■ 開幕戦2010年のJ2を制して2年ぶりにJ1復帰を果たした柏レイソルと、アジアカップのイラン代表監督のゴトビ氏を迎えて新しいスタートを切った清水エスパルスの対戦。柏はプレシーズンマッチは、千葉戦、水戸戦の2試合ともに0対1で敗れている。
ホームの柏は<4-2-2-2>。GK菅野。DF増嶋、近藤、パク・ドンヒョク、ジョルジ・ワグネル。MF大谷、栗澤、レアンドロ・ドミンゲス、茨田。FW大津、田中順。FWホジェル、FW北島らがベンチスタート。DFジョルジ・ワグネルは左サイドバックでスタメン。
対するアウェーの清水は<4-2-3-1>。GK山本海。DF辻尾、平岡、ボスナー、太田。MF岩下、枝村、大前、小野、アレックス。FW伊藤翔。水原から加入したFW高原はベンチスタート。オーストラリア代表歴のあるMFアレックスが左サイドでスタメン。FW伊藤の1トップで、小野がMFトップ下。
■ 柏が圧勝試合は前半21分に柏がFW大津のドリブルからゴール前の絶好の位置でフリーキックを得ると、新外国人のDFジョルジ・ワグネルが左足で鮮やかな軌道を描くシュートを決めて柏が先制する。清水はMF大前のドリブルからチャンスを作るが、決定機まで結びつかない。前半はそのまま1対0の柏リードで折り返す。
ビハインドの清水は後半10分にMFアレックスにFW高原を投入し、FW高原の1トップに変更するが、後半20分に柏がセットプレーから、そのFW高原のクリアがうまくいかなかったところを突いて、DFパク・ドンヒョクがゴール。追加点を奪うと、さらにその3分後にもカウンターでMF茨田のパスから独走したMFレアンドロ・ドミンゲスが落ち着いて決めて3対0とリードを広げる。
清水は後半34分にDFボスナーがレッドカードを受けて万事休す。結局、3対0で昇格組の柏が圧勝。幸先のいいスタートを切った。一方の清水はショッキングな敗戦で黒星スタートとなった。
■ レイソルが3ゴール昇格3チームの中でもっとも評価の高い柏がホームで好スタートを切った。大きかったのは、やはり先制ゴールで、決勝ゴールやや右寄りの最高の位置でフリーキックを得ると、左足のスペシャリストのDFジョルジ・ワグネルがネットを揺らした。コースも、スピードも、完璧であり、清水のGK山本海もどうしようもなかった。
柏にはセットプレーのキッカーとして右足のMFレアンドロ・ドミンゲスもおり、リーグ屈指のプレースキッカーを二人揃えることになった。MFレアンドロ・ドミンゲスは右足で、DFジョルジ・ワグネルは左足であり、今後、相手チームを悩ませそうなコンビである。結局、奪った3ゴールはすべて外国人選手の挙げたゴールであり、自慢のトリオが開幕から結果を出した。
DFジョルジ・ワグネルはプレシーズンマッチのジェフ千葉戦では左サイドハーフでプレーしていたが、MFレアンドロ・ドミンゲスとの関係が今一つで、プレイスキック以外では持ち味を発揮できなかったが、左サイドバックに回って、チーム全体もスムーズになった。「守備はどうなのか」という不安はあるが、好スタートを切った。
■ 19歳のプレーメーカーのMF茨田陽生 柏はユース出身で2年目のMF茨田が開幕スタメンをゲット。攻撃的なポジションに入って、素晴らしいパフォーマンスを見せた。昨シーズンは26試合で3ゴール2アシストを記録しているが、J1デビュー戦でも臆することなくプレーし、3点目のMFレアンドロ・ドミンゲスのゴールをアシストした。「ばらだ・あきみ」というなかなか読むのが難しい名前であるが、将来性は抜群であり、覚えておいて「損」のない選手である。
MF茨田は1991年生まれでまだ19歳。典型的なゲームメーカーというよりは、運動量が豊富でテクニックもあって、攻撃にアクセントをつけるMFイニエスタのような選手である。今年は、ロンドン五輪代表としても期待される選手であり、このタイプの選手としては、日本代表経験もある浦和レッズのMF山田直がいるが、怪我でほとんど試合に出られいない。アタッカータイプは豊富であるが、試合の流れをコントロールできる選手は少ないので、大いに期待したい。
■ ボランチ不在のエスパルス①プレシーズンマッチの横浜Fマリノス戦の出来は悪くなかったので、手ごたえを感じていたはずの清水にとっては、この敗戦はショッキングなものである。前半はほぼ互角だったが、後半はほとんどシュートも打てずにカウンターから何度もチャンスを作られた。新監督になって最初の公式戦だったが、尾を引きそうな敗戦である。
問題点は、誰がどう見ても「ボランチ」である。MF岩下とMF枝村でダブルボランチを組んでいるが、DF岩下は本来はセンターバックの選手であり、MF枝村も攻守に精力的に動くタイプではない。展開力も、守備力も、ともに物足りないものであり、ボランチをどうにかしないと、浮上するのは難しいだろう。
オフにFW藤本、MF兵働、FW岡崎らが「ゼロ円移籍」で抜けた清水であるが、鹿島アントラーズに移籍したMF本田拓だけは「移籍金」がかかっており、清水のフロントとしても、MF本田拓が抜けたのは想定外だったことだろう。他のポジションの穴埋めは出来ているが「ボランチの補強」だけは進まなかった。
■ ボランチ不在のエスパルス②MF岩下の「強さ」や「高さ」は魅力的であるが、中盤の底でボールを持てないのは厳しい。パートナーが、MF遠藤であったり、MF中村憲であったり、MF小笠原であれば、MF岩下のボランチでも全く問題ないかもしれないが、MF枝村とのコンビでは非常に厳しい。MF枝村はゴール前に上がって行って仕事をするタイプであり、「消えて時間」を作って、予期せぬところに出てきてゴールを奪う選手である。
「今から補強する」というのも難しいので、他に候補を探すと、MF杉山、MF山本真らとなるが、MF小林大やMF小野も候補とせざる得ない状況である。最終ラインはほとんど昨シーズンと変わっておらず、ボランチのところさえ改善できれば、それなりに戦える戦力はあるので、ゴトビ監督の改善に期待したいところである。
■ FW高原はまずまずスタメンからは外れてしまったFW高原であるが、動きは悪くなかった。不運にも2失点目にからんでしまったが、ポストプレーは安定しており、ボールもおさまっていた。FW伊藤は1トップで張るようなタイプではなくて、センターフォワードはFW高原に期待するしかない状況である。MF小野、MF大前、MFアレックス、MF小林大と攻撃陣は駒は揃っているので、FW高原の復活には期待したいところである。
一方で、MFアレックスは不本意なデビューとなった。「左足」に定評があって、2005年はオーストラリアのリーグで得点王になっているという「隠れた大物」であるが、日本のスピーディーな展開に戸惑って、ボールを失うことが多かった。もう少し、時間が必要だろう。
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