■ 話題になった韓国人キーパーの増加今シーズンのJリーグは韓国代表クラスのキーパーが一挙に増えた。すでにGKキム・ジンヒョン(C大阪)とGKク・ソンユン(札幌)が日本でプレーしていたが2010年と2014年のW杯に出場しているGKチョン・ソンリョン(川崎F)、現時点での韓国代表の1番手のキーパーと言われているGKキム・スンギュ(神戸)、194センチの大型キーパーのGKイ・ボムヨン(福岡)がJリーグに進出。今シーズンから日本でプレーしている。
身長はGKキム・ジンヒョンが192センチ、GKク・ソンユンが195センチ、GKチョン・ソンリョンが190センチ、GKキム・スンギュが187センチ、GKイ・ボムヨンが194センチ。一般人の平均身長を日韓で比較しても大きな差は無いと思うがサッカー選手を比較すると韓国人選手の方が身長の高い選手が多い。どの選手も言葉の問題はほとんどなさそう。韓国人キーパーのJリーグ進出はさらに増える可能性がある。
J1でプレーするGKチョン・ソンリョンとGKキム・スンギュとGKイ・ボムヨンはどうしても比較されてしまうが、ここまで存在感を発揮しているのは川崎FのGKチョン・ソンリョン。開幕の広島戦(A)で好セーブを連発して1対0の勝利に大きく貢献した。派手さはないが堅実なタイプのキーパーで最終ラインに安心感を与えることができる。3勝1分けと好スタートを切った川崎Fの守護神としてさらなる活躍が期待される。
能力的にはGKキム・スンギュはかなり高い。187センチとサイズがあるがフットワークが軽くて軽快なプレーを見せる。シュートへの反応も早くてカバー領域も広いので現代的なキーパーである。注目したいのはロングスロー。加入当初から「フィードが武器」と言われていたが軽く投げてもハーフウェーラインまで飛ばすことができる。GK山本海やGK徳重もいいキーパーだったが現役の韓国代表キーパーは一味違う。
一方、福岡に加入したGKイ・ボムヨンはまだ特段のインパクトは残せていない。昨シーズンの正キーパーのGK中村航は鮮烈な活躍を見せたが特にビッグセーブが多かった。絶体絶命のピンチを神がかり的な反応で阻止する場面が非常に多かったのでゴールを決められると「もしかしたらGK中村航であれば止めてくれたのでは?」と思ってしまう。ただ、キーパーとしての持ち味は異なるので自分の良さを発揮してほしい。
■ 日本代表入りが期待される若手キーパーJ1では新加入となる韓国出身の3人のキーパーに注目が集まるが日本人キーパーではすでに名前が挙がったGK中村航(柏)のプレーには注目せざる得ない。チームは0勝2敗2分けと結果が出ていないが、復帰した柏でもポジションを確保しており、個人としてのパフォーマンスは決して悪くない。むしろ、絶体絶命のピンチを防ぐシーンは柏に戻ってからも相変わらず多い。ビッグセーブで試合の流れを変えることができる。
「日本サッカー界はキーパーが弱点」と言われて久しいので久々に出てきた若手のスターキーパーにかかる期待は大きい。まずはリオ五輪のメンバーに選ばれてGK櫛引(鹿島)との競争に勝って手倉森JAPANでゴールマウスを守ることが第一の目標となるがGK櫛引は移籍先の鹿島では第2キーパーの立場なのでレギュラー奪取の可能性は十分にある。当然、柏で存在感を発揮できるとフル代表入りも見えてくる。
ハーフなので純粋な日本人ではないがGKシュミット・ダニエル(松本山雅)のプレーぶりも要注目と言える。オフに熊本から松本山雅に移ったが「J1昇格」を狙うチームでどれだけのパフォーマンスが出せるか。現時点では経験値ならびに実績が不足しているが196センチと日本人では稀な高さがあって、さらには判断も正確で、フィード力ならびにキック力もある。キーパーとしての素材は超一級品と言えるだろう。
■ 欧州系のキーパーが増えるきっかけになるか?J1でプレーした経験はなくて、本人は「2・3年先にはフル代表に選ばれたい。」とコメントしているが韓国出身のキーパーが急激に増えたこともあって「日本代表に呼ぶことができるキーパー」が少なくなりつつある。過去にMF香川やMF乾などはJ1での実績がほぼ(あるいは全く)無い状態で岡田JAPANに召集されているが、諸々の事情を考えると早い時期にGKシュミット・ダニエルが日本代表に呼ばれても不思議はない。
外国人キーパーというと初めてJ1の舞台でプレーするGKカミンスキー(磐田)も要注目と言える。韓国出身のキーパーは増えているがそれ以外の国のキーパーはJリーグの歴史を振り返ってみてもほとんどいない。「外国人キーパーが少ない。」というのは日本人キーパーのレベルがなかなか向上しなかった一因とも考えられる。磐田で2年目となるが同様に懸念されていた言葉の問題はほとんどなさそう。
