■ 第13節J1の第13節。2勝6敗3分けで勝ち点「9」のガンバ大阪が、ホームの万博競技場でサガン鳥栖と対戦した。鳥栖は4勝3敗5分けで勝ち点「17」。G大阪は、川崎F(6節)と清水(7節)に勝利して、「どん底状態から脱出したか!?」と思われたが、その後は、0勝2敗2分けと、また勝てなくなってしまった。一方の鳥栖も、7節で新潟に勝利した後は、0勝1敗4分け。勝ち点は稼いでいるが、勢いに陰りが出てきた。
ホームのG大阪は「4-2-2-2」。GK木村。DF内田、中澤、今野、藤春。MF明神、遠藤、二川、倉田。FW佐藤晃、パウリーニョ。元日本代表のDF加地が怪我で離脱しているため、20歳のDF内田が右サイドバックでスタメン出場。今シーズン初スタメンとなった。FWラフィーニャ、FWイ・スンヨル、MF寺田はベンチスタートで、MF二川が5節以来のスタメンとなった。
対するアウェーの鳥栖は「4-2-3-1」。GK赤星。DF丹羽、小林、キム・クナン、磯崎。MF岡本、藤田、早坂、トジン、金民友。FW豊田。U-23日本代表に招集されてトゥーロン国際大会に出場しているMF水沼が欠場のため、MF早坂が今シーズン初スタメンとなった。FW豊田はここまで4ゴールを挙げている。
■ サガンが鮮やかな逆転勝利!!!試合は前半3分にホームのG大阪が先制する。左サイドで相手ボールを奪ったFWパウリーニョのクロスから中央に入ってきたMF二川が落ち着いたコントロールから右足で決めて先制する。7試合ぶりのスタメンとなったMF二川は、今シーズン初ゴールとなった。その後は、G大阪が試合を支配して、次々にチャンスを作っていく。しかし、なかなか2点目のゴールは奪えず。前半は1対0でG大阪がリードして折り返す。
後半も立ち上がりはG大阪のペースとなる。待望の追加点のゴールが決まったのは後半22分で、右サイドに流れたMF遠藤のクロスをFW佐藤晃が合わせて2対0とする。徳島から加入のFW佐藤晃は、今シーズン4ゴール目となった。しかし、直後に鳥栖は右サイドでスローインを得ると、MF藤田のロングスローをFW豊田が直で合わせて1点差に迫る。FW豊田は今シーズン5ゴール目となった。
FW豊田の追撃のゴールで鳥栖に勢いが生まれて、終盤は鳥栖がゴール前のシーンを作るようになる。同点ゴールが生まれたのは、後半41分で、FW豊田の落としからMF藤田が右足でコントロールシュートを決めて2対2と試合を振り出しに戻す。MF藤田はJ1初ゴールとなった。追いつかれたG大阪は、前掛かりになって勝ち越しを狙うが、逆に、後半ロスタイムに鳥栖がカウンターを仕掛けると、数的優位の状況から、最後は、またしても、MF藤田が決めて土壇場で逆転に成功する。
結局、試合は3対2でアウェーの鳥栖が鮮やかな逆転勝利を飾って、6試合ぶりの勝ち点「3」を獲得。アウェーでは、リーグ戦初勝利を挙げた。一方のG大阪は、前半は相手を圧倒して、いい流れで試合を進めることができたが、まさかの大逆転負けとなった。
■ 0対2からの大逆転12節のFC東京戦(A)は、2対0とリードしながら、途中出場のFW渡邉千に3ゴールを許して逆転負けを喫した鳥栖が、前の試合の鬱憤を晴らすかのような逆転劇を見せて、アウェーで初白星を飾った。同点に追いつかれた後、G大阪は勝ち点「3」を狙って、総攻撃を仕掛けてきたが、カウンターのケアが不十分だった隙を突いて、鮮やかなカウンターを仕掛けて決勝ゴールを奪った。
試合終了のホイッスルが鳴ったのは、逆転ゴールが決まった直後で、劇的な勝利となったが、ヒーローになったのはキャプテンのMF藤田で、2ゴール1アシストという大活躍だった。これまでの試合も、いいタイミングで攻撃に参加していて、決定的なシュートを放つことはあったが、チャンスに決められずに初ゴールが生まれていなかったが、勝負どころで2ゴールを奪ってチームに勝ち点「3」をもたらした。
