幻影城(げんえいじょう)とは、
本稿では2について説明する。
『幻影城』は書誌研究家・島崎博が中心となって発行されていた雑誌である。一応は探偵小説専門誌を名乗っていたが、SFに分類されるような作品も多数掲載されていた。また、エッセイや評論などにも力を入れており、小説家だけでなく評論家なども輩出した。
松本清張に代表される「社会派」ミステリーの隆盛に対して、謎解き重視の今でいうところの「本格」探偵小説の牙城を自任していたが、元々同人誌的側面を有していた雑誌だけに経営は芳しくなく、雑誌と同名の発行元倒産と同時に廃刊となった。
刊行期間は短かったものの、『幻影城』が世に送り出した作家は、直木賞作家の泡坂妻夫・連城三紀彦やエンターテインメントの巨人となった栗本薫・田中芳樹など錚々たる面々が揃い、以降の文学界・ミステリー界・エンターテインメント界に与えた影響は決して小さくない。ミステリ史上においては、島田荘司の登場に先駆けて新本格ムーヴメントの下地を作ったとも言える。
日本における探偵小説の歴史を終戦直後の横溝正史から鮎川哲也までの『第二波』、そして綾辻行人らいわゆる『新本格世代』の『第三波』に分類した笠井潔は、『幻影城』を基盤に萌しかけた探偵小説の潮流を『第二・五波』と呼んだ。これがいわゆる『幻影城』世代の作家たちである。同時に笠井は結局彼らは一つのムーブメントとなる事無く個々の道を選び、一つの「流れ」として第二波と第三波を結ぶものには成りえなかったとしているが、『幻影城』が少なくとも若手作家たちの揺籃の場となった事は確かである。
※印は幻影城新人賞出身
幻影城出身ではないが、幻影城に寄稿した、または作品が掲載されたことのある作家。
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最終更新:2024/12/23(月) 10:00
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