■ アジア三次予選2014年のブラジルW杯のアジア3次予選の3戦目。1勝1分けのスタートとなった日本代表は、大阪の長居スタジアムでタジキスタン代表と対戦。日本は、3次予選の初戦はホームで北朝鮮に1対0で勝利し、2戦目はアウェーでウズベキスタンと対戦し、1対1で引き分けた。
2試合を消化して、グループCは、日本とウズベキスタンが勝ち点「4」、北朝鮮が勝ち点「3」、タジキスタンは勝ち点「0」となっている。タジキスタンのFIFAランキングは124位で、グループリーグの中ではもっともレベルが劣ると思われているので、ホームゲームは確実に勝っておきたい。
日本は「4-2-3-1」。GK川島。DF駒野、吉田、今野、長友。MF長谷部、遠藤、岡崎、中村憲、香川。FWハーフナー・マイク。FW李忠成がスタメンから外れてFWハーフナー・マイクが初先発。GK西川、GK権田、DF伊野波、DF栗原、DF槙野、DF酒井、MF増田、MF細貝、MF阿部、MF藤本、MF原口、FW李忠成がベンチ入りとなった。
■ 圧巻の8ゴールで圧勝試合は、立ち上がりから日本の一方的な展開になる。序盤から攻勢をかけると、前半11分に右サイドのDF駒野のクロスをFWハーフナー・マイクが高い打点から豪快なヘディングシュートを決めて先制する。FWハーフナー・マイクは代表初ゴール。さらに、前半19分にもMF中村憲のスルーパスからMF岡崎が決めて2対0とリードを広げる。
勢いの止まらない日本は、前半35分にも混戦からDF駒野がグラウンダーのミドルシュートを決めて3点目を挙げる。DF駒野は代表65キャップ目で初ゴールとなった。さらに前半41分には、またしてもMF中村憲のスルーパスからMF香川がうまくゴール前で合わせて4点目。4対0とリードを広げる。MF香川は8月10日の日韓戦以来の代表でのゴールとなった。タジキスタンは前半はシュートゼロで、攻撃の形すら作れなかった。前半は4対0と日本が圧倒して折り返す。
後半も日本ペースとなる。開始2分には、再び、DF駒野のクロスからFWハーフナー・マイクがヘディングで決めて5点目を挙げる。FWハーフナー・マイクは2ゴール目。ここで、FWハーフナー・マイクは下がって、FW李忠成が投入される。その後も、日本がタジキスタンを圧倒し、後半11分にMF中村憲、後半23分にMF香川、後半29分にMF岡崎がゴールを合計8ゴール。終盤はダレてしまったが、8対0という圧倒的なスコアで勝利。2勝1分けとなって、グループリーグの首位に立った。
■ 久々の快勝劇9月の北朝鮮戦とウズベキスタン戦、10月のベトナム戦と、3試合連続でスムーズな試合ができておらず、「危うし」の雰囲気も出始めていたザックジャパンであるが、久々の快勝劇となった。相手のタジキスタンの守備に問題があったのは事実だが、ここまでの予選2試合は、ウズベキスタンとは「0対1」で、北朝鮮とも「0対1」なので、普通のスコアで惜敗している。「そんなに弱いチームではない。」と見られていたので、予想外のスコアとなった。
口火を切ったのはFWハーフナー・マイクで前半11分に代表初ゴールをマーク。初戦の北朝鮮との試合では、攻め込みながらも、ずっと先制ゴールが奪えず苦しんだだけに、大きなゴールだった。ゴールシーンは、DF駒野のふわっとしたクロスも見事だったが、圧倒的な打点の高さで、タジキスタンの選手は、FWハーフナー・マイクの高さに全く対抗できなかった。
後半になると、FWハーフナー・マイク、MF長谷部、MF岡崎を下げて、FW李忠成、MF細貝、MF藤本を投入。MF細貝は悪くなかったが、FW李忠成とMF藤本が試合に乗り切れず、交代した選手の貢献度に関しては不満が残ったが、不満点はこの点と、DF今野がイエローカードをもらってしまった点くらいで、相手は全く攻撃ができなかった。
正式なシュート数は、後から発表されると思うが、おそらく、前半も後半もシュート数は20本を超えており、合計でシュート数は、45本くらいになるだろう。「2分に1本」のペースで、逆に、相手のシュートは全くなかった。国際舞台でこれだけの差が付くのは非常に珍しいことで、スコア以上にシュート数の差が驚きだった。
■ トップ下のMF中村憲剛 1ゴール3アシスト先日の試合で久々に代表に復帰したMF中村憲は、ベトナム戦では後半から出場。ベトナム戦は非常にミスが多くて、彼らしくないプレーだったが、うまくアジャストしてきて、素晴らしいパフォーマンスを見せた。立ち上がりから積極的にシュートを狙って攻撃をリードすると、1ゴール3アシストの大活躍。MF本田圭がいないときは、MF柏木、MF長谷部らがトップ下で起用されてきたが、一番、しっくりきていて、ボールに触る回数も非常に多かった。
彼らしい「スルーパス」も健在で、MF岡崎の1点目のゴール、MF香川の1点目のゴールは、彼にしか出せないような最高のタイミングのパスでアシストをマークした。アジアカップも含めて、しばらく代表から遠ざかっていたが、大きな戦力であることは間違いなく、「憲剛復活」を強く印象付ける試合となった。相手の問題もあるので、もう少し手応えのある相手のときに、もう一度、「憲剛トップ下」を試してみる必要があるが、「MF本田圭不在のとき」の第一オプションになってくるだろう。
