■ 期限付き移籍で羽ばたいた選手というと・・・。「J2のクラブ数が増えたこと」ならびに「J2全体のレベルが上がってきたこと」の2つの理由から昨今はJ1のクラブに所属する若手がJ2のクラブに期限付き移籍するケースが増えている。こういう形の期限付き移籍は2010年あたりから急激に増加した印象になるが2011年に愛媛FCで修業を積んだMF齋藤学(横浜FM)、2009年の途中~2011年まで徳島で経験を積んだFW柿谷(C大阪)の2人は典型的な成功例である。
今シーズンもMF杉本太(鹿島→徳島)、DF石田崚(磐田→金沢)、MF内田達(G大阪→東京V)、MF小塚(新潟→山口)あたりが期限付き移籍先で大きな存在感を発揮している。徳島に関しては「J2の中ではお金持ちのクラブの1つ」なのでやや事情は異なるが、金沢や山口のような資金力の乏しいクラブにとっては「期限付き移籍の選手」は手っ取り早くチームを強化するために「なくてはならない立ち位置の選手」である。
もちろん、期限付き移籍にも一定のリスクは伴う。例えば195センチのGK牲川(磐田→群馬)は2016年のU-23アジア選手権の優勝を経験している将来を嘱望されている若手キーパーの1人であるが期限付き移籍先の群馬でイージーなミスから失点を喫するケースが多くて批判の対象になっている。プロ選手としての自信を失ってしまった印象になるが多くの選手は期限付き移籍先では得難い経験をすることができる。
■ メッシに例えられるMF食野(G大阪)J2の中で資金力のあるクラブになると期限付き移籍で獲得した選手をそのまま完全移籍で獲得することも可能になるがJ2の中規模以下でお金がないクラブの場合、J1に所属する若手の有望株を完全移籍で買い取るだけの資金を持ち合わせていないケースがほとんどである。貸し出す側にとっては「借りパクされる危険性」が非常に低いのでお金持ちのクラブよりも安心して有望な若手を預けることができる。
J2の中で貧乏なクラブはその点をプラスにとらえてオフ期間中は戦力アップのために積極的な動きを見せなければいけないがクルピ監督の就任が噂されるG大阪の若手は才能のある選手が目白押しなのでJ2の貧乏クラブにとっては狙い目である。もちろん、G大阪U-23があるのでG大阪の若手はJ3で経験を積むことができるがJ3よりもJ2でプレーした方が有意義な経験を積むことが出来るのは間違いない。
一押しはG大阪ユース出身でプロ1年目のMF食野になる。G大阪U-23では攻撃の中心として活躍しているがキレのあるドリブルを武器とするアタッカーである。G大阪ユース育ちのアタッカーというとクールな選手や淡々とプレーする選手が多かったがMF食野は闘志が表に出るタイプの選手である。小気味のいいプレーから貪欲にゴールを狙うタイプなのでJ3だけでなくJ2でも存在感を発揮出来そうな選手である。
同学年となる東福岡高出身のMF高江もトリッキーなプレーができる面白い選手である。独特のリズムを持った選手で大きな可能性を秘めた選手である。言うまでもなくクルピ監督は若手を積極的に起用するタイプの監督なので両選手ともG大阪に残ってもチャンスのシーズンになる可能性はあるが本人ならびにクラブの未来を考えて安定して試合出場が見込めそうなJ2のクラブに貸し出すのも1つの方法である。
■ 若手を積極的に貸し出すセレッソ大阪ライバルのC大阪も若手の有望株は多いが現時点でもDF庄司(金沢)、MF丸岡満(長崎)、MF前川(徳島)という3人の若手を貸し出していることからもわかる通り、J2レベルの実力を身に付けた選手は積極的にJ2のクラブに貸し出す方針を取っている。G大阪の若手よりもC大阪の若手の方が期限付き移籍のオファーを出したときに承諾してもらえる可能性が高いのでG大阪以上にC大阪の若手は狙い目と言えるだろう。
具体的に名前を挙げるとMF米澤(C大阪)とMF沖野(C大阪)の2人である。2016年にJ3で25試合で8ゴールを挙げたMF米澤は昨オフに山口に期限付き移籍すると上野監督の頃は主力としてプレーした。結構なチャンスを与えられたが結果を残せず。監督交代によって出番が激減して夏にC大阪に復帰することになったがJ3のC大阪U-23ではさすがに違いを生み出している。フォワードでも2列目でもプレーできる。
ルヴァン杯ではC大阪のトップチームの試合をたくさん経験したMF斧澤(C大阪)も有望視されている若手の1人であるが「分かりやすい武器」を持っているのでMF沖野の方がJ2の貧乏クラブにとって魅力に感じるかもしれない。チームメイトで先輩のMF関口に似たタイプのサイドアタッカーで右サイドからの突破は大きな武器になる。「サイドからのドリブル突破」に特化した典型的なサイドアタッカーである。
■ 繊細なアタッカーであるMF針谷(磐田)好調の磐田の若手では高卒1年目のMF針谷と大卒2年目のMF荒木の2人が狙い目と言える。ただし、ドリブルという分かりやすい武器があるMF荒木に比べるとMF針谷はかなり繊細なタイプなので「カウンター型のチーム」では彼の能力は発揮されない。ボールを大事にするサッカーを志向するチームでないとMF針谷の良さは発揮されない可能性が高いのでこういう選手は移籍先選びが重要になって来る。
同じく好調の横浜FMは今夏にMF中島賢(FC岐阜)とMF高野(甲府)を修行に出した。過去を振り返ってみても期限付き移籍を積極的に活用してきたクラブであるが5月のトゥーロン国際のときにU-19日本代表としてプレーしたMF吉尾(横浜FM)がJ2の貧乏クラブにとっては狙い目になる。左利きでテクニックがあってドリブルで相手をはがすことができる。168センチと小柄な選手であるが将来性はなかなか高い。
J2の貧乏クラブの狙い目と言えるのは・・・。 ・MF 食野亮太郎 (ガンバ大阪)
・MF 高江麗央 (ガンバ大阪)
・MF 米澤令衣 (セレッソ大阪)
・MF 沖野将基 (セレッソ大阪)
・MF 針谷岳晃 (ジュビロ磐田)
・MF 荒木大吾 (ジュビロ磐田)
・MF 吉尾海夏 (横浜Fマリノス)
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