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2010年6月19日 (土)

有名ハッカーのラモ、機密情報の漏洩を当局に密告したため蔑視される

SAM STANTON

2010年6月14日、 "サクラメント・ビー"

カリフォルニア、カーマイケル

週末の午後、エイドリアン・ラモは、スーパーマーケットのセーフウェイにあるスターバックス・コーヒーの片隅に静かに座り、起動するのに親指の指紋認識が必要なラップトップ・パソコンを使いながら、携帯電話に答えている。

最初の電話は、ラモが受けた殺しの脅迫について尋ねるFBI調査官からの電話だったと彼は言う。

二番目はドミノ・ピザからだった。新たな多くの敵の一人が、にせの注文をして彼の名と電話番号を使ったのだ。

三度目は、軍の防諜機関員からだったと彼は言った。

他の状況であれば、彼の言い分など妄想だと即座にはねつけられただろう。

彼は控えめな29歳の人物で、カーマイケルの袋小路で、両親と暮らしているが、最近、医者が彼の奇妙な振る舞いがアスペルガー症候群に起因するものだと発見するまで、短期間収容されていた精神病院を退院したばかりだ。

だが、ラモは現在、国家安全保障論議と国際的論争で話題のまとになっている、世界でも最も有名なコンピューター・ハッカーでもあり、かつて彼を称賛したハッカー・コミュニティーの冷笑のまとになっている。

ラモが最初に有名になったのは、2003年、基本的に、彼ならできるということを証明するために、ニューヨーク・タイムズのコンピューター・システムにハッキングをしたことで告訴された時のことだ。

彼は、今年の5月、連邦捜査員に、イラクに駐留しているある陸軍兵士が軍事機密を漏洩していると信じるに足る理由を話すと決断し、再度脚光を浴びた。

ラモは、匿名の個人が投稿した、政府や企業に関する情報を公開するスウェーデンを本拠とするウェブ・サイトWikiLeaks.orgに、情報を渡すと言っていた。

バグダッドに近くに駐留している22歳の諜報アナリスト、ブラッドリー・マニング上等兵はyクウェートで陸軍に拘留されており、事件は捜査中だと報道されている。

マニングは、ラモの彼のプロフィールを、マニングの逮捕とラモの関与を最初に報道したwired.comで読んだ後、オンラインで接触してきたのだと、ラモは語っている。彼の説明によれば、マニングは、2007年の、バグダッドにおける米軍ヘリコプター攻撃で、数人の一般市民を殺害した、いわゆる"巻き添え殺害"ビデオを含め、機密軍事情報を、WikiLeaksに漏らしたことを自慢したという。そのビデオは4月にWikiLeaksで公開された。

このウェブサイトには、260,000通のアメリカの機密外交電報を含め、他の情報も漏らしたと、マニングが主張していたとラモは言う。

"生命が危険にさらされているのを知りながら、座視していることはできませんでした"とラモは語っている。 "それは機密情報ですか、ロシアン・ルーレット遊びをする時、一体どうやれば、次の弾倉には銃弾が入っていないとわかりますか?"

"私は内通者ではありません"と彼は言う。"また内通者など決して匿ったりしません。"

ラモの申し立てに政府は迅速に対応した。FBIや国家安全保障局職員や陸軍捜査官と何回か会い、スターバックスや、軽食レストランや、地元の他の場所で話をしたと彼は語っている。

国務省スポークスマンのP.J. クロウリーは、先週の記者会見で、捜査官たちは電報漏洩の影響は一体どのようなものかを見極めようとしているのだと語った。

当局に密告するというラモの決断を、英雄として称賛する向むきもある。とはいえ、そうした反応は全員一致というわけではな。

WikiLeaksは、Twitterで、彼を"悪名高い" 重罪犯人、密告者、不正操作をする人物と呼んで、非難している。

WikiLeaksのウェブは、マニングが260,000通の機密電報を提供した主張とされるもの"は、我々が言える限りでは正しくない"と、ツイートしている。

この話題が公表されて以来、ラモは下品なオンライン書き込みの標的となっており、多数の殺しの脅迫がきていると彼は言う。長年、功績を、オンライン、印刷、映画で詳しく語られてきたラモにとっては意外なことだ。

彼は人生の大半、放浪生活を送っており "ホームレス・ハッカー"とレッテルを貼られることが多い。

ワシントンD.C.、Va.アーリントン郊外に生まれたラモは10歳の時に父親の母国コロンビアに移住した。一家は数年後にアメリカ合州国に戻り、サンフランシスコでしばらく暮らしていた。

