サッカーコラム J3 Plus+　

■　破竹の10連勝で突っ走った栃木SC

J3は2016年が創設3年目となるが「上位と下位の戦力差」が徐々に縮まって来て上位チームが下位チームとの試合で勝ち点を取りこぼすケースも珍しくない。J2も最初の数年間は「リーグ内格差」が大きくて上位のチームと下位のチームの間には大きな戦力差があったが徐々にJ2のクラブ数が増えてきた。J2の構成クラブが18チームになった2009年あたりから各チームの戦力差が小さくなってきた印象がある。

20節が終了したが「16チームによる2回戦総当たり方式」なのでちょうどすべてのクラブが全日程の2/3を消化したことになる。J1は27試合/34節なので全日程の79.4％が消化しており、J2は30試合/42節なので71.4%となる。なので66.7％となるJ3はまだ多くの試合が残っている。『ここからが本当の勝負』と言えるが、現段階では13勝3敗4分けという素晴らしい成績を残している栃木SCが首位を走っている。

序盤は低調で5試合が終了した時点で1勝3敗1分けだったが、6試合目から無敗が続いている。10節から19節にかけて怒涛の10連勝を達成。一気に勝ち点を積み上げて首位に躍り出た。20試合で24得点/11失点なので首位を走っているチームにしては得点数は少ないが1試合平均の失点数は0.55となる。2015年の町田は36試合で18失点だったが「1試合平均の失点数」のJリーグ記録更新の可能性もある。

■　サプライズを起こしている鹿児島ユナイテッド

J3の全16クラブの残りの試合の対戦相手と順位の平均値を出してみると表1のとおりである。栃木SCは「9.40」でJ3の中では13番目タイとなる。4位の富山と5位の長野との試合は残っているが二桁順位のチームとの試合が多い。もちろん、下位チームとの試合であっても勝ち点「3」を計算できるわけではないがJ3の場合は降格制度がないので下位チームはモチベーションを保つのが大変。日程には恵まれている。

2位の鹿児島との差は「6」。10試合で「6差」というのはセーフティーリードではないが最近の栃木SCの安定感を考えるとこのままいく可能性は高い。経営的に不安定なクラブであることを考えるとこの先、何年もJ3で戦うことになるとクラブの経営が成り立たなくなる可能性がある。「1年でのJ2復帰」は至上命題であり、「栃木SCというクラブの未来がかかった1年」と言えたが、想定以上の勝ち点を稼いでいる。

2位は昇格1年目となる鹿児島。2015年は同じく昇格初年度の山口が旋風を巻き起こして1年目でJ3優勝という快挙を達成したので同じように鹿児島の躍進を期待する声は少なくなかったが、正直なところ、鹿児島がここまでやるとは予想できなかった。20試合で27得点/15失点。36試合で96得点/36失点という異次元の得点力を発揮した山口とは正反対のチームカラーであるが見事というしかない戦いぶりである。

残り10試合の対戦相手の平均順位は「9.00」。J3の中では10位タイなので対戦相手的には決してきつくない。一方、3位に位置する大分は「8.80」で全体の9番目。リーグの中では平均程度となる。4位に位置する富山は「9.40」で13番目タイと日程には恵まれているが、「悲願のJ2昇格」を目指す5位の長野は「8.20」。下位との対戦も多いが首位の栃木SC、2位の鹿児島、3位の大分との対戦をすべて残している。