■ J1の第7節J1の第7節。3勝2敗1分けで勝ち点「10」のセレッソ大阪(5位)と、1勝3敗2分けで勝ち点「5」のガンバ大阪(16位)が、ヤンマースタジアム長居で対戦した。C大阪はACLを含めて3試合勝ちなし。ACLでタイに遠征するなど過密日程の影響もあって、ここ最近は結果が出ていない。一方のG大阪はリーグ戦は4試合勝ちなしで、しかも、4試合で1ゴールのみと得点力に課題を抱えている。
ホームのC大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、ゴイコ・カチャル、山下、丸橋。MF山口蛍、長谷川アーリアジャスール、杉本、南野。FWフォルラン、柿谷。4月7日(月)から千葉で行われた日本代表合宿には、DF山下とMF長谷川とMF南野の3人が選出されて、DF山下とMF南野は初の日本代表選出となった。FW柿谷はACLでは3ゴールを挙げているが、リーグ戦ではまだゴールが生まれていない。
対するアウェーのG大阪は「4-2-2-2」。GK東口。DF加地、岩下、丹羽、藤春。MF内田達、今野、阿部、大森。FW遠藤、リンス。6節の鹿島戦(A)は今シーズン初めてボランチで先発した日本代表のFW遠藤はこの試合は2トップの一角で起用された。G大阪の中ではGK東口が日本代表候補に選出されている。開幕前に怪我をしたFW宇佐美は開幕から欠場が続いている。昨シーズンはJ2で18試合で19ゴールを挙げている。
■ 2対2の引き分け試合の序盤はホームのC大阪がペースを掴む。日本代表のFW柿谷、MF山口蛍のシュートでG大阪ゴールを脅かすと、前半21分に攻撃参加したMF山口蛍の横パスを受けたFWフォルランが右足で決めてC大阪が先制に成功する。FWフォルランは4節の鹿島戦(A)以来のゴールで、リーグ戦は2ゴール目となった。しかし、前半42分にG大阪はFKからこぼれ球をMF阿部が豪快に決めて1対1の同点に追い付く。
後半の立ち上がりは同点に追いついたG大阪ペースとなる。逆転ゴールが生まれたのは後半8分で、距離のあるところから放ったMF阿部のミドルシュートが決まって2対1と逆転に成功する。大卒3年目のMF阿部はこの試合は2ゴールの活躍だった。しかし、後半17分にC大阪がゴール前の絶好の位置でFKを獲得すると、FWフォルランが右足で鮮やかに決めて2対2の同点に追い付く。
2対2になった後も、両チームとも攻撃意識を持って3点目を狙いに行った。終了間際にG大阪はMF二川が強烈なシュートを放ったが、途中出場のC大阪のGK武田博が何とか防いで3点目のゴールは生まれず。結局、2年ぶりに開催された大阪ダービーは2対2の引き分けに終わった。両チームとも勝ち点「1」を獲得したが、これでC大阪はリーグ戦は3試合勝ちなしで、G大阪は5試合勝ちなしとなった。
■ ダービー男となったMF阿部浩之G大阪は前半途中にMF今野が負傷して交代するアクシデントが発生したが、MF阿部が2ゴールを挙げる活躍を見せた。6節を終了した時点でG大阪は16位と降格圏に沈んでいるので、大阪ダービーを1つのきっかけにして浮上したかった。なので、同点に追いつかれて勝ち点「3」を逃したことは残念だったが、アウェーであることと、C大阪に先制されたことを考えると、引き分けという結果は悪くない。
開幕6試合で3ゴールと極度の得点力不足に陥っているG大阪は救世主を必要としているが、大阪ダービーという注目度の高い試合で24歳のMF阿部が2ゴールを挙げる活躍を見せたことはポジティブな話である。今後は「ダービー男」と呼ばれる可能性もある。しかも、1点目のゴールも、2点目のゴールも強烈なミドルシュートだったので、ゴールシーンのインパクトは大きくて、全国に名前を売ることができた。
しばらくの間は、「大阪ダービーで2ゴールを挙げた選手」と紹介されることになると思うが、左右両足でミドルシュートを打てる点が、MF阿部の一番いいところである。「ミドルシュートを打てる選手が少ない。」という点が欧州のトップリーグとの大きな差と言えるので、MF阿部のような選手には積極的にシュートを打ってもらいたい。ギリギリのところにシュートが飛ぶとスタジアムは盛り上がってくる。
