■ 第29節J1の第29節。12勝5敗11分けで勝ち点「47」のセレッソ大阪(5位)と、6勝15敗7分けで勝ち点「25」の湘南ベルマーレ(16位)がキンチョウスタジアムで対戦した。C大阪は27節は磐田(H)に2対0で勝利して、28節も大分(A)に2対0で勝利して2連勝中。一方、16位の湘南は残留争いの真っただ中で、15位の甲府との差は「5」。ただ、昼間の試合で甲府が敗れているので、勝ち点差を詰めるチャンスが巡って来た。
ホームのC大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、藤本、山下、丸橋。MFシンプリシオ、扇原、山口螢、南野。FW杉本、柿谷。日本代表の欧州遠征から戻ってきたMF山口螢は2列目でスタメンで、FW柿谷は2トップの一角でスタメンとなった。MF山口螢は28試合で6ゴール、FW柿谷は28試合で16ゴールを挙げている。MFエジノ、MF楠神、MF枝村などがベンチスタートとなった。
対するアウェーの湘南は「3-4-2-1」。GKアレックス・サンターナ。DF遠藤航、大野、島村。MFハン・グギョン、永木、亀川、高山、大竹、菊池。FWステボ。マケドニア出身で189センチのFWステボは今シーズン2試合目のスタメンとなる。11試合で3ゴールを挙げているFWウェリントンはベンチスタートとなった。出場停止明けのMF大竹は2011年の後半戦はC大阪でプレーしているので古巣との対戦となった。
■ C大阪が2対1で逆転勝利試合は両チームとも積極的な姿勢を見せて、目まぐるしい展開となる。先制したのはアウェーの湘南で、前半28分に左WBのMF高山のクロスを189センチのFWステボがうまく合わせて先制に成功する。FWステボはJリーグ初ゴールとなった。しかし、前半41分に左サイドの裏を取ったMF扇原のクロスをゴール前に入って来たFW杉本が合わせてC大阪が1対1の同点に追い付く。FW杉本はリーグ戦では10節の浦和戦(H)以来のゴールとなった。前半は1対1で終了する。
後半になると、ホームのC大阪が攻撃する時間が長くなる。細かいパスワークから何度もチャンスを作ると、後半11分に左サイドのCKを獲得。レフティのDF丸橋が蹴ったボールをニアでFW杉本がフリックして、最後はファーサイドに入って来たFW柿谷が頭で合わせて2対1と逆転に成功する。日本代表のFW柿谷は今シーズン17ゴール目となった。また、大型ストライカーのFW杉本は1ゴール1アシストとなった。
結局、試合は2対1でホームのC大阪が勝利して、リーグ戦では3連勝となった。勝ち点「50」を稼いでいる4位の鹿島が敗れたため、C大阪は4位に浮上した。首位を奪回した横浜FMとの差は「6」なので、かろうじて優勝争いに踏みとどまっている。一方の湘南は先制ゴールを奪ったが、逆転負けで3試合勝ちなしとなった。30節はC大阪はアウェーで鳥栖と対戦して、湘南はアウェーで新潟と対戦する予定になっている。
■ 大型ストライカーの杉本健勇C大阪はこれで10試合負けなしとなった。5試合連続引き分けとドロー地獄にハマった時期もあるので、上位との差はなかなか詰められていないが、残り5試合で勝ち点「6」差なので、まだまだ、優勝のチャンスはある。首位の横浜FMとの対戦は終わっているが、2位の浦和(34節・A)、3位の広島(32節・H)、5位の鹿島(33節・H)の試合を残しているので、自力優勝の可能性はなくなっているが、自力でACLの切符を勝ち獲るチャンスはある。
内容的には、まずまず良かった。前半は湘南の勢いに押される場面もあったが、なんとかFW杉本のゴールで同点に追い付くと、後半11分にFW柿谷のゴールで逆転に成功した。C大阪もアップテンポの展開は苦手ではないが、湘南はそういう形を得意にしているので、湘南のリズムになりかけたが、後半はうまく試合をコントロールすることができた。降格圏にいるチームとの3連戦だったので「3連勝がノルマ」と言えたが、望みどおりの結果となった。
この試合はFW杉本が1ゴール1アシストと勝利に貢献したが、ここ最近は、FW杉本、MF扇原、DF山下の3人が目立っている。まず、FW杉本は本当にボールがよくおさまっていて、なおかつ、縦にボールを運ぶ推進力が出てきたので、FW柿谷よりも目立っている。ただ、なかなかリーグ戦ではゴールという結果を出すことができなくて、半レギュラーという立場にとどまっているので、この日のゴールを飛躍のきっかけにしたいところである。
改めて言うまでもないが、非常に能力の高いフォワードである。高さと強さだけでなく、テクニックもあって、スピードもある。ただ、これまでは綺麗にプレーしようとし過ぎて、プレーがソフトになってしまうことが多かったが、ここ最近は、ガツガツ行くプレーも増えていて、いい方向に変化しつつある。若い選手というのは、短期間で一気に伸びることがあるが、最近のFW杉本にはその雰囲気があるので、要注目と言える。
