■ 3試合で9失点コンフェデの日本代表は3試合で9失点と守備面で課題が噴出した。戦い方を変えるのか、選手を代えるのか、監督を代えるのか、いくつかの方法があると思うが、最も現実的なのは、選手を代えることである。CBはG大阪のDF今野とサウザンプトンのDF吉田がレギュラーで起用されているが、横浜FMのDF栗原、磐田のDF伊野波なども控えており、いろいろな組み合わせが考えられる。
もちろん、CBを補佐するボランチのポジションに運動量が多い選手や高さのある選手や1対1の守備力の高い選手を起用することも解決策の1つとなる。運動量のある選手ではC大阪のMF山口螢、高さのある選手ではC大阪のMF扇原やFC東京のMF高橋秀、ボール奪取能力の高い選手ではFC東京のMF米本などがいて、今はCBで起用されているMF今野もボランチでプレーすることができる。
CBに関しては、特に、DF吉田がコンフェデで失点に絡むことが多かった。そのため、「DF吉田をレギュラーで起用するのはどうなのか?」という意見も多くなっているが、個人的には、今後もDF吉田をスタメンで起用すべきだと思う。当然、ミスを犯すこともあるが、ある程度のミスを犯すのは、想定内であり、それだけの価値を持った日本人の中ではトップレベルのCBである。
守備的なポジションというのは、即、ミスが失点につながってしまう。特にイタリア戦の2失点目が良くない印象を与えているが、この試合を振り返ってみると、日本代表の1点目と2点目は相手のミスから生まれており、イタリアのような強豪国でもミスはある。もちろん、DF吉田に危機感を与えることは大事なことであるが、ある程度は我慢しないと選手は育たないし、DF吉田を糾弾したとしても、憂さ晴らしにしかならない。
■ パフォーマンスを落としている闘莉王他にスタメンに値する有望なCBがいるかというと、「現時点では少ない。」と言わざるえない。もちろん、リオ世代にはCBの有望株がひしめいていて、神戸のDF岩波と鹿島のDF植田が期待を集めているが、フル代表に引っ掛かるレベルに達しているかというと、まだそういう段階ではない。もちろん、DF岩波については、神戸でレギュラーを獲得しており、本大会のメンバー入りの可能性はあると思うが、まだ経験は不足している。
では、「ベテランはどうなのか?」というと、なかなか厳しいものがある。当然、ベテランの経験というのは、捨てがたいものがあるが、DF今野やDF吉田以上の働きができる選手がいるかというと難しい。南アフリカW杯を経験しているDF闘莉王は、2004年から9年連続でJリーグのベストイレブンに選ばれており、日本サッカー史に残るCBであるが、今のDF闘莉王が代表に必要かというとそういう感じはしない。
彼だけの責任ではないが、所属の名古屋はJ1で3勝7敗7分けで14位と苦しんでおり、リーグ戦は5連敗でフィニッシュしている。去年までのDF闘莉王であれば、DF吉田の代わりにCBのスタメンで起用されても、同レベルか、それ以上の活躍が期待できたかもしれないが、今シーズンのDF闘莉王は、スピード系の選手にやられるシーンが目立っており、アベレージ以下のパフォーマンスに終始している。
もともとスピードのあるタイプではないが、今シーズンは、昨年までと比べても、特に脆さを見せるようになっている。また、彼の一番の武器である闘争心も見られなくなっている。昨年までであれば、失点をしたり、チームメイトがミスを犯したら、大声を上げて怒り狂っていたが、今シーズンは失点した後も、意外とあっさりしていて、負けず嫌いなところがあまり感じられなくなっている。
■ 闘莉王待望論に感じる違和感ザッケローニ監督の選手起用が完璧とは言えないが、「DF闘莉王を呼ばないのはおかしい。」、「理解できない。」というのは、的外れである。もちろん、高さや強さに関しては、今の時点でも日本人のCBの中では上位レベルであり、得点力の高さはトップレベルだと思うが、数年前のDF闘莉王と今のDF闘莉王は違っている。Jリーグの試合をそれなりに観ている人で、今の状態のDF闘莉王を代表に推そうとする人はごく僅かだと思う。
一部には、「フォワードで起用したらどうか?」という話もあって、フォワードで召集される可能性もゼロとはいえないが、運動量が少ないので、前線からの守備で貢献することはできない。パワープレー要因であれば、FWハーフナー・マイクよりも効果的な働きができるかもしれないが、日本代表の中でそういった使い方をするのは、偉大な選手に対してちょっと失礼であり、現実的ではない。
個人的な意見を言うと、残念に感じるのは、一般のサポーターだけでなく、専門家からも、「なぜ、DF闘莉王を呼ばないのか?」という声が出ていることである。今シーズンの名古屋の試合を観たならば、その理由はよく分かると思うが、最近になって、その声がさらに大きくなってきた。はっきり言うと、全くサッカーを観る目が無いが、最近の名古屋の試合を全く観ていないかのどちらかで、理解しがたいものがある。
サポーターが「○○を代表に呼んだらどうか?」、「なぜ、代表に呼ばないのか?」というのは、全然ありだと思うし、また、それが、Jリーグあるいは日本代表を観るときの楽しみの1つだと思うが、昔のイメージのままで、最新の情報をインプットしていない状態で、ザッケローニ監督の選手起用に口を挟むことは、建設的なこととは思えない。したがって、「闘莉王待望論」を聞くと、ちょっと残念に感じてしまう。
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