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影の政府がトランプを嫌っているのは、帝国に対して醜い表情を見せるからだ。

<記事原文 寺島先生推薦>The establishment only dislikes Trump because he puts an ugly face on the empire



RT 論説面
2020年6月4日

ケイトリン・ジョンストーン


ケイトリン・ジョンストーン氏はオーストラリアのメルボルンに本拠地を置くフリージャーナリスト。彼女のサイトはこちら。Twitterアカウントはこちら

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年7月31日



 全米国大統領バラク・オバマは、ジョージ・フロイド殺害に関する感動的な演説をしてリベラルから賞賛を得たが、一方トランプが手にしたのは憎しみだけだった。二人とも事態を収拾するために何もしていないのに、だ。ただトランプは醜い表情で演説をしただけだ。

 バラク・オバマは、全米で起こっている「黒人の生命も大事だ」抗議活動についてどうでもいい演説をした。その演説は耳あたりのいいことばや中身のない内容でいっぱいだった。まさにそれは、大統領として8年間かけて、期待を持たせるような空虚な語りを駆使して進歩的な運動を押しとどめる一方で、前職のブッシュと変わらない殺人行為は前に進めた彼らしい演説の中身だった。

 前大統領のオバマは、二期在職中、自分が米国で1番力を持っている人物ではないかのように「チェンジ」を起こすことが必要だと語っていた。その彼が、全米の警官を賞賛してこう言った。「大多数の警官は市民たちを守り市民たちのためにつくしている」と。そして警官たちに、空虚な連帯感を示し続けることで抗議活動者たちをなだめるよう励ました。

 「私が見たいのは警官たちが警察が果たすべき役割を再構築しようという目標を共有している姿だ」。6月3日、オバマはこう語った。「自分の使命は我が国の国民たちに尽くすことだということを誓った警官たちがいる。そして、その任務はとても
大変な任務だ。警官の皆さんはここ数週間で起こっている悲劇に対して、抗議活動をしているたくさんの人たちと同様に激しい怒りを感じていることを私は知っている。だからこそ、私たちは大多数の警官の皆さんに感謝している。皆さんが我々を守り我々のために尽くしてくれている。私が心を打たれているのは「私もあの抗議活動をしている人たちとともに一緒に行進させて欲しい。寄り添っていっしょにこの問題の解決に取りくませて欲しい」と思っている警察官たちの存在だ。彼らは自制心をもって奉仕的精神や使命感や話を聞こうという態度を見せてくれている。警官の皆さんこそが、今対話の輪の中に入るべき存在なのだ。そしてチェンジを実現するには全ての人が参画することが必要となってくるのだ。」

 

 ジョージ・W・ブッシュも抗議活動について言及した。いわゆる「思いやりのある保守主義」という精神を持って。だがその精神こそが百万人ものイラク国民を殺害したのだ。だからこそ、リベラルたちは彼のコメントに対してツイッターで熱く反応しているのだ。ブッシュは感情を込めてこう言った。「共感しよう。ともに参画しよう。大胆な行動に出よう。正義に根ざした平和を築こう」。米国の見せかけ上の二大勢力の両方の側にいる陰の支配者たちのことばを伝えるものたちは、二人の元大統領と彼らの調和が取れた癒やされるようなことばに対して賞賛の嵐をマスコミに浴びせかけ続けている。確かに、二人が使うことばはかなり素敵だ。二人は状況を全く変えはしないだろうが、でも、2人の話は耳当たりがいい。


 そして、この2人の姿こそが米国大統領が果たすべき本当の役割なのだ。警察の残虐性を終わらせ、アメリカ市民のためになるような改革をしたりしないこと。そして、世界を少しでも暴力的や殺人的でない場所に変えてしまわないこと。大統領の役割は美辞麗句を並べたて、民衆を心地よい宣伝文句のまやかしで無意識にさせ、その隙に実際に世界を回している反社会的金持ち連中がこっそりと民衆から略奪できるようにすることだ。

