■ 4年前のこと2006年のドイツワールドカップの直前に、「2002年からの4年間で、サッカーメディアは進歩しなかった。」という内容のエントリーを書いた。そして、今、さらに4年という歳月が経過しているが、今度の4年間については、「進歩していない。」というよりは、「退化している。」ような感じさえ受ける。
スポーツ新聞のサッカー記事は、相変わらずの調子である。「イタリアのガゼッタ・デロ・スポルトや、ドイツのキッカー誌のような、各試合ごとの選手の採点&寸評の記事は、いつになったら始まるのだろうか?」と首を長くして待っているが、いまだに始まる気配はない。
個人的な感覚でいうと、試合を見て、各選手を採点しようとすると、本当に集中して試合を見なければならないので労力を使う作業ではあるが、非常に勉強になることも間違いない。継続して続けていけば、それだけで財産になると思うが、その作業をスタートさせる気配はない。また、誤報も多くて、信頼性についても、以前と比べても低下しているように感じる。
長らくサッカー専門番組としての役割を担っていたTBSの「SUPER SOCCER」も終了してしまった。地上派しか視聴できない人にとっては貴重な情報源であり、TBSという局にとってもクオリティーを維持するためには必要な番組であったと思うが、2009年3月をもって「SUPER SOCCER」は終了した。
サッカー専門誌ではないが、サッカーを扱うことの多かった「Number」に関しては、ここ最近の凋落ぶりはすさまじく、サッカー記事は、3流以下のものとなった。幸いにも、「週刊サッカーマガジン」は、一時の低迷ぶりから脱出して上昇気配を感じるが、(「週刊サッカーダイジェスト」は停滞気味か。)、どこも「負のスパイラル」に入っているように思う。もちろん、例外もあって、マスコミの中にも優秀な人材も少なくはないが、全体的なレベルの低下は、進行しているように思う。
■ 浦和レッズと岡田ジャパン①別に、浦和レッズを「ひいき」するつもりはないが、普通の感覚でも、ここ最近の「浦和レッズ」と「フィンケ体制」を巡るスポーツ新聞のやり方には悪意を感じるし、嫌悪感を感じる。
不況の中、新聞の売げ上げを伸ばすには、人目につく「見出し」が必要なのは理解できる。また、人間の心理として、ポジティブな記事よりも、ネガティブな記事やバッシング記事の方が食いつきやすいのも事実であるが、度を超えると白けてしまう。確かに、現在の浦和レッズがいくつかの問題を抱えているのは事実ではあるが、スポーツ報知を筆頭とするメディアのやり方が、レッズの問題をさらに複雑にしているような感じを受ける。メディアがクラブの発展に貢献するのではなく、邪魔をしているように思えるのは、不幸以外の何ものでもない。
イビチャ・オシム氏は、かつて、「日本サッカーは進歩したが、日本のマスコミは40年間、進歩していない。」という語ったが、誠に、40年間に何も積み上げてこなかったことが、今、苦しんでいる大きな要因だろう。
一般的に、素晴らしく内容のある記事を書いて注目を集めることは非常に労力のいる作業であるが、負の記事を書いて注目を集めることは、それほど労力はかからない。てっとり早く注目を集める(売り上げを伸ばす)にはそれがベターではあるが、それだけを続けてきたのが、今のスポーツ新聞の状況を生み出したのではないだろうか?
