■ ボランチ6回目はボランチ。現代サッカーでは最も重要なポジションになっていて、このポジションに優秀な選手がいるか、いないかでチーム力は大きく変わってくる。ボランチ兼攻撃的MFの選手も多いが、独断と偏見でどちらかのポジションのみで選出した。
ボランチ → Jリーグを代表するボランチは、鹿島アントラーズのMF小笠原満男、ガンバ大阪のMF遠藤保仁、川崎フロンターレのMF中村憲剛の3人である。ともにパスセンスに秀でているだけでなく、試合をコントロールする力を持つ。
2009年のリーグMVPのMF小笠原のパフォーマンスは昨シーズンと比べると低調であったが、それでもリーグ2位のチームになくてはならない存在である。2月のベネズエラ戦でドイツ大会以来の代表復帰を果たし、メンバー入りの期待も高かったが、結局は落選。しかしながら、その能力が、MF遠藤保仁やMF中村憲剛に劣っているわけではない。フィジカルの強さは群を抜いている。
W杯のデンマーク戦で決めたフリーキックが印象的なG大阪のMF遠藤はシーズン序盤はややコンディションを落としていて、W杯に間に合うのか?と心配された時期もあったが、ピッチ上では誰よりも走ってチームに貢献した。G大阪でも不可欠な存在であるのは例年通りであり、30歳を超えたが、今なお、進化している気がする。
初のW杯メンバーに選ばれたMF中村憲はACLでの怪我で開幕から出遅れたが、チームに戻ってくるとさすがのプレーを見せた。高速のパスで決定機を作る能力はMF小笠原やMF遠藤以上のものがあり、ゴールに直結するパスが出せるのが魅力である。
この3人に負けず劣らずの活躍を見せたのがC大阪のMFマルチネス。「J2レベルを超えている。」と評価の高かったMFマルチネスはJ1の舞台でも高いゲームメイク力を見せ付けた。J2時代に何度もネットを揺らした左足のキャノン砲でゴールを奪うシーンがなかなか見られないのは残念だが、優雅なボールタッチで攻撃を指揮する。
チームは降格圏に沈んでいるが、ヴィッセル神戸のMFボッティのプレーも安定していた。ここ2年ほどは怪我が多くて満足なシーズンを遅れていなかったが、ゲームを作る仕事と決定機を演出する仕事の両方をこなせる選手であり、ハイレベルなプレーを見せている。気の毒だったのはポジションが定まらなかったことであり、ボランチの他に攻撃的MFやフォワードで起用されることもあった。
日本代表がワールドカップで採用した<4-1-2-3>が世界的に流行しており、その「1」のポジションを任される「アンカー」というポジションが注目を集めている。岡田ジャパンではMF阿部勇樹が務めたが、Jリーガーの中でもっとも高いレベルでアンカーをこなすことが出来ると思われるのが、清水エスパルスのMF本田拓也。相手をつぶすプレーもできるが、正確につなぐことも出来るし、ロングボールを蹴ることも出来る。後半戦になってややパフォーマンスが落ちて、MF本田の横の空いたスペースを突かれて失点するシーンが増えてきてしまったが、ザッケローニジャパンにも選ばれていて、今後が期待したい選手である。
同じくワールドカップ後の日本代表に呼ばれているのが浦和レッズのMF細貝萌。攻守ともにアグレッシブで、原監督が代行を務めたパラグアイ戦、グアテマラ戦で先発出場し、チームの勝利に貢献している。浦和にはMF鈴木啓太がいるが、今シーズンはMF鈴木から完全にポジションを奪っており、チーム内での存在感も増している。
守備に特徴があるボランチとしては、横浜FマリノスのMF小椋祥平がいる。水戸ホーリーホックから移籍して3年目。すっかりJ1にも慣れてきて、今シーズンはスタメンを外れたのが2試合のみ。ボランチだけでなくセンターバックもこなすが、持ち味は当たりの強さであり、今シーズンは攻撃面でも成長を見せている。
同じようにセンターバックもこなすボランチとして、ジュビロ磐田のMF那須大亮の名前を外すわけにはいかない。磐田に移籍して2年目。今シーズンはボランチがメインのポジションで、定評のあった守備面に加えて、展開力が大幅にアップした。また、攻撃の時に積極的に前に飛び出してゴールを狙う姿勢も見えていて、トータルバランスに優れたセンターハーフになっている。11月3日のナビスコカップでは獅子奮迅の活躍でチームを7年ぶりのタイトルに導いた。
攻守のバランスを取るプレーに優れた選手を「バランサー」と呼ぶことがあるが、このタイプで評価したいのがアルビレックス新潟のMF本間勲。今シーズンは、MF三門あるいはMF小林慶とダブルボランチを組んだが、定評のある正確なつなぎに加えてゴールへの意識も高くなって、いくつかのゴールに絡んでいる。常に平均点以上のプレーが出来るのが魅力であり、ミスの少ない好プレーヤーである。
ということで、ここまで9人の選手を挙げたが、個人的に№1だと思うのは、名古屋グランパスでアンカーを務めるMFダニルソンである。シーズン前にコンサドーレ札幌から移籍。シーズン当初はチームにフィットせず、ベンチクラシが多かったが、W杯中断明けからアンカーのポジションを確保。圧倒的な身体能力を生かしたダイナミックな守備と、破壊的な威力を持つ左足のシュートでチームの躍進の原動力となった。コロンビア代表経験があって、能力の高さは折り紙つきであったが、ここまで名古屋の<4-1-2-3>にフィットするとは予想できなかった。名古屋の「1」のポジションは適任者がおらず、ずっと候補を探していたがようやく見つかった。
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