■ ヨルダン戦1点ビハインドになった後半にFW前田に代えてFW李忠成、MF松井に代えてMF岡崎を投入したザックジャパン。左サイドに入ったMF岡崎からいくつかチャンスが生まれたが、同点ゴールが生まれたのはロスタイムに入ってからで、初戦はドロースタートとなった。
10月のアルゼンチン戦、韓国戦と比べるとパフォーマンスは低かったが、スタメン組ではFW前田、MF本田、MF松井、DF今野の5人はオフの時期であり、コンディションも良好とは言えず、厳しいスタートとなった。
■ 切り札不在気になったのは、「ゴールが欲しい時間に切るカードが少ない。」ということである。
DF闘莉王、DF中澤といった南アフリカ大会のセンターバックコンビが怪我で不在で、先の2試合でスタメンに起用されたDF栗原も不在。センターバックに不安が残ったため、23人のメンバーを決めるときにセンターバックを多く選ばざる得ない状況であったことも状況を厳しくしている。
ベンチスタートとなった攻撃的なポジションの選手というと、FW李忠成、MF岡崎、MF藤本のほかというと、MF柏木くらいであり、攻撃の駒は多くない。そういう展開にならなければよかったのであるが、初戦から得意としない展開になってしまった。
■ スピードタイプ途中出場で分かりやすい効果を発揮するのは、「スピードのある選手」と「高さのある選手」である。
スピードタイプのスーパーサブというと、第一次岡田ジャパン時代のFW岡野雅行が思い出される。抜群のスピードを誇ったFW岡野は1997年11月16日のジョホールバルでヒーローとなった。
今回のメンバーでスピードタイプはいないが、現役の選手で探してみると、アジア大会の金メダルに貢献したFW永井謙佑がいる。アジアレベルを超えた俊足のFW永井を岡田前監督も高く評価しており、W杯直前のセルビア戦のメンバーに招集している。
また、Jリーグでは、大宮アルディージャのFW石原がこのタイプであり、今シーズンの9ゴールのうち4ゴールは途中出場でのゴールである。スタメンをはれる実力がありながら、他に流れを変えることのできる選手がいないというチーム事情でサブに回っているが、大事なところで投入されて貴重なゴールを奪った。
リーグ2位のG大阪のMF佐々木勇人もスピードタイプのスーパーサブである。抜群のスピードを生かしたサイド攻撃で試合の流れを変えることが出来る。アビスパ福岡のFW田中佑昌も同様で、途中出場で効果を発揮するタイプといえる。
■ ターゲットタイプただし、スピードタイプは相手に引かれてしまったスペースがないときは効果を発揮しないことが多い。このとき、頼りになるのが「ターゲットタイプ」であり、前線に高さのある選手を入れてパワープレーからゴールが生まれることは多い。
当然、相手のセンターバックも高さがある場合がほとんどなので、少なくとも185㎝以上は欲しいところである。今回のメンバーに、このタイプの選手はおらず、可能性としてはディフェンダーの控えのDF岩政をパワープレー要因で起用することは考えられなくもないが、メンバー外の選手で力を発揮しそうなのはFC東京のFW平山相太。
190㎝の高さはそれだけで武器になる。足元も上手であるが、空中戦の勝率も高く、相手にとっては嫌な存在である。FW平山をスーパーサブとしてうまく起用したのが2003年のワールドユースで、FW平山の活躍で日本はベスト8に進出した。
■ そのほかのタイプ他に、運動量が豊富なタイプを投入して相手のディフェンスをかき回す作戦も考えられる。このタイプの選手を上手に起用していたのがオシム監督で、日本代表時代にMF羽生直剛を投入して流れを変えた試合が何試合もあった。また、G大阪の西野監督は、2008年にアジアを制したときにFW山崎雅人をうまく起用していた。アジアカップのメンバーでは、使い方次第では、MF柏木がそういう存在になれるかもしれない。疲れている時間帯に動かれると相手は嫌である。
MF羽生よりももっと技術があって周りも生かせるスーパーサブは鹿島のMF本山雅志である。若い頃からスーパーサブで活躍し、MFビスマルクの後継者となってレギュラーポジションをつかんだが、怪我も多くなってフル出場が出来なくなった今シーズンの終盤はベンチスタートで威力を発揮した。天皇杯のプレーは印象深い。MF本山はスーパーサブの適性の非常に高い選手である。
また、ゲームメイカー・タイプを投入してポゼッション能力をアップさせる作戦もある。日本代表でいうと、今回はメンバーに入っていないが、MF中村憲剛であり、彼が入るとゲームのテンポが変わってリズムを変えられた試合があった。Jリーグでは、このタイプの選手がベンチに控えているケースは少ないので、例を挙げるのは難しいが、有効な策である。
■ ストライカータイプもちろん、点取り屋を投入して、ゴールを期待することも多い。オフト・ジャパンのFW中山雅史はその典型であり、スーパーサブとして貴重なゴールが多かった。Jリーグでは、名古屋グランパスに所属したFW森山泰幸が有名であり、途中出場ながらゴールが多く、ベンチから脅威を与えられる存在だった。
ヨルダン戦で言うと、MF岡崎がそういった役割であり、南アフリカ大会でも点を取ることを期待されてピッチに立った。ただ、MF岡崎の場合、運動量があって、守備も出来るので、動き回って相手の守備を乱す効果も期待できる。今回のメンバーでは、スーパーサブとしての適性がもっとも高い選手といえる。
アジアカップでどういう結果になるかは分からないが、今後、厳しい戦いが続いていく中で、交代として使えるカードを増やしていくことがザックジャパンには期待されるところである。
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レッズの田中達もスーパーサブ的に使ってもらいたい選手かなと思います。
あれ?スピードタイプなら鹿島の興梠じゃないの?
ターゲットタイプなら、甲府のハーフナー・マイクじゃないの?
とか言ってみるw
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