■ 浦和レッズと岡田ジャパン②先日、南アフリカワールドカップのグループ分けが決定し、日本はカメルーン・オランダ・デンマークとの対戦が決定した。どのグループに入っても難しいものになっただろうが、この「グループE」も難しい相手が揃った。
確かに、現状ではグループリーグ突破の可能性は非常に低いと言わざる得ない。岡田ジャパンについては本大会でも難しい戦いになる事を容易に想像出来るし、無条件で支持するつもりはないが、それでも、何ら精進のあとの見えない人たちが、懸命になってネガティブな報道をしている姿に対して、これまた、嫌悪感を感じざる得ない。
本大会前の今の時期になるともはや恒例になっているが、わざわざ、ワールドカップのグループリーグで対戦する国に出向いて、街を歩く人に日本代表についての印象を聞いて、グループリーグのスコア勝敗予想を聞いて回っている。しかし、いったい、何の意味があるのだろうか?残念ながら、それは、ほとんど意味のないものである。
それでは、あなたの身の回りにいる人で、ここ1年間ほど間に、デンマーク代表の試合を観た経験のある人がいったいどれだけいるだろうか?同様に、一般のデンマーク人が岡田ジャパンの試合を観ている確率はほぼゼロである。イメージだけで語った意見は何の価値も持たないが、街の人の意見だけでネガティブ記事を作ってしまうのだから、恐いものである。
「メディアは特権階級である。」という意識を各人が持っているのであれば、もっとそれらしく、価値の情報を生み出したらどうだろうか?と思わずにはいられない。次の4年間は、「サッカーメディアは進歩した。」と誰もが感じるような4年間になってほしいと思う。また、そうならないと、日本サッカー全体の発展もないだろう。
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スポーツ新聞について言えば、エルゴラにサッカー好きの読者を持っていかれているので、自分のとこのサッカー記事にこれ以上手間をかける気は全くなくなってしまったのでしょう。
退化するのは致し方ないかと。
エルゴラはうまいところに食い込みましたよね。あれについてはスポーツマスコミの進化と言ってもいいんじゃないでしょうか。
まだ、マスとは言えないかもしれませんが。
いつも楽しく拝見させていただいています。
マスコミに対して、言いたいことが3つあります。
①選手の移籍交渉のときに出てくる【クラブ側の誠意を欠いた対応が・・・】的な記事はやめるべき!
クラブの立場で考えれば、育てた子飼いの選手がを出て行くこと自体、選手側がクラブへの誠意を欠いているともいえる。交渉ごとの記事は両方の立場からの事実のみを伝えて欲しい(必要以上にクラブが悪く書かれるケースが多すぎる)。
②国際試合の中継時に【相手はこれだけ強いんです】的な記事・映像は不要!
中継時のあおり映像などで、【相手はこれだけ強いんです。そんな相手に日本は立ち向かうんです】的な構成が目立ちすぎる
WCの組み合わせ抽選で『ランキングはすべて上位。こりゃ大変だ』⇒『マイナス思考』⇒『日本はどうせ弱い』…。日本人が日本代表を応援しなくて誰が応援する!
そもそも日本よりランキングが下のチームで、抽選の別のポットに入った国など1つか2つでしょ。
③代表人気の下落原因は中継技術やアナウンサー・解説者の質低下にある!
最近はテレビ朝日とTBSでの代表試合の中継が多いようだが、
テレビ朝日のアナウンサー・解説者は観客と同じようにただ、応援している放送。
(松木・セルジオ・角澤・田畑・香取)
TBSはいい間違え(『トーゴ』を『ガーナ』。『ジュニーニョ』を『ジョルジーニョ』)多すぎ。
ワールドカップのオランダ戦の中継がテレ朝だということは国民の悲劇。別の視聴方法を今から考えています。
某テレ朝の日曜日にやるサッカー番組でワールドカップ抽選会場にいる海外記者に予選の結果を聞いたところ、半分の方が日本は予選を突破すると答えた!とまことしやかに言ってました。
フリーのサッカージャーナリストのコラムではほとんど3位か4位でした。
ある程度のサッカー好きなら、テレビと雑誌とネットで情報集めて自分でジャッジできますが、テレビだけだとまた、ミスリードされるんでしょうね…
こんにちは
最近読者になりました。
サッカーをもっと“勉強”したいと思ってるのですが、
確かに雑誌、新聞はつらいですね。
「サッカー批評」はまだ切り口が面白かったのですが、
こちらも少しマンネリ化。
他のスポーツ(バレーボールや陸上など)も、ジャニーズやタレントが色を添える(?)のが定番化。
マスを集めるとなると、いい意味でも悪い意味でも「煽り」しか思考回路と手段を持たないところに限界があるように思います。
スポンサーもその方が集めやすいでしょうし・・・。
期待する方がむりなんでしょうね。
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