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ベガルタ仙台 評価 A+
→ FWマルキーニョス、FW柳沢、MF松下、MF角田、MFマックス、DFチョ・ビョングクら即戦力クラスを大量に補強したことで戦力は大幅にアップした。特に攻撃陣は、MF梁、MF関口も残留しており、バリエーションは無数に広がった。2トップが濃厚で、FWマルキーニョスが軸か。FW柳沢、FW赤嶺、FW中原とタイプの異なる選手がいるのも強みである。
不安材料は、新戦力たちをうまく使いこなせるかという点である。ここ数年、何人もブラジル人選手をチームに加えて戦力アップを図ったが、手倉森監督は十分には使いこなせず、結局、元のメンバーが中心でシーズンを送ることになっている。今回、加わったのは実績のある選手が中心なので、そこまで苦労しないかもしれないが、うまくチームに組み入れることができるかが心配される。
新外国人の中で注目したいのはボランチのMFマックス。このポジションはここ数年、補強ポイントになっており、彼がどのくらい出来るかで、チームの成績も左右されそうである。ダメであっても、MF角田、MF斉藤、MF富田、MF高橋がいるので致命的なマイナスにはならないが、そうなると、中位以下に落ち着いてしまいそうである。彼が中盤で存在感を放つようだと目標の上位争いも見えてくる。新たに加わった選手の年齢を見ると、ちょっと年を取りすぎている気もするが、トータルで見ると、戦力補強としては十分すぎるほどで、チーム史上最高の戦力といえる。
モンテディオ山形 評価 D-
→ レンタルだったFW田代(鹿島)、MF増田(鹿島)の慰留に失敗し、レギュラー二人を失った。代わりにFW大久保(福岡)、MF船山(鹿島)、MF川島(鹿島)を加えたが、スケールダウンは否めない。
10ゴールを挙げたFW田代の穴埋めとして期待されるのは、187㎝のFW長谷川であるが、昨シーズンは1トップ(=3トップ)になってゴールへ向かう仕事が少なくなったことも影響し持ち味を発揮しきれなかった。190㎝のFW大久保とのツインタワーも考えられるが、2008年のFW豊田、2010年のFW田代と、ツインタワーが機能しきれていない点も不安で、得点力については不安いっぱいである。
ポジティブな要素は、レギュラー候補の流出はレンタル組だけだったことで、他のメンバーはチームに残ったので連携面で大きな不安はない。ただ、このままでかなり厳しいシーズンになりそうで、新外国人のMFマイコン、DFウーゴの活躍は不可欠である。ここ数年、新外国人はすべて失敗に終わっているが、今年も失敗に終わると大変なことになる。21歳のMFマイコンについては小林監督も高く評価しているという情報もあるので、期待したいところである。
鹿島アントラーズ 評価 S-
→ リーグ4連覇を逃したこともあって、こちらもオフに大型補強を行った。特に大きいのは日本代表のMF本田拓(清水)とMF柴崎(青森山田高)の獲得で、ここ数年、ずっと問題視されていた世代交代の遅れも二人の加入で解決できそうな雰囲気になってきた。あとは、オリベイラ監督がどうやって世代交代を進めていくか。MF小笠原、MF本山、MF中田浩、DF新井場といった選手は経験もあって、実績も抜群なので、非常に難しい作業になるが、将来を考えると「備え」が必要な時期に入ってきている。
一方、決め手に欠けた前線は、衰えが見え始めていたFWマルキーニョスの後釜としてブラジル人のFWカルロンを獲得。190㎝と高さもあるので、彼がフォワードの軸になりそうであるが、仮に「ハズレ」であったとしても、FW大迫とFW田代が控えており、大きなダメージにはならない。
また、DF内田のシャルケ移籍で穴が空いていた右サイドバックも、日本代表候補のDF西(新潟)を獲得して万全。左サイドバックもDFアレックス(千葉)というユーティリティ選手を獲得しており、補強としては申し分ない。唯一の不安は、DF大岩が引退したことでセンターバックの層が薄くなっていることであり、控えに回ることが予想されるMF青木やMF中田浩で埋める覚悟であるが、レギュラーのDF岩政にしても、DF伊野波にしても海外移籍の噂がある。唯一、CBは不安なポジションであるが、オフの補強はパーフェクトに近いといえる。
柏レイソル 評価 B-
