■ 荒れやすいW杯イヤーのJリーグ「W杯イヤーのJリーグは荒れやすい。」と言われることが多い。2010年はFC東京がJ2に降格して、2014年はC大阪がJ2に降格しているが、FC東京はDF長友、C大阪はFW柿谷が夏の移籍市場で欧州のクラブに移籍した。「W杯で評価を高めた選手」や「W杯で悔しい思いをした選手」が自身の成長のためにクラブを変えようとするケースが多いことがW杯イヤーのJリーグが荒れやすい1つの大きな理由と言える。
他には日本代表の当落線上の選手が普段以上に張り切ってプレーすることもW杯イヤーが荒れやすい1つの理由で、さらにはW杯の期間中はJ1は長期のお休みになるので仕切り直しが出来る点も理由の1つに挙げられるがJ2やJ3はW杯の期間中でもリーグ戦は中断されない。となるとW杯の影響をあまり受けないように思うが今シーズンはJ1だけでなくJ2やJ3も大荒れである。予想を大きく裏切る展開になっている。
J2では岡山や山口や水戸や町田が好スタートを切った一方で大宮や甲府や千葉や松本山雅などの上位候補が苦しんでいる。「歴史的な大混戦」と言われた2017年をはるかにしのぐレベルでカオスな状態になっているがJ3も同様である。まだ4節を終えた段階ではあるが前評判の高かった長野が10位で、北九州は12位で、秋田が13位で、富山が16位。初降格を喫した群馬も1勝2敗で13位と下位に低迷している。
■ 最大のサプライズと言えるガイナーレ鳥取その一方で沼津が開幕3連勝と好調。FC琉球は3勝1分けで首位を走っている。G大阪U-23が2勝1敗1分けで5位で、C大阪U-23が2勝1敗で6位。U-23の2チームも昨シーズンと比べると雲泥の差でいい戦いを見せている。2勝1敗1分けで4位の福島も前評判はあまり高くなかった。予想外の連続と言えるが「最大のサプライズ」と言えるのは鳥取だろう。ここまで3勝1分けで2位。自動昇格圏に位置する。
昨シーズンは4勝19敗9分け。最下位の17位と最悪のシーズンになった。32試合で31得点/63失点。酷い成績と言うしかないほどの惨状だった。ホームでもアウェイでも負けまくったが早くもここまで3勝。昨シーズンの「4勝」にこの時点で王手をかけている。監督としての評価が地に落ちていた森岡監督の手腕を見直す流れも出来つつある。最高のスタートを切った鳥取が序盤戦のJ3を大いに盛り上げている。
一体何があったのか?を不思議に思う人が多いと思うがまず言えるのは決してフロックではないという点である。2017年も開幕3試合は2勝1分け。好スタートを切ったがその後の29試合で2勝19敗8分け。訓練された鳥取のサポーターは「昨年もスタートダッシュには成功している。」と気持ちを落ち着かせて決して浮ついてはいないと思うが2017年と同じようにここから鳥取が急降下していくことは考えにくい。
■ 2017年と比べて何が変わったのか?目立つのはFWレオナルドとFW加藤潤とMFフェルナンジーニョとMFヴィートル・ガブリエルのカルテットになる。FWレオナルドは開幕から4戦連発。ここまで4ゴール2アシスト。大車輪の活躍を見せている。相方のFW加藤潤も2ゴール1アシストと結果を出しており、37才のMFフェルナンジーニョは開幕の鹿児島戦(H)でドリブルからゴールを決めるなどJ1でも猛威を奮ったドリブルのキレは相変わらずである。
FWレオナルドとMFフェルナンジーニョとMFヴィートル・ガブリエルという3人のブラジル人選手が加わった効果は絶大である。新加入でWボランチを組むMF可児とMF星野の貢献度の高さも見逃せないが単純に前の4人(=カルテット)だけで決定機を作ることが出来るので昨シーズンと比べて必要以上に人数をかけて攻撃をしなくても良くなった。DF上松とDF奥田の両SBが攻撃参加するケースはあまり多くない。
数字で比較すると表1のようになる。パス数は473本から408本に減って、クロス数も14.2本から12.3本に減っているが、ドリブル数は11.7回から15.8回に大幅アップしている。また、30mライン進入回数も35.6回から41.5回に増加しており、オフサイドの回数(=オフサイドに引っかかった回数)も2.8回から4.8回に増えた。パス主体のサッカーからドリブルや裏への飛び出しからチャンスを作るサッカーに変化している。
「ドリブルCBP/90分」に注目するとMFフェルナンジーニョは4位、FWレオナルドは5位となる。J3屈指の個人能力を持った2人の存在は大きい。MFヴィートル・ガブリエルに関してはまだ十分には力を発揮できていないが左利きで攻撃にアクセントを加えることが出来るアタッカーである。FWレオナルドならびにMFフェルナンジーニョにうまく絡めるようになると鳥取の攻撃陣の破壊力はさらに増すことになる。
カルテットを中心とした攻撃陣がクローズアップされるケースが多くなっているが守備陣も4試合で3失点のみ。よく頑張っている。新潟や大宮やC大阪などでプレーした経験豊富なGK北野が加入したのは大きかったが若手のDF内山裕とDF甲斐のCBコンビの頑張りも見逃せない。183センチのDF内山裕は高さがあって、181センチのDF甲斐は対応力に優れている。どちらもフィード力が高くて正確なパスを前方に供給できる。
表1. ガイナーレ鳥取のスタッツの比較 (2017年と2018年)
項目 | 2017年 | 2018年 |
試合数 | 4 | 32 |
総得点 | 7 | 31 |
総失点 | 3 | 63 |
シュート | 10.3 | 12.8 |
枠内シュート | 3.4 | 3.8 |
パス | 473 | 408 |
クロス | 14.2 | 12.3 |
直接フリーキック | 10.6 | 7.5 |
間接フリーキック | 2.4 | 1.8 |
コーナーキック | 3.8 | 3.8 |
スローイン | 28.6 | 31.5 |
ドリブル | 11.7 | 15.8 |
タックル | 21.6 | 28 |
クリア | 28 | 30 |
インターセプト | 2.6 | 2.5 |
オフサイド | 2.8 | 4.8 |
30mライン進入回数 | 35.6 | 41.5 |
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