もっと言うと、この試合で見せたパフォーマンスが持続できるのでであれば、「MF本田圭の代役」という立場にとどまらず、MF本田圭がいる場合でも、MF本田圭を別のポジションに移して、MF中村憲をトップ下で起用しても面白いのではないか?と思わせるプレーだった。MF本田圭がトップ下に入ると「重量感」が出るが、真ん中にどっと構えるタイプなので、流動性は出にくくなる。MF中村憲の場合、周りも動いてボールをもらおうとする意識が強くなるので、動きも出てくる。「オプション」や「代役」以上のものになる可能性も否定できない。
■ MF香川真司は2ゴール今シーズン、不調が伝えられているMF香川は、ベトナム戦でも本来の動きができずに、「悩んでいる。」ということであったが、MF遠藤やMF中村憲ら周囲の選手に生かされて、「本来のプレー」とまではいかないが、「まずまずのプレー」を見せた。
今シーズンのドルトムントは、ボランチにパス出しの出来る選手がいないので、MF香川がバイタルエリアでフリーになってもパスが出て来なくて、リズムをつかめない試合が続いている。しかしながら、MF遠藤、MF中村憲の二人は、MF香川がフリーになったところを見逃さないので、立ち上がりから、頻繁にボールに触って、リズムよくプレーすることができた。「運動量」が持ち味の選手なので、「オープンコート」になった方が持ち味が出るタイプであり、この試合のような「ハーフコートゲーム」になると消えることもあるが、全体としては悪くなかった。
元のホームスタジアムの「長居スタジアム」でプレーしたのは、2010年の9月のグアテマラ戦以来で、ゴールを決めたのは、5月のラストゲーム以来となったが、これを「いいきっかけ」にしたいところである。とにもかくにも、結果が出たので、気持ち的に楽になったはずなので、またドルトムントでも活躍することを期待したい。
もともと、MF香川はスロースターターで、2008年も、2009年も、2010年も、シーズン当初は波に乗れず、「今年のMF香川は大丈夫か?」と言われたが、徐々にリズムを取り戻して、結果を残してステップアップしていった。ドルトムントというチームの問題もあるので、ここから華々しい活躍ができるかというと、まだ分からないが、自身のパフォーマンスは、これから上がっていくだろう。
■ FWハーフナー・マイクが2ゴール代表では初スタメンとなったFWハーフナー・マイクは、2ゴールの活躍。ともに「圧倒的な高さ」を生かしたヘディングシュートで、ゴールシーンでは持ち味を最大限に発揮した。ゴールシーン以外で、チャンスに絡むシーンは少なくて、ボールに触る機会が少なかった点は残念だったが、申し分ない結果を残した。
FWハーフナー・マイクが2点目を取った直後にFW李忠成を投入したザッケローニ監督の采配も「面白い采配」で、二人の競争意識を煽ろうとしていることがよく分かる。FW李忠成はやや空回りしてしまったが、この二人に、FW前田を加えた3人は、今後、「1トップの座」を巡って激しいポジション争いを繰り広げていくだろう。
それにしても、194㎝の高さは「圧倒的」で「魅力的」である。まだまだ発展途上の選手なので、自身の高さを最大限に利用することができていないが、日本代表にはクロスの精度の高い選手がいて、「194㎝」をうまく生かしてくれるので、高さがより生きてくる。こういう選手がゴール前にいると、相手はどうしてもFWハーフナー・マイクにマークが集中するので、二次攻撃や三次攻撃も多くなって、FWハーフナー・マイクが絡まなくても、攻撃はうまく回っていく。今後、ザッケローニ監督がどのように使い分けていくか、楽しみになってきた。
■ 駒野友一が代表で初ゴールシャルケのDF内田が怪我で代表から外れていることもあって、DF駒野が右サイドバックで先発起用されているが、代表初ゴールを含む「1ゴール2アシスト」と結果を残した。先日のベトナム戦では、思うようなプレーができなかったが、この日は、立ち上がりから積極的で、DF長友のいる左サイドは、MF中村憲、MF香川、DF長友の3人のコンビネーションで崩すシーンがったが、右サイドは、DF駒野がシンプルにクロスを上げるシーンが多くて、それが効果的だった。
クロスの精度については、もう少し上がってくるとベターであるが、「FWハーフナー・マイク用」の高さ勝負しやすいクロスを上げて、2つのゴールをアシストした。DF駒野自身も、代表戦ではゴールに絡むシーンが少なかったので、3つのゴールに絡んだというのは、良かったのではないか。右サイドバックはDF内田で、左サイドバックはDF長友でレギュラーは固定されているが、どちらのサイドでもできるDF駒野が二人の立場を脅かすくらいまで上り詰めてくると、レギュラー争いは面白くなる。
■ アウェー2連戦に向けて年内には、11月11日にアウェーでタジキスタンと対戦し、11月15日にアウェーで北朝鮮と対戦する。タジキスタンは3連敗で突破は絶望的であり、しかも、この試合でこれだけの差を見せつけられるとモチベーションを上げるのも大変である。アウェーゲームでも、ゴールラッシュとなる可能性は高いといえる。
その次の5戦目のアウェーの北朝鮮戦が大きな山場であり、本当に北朝鮮で試合ができるのかどうかも分からないが、早く2位以内を決めたいところである。タジキスタンはかなり力の劣る相手なので、過信しすぎることはよくないが、攻撃の流れは良くなってきたので、アウェー2連戦で連勝して突破を決めてしまいたいところである。
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