 大統領の役割はツイッターで荒々しいことばを使い「悪党ども」を攻撃して、ツイッター社から検閲を受けることではない。大統領の役割は戒厳令を出すと脅して国家の意思に反することをすることではない。大統領の役割は軍を使って抗議活動者たちを残忍に扱い、放火された教会の前で聖書を上下さかさまに持ってポーズをとることではない。ジョージ・フロイドの弟に電話をかけて、彼に対してじゃけんで興味なさげに軽蔑的な扱いをすることではない。流行蔓延に対する初期対応を間違え、警官による殺害事件に怒っている世論に対する対応を間違え、悲しみを和らげたり共感を示すようなことばをかけて、国民の意見を聞く態度や国民を思いやっているという態度を示さないことではない。大統領の役割は独立記念日の花火なのに、首都がまるで燃えているかのような写真が出回るような雰囲気を作ってしまうことではない。そう、まさにこのことこそが、陰の支配者たちの特定の人々がトランプ大統領を毛嫌いしているたった一つの理由なのだ。

 現職の大統領よりも力を持つ陰の支配者たちの邪悪な企みをいくつもいくつも私が指摘すると、必ずトランプの支持者が私に尋ねる質問はこうだ。「なるほど、ではトランプが陰の支配者たちのいうことを聞いているのだったら、なぜ大手メディアや政治家たちはトランプのことをあんな風に激しく攻撃するのかい?え?」

 

 今からその理由を述べよう。一見、民主党と民主党と歩調を合わせるメディアがトランプを思いもつかないような辛辣なことばで金切り声を上げて批判しているように見える。しかし、それはトランプが内政面や外交面において、陰の支配者に有効な方法で楯突いているからではない。トランプは陰の支配者たちの毒のような企みに対して何の意味のある抵抗も示していない。トランプ大統領が陰の支配者たちのことばを伝える人たちからこんなに辛辣に批判されている理由は、トランプは前任者たちと違い、帝国に対して醜い表情を見せるからだ。

 

 金持ちの帝国の利益を前進させることに命をかけている人々はトランプのことを役立たずな経営者であると見ており、トランプが無粋で不器用に大統領の仕事をするために帝国がやっている邪悪な行為に対して人々から目が向けられることを恐れているのだ。たとえば、米国警察はトランプが大統領になって以降残虐で人種差別的になったわけではない。ただトランプが事態に上手く対処し、上手なことば使いができないので、国民が目を覚ましたり反乱を起こしたりしているだけだ。

 陰の支配者のことばを伝える者たちは、世論を目立たないようにたくみに操る方法が分かっている。さらに彼らは帝国の無能な下僕が、宣伝文句によって催眠状態になっている民衆に平手打ちを簡単にくらわしてしまうことも理解している。彼らがトランプを毛嫌いする理由は、新米ママが近所の騒音を嫌うのと同じだ。赤ちゃんを起こされるのがいやなのだ。彼らがトランプを嫌っているのは、トランプが悪いことをするからではない。トランプが人々を眠りから覚ますようなやり方で悪いことをするからだ。

 これこそが、トランプ在職の4年間、政治家やメディアがあんなにもおかしく見えた理由だ。トランプが忠実な帝国の下僕ではなかったからではない。(実際は、彼は下僕だ)。ロシアの回し者だったからではない。(実際はそうではない)。出来損ないの突飛な大統領だからではない。(実際は彼はそうではない)。本当の理由は、殺人的な帝国による気分が悪くなるような邪悪な行為が大衆の目にさらされてしまうからだ。それ以上でもそれ以下でもない。

 

 

関連記事

ケイトリン・ジョンストーン。人々を騙すのが米国の情報機関の仕事だ。ニューヨーク・タイムズが出したアフガニスタンでの報奨金についての記事はCIAがニュースだと装って垂れ流した情報だ


<記事原文 寺島先生推薦>
Caitlin Johnstone: It is the US intelligence’s job to lie to you.
NYT’s Afghan bounty story is CIA press release disguised as news



RT 論説面

ケイトリン・ジョンストーン


ケイトリン・ジョンストーン氏はオーストラリアのメルボルンに本拠地を置くフリージャーナリスト。彼女のサイトはこちら。Twitterアカウントはこちら




 「米国の工作員からの情報によると」という終わり方をする見出し記事を目にすれば、それまでに読んだ部分については、「フムフム。これはこの話は嘘だと言っているのだな」と考え直した方がいい。

