■ 試合後の記者会見4月18日(水)に行われたナビスコカップの浦和レッズとセレッソ大阪の対戦は、アウェーのC大阪が4対1で勝利した。日本代表のMF清武が、4ゴール全てに絡む大活躍を見せたが、敗れた浦和も、ユース出身でルーキーのMF矢島がプロ初ゴールを決めるなど、若手の活躍が目立つ試合となった。しかしながら、試合結果以上に、試合後の記者会見でのやり取りの方が話題になっている。
質問したのは、フリーライターの湯浅健二氏で、「Q: 柿谷は才能のある選手だが、ボールのないところで何をするかというところで0点に近かったと思う。ああいう才能のあって勘違いしている選手をどうやって育てればいいのか?」という質問をソアレス監督にぶつけたことが、いろいろなところで取り上げられている。
これに対して、ソアレス監督は、「曜一朗は若くて、これからも練習のなかで身につけなければいけないことがたくさんある。能力は高いので今後も指導していきながら、その能力がチームにもっと還元されるように考えていきたい。」と大人の回答をしたので、事態が大げさになることはなかったが、「質問内容がひどすぎるのでは?」と意見が多い。
■ ここ最近は低調???湯浅氏というと、日韓W杯の頃に、クローズアップされたライターで、当時は、「信頼できるライターの一人」という評価をされていたが、最近は低調である。個人的にも、湯浅氏のホームページをブックマークしていた時期もあったが、今では、ブックマークも外している。どうにも、自身のサッカー観をアピールすることに必死で、目の前で行われている試合を蔑ろにし過ぎているという印象で、試合を観て感じた感想と、湯浅氏の評論が一致しないことが多くなってしまった。それが、ブックマークを外した一番の理由である。
こういう時代になったので、世界中で行われるいろいろな試合をチェックする必要が出てきた。しかしながら、時間的な制約もあるので、興味を持った試合であっても、スルーせざるえないケースも増えてきている。今後、日本人の海外進出がさらに進むことが予想されているので、今よりも、もっと大変になると思うが、そういうとき、信頼できるライターが多ければ多いほど、個人のサッカーライフも潤ってくるが、残念ながら、最近の湯浅氏は、満足できるレベルにはない。
■ 独特なワード湯浅氏がメジャーになったことの大きな理由として、それまで、あまり語られてこなかった部分を、独特のワードで表現することに成功した点である。「爆発的なフリーランニング」、「クリエイティブな無駄走り」などが、代表例で、『湯浅語』とも表現されて、サッカーライターとして、評価を得るに至った。現在でも、「ボールの無いところの動き」を重視しており、最初の質問も、このことを指摘しているが、それぞれの選手には「個性」があるので、それだけで、優劣を評価できるわけでもない。
もちろん、この試合のMF柿谷の動きは、いいとは言えなかった。ただ、全否定されるほど、悪いものでもなかった。「MF柿谷はこういう選手で、だから問題がある。」と、試合前から、こういう質問をしようと、決めてかかってた可能性が高いように感じられて、著しく、選手へのリスペクトを欠いているようにも思う。十分なプレーができなかった選手に対して、叱咤激励すること大事なことであるが、きちんと試合を観て評価しないと、選手も納得しないだろう。
個人的には、好意的に思っていたライターだったので、ここ最近の落ち込み具合は、非常に残念に感じてしまう。率直に言うと、最近のエントリーは、「その内容ならば、試合を観なくても書けるのでは?」と思ってしまうこともしばしばである。
■ 復活を期待したいが・・・仮に、選手の実力を「10」とする。ただ、コンディションであったり、相手との相対関係であったり、チームメイトのパフォーマンスなどにも影響されて、常に「10」の力を出せるとは限らない。いいときは、「12」の力を出せることもあるし、「8」の力しか出せないときもある。したがって、「10」の力を持っている選手でも、そのパフォーマンスは、上下に振れることがほとんどで、それを観たサポーターは、「いいプレーだった。」とか、「あまり良くないプレーだった。」などと、試合後に論じることになる。
その一方で、湯浅氏は、根本的な能力・資質のところを評価しようとしている。目の前の試合で行われたことよりも、根本的な能力や資質が評価の対象となるので、氏が評価するタイプの選手は、常に、いいパフォーマンスを見せたことになって、氏が評価しないタイプの選手は、常に良くないパフォーマンスを見せたこととして、結論付けられる。もちろん、トレーニング方法や意識を変えることで、根本的な部分も上達したり、改善したりすることもあるが、そんなに簡単にレベルアップするものではないので、どのエントリーも、焼き回しのように思えてしまう。
湯浅氏のサッカー観については、かなり独特なものがあって、「一理ある。」と思う部分もある。しかし、残念ながら、ここ最近は、「うーん。」と思うところが多い。『評価基準が一貫している。』という点に関しては、多くの人が見習うべきところもあると思うが、凝り固まっている部分は、何とも残念に思う。好意的に思っているライターだっただけに、現状のことを残念に感じるとともに、何かをきっかけにしても、ブレークスルーを果たして欲しいところである。
関連エントリー 2010/11/22
???で理解に苦しむサッカーコラム 2011/01/28
「信頼できるライター」と「信頼できないライター」 2011/02/03
サッカーダイジェストの再興に期待したい。 2011/04/08
日本のサッカー解説者を勝手に評価する (2011年版) 2011/05/17
コパ・アメリカの辞退 決定に関して 2012/01/13
ガンバレ!!! 加部未蘭 2012/01/11
柿谷曜一朗のセレッソ復帰に関して → J3+(メルマ)
- 関連記事
-