一方のMF扇原は、相方がMF山口螢になったり、MFシンプリシオになったり、定まっていないが、どちらと組んでも、落ち着いてプレーしている。波の激しいところが欠点と言われ続けているが、ここ何試合かは、イージーなミスはほとんどなくて、高いレベルで安定している。前半41分には同点ゴールをアシストしたが、後方でパスをさばくだけでなく、前方に出ていくプレーがもっと増えてくると、もっといい選手になることができるだろう。
■ 柿谷曜一朗の変化注目を集めるFW柿谷は欧州遠征では2試合ともスタメンで起用されたが、なかなかチャンスに絡めなかった。後半の早い段階で交代となったので、欧州遠征では不完全燃焼に終わったが、後半11分に逆転のヘディングシュートを決めてチームを勝利に導いた。セルビア戦も、ベラルーシ戦も、なかなかうまくプレーできなかったので、かなり鬱憤がたまっていて、自分自身にふがいなさを感じていたと思うが、帰国して最初の試合でゴールという結果を残した。
日本代表の1トップについては、今のところ、FW柿谷、FW豊田、FWハーフナー、FW大迫、FW前田という5つの選択肢があるが、そういう中で、ここ数試合は、FW柿谷が軸として起用されている。しかしながら、8月中旬のウルグアイ戦以降の5試合は、ゴールやアシストといった目に見える結果が出ていないので、批判的な声も増えているが、フォワードは、常に結果が求められるポジションなので、これは仕方がないところである。
批判な声は、結果で黙らせるしか方法はないが、見逃せないのは、日本代表でプレーするようになってからのFW柿谷は「意識」が非常に高くなっていることで、日本代表でプレーした経験がいい方向に作用しているのは、間違いない。顕著に感じるのは、守備に回ったときで、これまではあまり貢献できるタイプではなかったが、最近の試合では、「危ない。」という場面では、後ろに戻ってきて味方の守備を助けるプレーも増えている。
日本代表に呼ばれたけれども出番が与えられなくて、不貞腐れてしまう選手もいるが、結局のところ、日本代表の練習に参加した経験や試合に出場した経験を生かせるかどうかは、本人次第である。FW柿谷やMF山口螢はどうなのか、7月の東アジアカップで初めて選ばれた時から注意深く見ていたが、両者ともいい具合に日本代表の経験を生かしているように感じる。若い選手が日本代表を経験してレベルアップすることは、当然、日本サッカー界の財産となる。
■ 残りの対戦相手が厳しい湘南一方の湘南は、痛い逆転負けとなった。昼間の試合で甲府が敗れたので、勝つと15位の甲府との差は「2」となったので、射程圏内となる。「甲府が負けた。」という情報は、選手も、監督も、知っていたと思うので、モチベーションが上がる要因の1つになっていて、しかも、いい形で先制ゴールを奪ったので、何とかして勝ち点「3」を持って帰りたい試合だったが、勝ち点「0」に終わった。この結果に甲府の関係者は一安心しているだろう。
ただ、やっているサッカー自体は見事である。攻守両面で積極的にプレーするのでリスクはあるが、自分たちのペースに持ち込むことができると、大きなエネルギーが生まれて、相手チームを圧倒することもできる。J1でも、J2でも、残留争いに巻き込まれると、守備重視のサッカーにシフトチェンジせざる得ないことがほとんどであるが、今シーズンの湘南は全くブレることない。ずっと「湘南スタイル」を貫いている。
攻撃ではMF大竹がアクセントになっている。アクセントにもいろいろな種類があって、C大阪の場合は、技術のある選手がほとんどなので、高さや強さがあるFW杉本やMFエジノがアクセントになるが、湘南の場合は、運動量のある選手が多いので、技術とイマジネーションのあるMF大竹がアクセントとなる。MF大竹の能力の高さはC大阪の選手たちも知っているので、マークは厳しかったが、それを掻い潜ってチャンスを演出した。
J1は残り5試合となったが、湘南は残りの対戦相手が厳しい。15位の甲府は、FC東京(H)、大宮(A)、大分(H)、名古屋(A)、鳥栖(H)なので、30節のFC東京を除くと調子を落としているチームが目立つが、湘南は、新潟(A)、鹿島(H)、FC東京(A)、広島(A)、大宮(H)なので、上位との対戦も残っている。ただ、5試合で勝ち点「5」差というのは、追いつけない勝ち点差ではないので、最終的に順位が入れ替わる可能性は十分に考えられる。
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