■ 上位対決12勝6敗10分けで勝ち点「46」のアルビレックス新潟と、13勝11敗4分けで勝ち点「43」の浦和レッズの対戦。新潟はここ4試合で3勝1分けと好調。首位の清水との差はわずかに「4」。ACL出場権獲得となる3位以内だけでなく、リーグ優勝の可能性も残している。
ホームの新潟は<4-2-2-2>。GK北野。DF内田、千代反田、永田、ジウトン。MF本間、三門、マルシオ・リシャルデス、松下。FW大島、矢野。流通経済大出身の新人MF三門が3試合連続スタメン。FWエヴェルトン・サントスはベンチスタート。
対するアウェーの浦和は<4-2-2-1-1>。GK山岸。DF堀之内、闘莉王、坪井、細貝。MF鈴木、阿部、ポンテ、原口。FW田中達、エジミウソン。FW田中達は5節以来のスタメン。DF山田暢が出場停止のため右サイドバックにはDF堀之内が入る。FW高原、MF山田直、MF梅崎らがベンチスタート。
■ エジミウソンの決勝ゴール試合は開始直後、新潟のDF永田のGKへのバックパスが短くなったミスを見逃さなかったFWエジミウソンがボールを奪うと、GK北野を軽快にかわして無人のゴールに流し込む。開始1分で浦和が先制に成功。FWエジミウソンは古巣の新潟相手にビッグスワンでゴール。これで13ゴールとなって得点ランキングは4位タイ。得点王の可能性も見えてきた。
このゴールで試合の主導権を握った浦和は、前半28分にMF鈴木啓太が負傷で退場するアクシデントに見舞われたが、MF山田直を投入。ボランチに入ったMF山田直がうまく試合をコントロールして、新潟にリズムを与えない。前半は1対0で終了。
浦和は、後半は何度かあったチャンスを決め切れず、追加点はならなかったが、それでも1対0で逃げ切って完封勝利。これで、勝ち点を「46」に伸ばし、得失点差の関係で8位ではあるが、上位をうかがえる位置につけて、残り5試合を迎える。
対する新潟はシュートわずかに5本に終わった。
■ 上位に迫る7連敗のあと、浦和は5試合で4勝1敗の好成績。首位の川崎Fとの差が「6」となって、再び、上位進出のチャンスが巡って来た。5位の新潟から8位の浦和までの4チームが勝ち点「46」で並んでいて、大混戦になっている。
思い起こしてみると、リーグ開幕直後に、「1対0の完封勝ち」が4試合続いた事があったが、この日の展開はその当時のものによく似ていて、試合序盤に先制ゴールを奪うと、あとは、うまく試合をコントロールして逃げ切るという得意の形に持ち込むことが出来た。追加点を奪って試合を決め切ることが出来ない、という流れも良く似ていたのは皮肉であるが、内容的には完勝だった。
残り5試合で、首位との差が「6」という数字は厳しいものであることには変わりはないが、たった1試合で状況はガラッと変わるので、まだ諦めるような数字でもない。上位陣ももたついているのでチャンスはある。
■ 天皇杯での敗戦を糧に・・・天皇杯では2回戦で北信越リーグ1部の松本山雅に0対2で敗戦。天皇杯の歴史に残る大アップセットといわれて大きく報道されたが、そのときは日本代表組がいなかった。この日は、日本代表から戻って来たDF闘莉王とMF阿部がスタメン復帰。さすがの存在感を見せつけた。
前半からMF阿部とMF鈴木のダブルボランチの動きが良く新潟の攻撃を確実に封じていたが、前半28分にMF鈴木が負傷で退場。素晴らしい動きを見せていたMF鈴木を欠くことになって、バランスを崩すかと思われたが、ボランチに入ったMF山田直がうまくボールをキープし、展開することで試合をコントロール。隙が無かった。
一時期、やや調子を落としていたように思えたDF坪井も抜群のプレーで新潟の攻撃をシャットアウト。FW田中達とMF山田直が戻ってきて、動ける選手が増えてきたことで、開幕当初のようなサッカーが戻って来た。
■ 久々のポンテ2007年のリーグMVPで中心選手であるMFポンテ。今シーズンは開幕当初は動きが良かったが、中盤戦になってコンディションの問題なのか、モチベーションの問題なのか、突如、そのコンピューターが狂いだして、MFポンテの下降とともにチーム状態も悪くなっていった。
2007年の最終節の横浜FC戦で大怪我を負っていて、2008年は低調なパフォーマンスの試合が多かった。「開幕当初のプレーは良かったものの、MFポンテは衰えたのではないか?」という声も大きくなっているが、この日はさすがのプレーを見せた。
MF山田直との相性がいいようで、MF山田直がいるとMFポンテも生きるような気もする。さらに、MF山田直以上にゴールに直結したプレーの出来るFW田中達も戻ってきて、MFポンテのやりやすい環境は整いつつある。MFポンテに頼り切るのは良くないが、MFポンテの力は必要である。
