■ 支配率の1位は浦和、3位は川崎F、4位は広島J1の1stステージの4節が終了した時点で3勝1分けで勝ち点「10」。未だに負けなしの川崎フロンターレが首位に立っている。4試合で12得点/6失点。FW大久保とMF中村憲を中心とする強力な攻撃陣は今年も健在で、その上でGKチョン・ソンリョン、DF奈良、DFエドゥアルドが加入。守備的なポジションは「個の力」が劇的にアップして過去数シーズンと比べるとはるかにバランスの取れたチーム構成になっている。
表1は4節終了時点での「J1の18クラブのボール支配率の平均値」を示しているが、川崎Fは59.3%でリーグ3番目。開幕の広島戦(A)は47%にとどまったが、2節の湘南戦(H)は68%で、3節の名古屋戦(H)は62%で、4節の甲府戦(A)は60%だった。直近の3試合はいずれも60%を超えており、自分たちでボールを保持して攻め込む展開になっている。ここまでは川崎Fらしいポゼッションサッカーができている。
1位は浦和で61.8%、3位は川崎Fで59.3%、4位は広島で58.3%、5位はG大阪で55.3%となっているが、この4チームがボール支配率の項目で上位に位置することはほとんどの人が予想できるだろう。浦和は開幕の柏戦(A)が59%で、2節の磐田戦(H)が72%で、3節の福岡戦(H)で58%で、4節の湘南戦(A)が58%。4試合全てで58%をオーバー。2節の磐田戦(H)は72%という高いボール支配率を記録している。
表1. J1の18クラブのボール支配率 (4節終了時点)
順位 | クラブ名 | ボール支配率(%) | 1節(%) | 2節(%) | 3節(%) | 4節(%) |
1 | 浦和レッズ | 61.8 | 59 | 72 | 58 | 58 |
2 | サガン鳥栖 | 61.5 | 58 | 58 | 74 | 56 |
3 | 川崎フロンターレ | 59.3 | 47 | 68 | 62 | 60 |
4 | サンフレッチェ広島 | 58.3 | 53 | 64 | 66 | 50 |
5 | ガンバ大阪 | 55.3 | 52 | 55 | 58 | 56 |
6 | 柏レイソル | 54.5 | 41 | 62 | 61 | 54 |
7 | FC東京 | 53.0 | 66 | 47 | 54 | 45 |
8 | 横浜Fマリノス | 52.0 | 55 | 64 | 45 | 44 |
9 | 鹿島アントラーズ | 50.5 | 48 | 42 | 57 | 55 |
9 | アルビレックス新潟 | 50.5 | 46 | 55 | 55 | 46 |
11 | ヴィッセル神戸 | 49.5 | 63 | 45 | 46 | 44 |
12 | ベガルタ仙台 | 46.5 | 45 | 53 | 43 | 45 |
13 | 名古屋グランパス | 44.5 | 49 | 36 | 38 | 55 |
14 | アビスパ福岡 | 43.3 | 42 | 36 | 42 | 53 |
15 | ジュビロ磐田 | 41.3 | 51 | 28 | 39 | 47 |
16 | 大宮アルディージャ | 41.0 | 34 | 38 | 42 | 50 |
17 | 湘南ベルマーレ | 40.5 | 54 | 32 | 34 | 42 |
18 | ヴァンフォーレ甲府 | 37.0 | 37 | 45 | 26 | 40 |
■ あまり高くないアルビレックス新潟表1を見る限り、クラブ間でのボール支配率の差は大きい。50%前後になるのは鹿島・新潟・神戸の3チームであるが、この中で新潟をクローズアップしたい。開幕の湘南戦(A)は46%で、2節の神戸戦(A)は55%で、3節の横浜FM戦(H)は55%で、4節の柏戦(H)は46%だったが、「ポゼッションサッカー を好む」と言われている吉田達磨監督が就任した割には「ボール支配率の数字」はそこまで極端なことになっていない。
