■ 東アジアカップ2015が開幕東アジアカップ2015が開幕。前回の2013年大会は初戦は中国と対戦して3対3のドローで、2戦目はオーストラリアと対戦して3対2の勝利で、3戦目は韓国と対戦して2対1で勝利。2勝1分けで初めてとなる東アジアカップを制覇した日本代表が初戦で北朝鮮と対戦した。北朝鮮とはブラジルW杯のアジア三次予選のときに同じグループだったが、ホームで勝利してアウェイは敗れているので1勝1敗という結果だった。
日本は「4-2-3-1」。GK西川。DF遠藤航、森重、槙野、藤春。MF谷口彰、山口蛍、永井謙、武藤雄、宇佐美。FW川又。今回の東アジアカップも海外組は誰も召集されておらず、国内組オンリーのチーム構成となった。G大阪のF米倉と湘南のDF遠藤航とG大阪のMF倉田と鳥栖のMF藤田直と浦和のMF武藤雄の5人が日本代表初選出となったが、DF遠藤航が右SB、MF武藤雄がトップ下でスタメン出場を果たした。
■ 終盤に2ゴールを挙げた北朝鮮が逆転で勝利試合は開始早々の前半2分に日本が先制する。右サイドからDF遠藤航が中央に鋭いクロスを入れると、中に入って来たMF武藤雄が右足で合わせて日本が先制に成功する。MF武藤雄とDF遠藤航の2人は代表デビュー戦でいきなり結果を出した。その後もFW川又やFW永井謙が決定機を迎えるなどチャンスは少なくなかったが、前半20分あたりからセカンドボールを拾えなくなって、北朝鮮に押し込まれる展開になる。
日本は後半10分にMF宇佐美を下げてMF柴崎岳を投入。「4-2-3-1」から「4-1-2-3」に変更。川崎FのMF谷口彰をアンカーに位置に置くとやや持ち直したが、後半32分にロングボールから途中出場のFWパク・ヒョンイルの落としたボールをFWリ・ヒョクチョルが決めて1対1の同点に追いつくと、後半42分にも左サイドからのクロスを長身フォワードのFWパク・ヒョンイルに決められて北朝鮮が2対1と逆転に成功する。
結局、2対1で北朝鮮が逆転で勝利した。日本と北朝鮮の通算成績は7勝7敗4分けと全くのイーブンの成績となった。もう1つの試合は韓国が2対0で勝利したので、初戦を終えて韓国と北朝鮮が勝ち点「3」で、日本と中国が勝ち点「0」となった。2戦目は8月5日(水)に行われるが、日本は韓国と対戦する。最終戦は8月9日(日)に開催国の中国と対戦する予定になっているが、次の韓国に勝利して最終戦に望みをつなげたい。
■ 如何ともしがたいほどの差があったコンディション立ち上がりの入り方は非常に良かった。前半2分にDF遠藤航→MF武藤雄の初代表コンビの頑張りからあっさりと先制ゴールを奪って試合の主導権を握ることが出来たかと思われたが、前半20分あたりから全体の動きが落ちて来てセカンドボールを全く拾えなくなった。1トップのFW川又のところにボールが入ったときも周囲のサポートがほとんどなかったので、FW川又のところでボールを失うケースが多かった。
対戦相手が世界のトップクラスのチームであるならば仕方がないところもあるが、同格以下のチームとの試合でこれだけセカンドボールを拾われる展開になるのは非常に珍しい。J1の2ndステージの第5節が7月29日(水)に開催されたため、J2でプレーするC大阪でプレーするMF山口蛍を除くと全員が中3日での試合。しかも、2ndステージの序盤は平日開催が2回も組み込まれたので、体力的に厳しい選手が非常に多かった。
「開催地の武漢の尋常ではないほどの暑さ」という現地の気象条件は対戦相手の北朝鮮の選手も同じである。なので、その点は言い訳にはできないが、東アジアカップの初戦の日本戦に向けてコンディションを整えることができた(と思われる)北朝鮮の選手と、中2日 or 中3日の6連戦を戦って日本代表に合流した選手が何人か含まれる日本の選手のコンディションの違いは明らか。如何ともしがたいものがあった。
■ 疲弊していない選手を積極的に使っても良かったのかもしれない・・・。体力的に厳しい選手が多い試合ではベンチワークも大事になってくるが、立ち上がりに飛ばしすぎた影響は否定できない。もちろん、目論見通りに前半2分に先制ゴールを奪うことが出来たので「立ち上がりから激しくいくという選択が誤りだった。」とは言えないが、最初に飛ばした反動は小さくなかった。「試合の入り方が良すぎたこと」は前半途中から急激にペースダウンして押し込まれる展開になった一因と言える。