■ レッズは狂っているのか?①フィンケ監督を迎えて1年目のシーズン。シーズンの立ち上がりが予想以上に上手くいって、その反動もあってか7連敗を喫する時期もあったが、トータルで見ると、上手く進んでいる方である。故障や調子の波があって、確実な戦力にはなっていないとはいえ、MF山田直、MF原口が主力に近い存在となり、DF高橋やFWエスクデロといった若い選手も試合経験を積んでいる。
通常、若手を育てながら試合に勝つということは、ビッグクラブになればなるほど難しくなるが、その他のライバルチームと比べても、若手を積極的に起用する流れが出来ていて、必ずしも勝敗に結びついてはいないといえ、来シーズン以降の貴重な財産になっているはずである。
ただ、一時は、Jリーグの盟主に近い存在になったクラブである。当時の成績と比べると、今シーズンの成績が劣っているのは否めないところであり、チーム成績だけを見てフィンケ体制を批判することは容易である。
■ レッズは狂っているのか?②2010年シーズンに何かしらのタイトルを獲得する、という大目標を考えた時、来シーズンもフィンケ監督にチームを任せても大丈夫かどうかは、まだ慎重に見極める時期ではある。チームの土台を作るのがうまい監督と、チームを勝てせることが出来る監督は、別である場合が多い。
フィンケ監督の今シーズンの功績を否定するのではなく、更なる上澄みをするために1年で斬る、という選択肢もプロのクラブとしては「有り」である。
ただ、監督交代は常にネガティブなイメージが付きまとう。全てをリセットするための監督交代を行うクラブは少なくなく、混同されると浦和にとってはマイナスとなる。Jリーグの中の36クラブのうちの1つ以上の存在になった浦和は、ここ数年で、少し大きくなり過ぎた感もある。こうなると、意図的か否か、チームの足を引っ張ろうとする輩も現れてくる。
■ タイトルから遠ざかる新潟はホームで勝ち点「3」を獲得していれば、首位に勝ち点「3」差に迫っていただけに、痛恨の敗戦となった。試合を通して浦和に主導権を握られたままで、同点ゴールが入りそうな気配はなく、力の差を見せられる形となった。
ホームで強いイメージのある新潟であるが、これでここ7試合、ホームで勝ちなし。3敗4分けと勝ち点を落としている。一方でアウェーでは3連勝中。これまでと様子が違っている。
天皇杯で敗れたばかりの浦和のモチベーションが高く、試合の立ち上がりから集中していたことも得点差を生みだした要因ではあるが、ビハインドになったあとも攻撃にシフトチェンジするような気配もなく、時間だけが過ぎてしまった。
いなくなった選手のことを言っても仕方がなが、この試合に限って言うと、FWペドロ・ジュニオールの穴は大きかったといえるかもしれない。
■ 2トップは不発FWペドロ・ジュニオールがいなくなった新潟は、ここ最近、3トップから2トップに変更している。FW矢野とFW大島の2トップになっているが、この日は、共に、存在感が無かった。
3トップの時は、右のFW矢野と左のFW矢野が比較的、イージーにサイドでボールを持つことが出来ていたので、そこから仕掛けて突破するでチャンスを作っていたが、この日は仕掛け所がMFマルシオ・リシャルデスのところくらいしかなかった。
普通に考えると、3トップでサイドにフォワードが張るシステムと違って、2トップなのでサイドにスペースがあり、また、ダブルボランチになったことでサイドの裏のスペースをカバーする選手が増えてため、サイドバックの攻撃参加はしやすくなるはずであるが、DF内田とDFジウトンは共にオーバーラップは控えめだった。
■ 3試合目の三門大学ナンバー1ボランチという評判で新潟に加入した新人MF三門が3試合目のスタメン。ビッグスワンでのデビュー戦となったが、今一つ、流れに乗り切れずに終わった。
前述のように3トップから2トップに変更し、1ボランチから2ボランチに変更したことで、MF三門にもチャンスが回ってくるようになったが、役割が中途半端で、前に出るのか、つなぎ役に徹するのかもあいまいだった。
■ ポーランド人のレフェリーこの日はポーランドから研修中のミクルスキ氏が笛を吹いた。Jリーグに笛の外国人のレフェリーが吹くというのは珍しいので、その力量が注目されたが、正直、期待はずれだった。ポーランドのレフェリーのレベルがどの程度なのか、また、ポーランド人レフェリーの中で、ミクルスキ氏がどのくらいの位置にいるのかは分からないが、通常のJリーグの試合と比べて笛が軽く、ナーバスだった印象がある。
前半は浦和に不利な判定が多く、後半は新潟に不利な判定が多かったような印象があるが、双方のチームが一貫しないレフェリングに不満を募らせていたような雰囲気はあった。
レフェリーは、現在、日本人のみであるが、たまに、こういう機会があると、比較も出来て面白い。
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