■ フランス戦欧州に遠征しているのザック・ジャパンの1試合目は、サンドニでフランス代表と対戦した。フランスとは、同じスタジアムで2001年3月に対戦しているが、このときは、0対5で大敗を喫して、「サンドニの悲劇」として語り継がれている。フランスとの対戦は、2003年のコンフェデレーションズカップ以来で約9年ぶりとなる。
日本は「4-2-3-1」。GK川島。DF酒井宏、吉田、今野、長友。MF長谷部、遠藤、清武、中村憲、香川。FWハーフナー・マイク。怪我のため、MF岡崎とFW前田は不在で、MF本田圭もコンディション不良で欠場となった。GK西川、GK権田、DF駒野、DF内田、DF栗原、DF酒井高、MF高橋、MF細貝、MF宮市、MF乾、FW佐藤寿がベンチスタートとなった。
一方のフランスは「4-1-2-3」。GKロリス。DFドゥビュシ、ジャレ、コシールニー、クリシー。MFカプエ、マテュイディ、シソコ。FWメネス、ジルー、ベンゼマ。バイエルンのMFリベリ、マンチェスターUのDFエヴラはベンチスタートとなった。
■ 日本が1対0で勝利試合の前半はホームのフランスのペースとなる。両サイドが積極的に仕掛けて日本を圧倒。何度もCKを獲得して、セットプレーのチャンスを得る。日本は防戦一方だったが、フランスのシュートミスにも助けられてゴールは許さない。結局、前半のシュート数は、フランスが14本で、日本が1本だけということで、力の差を見せつけられたが、0対0で終了する。
後半も立ち上がりは同じような感じだったが、後半17分にMF長谷部とMF中村憲を下げて、MF細貝とMF乾を投入すると、流れが変わってきて、パスが回るようになる。フランスは後半23分に温存していたMFリベリを投入して、左サイドから攻めてくるが、後半30分あたりを過ぎると、フランスの運動量が落ちてきて、逆に日本がチャンスを作るようになる。
先制ゴールが生まれたのは、後半43分で相手のCKを防いでカウンターを仕掛ける。DF今野がドリブルで持ち上がってから右サイドを駆け上がったDF長友にパスを送って、DF長友が折り返したボールを、MF香川が倒れ込みながらボレーで決めて先制に成功する。
結局、MF香川の決勝ゴールで日本が1対0で勝利。国際Aマッチで初めてフランスに勝利し、同じステージで11年前のリベンジを果たした。16日(火)は、ポーランドでブラジル代表と対戦する予定になっている。
■ DF今野のドリブルから決勝点!!!一方的に攻められた前半の45分間は、「世界との差は大きい。」と感じたが、GK川島、DF吉田、DF今野を中心にゼロで抑えると、後半のラスト15分あたりから、日本がペースを握るようになって、後半43分にMF香川の決勝ゴールが生まれた。
後半41分にFWハーフナー・マイクとDF酒井宏を下げて、MF高橋とDF内田を投入して、「ゼロトップ」のような布陣に変更したが、機動力のある選手を並べたことが、功を奏した。FWハーフナー・マイクは攻撃ではブレーキになっていたが、194センチの高さは相手のCKのときは、効果的だったので、「どうかな・・・。」という交代だったが、選手交代はうまくいった。
DF今野→DF長友→MF香川という流れから決勝ゴールが生まれたが、何といっても、DF今野の長距離ドリブルが見事だった。フランスもホームでドローではダメなので、CKのとき、リスクを冒してゴール前の枚数を増やしたが、カウンターのケアが十分ではなかった。
DF今野という選手が、こういうドリブルをしたシーンというのは、全く記憶にないが、相手を引きつけてから右サイドに展開した。DF今野は、守備のときも、フランスの選手に自由を与えず、攻守両面で活躍した。「強豪を相手にしたとき、DF今野で大丈夫なのか?」という声は多かったが、懐疑的な人を黙らせるプレーを見せた。
