■ 第13節J1の第13節。5月29日(火)にACLのラウンド16のアデレード・ユナイテッド戦を控えている名古屋グランパスが、豊田スタジアムでセレッソ大阪と対戦した。優勝候補の筆頭と言われた名古屋であるが、ここまで5勝4敗2分けで勝ち点「17」。ここ5試合は1勝3敗1分けと勝ち点を伸ばせずにいる。対するC大阪は、4勝6敗2分けで勝ち点「14」。3勝1敗1分けと好スタートを切ったが、6節以降は1勝5敗1分けと結果が出てない。
ホームの名古屋は「4-1-2-3」。GK楢崎。DF田中隼、闘莉王、増川、阿部。MF田口、小川、藤本。FW金崎、ケネディ、玉田。怪我のためMFダニルソン、MF中村直、MF吉村、MF磯村が不在で、アンカーには高卒4年目のMF田口が起用された。MF田口は2試合連続スタメンとなる。U-23日本代表候補のFW永井はベンチスタートとなった。
対するアウェーのC大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、藤本、高橋。MF山口螢、黒木、キム・ボギョン、清武。FWケンペス、播戸。U-23日本代表に選出されているMF扇原は欠場で、2010年のアジア大会の金メダルメンバーのMF黒木がスタメンで起用された。MFブランキーニョ、MF柿谷はベンチスタートとなった。
■ セレッソが1対0で勝利!!!試合の序盤はアウェーのC大阪のペースとなる。名古屋は、相手の攻撃の中心となるMF清武とMFキム・ボギョンをフリーにすることが多くて、C大阪がシュートチャンスを作っていく。一方の名古屋は、FWケネディのところにボールが集まらず、なかなかシュートチャンスを作れない。前半38分にFW金崎が裏に抜け出して決定機を迎えるが、GKキム・ジンヒョンが好セーブを見せてゴールならず。前半は0対0で終了する。
先制したのはC大阪で、後半4分にGKキム・ジンヒョンのロングボールをFWケンペスが競り勝って右サイドのMFキム・ボギョンがフリーでボールを持つと、得意のドリブルで中に切れ込んでから、ゴール前に入って来たMF黒木に優しいラストパスを送る。MF黒木のシュートはヒットしなかったが、こぼれ球を拾ったFWケンペスが右足で決めて先制ゴールを奪う。新外国人のFWケンペスは2試合連続ゴールとなった。
リードを奪ったC大阪だったが、後半15分にDFラインの裏に飛び出したFW播戸がGK楢崎と接触して、2枚目のイエローカードを受けて退場。C大阪は10人となる。連敗だけは避けたい名古屋は、FW巻とFW永井を投入し、ゴール前に攻め込むが、決定機にシュートをミスするシーンが目立って、ゴールを奪うことはできず。1対0でアウェーのC大阪が勝利して、5試合ぶりの勝利を挙げた。
■ 制空権を与えなかったセレッソ先制しながら、同点に追いつかれたり、逆転されたりして、ここ最近、勝ち点を伸ばせていなかったC大阪が勝利して、勝ち点「3」を獲得した。W杯最終予選がスタートするので、6月16日までJ1はしばらく中断するが、中断前の最後の試合で勝利できたのは、非常に大きいといえる。
しかも、名古屋とのアウェーゲームに勝利できたというのも、C大阪にとっては大きなことである。J1に復帰した2010年以降、名古屋とは4試合を戦っているが、いずれも敗れている。もっとも苦手としているチームとの対戦で、厳しい戦いが予想された中で、全員で守って逃げ切りに成功したことは、チーム全体に自信をもたらすことだろう。
過去の4試合は、名古屋の高さに屈してきたが、今シーズンのC大阪は、空中戦に強い選手が増えているので、この日も、制空権を相手に与えることはなかった。FWケンペスが加入し、MF藤本がスタメンに定着しただけでなく、この試合では、DF高橋がスタメンに戻ってきて、MF黒木もボランチで先発となった。MF清武も、MFキム・ボギョンも、空中戦で勝負できる選手なので、簡単にセットプレーでやられることはなくなった。
MF扇原が不在で、MF黒木がスタメンで起用されたが、MF黒木も良かった。これまでは、DF丸橋の代わりに左サイドバックでプレーすることが多かったが、やはり、本職のボランチの方が自分のいいところを出すことが出来る。MF扇原とMF山口螢のダブルボランチになると、MF扇原にボールが集まるので、相手のプレスの狙い目となるが、MF黒木とMF山口螢になるとパスの出所も分散されるので、相手も絞りにくくなる。ダブルボランチの関係は良好だった。
■ FWケンペスが決勝弾決勝ゴールを決めたのは、新外国人のFWケンペスで、柏戦に続いて2試合連続ゴールとなった。新しいエース候補として期待されるFWケンペスは、2節のG大阪とのダービーマッチで決勝ゴールを決めるという派手なホームデビューを飾ったが、その後は、決定機を逃すシーンが多くて、ブレーキになっていた。
182センチと高さがあって、フィジカルも強くて、ドリブルで前に運ぶこともできるので、かなり能力の高いストライカーで、シュートまで持っていくことはできるが、フィニッシュのところが不十分で、「FWケンペスが決めていれば・・・。」というシーンはたくさんある。FWケンペスのゴールが伸びなかったことが、C大阪が勝ち点を伸ばすことができない要因となっているが、2試合連続ゴールと波に乗ってきた。
ここ最近は、1トップではなくて、2トップになったので、FWケンペスの負担も減っている。ただ、FW播戸との関係は今一つなので、MF村田であったり、MF柿谷であったり、FW永井龍であったり、MFブランキーニョであったり、それ以外の選手を試す必要もあるが、これからも、FWケンペスがフォワードの軸になるのは間違いないので、彼のパフォーマンスはチームの成績に直結するだろう。
■ ラウンド16を控えるグランパス一方の名古屋は、12節で仙台に0対4と完敗した悪い流れを引きずっており、立ち上がりの入り方が非常にまずかった。1ボランチでMF田口を起用してきたが、MF小川やMF藤本のサポートが少なかったので、MF田口が一人で、MF清武とMFキム・ボギョンの二人に対応せざるえない状況が多く生じて、前半のほとんどの時間帯は、どちらかの選手がフリーになっていて、二人のところからチャンスを作られた。
先制された後、C大阪のFW播戸が退場になったので、数的優位となったが、数的優位も生かせなかった。FW巻とFW永井を投入したが、C大阪は10人になって守る意識が高くなって、隙もなかったので、なかなかチャンスを作れなかった。結局、2試合連続で完封負けとなったが、リーグ制覇が遠くなったこと以上に、もっとも大事なACLのラウンド16の直前で、最悪に近いチーム状況になってしまったことが問題である。
例年のことであるが、ACLに出場するチームは、4月末から5月末まで、ACLの予選リーグの大事な試合が続いていくため、リーグ戦ではとりこぼしが目立つようになる。昨年の名古屋も、序盤は調子が上がらず苦戦したが、夏場に追い上げていったが、この時期に怪我人が多くなって、チーム力が落ちてしまうのは、どうしようもないことであるが、それにしても、厳しい状況でアデレード・ユナイテッド戦を迎えることになった。昨年は、ラウンド16で水原三星に敗れているので、今年はリベンジしなければならないが・・・。
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