J1は、W杯予選があるため、しばらくの間、中断期間に入るが、6試合勝利なしで中断期間に入るのと、勝って中断期間に入るのとでは、大きな違いがある。もし、今シーズン、鳥栖がJ1に残留するとしたら、「アウェーのG大阪戦の勝利が大きかった。」と誰もが振り返ることになるだろう。
■ MF藤田が2ゴール1アシスト大卒3年目のMF藤田は、代名詞となった「ロングスロー」で注目を集めているが、ボランチとしても、年々、力を付けてきている。初年度の2010年は、オフに主力の大量離脱があったため、戦力が整わなくて、ルーキーのMF藤田も苦戦した。当時は、もっと前目のポジションでもプレーすることが多くて、攻撃の中心的な役割を担ったが、十分な活躍はできず、チームを浮上させることはできなかった。
そのときは、「荷が重い。」という感じもあったが、苦しい時を乗り越えて、プロ2年目にJ1昇格の立役者となると、今シーズンも、初挑戦のJ1で、十分な働きを見せている。昨シーズンの途中からキャプテンマークを巻くようになったが、キャプテンマークも板についてきて、すっかり、このチームの顔の一人となった。
MF藤田は、175センチの身長で、身体能力に恵まれた選手ではない。テクニックと状況判断の良さが売りとなるが、日本人の中盤の選手には、比較的、多いタイプであり、競争も激しい。そのため、武器となるものを見つけないと、埋没しがちなキャラクターであり、ポジションとなるので、苦労も多かったと思うが、ロングスローを会得して、多くのゴールシーンに絡むようになると、より、自信を持ってプレーできるようになったので、それ以外のプレーでも、質が上がってきている。
鳥栖は、前線にFW豊田がいるので、最終ラインからロングボールを蹴ることが多いが、ボランチにMF岡本とMF藤田がいるので、いざと言うときは、ボールを回すことも可能となるメンバー構成である。中断明けは、本格的に、夏に突入するので、これまでのように「常に全力で戦う。」というスタイルでは、スタミナが持たない。よって、ゲームをコントロールすることも重要になる。中断明けは、さらに、MF藤田の存在がクローズアップされるだろう。
■ 雲行きが怪しくなってきたG大阪一方のG大阪は、完全に勝ちゲームだったが、まさかの3失点で、ホームで屈辱の逆転負けとなった。前半は鳥栖のシュートはゼロで、決定機もなくて、失点しそうな雰囲気はなかった。2点目を獲るまでに時間がかかったが、後半22分にFW佐藤晃が決めて2対0と突き放したときは、誰もが、G大阪の勝利を確信したと思うが、直後にロングスローから1点を返されたのが、非常に痛かった。
勝っていて、流れのいいチームであれば、1点差になっても、慌てずに逃げきることが出来たと思うが、ここまでは、ACLを含めると、ホームでもアウェーでも、負け試合ばかりなので、1点を返されたことで、浮足立ってしまった。早々にセホーン監督を解任して、松波監督を迎え入れたが、またまた、雲行きが怪しくなってきた。
ただ、松波監督とは、「長期契約を結んでいる。」という話なので、監督を代えるという選択肢は残っていない。これまでの松波監督を見ていると、試合中も非常に静かで、選手達を鼓舞するようなアクションは見られない。下位に低迷しているチームを浮上させるには、もっとエネルギッシュな指導者の方が適していると思うが、もはや、松波監督と心中するしかない。今後は、松波監督と選手が一丸になって戦うしかないが、前途多難である。
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