■ ブラジル戦12日(金)にサンドニでフランス代表に1対0で勝利したザック・ジャパンは中3日で、ブラジル代表と対戦した。フル代表がブラジルと対戦するのは、2006年のドイツW杯以来で、6年ぶりとなる。このときは、前半にFW玉田のゴールで先制したが、1対4で逆転負けを食らった。
日本は「4-2-3-1」。GK川島。DF内田、吉田、今野、長友。MF長谷部、遠藤、清武、中村憲、香川。FW本田圭。怪我でフランス戦は欠場となったFW本田圭が戻ってきて1トップでスタメンとなった。フランス戦はスタメン出場したFWハーフナー・マイクとDF酒井宏はベンチスタートで、DF内田もスタメン復帰となった。
対するブラジルは「4-2-3-1」。GKジエゴ・アウベス。DFアドリアーノ、ダビド・ルイス、チアゴ・シウバ、レアンドロ・カスタン。MFラミレス、パウリーニョ、フッキ、オスカー、カカ。FWネイマール。こちらは、FWネイマールの1トップで、MFフッキ、MFオスカー、MFカカが2列目に並ぶ布陣となった。
■ 0対4の敗戦試合の序盤は互角の展開となるが、前半12分にDF内田の中途半端なクリアを拾われて、MFオスカーのパスを受けたMFパウリーニョにミドルシュートを決められてブラジルが先制する。さらに、前半24分にMFカカのシュートをブロックしたDF今野がハンドを取られてPKを献上。FWネイマールが確実に決めて2対0とブラジルがリードを広げる。前半は2対0で折り返す。
後半開始から、MF中村憲とDF内田を下げて、MF乾とDF酒井宏を投入。MF香川をトップ下にポジションを移すが、後半3分にCKからFWネイマールに決められて3対0となる。3点を追う日本は後半5分にMF香川がカットインから左足でシュートを放つが、惜しくも枠外でゴールならず。
余裕の展開となったブラジルは、後半31分にDF吉田のパスミスからMFカカが決めて4点目を挙げる。結局、試合は4対0でブラジルが勝利。ザック・ジャパンは、2011年11月の北朝鮮戦、2012年2月のウズベキスタン戦に続く、3敗目となった。
■ ミスから失点中立地のポーランドでセレソンと対戦したザック・ジャパンだったが、0対4の敗戦となった。北朝鮮戦とウズベキスタン戦は0対1の敗戦だったので、当然、4点差の敗戦はザック・ジャパンになってからは初めての体験で、力の差を見せつけられる形となった。
試合の入り方は良かったが、前半12分の失点が悔やまれる。浮き球のボールをDF内田がパスでつなぐのか、クリアするのか、中途半端になって、誰もいないスペースにパスをしたところから、ブラジルの先制ゴールが生まれた。序盤はパスは回っていたので、つなごうとする意識があったのかもしれないが、痛いミスだった。
現時点で、スペイン・アルゼンチン・ブラジルなど、世界トップレベルの国と力の差があるのは明らかなので、できるだけ長く、0対0のままで時計を進めて、相手の焦りを誘う必要がある。フランス戦も前半は攻め込まれたが、0対0のままで進んだので、フランスも焦ってきて、最後にカウンターが決まったが、相手に先制されると、取り返すのは難しくなる。
日本が金星を挙げるためには、日本が頑張るだけではなくて、相手をイライラさせて、本来の力を出させないことも同じくらい重要になるが、前半12分に先制されて、前半26分に追加点を決められてしまうと、手の打ちようがなくなる。そういう意味でも、痛恨のミスだった。
■ 力を示したセレソンブラジルは2014年は自国でのW杯となるので、若手を抜てきしており、年齢制限があるにもかかわらず、ロンドン五輪などはフル代表に近いメンバー構成となった。したがって、同じようなメンバーで試合を重ねているが、攻撃的なポジションにタレントがいるので、イケイケの時は力を発揮する。
ただ、一方で、劣勢になると幼さを見せる。2011年のコパ・アメリカであったり、ロンドン五輪の決勝のメキシコ戦などが、典型的な例と言えるが、この試合のように、前半の早い時間帯にゴールが決まって、勢いに乗ると、どのチームも太刀打ちすることはできない。
日本にとっては、学ぶべき点の多い試合となったが、2対0になってからのブラジルの戦いは、さすがである。ボールをキープする力もあると思うが、わざと相手にボールを持たせて、いいところでボールを奪ったときは、人数をかけて攻撃を仕掛けて、決定機を作っていく。
日本がアジア予選などで、格下のチームと対戦するとき、「ボールを保持しているが、攻めきれない。」ということもあるが、この日のブラジルのように、「わざと相手にボールを持たせてカウンターを狙う。」というやり方も有効である。
■ FW本田圭のゼロトップポゼッション率であったり、シュート数を見ると、フランス戦よりも良かったと思うが、ブラジルにとって、余裕の展開になったので、相手を慌てさせることはできなかった。
したがって、残念なところもあるが、FW本田圭の1トップに関しては、まずまず機能した。ザッケローニ監督になってからは、途中からFW本田圭が1トップに入ることはあったが、スタートからフォワードで起用されたことは無かったので、初めてであったが、最初にしては悪くなかった。
南アフリカW杯のときも、FW本田圭がフォワードで起用されて、当時、「ゼロトップ」と表現した人もいたが、南アフリカW杯のときは、ほとんどの時間帯で、FW本田圭は最前線にいたので、そのときの布陣を「ゼロトップ」と言うのは無理があると思うが、この日は、下がってくる時間帯も多くて、「ゼロトップ」に近かった。
FW本田圭がトップ下に入ると、中央でどっしりと構えることが多い。よって、ボランチの位置まで下がってくるプレーや1トップの選手を追い越していくようなプレーは多くないので、攻撃の流れが滞ることがあるが、1トップの位置になると、比較的、自由に動くことが出来るので、トップ下でプレーするよりも制約がなくて、動きやすそうな感じはある。
FW前田が戻ってくれば、FW前田がファーストオプションになると思うが、2列目のタレントを生かすために、FW本田圭のポジションを上げるというのも、面白いアイディアであり、可能性を示したといえる。
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