用を罰し、自転車利用者向けの対策と公共輸送機関を拡大することを目指している。

しかし、その綱領、経済政策の本当の核心は、紛れもなく右翼だ。腐敗、独占と官僚主義と戦うというみせかけの下、労働者と、戦後福祉国家という枠組み全体への歴史的な攻撃を呼びかけているのだ。M5Sは、腐敗した政治階級に反対すると主張しているが、その標的は、イタリア労働者階級の社会的獲得物なのだ。

無駄を削減し、非効率な役所仕事を無くすという名目で、何十万人もの公共部門の雇用が削減されるのだ。M5Sは、全ての州は皆廃止し、住民が5,000人以下の自治体を廃止することを提案している。

更なる規制撤廃と民営化への道を開く為、国家の規制機関は廃止すべきなのだ。教育では、大学と企業のより密接な統合の要求で、民営化を押し進めるだろう。マスコミでは、M5Sは、情報をえる権利を更に制限し、公共テレビ局は一局のみにする予定だ。

公的医療制度を保護するふりをしながら、M5Sプログラムは、誰でも利用可能な医療の大規模変革への道を開くものだ。彼等は“不可欠とは言えない治療に対する追加費用”や、“第一段階の予防(健康な食事、運動、禁煙)”を優先し、“第二段階の予防の上限(スクリーニング、早期診断、予測医学)”を要求している。

M5Sの経済綱領は、中小企業の利益を強調している。ベルルスコーニのメディアセット・コングロマリットの様な私的独占を廃止する計画と共に、鉄道等の国家独占を終わらせるようM5Sは要求している。管理職の給料削減や、大銀行や大企業の解体、小株主の強化や、国内市場向け製造の促進も要求している。

労働者階級の意図的分断

グリッロは、若者と貧窮化した層を、年長の労働者や公務員と争わせて、意図的に労働者階級を分断しようとしている。

2月26日の選挙結果について発言したブログで、イタリアには“二つのブロック”が存在すると主張して、彼はこれを明確にした。圧倒的にM5Sに投票した、Aブロックは、“多くは学位を持ちながら、不安定な仕事で働いているか、失業していて抑圧されていると感じている、未来の無い何百万人もの若者で構成されている。“これらの“若者”は、グリッロによれば、“出口を求めており、自分達自身が組織になり、形勢を逆転させ、廃墟の中から、新イタリアを生み出したいと願っているのだという。”

Aブロックには、“排除され、重税を課され、飢餓的年金を貰っている人々、達徴税取り締まりをする政権の下で暮らして、廃業を強いられるか、絶望の余り自殺する中小の起業家達”G含まれる。

一方、Bブロックは、“現状を維持したい人々、2008年以来の危機をなんとか損傷を受けずに生き抜き、購買力を維持した人々、公務員の大半、月に5,000ユーロ以上の年金を得ている人々、脱税者、生計手段として政治に関わっている人々の集団、収入を直接、都市公共事業、特権や、国営事業から得ている人々で構成されている。”

グリッロによれば、社会の主要な分裂は、労働者階級とブルジョアとの間ではなく、この二つのブロックの間のものなのだ。Aグループは刷新を願い、Bグループは継続を求める。Aグループは何も失うものを持っておらず、Bグループは何一つ譲ろうとはせず“家を二軒を所有し、かなりの預金口座や、十分な年金や安定した公共雇用があることが多い。”

グリッロによれば“重要な問題は、年齢であって、階級ではない、世代間対立”が浮上しているのだ。若い世代が、将来の見込みも無しに、現在の重荷を負い続けると期待することはできない。グリッロは書いている。“毎月、国家は、1900万人の年金と、400万人の公務員の給与を支払わなければならない。この負荷はもはや維持不可能だ。”

この文脈で、グリッロは、M5S綱領中で“社会主義者”的要素と表現されることが多い、無条件の1,000ユーロベーシック・インカムを提案している。実際、既存の年金と国の給与の置き換え、これを最低生活水準に引き下げることをを狙っているのだ。

