■ 17歳のMF堂安がスタメンデビュー2014年シーズンは「史上2チーム目」となる三冠を達成したG大阪だったが、「1stステージ制覇の称号」はライバルの浦和に譲ることになった。浦和以外のチームでは唯一、1stステージ制覇の可能性を持った状態で6月20日(土)の16節の戦いを迎えたが、仙台とのホームゲームは1対1のドロー。1対0とリードした後半43分にセットプレーから仙台のMF奥埜に同点ゴールを許して万事休す。逃げ切りに失敗した。
G大阪にとっては残念な結果になったが、注目を集めたのは何と言っても17歳のMF堂安である。「起爆剤になってほしい。」という意味合いも込めて右サイドハーフで先発出場。MF堂安は1998年6月16日生まれなので17歳になったばかり。1998年生まれなので「東京世代」で、5年後に迫った2020年の東京五輪で日本代表の攻撃の中心になることが期待される逸材がどんなプレーをするのかに大きな注目が集まった。
結果的には前半のみで交代。前半32分にMF今野のゴールで先制することが出来たので、長谷川監督は守備のことも考えて「後半の頭からMF阿部浩を投入する。」という選択をした。なかなか攻撃に絡めなかったので、「前半だけでベンチに下がったのは仕方がない。」と言えるが、まだ余裕のあるシチュエーションだった。MF堂安に期待していた多くのサポーターにとっては残念な早めの交代だったと言える。
■ タイプが似ているのはMF家長昭博か?前半のみの出場にとどまったので、17歳のMF堂安のスタメンデビュー戦はややほろ苦いものになったが、非常に能力の高い選手であることは間違いない。昨年9月のU-16アジア選手権、年末のJユースカップの準決勝と決勝、今年1月のペルシジャ・ジャカルタとの親善試合など彼のプレーを観るチャンスはかなり多かったが、攻撃に関して特別な才能を持っている選手であることは誰しもが認めるところである。
もちろん、近年のG大阪ユースは他にもいい選手をたくさん輩出しているが、「どう考えても天才」と言えるのはFW宇佐美以来。今、日本サッカー界で最も注目を集めるFW宇佐美と比較する声が多くなるのは必然と言えるが、プレースタイル的にはG大阪ユース出身でJ2の大宮で活躍しているMF家長に近い。難しいプレーをいとも簡単にこなす点がMF家長との共通点の1つ。左足が大きな武器となる点も同じである。
また、MF家長は173センチで70キロで、MF堂安は172センチで70キロ。体型的にはほとんど同じで、この年代のアタッカーでは珍しい「どっしり感」があるところもMF家長と重なる。ただ、若い頃のMF家長ほどガンガンドリブルで仕掛けるタイプではないので横浜FMのMF藤本淳にも似た雰囲気はある。MF藤本淳は173センチで69キロ。「若い頃のMF藤本淳に似ているかも。」と思えるシーンも何度か見ている。
G大阪の2列目にはMF阿部浩がいて、MF大森がいて、MF倉田がいる。場合によってはFWリンスであったり、FW宇佐美もサイドハーフの位置でプレーできるので、非常に層の厚いポジションと言えるが、そういう状況であるにも関わらず、長谷川監督は高校2年生のMF堂安をスタメンで起用した。長谷川監督はもちろんのこと、クラブとしても17歳のアタッカーに大きな期待を寄せていることは明らかである。