GKキム・ジンヒョンが活躍したことでGKオ・スンフン(徳島・京都)が後に続いて、GKク・ソンユンは高校生の頃にC大阪が獲得してユースチームに登録させながら育ててきた。GKキム・ジンヒョンの活躍が昨今の韓国人キーパーの増加につながっているのは間違いないところなので仮にGKカミンスキーがJ1の舞台で華々しい活躍を見せるようだと欧州系のキーパーの獲得に抵抗感を感じるクラブは少なくなるはず。
■ J2で活躍する「清水姓」のキーパー今シーズンはどうしても外国籍キーパーに注目が集まるがGK中村航(柏)以外の日本人キーパーで注目すべき選手が何人かいる。開幕2連勝で2節終了時点で首位に立った群馬の正キーパーのGK清水慶(群馬)はJ2で目立った活躍を見せている。0対1で敗れたものの、3節のC大阪戦(A)も好セーブを連発した。大きな話題になったMF柿谷(C大阪)のヒールシュートは止められなかったがこの日はビッグセーブを連発した。
2008年から2015年までは大宮でプレーしたがGK北野やGK江角やGK加藤やGK塩田がいたためほとんど出番はなかった。2013年に2試合、2014年に8試合出場したのみ。下積み生活が長かったのでJリーグの試合に出場できる喜びを感じながらプレーしている。2連勝した後、2連敗を喫したため五分の成績に逆戻りしたが今シーズンの群馬はポジティブ要素が多い。新守護神のGK清水慶にかかる期待は大きい。
なぜかJリーグには「清水姓」のキーパーが多い。開幕の時点では清水姓は6人(清水慶記・清水健太・清水圭介・清水航平・清水貴文・清水慎太郎)いるが、そのうちの半分がキーパーとなる。GK清水圭(京都)は経験豊富なGK菅野が加入したためサブに回っているが、GK清水慶(群馬)以外にも3勝1分けと好スタートを切った讃岐のGK清水健にも注目したい。讃岐はこれ以上ないほど最高のスタートを切っている。
山形で長きにわたって活躍したGK清水健はビッグセーブが多い。讃岐は2015年は42試合で33失点。リーグ最少タイだったが山形から加入して1年目となるGK清水健の神がかり的な好セーブに助けられる場面は多かった。前年の2014年はリーグワースト2位となる42試合で71失点だったので、「1人のキーパーの加入によってチームが大きく変わった好例」と言える。どこまで上位争いに食らいつくことができるか。
■ J1とJ2の出場記録を保持するベテランキーパーベテランというとJ2最多出場記録を更新中のGK本間(水戸)のプレーも楽しみ。2015年シーズン終了時点では543試合に出場しているが、歴代2位のMF倉貫(甲府など)が435試合なので100試合以上の差がある。近年はGK笠原との競争が激しくなっているが今シーズンも開幕スタメンを勝ち取った。1996年に浦和に加入したがここでは出番が無かった。J1の出場はゼロ。水戸の歴史をすべて知っているキーパーである。
J1のベテランキーパーというと何といってもGK楢崎である。ザックJAPANが誕生した直後の2010年9月に正式に代表引退を表明しているので以後は代表には選出されていないが未だに日本人キーパーでは屈指の実力を持っている。同様に2015年シーズンが終了した時点で604試合に出場しているが、2位のMF伊東輝(清水など)が517試合なのでこちらもダントツ1位である。記録をどこまで伸ばせるのか?にも注目が集まる。
今年の4月で大台の40歳となるがまだ当分の間は名古屋の守護神として活躍できるだろう。もちろん、全盛期と比べると反射神経などは確実に落ちてきているとは思うが年齢的な衰えがパフォーマンスに影響しているか?というと全くそういう印象はない。J1の出場試合数の歴代3位のMF遠藤(G大阪)とDF中澤(横浜FM)が503試合。この2人もかなり元気なので「最終的に誰が一番上になるのか?」を予想するのは難しい。
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2016年に注目すべきJリーガー (キーパー編) GK チョン・ソンリョン (川崎フロンターレ)
GK キム・スンギュ(ヴィッセル神戸)
GK イ・ボムヨン (アビスパ福岡)
GK 中村航輔 (柏レイソル)
GK シュミット・ダニエル (松本山雅)
GK カミンスキー (ジュビロ磐田)
GK 清水慶記 (ザスパクサツ群馬)
GK 清水健太 (カマタマーレ讃岐)
GK 本間幸司 (水戸ホーリーホック)
GK 楢崎正剛 (名古屋グランパス)
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