→ J2を圧倒的な強さで制した柏。2009年の広島、2010年のC大阪が昇格1年目でACL出場権を獲得しており、柏にも上位進出の期待がかかっている。オフの補強の目玉はサンパウロからやってきたMFジョルジ・ワグネル。32歳という年齢であるが、非常に評価の高い選手であり、「左サイドのスペシャリスト」ということである。このポジションはMF大津が怪我がちなので、効果的な補強といえる。
さらに、中盤の強化として地元の千葉県出身のMF兵働(清水)を獲得。怪我のため、復帰は4月頃になりそうであるが、ゲームを作るタイプの選手が不足気味であったので、こちらも悪くない補強である。痛かったのは、右サイドバックのDF小林(横浜FM)の流出。2010年に右サイドバックで開花し、日本代表を狙えるレベルまで成長していただけに残念な移籍である。バックアップとしてDF村上が控えているのでダメージは抑えられるが、オフの誤算の1つとなった。
もともと、FW林、FW工藤、MF茨田といったJ2で伸びた若手選手が多いチームなので、「補強は最小限にとどめるべき。」と思えるメンバー構成であった。MFアン・ヨンハ(大宮)、DF増嶋(京都)、DF中島(福岡)といった経験のある選手も獲得しているが、若手の成長を阻害しないくらいの「適度な補強」が出来ており、魅力的なメンバーが集まってたといえる。
浦和レッズ 評価 B+
→ 昨シーズン、DF闘莉王が抜けて苦しんだCBの軸になれる選手としてDF永田(新潟)を獲得。高さもあって、フィード力もあるので、ぴったりの人材といえる。その相方が、DF坪井になるか、DFスピラノビッチになるか、DF山田暢になるか分からないが、非常に大きな補強といえる。さらに、MFポンテの後釜としてMFマルシオ・リシャルデス(新潟)を獲得。言うまでもなくフリーキックのスペシャリストであり、もともと多いドリブラーの威力も増大させるだろう。FWマゾーラという評価の高いアタッカーも獲得しており、アタッカー陣はリーグ屈指の陣容となった。
不安はボランチのポジション。MF阿部、MF細貝が相次いで海外に移籍し、MF鈴木啓も全盛期と比べると力は落ちており、ボランチの軸となれる選手が見当たらない。ポテンシャルの高いMF青山(徳島)の獲得はいい補強であるが、現時点で、J1でレギュラーをはれる存在かというと疑問であり、他のポジションと比べるとかなり手薄である。
「今シーズンの戦力補強」という意味では「いい補強」ができているが、必要以上に選手を獲りすぎている気がする点がマイナスとなる。ビッグクラブの宿命なのかもしれないが、1.5列目と2列目のポジションは、MFマルシオ・リシャルデス、FWマゾーラに加えて、FW原(清水)も獲得しているが、このポジションには、FW田中達、FWエスクデロ、MF梅、MF山田直、MF原口、MF柏木といった日本代表あるいは五輪代表クラスの選手が多くいて、彼らのうちの何人かはベンチスタートになってしまう。
大宮アルディージャ 評価 A-
→ J1に昇格してからずっと残留争いをしている大宮であるが、今オフは充実した補強ができており、「残留争いの常連」から抜け出せそうなメンバーが集まっている。即戦力といえるのは、MF東(大分)、MF上田(磐田)。アジア大会の金メダリストのMF東はロンドン世代であり、これから「大宮の顔」になっていかなければならない選手。また、MF上田はここ数年、チームに不足していた待望の「ゲームを作れる選手」である。伸び悩んでいる感もあるが、この移籍を飛躍のきっかけにしてもらいたいところである。
また、サイドアタッカーのDF渡邉大(京都)を獲得。サイドバックは、DF村上、DF杉山、DF鈴木規と候補がおり、粒ぞろいとなった。万遍なく補強したことで、大黒柱のFWラファエルを支えることのできるメンバーが集まっており不安を感じるポジションは少ないが、長身のDFマトも抜けたことで「高さ」には不安がある。DFマトは、昨シーズン途中からスタメン落ちする機会が増えていたが「圧倒的な高さ」は相手からすると厄介であった。CBのDF坪内、DF深谷、DFキム・ヨングン(FC東京)というメンバーは悪くないが、高さについては平均的で、威圧感には欠ける。
結局、噂されていたMFポンテの獲得はならなかったが、人気銘柄だったMF東を獲得し、手薄なポジションを的確に埋めてきた印象がある。申し分ない補強ができたといえるだろう。これでも残留争いをするようであれば、いよいよ深刻である。
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