起業家達からの支持

グリッロ自身は、彼が国家公務員と、常勤労働者にぶつけて動員したいと思っている、Aブロックに所属するわけではない。彼はイタリアで最も裕福な人々の一人だ。2005年、彼の年収は430万ユーロにのぼった。彼は運動の実際のトップではなく、代弁者だと広く見なされている。トップの役割を果たしているのは、滅多に人前に現れず、陰で糸を引いているミラノの裕福なIT起業家、ジャンロベルト・カザレッジオだとされている。

2004年に設立された彼の通信会社、カザレッジョ・アソシアアティをには強いコネがある。最近まで、彼の協力者の一人は長らく在イタリア・アメリカ商工会議所のトップで、ハーバード・ビジネス・レビュー・イタリアの編集人エンリコ・サッスーンだった。彼の役割がばれても、政治的にグリッロを傷つけることがないよう、昨年9月サッスーンは退職した。

カザレッジオとグリッロは、私企業に似たやり方で、M5Sを率いている。彼等は“直接民主主義”の利点を称賛するが、インターネットと各地でのメンバー会合、運動は、民主的構造が欠如している。人材と綱領にかかわるあらゆる判断は彼等が個人的に行うのだ。

M5Sの規則、公式に“非規約”と呼ばれているものが、組織に対するグリッロの完全支配を規定している。組織の起源、中心、所在地はブログwww.beppegrillo.itだ。M5Sの機能は、“ベッペ・グリッロが見いだした目標であり、www.beppegrillo.it”というブログで提示されている、社会、文化、政治的覚醒の為のキャンペーンを支持する候補者の準備と、選択だ。“MoVimento 5 Stelle”という名前もロゴも“唯一の使用権所有者はベッペ・グリッロの名前で登録されており”組織に地方や全国組織は全く無く、つまり、グリッロを制御したり、彼が党の決定に従うのを保証したりする方法は無い。

多くのイタリア人起業家達はグリッロは自分達の利益を守ってくれると理解している。77歳の億万長者で、世界最大手メガネ・メーカー、ルックスオティカLuxottica創始者レオナルド・デル・ヴェッキオのような、グリッロ支持をあからさまに表明している連中もいる。ヴィンセンザ出身の鉄鋼業起業家、フランチェスコ・ビアシオンは“現在、大企業は官僚と組合に支配されているので”グリッロに投票した

“グリッロノミックス”という見出しで、スードドイチェ・ツァイトゥンクは書いていた。“大半のグリッロ投票者達が票を投じたのは、彼等がイタリアという国の硬化した構造から脱出することを切望している為であり、実業界は、益々肥大化した国家の足枷から自分達は解放されるべきだと結論を出しつつある。

ドイツの外交政策誌IPも、グリッロの成功は、“イタリアとヨーロッパにチャンス”を与えるものだと書いている。もし“グリリーニ”と民主党の同盟ができれば、ベルサーニは、イタリアが本当に必要としている改革に取り組むことができよう。雑誌は“法律腐敗、税金詐欺や、経済詐欺に対する厳格さ”、“労働の自由化”や“隠された独占や、経済を麻痺させる不要な規制機関の停止”を期待している。

ベルサーニ派はグリッロを支持しているが、グリッロは、民主党との本格的協力には乗り気ではない。ドイツの雑誌フォークスに説明している様に、彼はイタリアの迫り来る経済崩壊を予想している。“古い政党に、6カ月与えるが、次は消灯時間だ。そうなれば連中は、もはや年金と公務員給与を支払えない。”そのような条件の下、グリッロは、公共部門での劇的削減計画を実現する好機を求めているようだ。

結論

ベッペ・グリッロと彼のM5Sの華々しい勃興は、ヨーロッパと世界の資本主義の深刻な社会的、政治的危機の結果だ。かつては社会改革と労働運動と一体化していた全政党が、ブリュッセル、ベルリンとローマに命じられた緊縮政策を支持している為に、グリッロが大衆の不満につけこむことができた。しかし、彼はこの不満を危険な袋小路へと導いている。

現在の社会衰退の原因は、政治支配層の単なる腐敗と強欲ではなく、生産手段の私的所有に基づく資本主義制度の歴史的危機のせいなのだ。金融資本による支配、資本家の私有財産を廃絶し、利益を求める強欲ではなく、社会的ニーズに合致する経済生活を組織することなしには、危機は克服不可能だ。