■ 最後はMF香川が決める決勝ゴールを決めたのは、MF香川だった。後半17分にMF乾が投入された後は、トップ下にポジションを移して、MF清武、MF香川、MF乾というC大阪育ちの3人の2列目となったが、3人が絡んでいくつか形を作った。ゴール前は密集していたので、簡単なシュートではなかったが、泥臭くゴールを射止めた。こういう競った展開でゴールを決められる選手というのは価値がある。
MF香川は、先日のプレミアリーグの試合は攻撃に絡めずに、後半の早い時間帯に途中交代となったので、不調も伝えられていたが、この日は、尻上がりに調子を上げて、後半になると、いいところでボールを受ける機会が増えて、攻撃の中心となった。サンドニのピッチはぬかるんでいたので、MF香川のようなタイプの選手には、難しいピッチコンディションだったが、たくましさを感じるプレーを見せた。
久々だったMF乾とのコンビネーションは、頻度は多くなかったが、まずまずだった。MF乾も、MF香川も、この日の後半のように、こちらがカウンターを仕掛ける展開になると、最大限に力を発揮できる。相手に引かれることの多い「対アジア」になると、持ち味は出しにくいが、強豪チームが相手になると有効である。MF香川はもちろんのこと、MF乾もジョーカー役として、日本代表で有効なカードになりうることを示した。
■ 理想的な親善試合アシストを記録したDF長友のプレーは圧巻だった。後半20分あたりまでは、ほとんど攻撃に参加する機会がなかったので、守備のときに目立つ程度だったが、後半25分あたりから、再三、左サイドを駆け上がってチャンスを作った。フランスのMFリベリも何度も左サイドから仕掛けてチャンスを作ったが、この日に関しては、MFリベリにも見劣りはしなかった。
もちろん、GK川島の活躍も光った。前半はたくさんのシュートは打たれたが、本当に危ないシーンというと、FWベンゼマのFKくらいで、意外とGK川島の見せ場はなかったが、後半は、GK川島のスーパーセーブに助けられた。先制されると、挽回するのは難しかったと思うので、大ヒーローの1人といえる。
一方、FWハーフナー・マイクとMF長谷部は持ち味を出し切れなかった。FWハーフナー・マイクに関しては、セットプレーのときの守備では大きく貢献したが、ボールがおさまらないのは、1トップの選手としては、苦しいところである。MF長谷部については、ずっと試合に出ていないことを考えると、よく頑張った方なのかもしれないが、試合勘不足を感じさせるプレーがいくつかあった。
MF長谷部については、ヴォルフスブルクで試合に出ることができない状態で、日本代表に呼ばれているので、周りの見る目は厳しくなってくる。それを払しょくするには、そこそこのプレーではダメで、「さすが長谷部」というプレーをしないと、否定的なムードを振り払うことはできない。11月になると、さらにコンディションが悪くなると思うので、次のブラジル戦は、彼にとっては、大事な試合となる。
フランスはW杯予選のスペイン戦を控えているので、もっとテンションの低い試合になるかと思ったが、フランスも「やる気度」は高くて、熱戦となった。勝つには勝ったが、前半の出来は拙かったので、修正点も少なくない。よって、手放しで喜べるような試合ではなかったが、結果が出たというのは、次につながってくる。修正点も多く見つかって、しかも、結果も出るという、親善試合としては理想的な試合となった。
関連エントリー 2012/05/18
ザックジャパンのベストイレブンを考える。 (GK編、右SB編) 2012/05/19
ザックジャパンのベストイレブンを考える。 (CB編、左SB編) 2012/05/20
ザックジャパンのベストイレブンを考える。 (ボランチ編) 2012/05/21
ザックジャパンのベストイレブンを考える。 (攻撃的MF編) 2012/05/21
ザックジャパンのベストイレブンを考える。 (フォワード編) 2012/06/05
テレビ朝日とサッカー中継の進化 2012/09/28
佐藤寿人の日本代表招集はあるのか? 2012/10/04
長谷部誠の日本代表への選出は妥当か?
- 関連記事
-