■ 移籍のパターン サッカー選手の移籍のパターンを大別すると、以下の3つとなる。
① ステップアップのための移籍
② 出場機会を求めての移籍
③ 戦力外となった末の移籍
①の典型は、J2からJ1の大宮に移籍したFW石原やFW藤田。
②の典型は、清水に移籍したFW永井、千葉に移籍したDF福元。
③の典型は、神戸入りしたFW我那覇や栃木に加入したMF栗原。
■ 補強の意図は?移籍市場の評価を行うとき、どうしても多くの優秀な選手を獲得したチームを高評価しがちとなるが、その中には不必要と思える補強も少なくない。例えば、20歳前後の有望な若手が控えていて、1・2年後にはブレーク必至という状況にもかかわらず、同じポジションに代表クラスの選手を引っ張ってくるのは得策では無い。一時的には戦力アップのように思えるが、先を見据えたクラブ運営とは言えない。
ここ数年、Jリーグの下部組織が機能し始めて、ユースチームからトップチームに昇格する選手が多くなってきた。
Jリーグの中でもビッグクラブと言われるチームは資金力があるので、育成にも力を入れることが可能であり、浦和にはFW原口がいて、G大阪には宇佐美がいる。まさにクラブの秘蔵っ子といえる存在だが、難しいことに、彼らがトップチームで出場機会を得るのは簡単では無い。
レギュラーポジションを獲得するとなると、日本代表クラスの選手を蹴落としてポジションを奪うことになるので、フル代表レベルの実力を備えていないと、常時、試合に出場することは難しい。クラブの宝といえる存在に適切な環境を与えられるのか、各クラブにはビジョンが求められることになる。
■ 動かなかった浦和レッズプロ野球の世界では、優勝を逃したシーズンのオフの読売ジャイアンツは、手当たり次第に補強を行って戦力強化に努める。しばしば、「補強に積極的なこと」がイコール「フロントがチーム強化に意欲的」として優秀なフロントである、と評価を受けることがあるが、実際には、クラブの未来を考えてその時、もっとも正しい形でチームを導くことができるのが優秀なフロントである。
今オフ、移籍市場にほとんど参加しなかったのが浦和レッズである。2008年の失意のシーズンを受けてフィンケ監督が就任。絶対に落とせないシーズンとして、手当たり次第の補強を行うという可能性もあったが、落ち着いたオフになった。ここ数年のバブリーなオフと比べると地味ではあるが、動かなかった動きが逆に評価できる。
事実、2008年の高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会で、浦和ユースは決勝で名古屋を9対1で撃破。前述のFW原口元気のほかにも、ユースチームから若年層の日本代表クラスの選手が続々と現れてきている。
■ 日本代表候補の2人近年、出場を求めて若手のレンタルでの移籍が増えているが、横浜Fマリノスからセレッソにレンタル移籍したMF乾とセレッソ大阪から大分トリニータに移籍した森島康仁が典型である。ともに2008年途中にレンタルで移籍。そして、レンタル先での活躍が認められて日本代表候補にも初召集。オフに完全移籍を果たした。
所属元にとっては、将来の中心選手として経験を積ませるためにレンタルという決断をしただけに、なかなか厳しい事態となったが、試合に出られる環境を求めるのはプロの選手としては当たり前のことであり、厳しい環境の中でポジション争いをして出番をつかみ取ろうと努力することも成長の糧となるが、レンタル先で一定の地位を獲得した後で、もう一度、元のクラブに戻って、一から再スタートするのは、非常に労力のいる作業である。
今後もこういうケースは増えていくだろう。
実際、横浜FMには、MF乾と同じポジションにMF狩野、MF山瀬功、MF山瀬幸、MF水沼、FW齋藤がいて、MF乾の出番が回ってくる可能性は高くなく、同じくFW森島にしても、(FWカイオが残留することが大前提ではあるが、)セレッソ大阪に復帰したとしても、FWカイオとFW小松に次ぐ3番手のフォワードという立場では、ベンチ入りメンバーが5人だけというJ2では、ベンチに座ることすらままならなかっただろう。
これらは、別にC大阪と横浜FMを比べてC大阪が優れているというわけでは無く、また、大分とC大阪を比べて大分が優れているというわけでは無い。MF乾にとっては横浜FMではなくC大阪、FW森島にとってはC大阪よりも大分の環境が水になっていたというだけだろう。
選手にとって一番大事なのは出場機会を得ることであり、自らのプレーを最大限に発揮できる場所を持つことである。この傾向は、日本サッカー全体を考えると悪いことでは無い。
■ 韓国人選手の増加今シーズンからアジア枠の導入が決定した。大宮のMF朴原載、G大阪のDF朴東赫、札幌のDF趙晟桓、仙台のDF朴柱成、京都のDF李正秀は、いずれも韓国代表歴のある選手である。アジア枠導入が決定したとき、「韓国人の増加」の可能性は指摘されていたが、実際に、そのとおりとなった。
クラブの考え方として、韓国人選手の獲得に向かうことは十分に理解できる。「円高ウォン安」という経済事情に加えて、現実的に、J1の中位以下のクラブにとって、日本代表レベルのタレントを獲得することはほとんど夢物語であるが、同レベルの実力の韓国代表クラスの選手を獲得することは、それほど難しいことでは無い。
完全にJリーグの草刈り場となったKリーグのことはここでは触れないが、彼ら韓国人選手が評判通りに活躍できるかは分からない。
これまで、何人もの韓国代表選手がJリーグに挑戦したが、華々しい活躍を見せる選手がいる一方で、実力を全く発揮できずに去っていった選手も少なくなかった。一般的に、韓国人選手は環境への適応能力が高くなく、ギャンブルであることに変わりはない。
■ モンテディオの苦労2009年に初めてJ1に挑戦する山形だが、得点源の一人であったFW豊田を失った。その後、C大阪からFW古橋を獲得し優秀なフリーキッカーを手に入れたが、まだまだ、客観的に見て、もっとも戦力が劣っているのは否めないところである。
2009年シーズンを予想すると、山形は、間違いなく序盤戦から苦戦するだろう。その時にフロントがどういう動きを見せるのかが1つの注目である。
初めてのJ1ということで地元は盛り上がっていくのは確実だが、サポーターの構成はいわゆる「コアサポーター」が主流では無い。そして、彼らがどこまでJリーグとモンテディオ山形の事情を理解しているのか疑わしい。
ちょうど、今の日本代表のサポーター層と重なる部分があって、浮遊層の割合が多いと、運営は限りなく難しくなる。実情を理解しないまま、大きな声をあげられたとき、クラブが間違った道に進んでしまう可能性が大きくなる。
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山形に関して言えば、今回の昇格もフロントのおかげで出来たと思っています。
小林監督もそうですし、今までの無料券のばら撒きを見直し観戦費の値上げなどを行ってきました。
2年前に理事長が交代し、新しく元鹿島アントラーズの専務を務めていた海保さんが理事長として就任し、そこからかなり変わってきました。
しかし昨シーズンに一部サポーターが他の会場で罵声などを行い新聞にも載ってしまいました。
また現在フロントは昇格後に【フルモデルチェンジ構想】を打ち出しており(現在は協議中)、以前説明会を行ったのですがコアサポーターの多くは反対を表しています。
余談が結構入ってますが^^;
僕はフロントに信頼を置けます。シーズンが始まってからフロントがどのように動くか楽しみです。
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