MF阿部の活躍は見事だったが、残念だったのは、新外国人のFWリンスがブレーキになったことである。なかなかボールがおさまらなくて、DFゴイコ・カチャルやDF山下につぶされるシーンが多かった。1.5列目的なアタッカーであるが、フォワードがいいのか、2列目がいいのか、長谷川監督も迷っている状態と言えるが、これだけボールを失う回数が多いとチームとしてはきつくなる。
■ 途中交代となったGKキム・ジンヒョン一方のC大阪は前半21分にFWフォルランが先制ゴールを決めていい流れになった。宿敵のG大阪を相手に満員になったヤンマースタジアム長居で勝ち点「3」の欲しい試合だったが、ミスから失点した前半42分のシーンが悔やまれる。GKキム・ジンヒョンがゴールマウスを飛び出したが、味方のDF山下と衝突して、相手のMF阿部がドフリーになっていた。そこまでいい流れで進んでいたので、痛いミスだった。
結局、GKキム・ジンヒョンは、その後、フィード等でミスが続いて、後半14分にベンチに下げられた。C大阪では初出場となるGK武田博が穴を埋める活躍を見せたが、「試合中にキーパーを代えざる得ない。」というのは、よほどのことである。交代カードを1つ使ってしまったので、終盤に打てる手が1つ減ってしまったことも含めて、C大阪にとって、GKキム・ジンヒョンのパフォーマンスは大きな誤算だった。
GKキム・ジンヒョンは高さがあって、身体能力が高くて、フィードもできるスーパーなキーパーであるが1つのミスを引きずる傾向にある。ACLのブリーラム戦(A)のミスが引き金になっていると思うが、完璧主義者であることがマイナスに作用するときもある。当然、ミスから失点するのは良くないことで、反省することは大事であるが、ミスを引きずって、新たなミスを引き起こす方がもっと問題である。
■ 初ゴールが遠いFW柿谷攻撃陣は悪くは無かったが、特別、良くも無かった。1人1人はいくつか試合の中で見せ場を作っており、それなりにチャンスも作っているので、まずまずと言えるが、まだしっくり噛み合っている感じはしない。先日の柏戦(A)からFWフォルランとFW柿谷のポジションを逆にして、FW柿谷が最前線でプレーするようになったが、リーグ戦でFW柿谷にゴールが生まれないとチームとして乗っていくことはできない。
もちろん、今シーズンのFW柿谷はチームのために良く頑張っている。FWフォルランの運動量がなかなか増えて来なかったので、3節の清水戦(H)からトップ下がメインポジションとなって、試合終盤にはサイドハーフに回ることもあった。1トップのときと比べると守備の負担が増えて、得意とする味方選手からの縦パス一本でDFラインの裏に抜けてシュートを放つシーンを作るのは難しくなった。
FWフォルランの加入によってちょっと割を食った形になっているが、今シーズンはタイトル獲得を目標に戦っていて、その中で中堅世代となるMF山口蛍とFW柿谷の2人は自分のことよりもチームのことを最優先に考えてプレーせざる得ない。FW柿谷が得点することに神経を集中させるよりも、潤滑油的な存在になる方が(今は)チームとして上手く回るので、割り切ってプレーするしかない。
リーグ戦でゴールが生まれていないことをクローズアップするメディアも出てくると思うが、彼の置かれた(チーム内の)立場であったり、今のC大阪のチーム事情を考えると、「何故なのか?」という理由に関しては、よほどの人でない限り、すぐに分かることであり、コンディション的には大きな問題は無い。頭の中を整理する必要はあると思うが、大袈裟に取り上げても仕方がない話である。
下がり目でプレーすることもいい経験になると思う。徳島のときは主に左サイドハーフでプレーしていたが、そのときとはプレースタイルが違っている。自身のスタイルが出来上がった今の状況下で下がり目でプレーすることは新たなチャレンジとなる。将来、欧州でプレーするようになったとき、「ずっと1トップでプレーする。」というのは難しいと思うので、この経験というのはそのときにも役立つだろう。
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