"彼は物事がどうやって動くのかについて大変な好奇心をもっています。"と、元サクラメントのローウェル高校で、コンピューター科学の教師をしていて、教育教室のパソコンに頑固なウイルスを感染させたために追い出すまで、ラモに、最初で、しかも唯一の正式なコンピューター教育をした人物、ダグラス・キーチーは語っている。"私の言えるかぎりでは、彼は公的には称賛されていない英雄です。"

7歳の頃に父親が買ってくれたコモドール64から始めて、コンピューターについて彼が知っていることは大半自学自習だと、ラモは語っている。

高校卒業後、1990年代のドット・コム・ブームのさなかには、ベイ・エリアで、月に2,000ドルのアパート家賃を支払いながら、法務援助団体に、コンピューター・セキュリティー・サービスを提供していた。

ラモは自分の居場所を誰にも知らせずに移動することを楽しんでいた。"最初は単なるパラノイアから。そして、後には正当化できるパラノイアから。"

移動生活の間、彼は飽くことのない好奇心で、世界最大企業のいくつかのコンピューター・システムに侵入することに熱中し、それを、相手企業が脆弱であることを伝えるため、企業側に知らせていた。

弱点を特定するのを手助けする上で、彼は決して金は要求しなかったと彼は言う。"そうすれば、道徳上の一線を越えてしまうでしょう"と彼は語っている。"それは決して正しいこととは感じられませんでした。"

やがて彼は、2002年2月に、ニューヨーク・タイムズのコンピューター・システムに入りこんだ。サクラメント中心街にあるキンコーズのコンピューターから入り込んだのだと彼は語っている。ニューヨークの連邦検事は、ラモをコンピューター不正行為で告訴したが、これは彼が15年の懲役をうけかねないものだった。

ラモは最終的に司法取引をし、30ヶ月の執行猶予と64,938ドルの罰金を課された。

現在ラモは自らコンピューター保安システム・コンサルタントと称し、大半の時間をセーフウェイにあるスターバックス店内でラップトップ・パソコンを触って過ごしている。

"'ハック価値のある' 興味のある仕事しか、私はやりません。"と彼は言う。

彼の人生を、"ハッカー"として要約されると、その表現では、"社会的なものであれ、環境上のものであれ、人間関係上のものであれ、複雑なシステム"に対する自分の好奇心をうまくとらえていないと彼は憤慨する。

"何にもまして、私は観察者なのです"と彼は語っている。

(E-mail記者サム・スタントン、アドレスはsstanton(at)sacbee.com.)

(Scripps Howard News Service、www.scrippsnews.comによる配信。

記事原文のurl:www.informationclearinghouse.info/article25715.htm
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机の上の空 大沼安史の個人新聞 の2010-06-19付け記事も是非どうぞ。

〔いんさいど世界〕 「米軍ヘリ虐殺ビデオ」をウィキリークスへ漏洩したとされる米陸軍情報アナリスト、ブラッドレイ・マニング氏(22歳)をめぐる「点と線」 誰がこの内部告発の「英雄」を嵌めたのか? フリー記者、グレン・グリーンワルド氏の調査報道レポートから浮かび上がった疑惑

商業マスコミの大本営記事がひどいと、繰り返し書かせて頂いているが、もちろん、そうではない記事も時にはある。目に触れにくい為、全てそうだと思い込んでしまいがちだが。

沖縄・長崎・神奈川新聞三社合同企画 安保改定50年 2010/6/19の元沖縄県知事・太田昌秀さん。記事末尾は、

軍事条約は平和条約に変えるべき時代だ。

そして、選挙については、森田実の時代を斬る 2010.6.17(その1)
森田実の言わねばならぬ、 の冒頭を引用させて頂く。

菅民主党は議会制民主主義を踏みにじった。多数の力で国会を破壊した。2007年夏の参院選と2009年夏の衆院選で民主党に多数を与えた国民の選択は裏切られた。民主党は「数の力」を独裁権力樹立のために使っている。許すことはできない。ただ選挙に勝ちたい一心で、国会における議論を抑えてしまった。本会議で採決すべき議案を議院運営員会で否決して、本会議への上程を止めるとは、ひどすぎる。民主党はファシストの党に変質した。これは明らかに数の暴力だ。許してはならない。

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