そして、コンディションというのは個人差がある。例えば前述のように7月29日(水)にはJ2のリーグ戦は開催されていないのでC大阪のMF山口蛍はコンディション的には良い部類で、怪我でしばらくの間、リーグ戦をお休みしていたMF柴崎岳も疲弊はしていない状態だった。対してスルガ銀行チャンピオンシップの関係で中2日 or 中3日の6連戦を戦った後に合流したG大阪勢と鳥栖のMF藤田直の状態は厳しいものがあった。
選手起用について敢えて触れると、ほとんどの選手が中3日となる初戦の北朝鮮戦は「疲弊している選手」ではなくて、「疲弊していない選手」を積極的に使うべきだったと思う。武漢の暑さによるダメージをもっとも受けていたのはハリルホジッチ監督だったように思うが、所属クラブではほとんどが途中出場なので体力的には余裕のある広島のFW浅野拓あたりをもっと有効に活用しても良かったのではないかと思う。
ハリルホジッチ監督は現役時代はユーゴスラビアとフランスのリーグでプレーしており、指導者としてはフランスのクラブを率いることが多かった。アル・イテハドを率いた経験があって、コートジボワール代表とアルジェリア代表というアフリカの代表チームを率いた経験はあるが、アジアの国やクラブと関わる機会はあまり多くなかった。この時期のアジアの気候を軽視しすぎていたところもあったのではないかと思う。
■ 「予想以上に動けなかった。」、「これほど思い通りのサッカーができないとは想定していなかった。」と思っていると推測できるので、そういう意味ではハリルホジッチ監督にもいい経験になったと思われる。コンディションの話をすると「そんなものは言い訳だ。」と精神論で片付けようとする人が一定数はいるが、現代サッカーは少々の実力差は「両チームのコンディションの差」で簡単に挽回することができる。
仮にJ1の2ndステージの第5節が7月29日(水)には開催されなかったとしたら、ほとんどの選手は中7日で北朝鮮戦を戦うことが出来た。2年前の韓国大会のときもタフなスケジュールを強いられたが、特に夏場は「中3日」になるのか、「中7日」になるのか、全然違ってくる。東アジアカップはタイトルがかかった真剣勝負の舞台なので、監督や選手が最大限に力を発揮できる環境を用意してあげるべきだったと思う。
これだけ体力的に難しい選手が多いと個々の選手の出来やチームのやり方を評価するのは難しくなるが、収穫もいくつかあった。一番は右SBで起用された湘南のDF遠藤航だろう。前半2分にMF武藤雄の先制ゴールをアシストしたが、特に前半は積極的な攻撃参加が目立った。DF遠藤航は湘南では右ストッパーで、五輪代表のときはボランチでプレーすることはほとんど。不慣れなポジションとは思えないプレーを見せた。
サイズ的には178センチなので「CBとしては小柄」であるがサイズの割には空中戦が強くてフィジカルも強い。日本代表は「サイズ不足」が慢性的な課題になっており、「SBでもプレーできるCBの台頭」は数年前から期待されていた。同様にクラブでは右ストッパーでプレーする広島のDF塩谷あたりもそういう可能性を秘めた選手と言えるが、右SBのDF遠藤航の活躍というのは日本代表にとって大きな収穫と言える。
もともとは「ベルマーレ平塚」というクラブ名だったが、J2に降格した2000年に湘南ベルマーレという名前に変更になった。言うまでもなく、ベルマーレ平塚のときはMF中田英やFW呂比須ワグナーやDF名良橋やMF岩本輝など多くの日本代表選手を抱えていたが、湘南ベルマーレになってから日本代表に選出されたのは今回のDF遠藤航が初めて。しかも、湘南ユース出身のDF遠藤航が選出されたことの意味は大きい。
最近ではMFハン・グギョンが湘南でプレーしていた時期に韓国代表に召集されているが、日本代表となると1998年のフランスW杯のときのGK小島、MF中田英、FW呂比須ワグナー以来なので17年ぶりとなる。日本国内では「代表チーム」への期待や関心は極めて大きいので、「日本代表の選手がいるのか?いないのか?」の差は大きい。湘南ベルマーレはクラブの存在をアピールする大きなチャンスである。
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