グリッロの運動は、社会のその様な社会主義的変革を、かたくなに拒否している。資本主義独占の支配への対応策は、独占の社会化ではなく、中小企業の推進だ。グローバル化への対応は、世界の労働者階級の団結ではなく、緊縮政策に基づく国民国家の強化だ。

M5Sが、中央の州や、疲弊した南部の主張に対して、北部の中小企業の利益を推進するあからさまに人種差別主義者の北部同盟の、かつての投票者達の多くを惹きつけたのは偶然ではない。大いに反動的な核が、M5Sの綱領の中に認められる。

資本主義危機に対する前向きな対応が可能なのは、社会主義綱領に基づいた労働者階級の独立した介入しかない。そのためには、グリッロのM5Sと、資本主義がその生存の為に依拠している、労働組合、似非左翼や他のあらゆる組織に対する容赦ない批判が必要だ。

記事原文のurl:http://www.wsws.org/en/articles/2013/03/09/gril-m09.html

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普天間返還時期不明。新緩和策で市場乱高下。汚染水漏出かという見出し。属国大本営広報、読む気力おきない。家人は目を皿のようにして読んでいる。スーパーのチラシを。

木の葉の様に贋金を大量印刷して、国民が幸せになろうはずがないのは、狸でもわかるだろうが、大本営広報部は大絶賛。転成人後では、一抹の懸念を書いて、アリバイをのこしている。

TPP交渉に100人体制でのぞむと、「おぬしも悪よのう」を絵に描いたような人物が茶番をのたまう。TPPで有利な交渉ができるなら、基地問題等とっくに解決、日本は独立していただろう。

TPPは、実質、超不平等米日FTAだ。日本をはめることが主眼の仕組みなのに、参加して原理を変更できるわけがない。

参加しないで、いじめられるか、参加して、永遠に搾取されるかの選択肢しかないこと、サルでもわかるだろう。

負けるのがわかっていてはじめた1941年12月8日の政権も報道もこうだったのだ。きっと。

コメディアンが突如大勢力になったのを不思議に思って、この記事を読んだ。

日本の芸能人で素晴らしい政治家になった人物、寡聞にして知らない。太鼓持ち芸人は、太鼓持ち政治家にしかなれない。

外国では、太鼓持ち芸人が、太鼓持ち政治家にならずにいられるのだろうか。

IT起業家ジャンロベルト・カザレッジオの支援を受け、長らく在イタリア・アメリカ商工会議所のトップで、ハーバード・ビジネス・レビュー・イタリアの編集人エンリコ・サッスーンだった。

というくだりで納得。もろ傀儡。

日本で、典型的な傀儡政党、みんなや維新が宗主国やら、大本営広報部による応援・嵩上げで大勢力になっているのと同じこと。正体見たり枯れ尾花。

維新の背後には、小泉政権で辣腕を振るい、安倍政権でも大活躍の宗主国代理人「学者」がついている。もちろん大本営広報部も。2008年夏にフジテレビが放映した政治ドラマ『CHANGE』は、「みんな」のデビューを応援する番組だったと植草氏は書いている。

大阪維新の会を過大評価する愚かしさ

労働者階級の意図的分断というのも納得。金持ち、貧乏人という階級構造は覆い隠さなければならない。話は、世代間対立、公務員とその他で、戦わせなければならない。このくだりは、ナオミ・ウルフの「簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ」(日本?)を思い出す。支配者連中が使うシナリオ、どこの国でも同じワン・パターン。

大本営広報部では、階級構造を扱うことはタブー。

第二人事部でしかない大労組は、階級構造には触れず、大資本走狗として立派な役目を果たし続けている。彼らの敵、絶滅危惧種に違いない。本来支持すべき政党だろうが。

“アベノミックス”という見出しで、スーダラ・ドイツダ・ツァイトゥンクは書いていた。“大半の自民・公明・維新・みんな投票者達が票を投じたのは、彼等が日本という
国の硬化した構造から脱出することを切望している為であり、実業界は、益々肥大化した国家の足枷から自分達は解放されるべきだと結論を出しつつある。もちろんそういう愚かな切望は裏切られ、自分で自分の首を永久に絞め続けることになる。

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