■ 第7節J1の再開初戦。開幕戦は鹿島アントラーズと3対3で引き分けた大宮アルディージャがホームのNAC5スタジアムで柏レイソルと対戦。柏は清水エスパルスに3対0で勝利し、好スタートを切っている。DFジョルジ・ワグネル、DFパク・ドンヒョク、MFレアンドロ・ドミンゲスの助っ人トリオがゴールを決めて、新生・エスパルスを圧倒した。
ホームの大宮は<4-2-2-2>。GK北野。DF杉山、深谷、金英權、村上。MF青木、上田、渡部、東。FWラファエル、李天秀。開幕戦は<4-2-3-1>で、FW李天秀の1トップだったが、この試合は2トップに変更。さらに、MF藤本がスタメンから外れて、大分トリニータから加入のMF東が初スタメン。DF深谷はスタメン出場。昨シーズン25試合で6ゴールを挙げている。
対するアウェーの柏も<4-2-2-2>。GK菅野。DF酒井、パク・ドンヒョク、近藤、ジョルジ・ワグネル。MF大谷、栗澤、レアンドロ・ドミンゲス。FW大津、田中。DF増嶋がスタメンから外れてロンドン世代のDF酒井が右サイドバックでスタメン。元日本代表のMF水野がベンチ入り。
■ レアンドロ・ドミンゲスが決勝弾前半はホームの大宮ペース。MF上田が起点になってスムーズなボール回しを見せてペースを握る。目立ったのは右サイドのMF渡部で、積極的に仕掛けてチャンスに絡む。柏はMFレアンドロ・ドミンゲスにボールが渡らずに苦戦を強いられる。
0対0で迎えた後半は、一転して柏がリズムをつかむ。右サイドバックのDF酒井も前に出て行ってチャンスに絡むようになる。すると、後半10分に柏はFW田中順が左足でミドルシュート。これが大宮のMF上田に当たってコースが変わる。枠にいったシュートは、なんとか大宮のGK北野がセーブするが、こぼれたボールを拾ったMFレアンドロ・ドミンゲスが右足でシュート。これが決まって柏が先制する。MFレアンドロ・ドミンゲスは2試合連続ゴール。
ビハインドの大宮は、MF藤本、FW石原を投入して攻め込むが、あと一歩のところでゴールは奪えず。結局、MFレアンドロ・ドミンゲスのゴールを守った柏が1対0で勝利。柏は2連勝スタートとなった。一方の大宮は1敗1分けとなった。
■ レイソルが連勝昇格組の柏は開幕から2連勝。前半こそ、押し込まれる時間が長かったが、後半に入ると開幕戦で見せた流れのいい攻撃を見せて勢いに乗ると、いい時間帯にMFレアンドロ・ドミンゲスが先制ゴールをマーク。終盤の大宮の攻撃もDFパク・ドンヒョクを中心に跳ね返した。
開幕戦も3対0の勝利だったので、柏はこれで2試合連続完封勝利。攻守のバランスが取れており、穴らしい穴は見つからない。昇格組では、2009年はサンフレッチェ広島、2010年はセレッソ大阪が躍進して、いきなりACLの出場権を獲得するなど目覚ましい結果を残したが、柏にも同じような期待がかかってくる。
■ 田中順也が活躍柏は、FW田中順、FWホジェル、FW林、FW澤、FW工藤、FW北島とフォワードの駒が豊富で、開幕前から、どのように使い分けていくかに注目が集まっていたが、2試合連続でFW田中順とFW大津の2トップとなっている。ともに、まだゴールはないが、それ以外の部分での貢献が大きく、今のところ、うまく機能しているといえる。
「駒が豊富」ということは、裏を返すと「絶対的な存在がいない」ともいえる状況なので、突き抜けてくる選手が現れることが期待されるが、一番の注目は、大卒2年目のFW田中順也で、オールラウンドな活躍が見込めるので、フォワードの軸になりうる選手である。
昨シーズンはJ2で24試合で6ゴールだったが、ゴールに絡むプレーを増やすことが今後の課題であるが、この試合では強烈なシュートが決勝ゴールに結びついた。
■ 3年目のDF酒井がスタメン柏ではユース出身で3年目のDF酒井がスタメン出場した。開幕戦ではDF増嶋がスタメンだったが、DF増嶋を押しのけてスタメンに入ると、前半は控えめであったが、後半になると、サイドを駆け上がってチャンスに絡んだ。終盤に足を痛めたようで、DF増嶋と交代したが悪くないプレーだった。
DF酒井は183㎝の大型選手で、この試合は右サイドバックだったが、センターバックもこなす「ユーティリティー性」を備える。日本人でこれだけサイズのあるサイドバックというのは珍しく、それだけでも貴重であるが、身体能力も高いので、かなりの逸材である。
1990年生まれなので、ロンドン世代であるが、ロンドン五輪代表チームは、センターバックの人材を欠いており、川崎フロンターレのDF薗田、ジュビロ磐田のDF本田、セレッソ大阪のDF扇原といったJリーグの経験の少ない選手 or 全くない選手がメンバーに入ってきており、DF酒井もチャンスがあるのではないだろうか。
■ 大宮は1敗1分け一方の大宮は1敗1分。鹿島戦、柏戦とも、いい内容の試合を見せており、これで勝ち点「1」というのは、かなり不本意なものである。
こちらも、攻守ともにバランスは良くて、大きな問題は発生していないが、あえて言うと、ゴール前で迫力を欠くシーンが少なくない。FWラファエルも、FW李天秀もストライカーというタイプではなくて、真のストライカーがいないので仕方がないが、攻め込んでいる割には、ゴールに結びつかないという展開が今後も予想される。切り札としてFW石原がいるが、彼をどう起用していくのかも大切になるだろう。
■ MF渡部が好プレー大宮は、MF渡部、MF東、MF青木、MF上田の4人で中盤を組んだが、MF渡部が22歳、MF東が20歳、MF青木が21歳、MF上田が24歳で、非常に若いメンバーが中盤を構成している。これまで、大宮は中堅からベテランの選手が多かったので、チームが変わりつつあることを感じさせる。
ロンドン五輪代表でもレギュラーポジションをつかみつつあるMF東に注目が集まるが、この試合で目立ったのはMF渡部で、右サイドハーフのポジションで、攻守両面で高いパフォーマンスを見せた。課題はゴール前で精度を欠くプレーが多かったことであるが、このあたりのレベルが上がってくると、もう、1ランク上の選手に成長することができる。
MF東はやや低調なプレー。スタートは左サイドハーフで、途中からフォワードに入り、最後はボランチとなったが、ボランチのときのプレーが一番良かった。サイドハーフのときは、なかなかプレーに絡めず、もう少し、チャンスを演出したかったところである。
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