■ ウルグアイ寄りの判定だった?コパ・アメリカに出場している日本代表は0勝1敗1分け。勝ち点「1」を獲得している。2連勝のチリは勝ち点「6」。GL突破を決めており、1勝1分けで勝ち点「4」のウルグアイが2位、0勝1敗1分けの日本が3位、2連敗のエクアドルが4位となる。GLの3戦目のカードはチリ vs ウルグアイ、日本 vs エクアドルとなるが、決勝T進出のためには日本もエクアドルも勝たないといけない試合になる。激しい試合になるだろう。
「生き残りを賭けてエクアドルと対戦できる。」というのはいい経験になると思うが、3位で決勝Tに進出できれば準々決勝は開催国のブラジルが濃厚。大アウェイの中、ブラジルに勝つのはかなり難しい。大差で敗れる可能性は高いが、チリ戦やウルグアイ戦やエクアドル戦以上の得難い経験が出来るだろう。ブラジルに勝てる可能性は限りなくゼロに近いとは思うがこんなチャンスはなかなかやってこない。
是が非でもエクアドルに勝利して決勝T進出を達成したいが、2戦目のウルグアイ戦で話題になっているのは「日本の健闘」と「判定」である。コパ・アメリカなので「南米の国に有利な判定が下される。」というのは想定の範囲内。特に招待国である日本やカタールに対して厳しい判定が下される可能性が高いことは十分に予想されていた話になるが「ウルグアイ寄りの判定」には他国からも疑問の声が挙がっている。
特に問題視されているのは「前半にウルグアイに与えられたPKの判定」と「後半にMF中島翔がエリア内で倒されたもののビデオでの確認すら行われなかったこと」の2つである。それ以外にも接触プレーでは「ウルグアイのファールでは?」と思われるシーンで日本のファールになったシーンもいくつかあったので日本は相手寄りの判定に悩まされた。ある意味では「いい経験になった。」と言えるだろう。
■ テクノロジーに頼れる部分は頼るべき。PKを巡る2つのシーンについては「どちらもかなり微妙」と言えたが、「VARシステムを導入しているのに判定に関して疑問の声が出るのであればVARを導入している意味がない。」と言ってしまうのはやはり大袈裟だろう。まだ本格的にVARが導入されてから期間が経っていないこともあってVAR自体が手探り状態である。VARの利用の仕方についてはいろいろな経験を重ねて練れていくだろうと思われる。
VARの導入によって重大なミスジャッジが劇的に減少するのは明らかである。重大なミスジャッジを下すリスクが小さくなるという心理的な余裕は審判団にとっては大きい。浦和 vs 湘南でMF杉岡のゴールが幻となった件は「VAR」ではなくて「ゴール・ライン・テクノロジー」の話になるが、Jリーグでもゴール・ライン・テクノロジーが導入されていたら何の問題もなく湘南のゴールは認められていた。
科学は日々進歩しているのでテクノロジーに頼ることが出来る部分は積極的に頼るべきだろう。もちろん、テクノロジーを導入しようとすると設備等を充実させる必要がある。人も必要になるので、相当なお金がかかる。今の時点でJリーグの全試合で「ゴール・ライン・テクノロジー」や「VAR」を取り入れるのは難しいが、ネックとなる部分がお金の問題中心であるならばいずれはJリーグでも導入されるだろう。
■ VARがなくなることはあり得ない。今後、W杯であったり、五輪であったり、アジア杯であったり、CLであったり、年代別代表のW杯であったり、大きな国際大会の場で「ゴール・ライン・テクノロジーやVARが導入されない大会」というのはまず考えられない。「ゴール・ライン・テクノロジーやVARは必要なのか?否か?」という部分は議論の対象にはならない。GLではVARが導入されなかったアジア杯も次回大会以降は全試合で導入されるだろう。
ただ、VARについては改善すべき点も少なくない。「どういう状況になったときに主審がビデオ確認をするのか?」については模索段階と言えるが、1つだけ気になる点を挙げると、VARが導入されてからはゴールが決まったとしても、その後、VARによって、オフサイドやファールなどが理由でゴール取り消しになる場面がたくさんあるのでゴールが決まったとしてもすぐには喜べなくなった点である。
例えばU-20W杯のラウンド16の日韓戦の後半に日本がMF郷家のシュートでネットを揺らしたが、その後、オフサイドの判定で幻になった。もちろん、VARがない時代も「ゴールが決まったと思ったら副審の旗が上がっていたのでノーゴールになった。」というケースはたくさんあったが、それはすぐにわかる話である。何十秒後や1・2分後に取り消しになるVAR導入時のノーゴール判定とは大きく異なるだろう。
■ 本当にゴールと認められるのか?最近の国際大会というと「男子のU-20W杯」と「女子のW杯」の2つになるが、「ゴールが決まったときは怪しいシーンがなさそうなケースでも念のためビデオ係が確認する。」というのが基本になっている。「怪しいシーンはなかっただろう。」というゴールでも確認作業が入るのでゴールが決まるたびに試合がストップして、毎度、「ゴールが認められるのか?否か?」のスリルを味わわされる状況になりつつある。
もちろん、最優先すべきは「判定の正確さ」である。ゴールが決まったときは、全て、プレーを遡ってチェックをするのが一番いいのかもしれないが、人は簡単に学習してしまう。「本当にゴールが認められるのか?」、「実は取り消しになるのでは?」という気持ちががあると、ゴールが決まったとき、純粋な気持ちで喜べなくなる。ゴールが最高の喜びであるサッカーという競技においてはかなり致命的な話である。
このあたりのことを考えると「サッカーとビデオ判定の相性はあまり良くないのでは?」と感じてしまうところもある。「テニスやバレーや野球のようにチャレンジ制度にしてしまった方がいいのでは?」という意見もあるが、(判定への異議というよりは)悪い流れを食い止めるための「試合を止めること」が主目的のチャレンジをする選手やチームが多くてルールがかなり悪用されている現状は不快に感じる。
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