■ ポジティブな要素の少ないシーズン東京ヴェルディは2014年は9勝18敗15分けで20位。残留争いに巻き込まれる苦しいシーズンになったが、2015年は若手が躍動。プレーオフ争いに参加した。終盤に大失速して最終的には8位に終わったが名門復活を印象付けるシーズンになった。冨樫監督が就任して3年目となる今シーズンは「2008年以来のJ1復帰」を視野に入れて戦ったが、41節を終了した時点で10勝18敗13分けと期待外れの成績になっている。
41試合で41得点/57失点。タレント力を考えると得点数はかなり物足りない。10番を背負ったMF高木善は攻撃の中心として活躍。チーム最多となる8ゴールを挙げているが、続くのが6ゴールのFWドウグラス・ヴィエイラとMF澤井の2人になる。高木三兄弟の次男のMF高木善の飛躍とMF澤井の成長は光ったが、2015年に活躍が目立ったMF南やFW高木大は期待を大きく下回る残念なシーズンになった。
若手のさらなる成長がチーム力アップにつながるはずだったが、リオ世代のMF杉本竜、DF安在、DF安西、MF中野雅などは思うような活躍が出来なかった。東京世代となるMF井上潮とMF渡辺皓の2人がポテンシャルの高さを見せつけたのは収穫の1つだったが、チームとしてあまり機能しておらず、若い選手も持ち味を出し切れない試合が多かった。サポーターにとってはフラストレーションが溜まる試合が目立った。
■ 今オフの東京ヴェルディのテーマは・・・。昨オフにGK佐藤優(千葉)とMF三竿健(鹿島)の2人を引き抜かれたが、振り返ってみると2人の穴を埋めることが出来ないままで開幕を迎えて最後まで穴を埋められないままだったと言える。キーパーはベテランのGK柴崎貴と若手のGK鈴木椋のポジション争いになったが、出場試合数は前者が20試合、後者は22試合。経験の浅いGK鈴木椋がゴールを守っているときは軽率なミスから失点する場面が多かった。
41節のC大阪戦(H)のキックオフ直前にJ2残留を確定させることが出来たが非常に苦しいシーズンになった。ポテンシャルの高い若手はたくさんいるのでチームを引っ張っていくことができる実力者を獲得できると少なくともプレーオフ争いには参加できるだけの戦力になると思われるので今オフのフロントの頑張りに期待したい。東京Vの注目ポイントを挙げてみると
・若手の有望株の流出を最小限に抑えることが出来るか?
・頼りになる正キーパーを補強できるか?
・CFタイプのストライカーを補強できるか?
・DF井林のパートナーとなる即戦力のCBを獲得できるか?
の4点になる。特に切実なのは1つ目である。昨オフもプロ1年目のMF三竿健(鹿島)を引き抜かれてしまったが、リオ世代の選手に限定してもMF中島翔(FC東京)、MF前田直(横浜FM)、MF吉野恭(京都)、MF三竿健(鹿島)と実に4人のユース出身者がJ1の有力クラブに引き抜かれている。次から次へと下部組織から優秀な若手が出てくるのが東京Vのいいところであるがやはり無限に人材が出てくるわけではない。