これについては「支配率を高めようとしているのに成功していないのか?」、「(新潟では)そこまでボールを保持することに執着していないのか?」で全く変わってくるが、まだ4試合が終わった段階なのでどちらなのか?は何とも言えない部分である。意地になってリスク覚悟でボールをつなごうとしている風には見えないが、開幕からCBにDF早川を起用していたことを考えるとつなぐことを軽視しているわけではない。
小倉監督が就任して注目度が上がった名古屋は開幕の磐田戦(A)が49%で、2節の広島戦(H)が36%で、3節の川崎F戦(A)が38%で、4節の仙台戦(H)が55%だった。ポゼッション力が高い広島ならびに川崎Fとの試合が含まれていることは考慮する必要があるがトータルでは44.5%でリーグ13位。MF永井謙を中心とした鋭いカウンターが最大の武器になっているのでゆっくりボールを回すシーンはそれほど多くない。
■ 意外なのは2位のサガン鳥栖支配率の高いチームの中で驚きは2位に位置する鳥栖。開幕の福岡戦(H)は58%で、2節の鹿島戦(A)は58%で、3節甲府戦(H)は74%で、4節の横浜FM戦(A)は56%。平均すると61.5%となって浦和に次いでリーグ2位。川崎Fや広島やG大阪よりも上となる。ここまでの4試合全てで支配率が相手を大きく上回っており、3節の甲府戦(H)で記録した74%というのは1節から4節までの計36試合の中で最高の数字となる。
今シーズンからイタリア出身のフィッカデンティ監督が就任したがしっかりとボールをつなごうとする場面は確かに多い。ちなみに昨シーズンの鳥栖の年間のボール支配率は48.4%。パス数はリーグ17位で、パス成功率は16位だった。フィッカデンティ監督が率いた2015年のFC東京はパス数がリーグ14位で、パス成功率はリーグ10位。ドッキングして逆に支配率がここまで高くなっているのは興味深いところ。
ただし、1試合平均のシュート本数は「8.0本」でリーグ15番目となる。最前線にはFW豊田がいるが単純にFW豊田をターゲットにしたロングボールを蹴る場面はあまり多くなくて、トップ下でプレーするMF鎌田を中心にパスワークで崩そうとする場面が多くなっているが、ここまでの4試合に関しては「自分たちの意思でボールを回しているというよりはボールを持たされている時間帯が長い。」と言えるのではないか。
■ もう少し支配率を高めたい大宮アルディージャ逆に支配率が低いのは磐田・大宮・湘南・甲府の4チーム。磐田は41.3%で、大宮は41.0%で、湘南は40.5%で、、甲府は37.0%となる。縦に速いサッカーを基本とする湘南は支配率に全くこだわりのないチームなのでこのくらいの数字であっても大きな問題はないと思われる。同様に甲府もボールを保持して攻め込むタイプのチームではないので大きな問題にはならないが、守備陣が休める時間をもう少し作りたい。
4チームの中で支配率が上がらないことがストレスになるのは磐田と大宮の2チームである。大宮はJ2だった2015年はパス数とパス成功率がともにリーグ1位だった。MF家長を中心としたポゼッションサッカーが持ち味のチームだったがJ1では自分たちがボールを保持して攻め込む展開になっていない。ここまで2勝2敗とまずまずの成績を残しているが、J1の舞台で自分たちの良さを出し切れているとは言えないだろう。
一方、磐田は2015年のJ2でパス数が10位、パス成功率が9位。「パスサッカー」で一世を風靡したチームなのでその時のイメージが色濃く残っているが、今のチームはMFアダイウトンやMF太田吉を中心としたカウンターが一番の武器である。鋭いカウンターから決定機を作ってきたが、MF上田康やMF川辺などボールを保持したときに力を発揮する選手もいる。もう少しボールを支配する時間を長くしたい。
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