■ 驚異的な成績を残したW杯の中断明け「きっちりと徳島に勝利して優勝したかった。」というのがG大阪の関係者の本心だと思うが、アウェーで浦和に勝利した名古屋のアシストもあって、G大阪が2005年以来となる2度目のリーグ制覇を果たした。すでにナビスコカップも制覇しており、1週間後には山形との天皇杯の決勝も控えている。2000年の鹿島以来で、Jリーグ史上2チーム目となる「3冠」という偉業達成まであと1つとなった。
西野監督のときにたくさんタイトルを獲得しているので、「G大阪がタイトルを獲得する。」というのは珍しくないが、リーグ戦に関しては「惜しいところまで行くが、優勝までは届かない。」というシーズンが多かったため、ちょっと意外な感じもするが、クラブとしては2度目のリーグ制覇となった。FW宇佐美が不在だった影響もあって、前半戦は大きく出遅れたが、W杯の中断明け以降の戦いぶりは見事だった。
結局、中断明けは20試合で15勝2敗3分けというハイペースで勝ち点を積み上げた。5連勝が1度、6連勝が1度で、最後の5試合も3勝2分けで乗り切った。浦和に大きく離された時期があるので、「大逆転優勝」であることは確かだが、7月のリーグ戦再開後は他クラブを全く寄せ付けない戦いを見せていて、攻守のバランスが取れた強力なチームだったので、優勝にふさわしいチームと言える。
■ 大きかったFWパトリックとGK東口の加入シーズンの序盤はフォワードの駒不足が深刻だった。エースストライカーのFW宇佐美がキャンプ期間中に怪我をして、開幕から2カ月ほどは試合に出場できなかった。そして、新外国人のFWリンスも春先はパッとしなかった。MF遠藤をフォワードに近いポジションで起用する試合も何度か見られたが、FW宇佐美が戻って来て、夏にFWパトリックが加入すると、先のような快進撃が始まった。
とにかく、今夏、FWパトリックを獲得できたのは大きかった。FWパトリックは189センチとサイズがあるが、スピードがあるし、パワーもある。右サイドに流れるプレーを得意としているが、並のCBでは止めるのは難しい選手である。秋以降はなかなかゴール数が伸びなくなったFW宇佐美よりも目立っており、攻撃においてはFWパトリックがファーストチョイスで、彼の存在感は絶大だった。
当然、開幕前に新潟からGK東口を獲得できたのも大きかった。昨シーズンまでのG大阪の守護神だったGK藤ヶ谷と比べると段違いの安定感があって、フィードも極めて正確である。「キーパーがG大阪の弱点である。」ということは、それこそ、10年以上前から言われてきたことであるが、ようやく日本代表クラスのキーパーを補強して、GK東口は期待通りか、それ以上の活躍を見せたと言える。
前線からの守備が機能するようになった点も「3冠」にリーチがかかっている理由の1つと言える。G大阪は伝統的に攻撃的なサッカーを志向するチームで、「仮に2点取られたとしても、自分たちが3点取れればOK」という考え方が基本だった。そういう部分がG大阪の魅力の1つと言えたが、今シーズンは守備が整備されて、特にボールを奪われた後の守備が非常に良くなって、連続攻撃が可能になった。
G大阪はACLの出場権を獲得できたので、来シーズンはアジアの戦いが待っている。2008年にACLを制覇しているが、前回、出場した2012年のACLは思うような結果を出せなかった。リベンジの思いは強いと思うが、言うまでもなく、近年、JリーグのクラブはACLで結果を出せていないので、アジアの舞台の経験が豊富で、なおかつ、頂点までたどり着いた経験のあるG大阪にかかる期待は大きい。
■ 最後の最後に意地を見せた徳島ヴォルティス一方の徳島はいい試合を見せた。引き分けに終わったため、ホーム初勝利はならなかった。結局、ホーム未勝利のまま、J2に降格することになったが、最後の最後で意地を見せた。2位の浦和が勝利して、「浦和の逆転優勝」となっていたら、徳島の頑張りはもっと大きくクローズアップされたと思うが、とりあえずとしてJ1での最後の試合で多くの人の記憶に残る試合を見せることができた。
後半の中盤以降はギアチェンジしたG大阪に攻め込まれる時間帯が続いたが、DF福元とDF橋内の2人を中心とした粘り強い守備でG大阪にゴールを許さなかった。「4-1-2-3」も機能して、特にアンカーの位置で起用されたMF斉藤大、インサイドハーフで起用されたMFエステバンの活躍が目立った。シーズンを通してこういう戦いができていたら、もっと勝ち点を伸ばすことができただろう。
攻撃も悪くなかった。前半からFW衛藤のボールタッチが多くて、FW大崎とFWキム・ジョンミンの出来もまずまずで、いくつか形を作った。誤算だったのは途中出場のMFアレックスとFW高崎の2人がなかなか試合に入り切ることができなかった点で、2人の投入で勢いを加速させたかったが、効果的な働きができないどころか、判断のまずさで攻撃の流れを止めるケースが目立った。
今シーズンの徳島を簡単に総括すると、出だしで躓いたのが全てだった。2節以降はC大阪(H)→横浜FM(A)→柏(H)→広島(A)→川崎F(H)と開幕前に「優勝候補」と言われたチームとの対戦が続いたのは不運だったが、出遅れてしまうと、中盤戦以降は「勝利」が必要になって来るため、「とりあえず0対0のスコアで試合を進めていく。」という徳島がJ1の舞台でやりたかったサッカーがやりにくくなってしまう。
これでオフに突入するが、来シーズンはJ2に戻って「J1再昇格」を目指すことになる。結局、わずか勝ち点「14」に終わったが、これは「仕方がない。」というしかない。単純な戦力だけでなく、集客力や資金力などなど、クラブ力は他クラブと比較すると大きな差があった。大事なのは「J1で得た経験」をどう生かすかで、それ次第で、収穫の乏しい1年だったか、否かが決まって来ると思う。
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