 「ロシアが秘密裡にアフガニスタンの武装組織に米国兵士を殺害するための報奨金を申し出ていた。米国の工作員からの情報だ。」という見出しのニューヨーク・タイムズの記事が世間を賑わせた。 ニューヨーク・タイムズに匿名の情報源が伝えたところによると、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が秘密裡にタリバン関連の武装組織にアフガニスタンの合同軍を殺害すれば報奨金を出すよう申し出ていたそうだ。そしてその標的には米軍も含まれていて、トランプ政権はこの事実を何ヶ月も前から知っていたそうだ。

 はっきり言って、これは報道機関による誤報だ。大手メディアが証拠もなしにこのような匿名の情報源からの記事を出す時は、CIAがニュースだと装って流した記事をただ垂れ流しているだけに過ぎない。そんな記事が伝えるのは、読者に情報工作員と呼ばれるものたちが、公平で責任のある情報と見せかけて、我々に何を信じようとさせているかということだ。こんなやり方は、大手メディアのニュースでは日常茶飯事にみられるものであるが、 だからといって道義に反するものではないと言っていいわけが無い。

ALSO ON RT.COM

There they go again: NYT serves up spy fantasy about Russian ‘bounties’ on US troops in Afghanistan

 イラクへの侵略戦争後の世界において、米国や米国の同盟国の情報工作員からの敵対国家に対する匿名の証拠のない非難に対応できる唯一の手段は、反論材料を山のように大量に積み重ね、彼らの言い分が嘘であることを証明する方法しかない。米国はこんな嘘を重ねてきた記録をたくさん所持しているので、ほかの対応方法は合理的な方法ではない。さらに、米国の情報工作員は常にこのような嘘を成り立たせるための基礎的な役割を果たしている。

 大手メディアに統制された虚構の外からの声が叫び続けているのはこれらの情報が、「根拠もない、信頼できない、たとえ情報が真実だとしても報じ方が全く公平ではないもの」であるという事実だ。

 「昔からあるいつもの話だ。いわゆる情報工作員がありえない話をでっち上げてメディアに情報を流し、メディアはそれを匿名の関係者からのタレコミだと伝える」。ジャーナリストのステファニア・マウリチ氏はこうツイートした。

ALSO ON RT.COM

America to end ‘era of endless wars’ & stop being policeman, Trump gives same old election promises he broke


 「だから逆に、私たちは、まさにその米国情報機関が報奨金を払って無実の囚人たちをキューバのグアンタナモ収容所に連れてこさせたことや、アフガニスタンでの拷問について嘘をついたことや、イラクの大量破壊兵器やベトナムのトンキン湾事件などを戦争の口実にでっち上げたことなどをさもありなんと思えるのだ。これだけの事をやってきたのに、証拠はあったのだろうか?」作家で分析家でもあるジェフリー・キー氏はこうツイートした

 「ロシアがアフガニスタン駐留の米軍に対抗するためタリバンを支援するなど全くありえない話だ。一方、米国がシリアでロシアと対抗するためにイスラム教の聖戦主義者たちの反乱軍を支援するのは全く問題はないのだろうか?聖戦主義者たちは、タリバンは英雄であると公言しているのに」。こうツイートしたのは、作家で分析家でもあるマックス・アブラムズ氏だ。

 一方、トランプ政権を批判している民主党のマックレジスタンスという団体は、この根拠のないでっち上げ記事を本当にあった恐ろしい事件としてとらえており、レイチェル・マドー氏はこの記事をプーチン大統領がアフガニスタン駐在の米国兵士の「クビ」を取るために報奨金を持ちかけているとまで言っている。このような言い方は興味深い。というのは、米国兵士のクビに報奨金を出すという行為を有り得ることだと考えるのは、この手口が他国を植民地にするという野望のために実際米国政府がやってきた恐ろしい手口の1つだからだ。そのような米国の手口は今回のようにニューヨーク・タイムズがでっち上げたことではなく、歴史上本当に起こったこととして認知されていることだ。

 多くの人々が指摘しているように、ロシアがアフガニスタン駐留の米軍に反攻しようという過激派組織に資金を提供するのは正当な行為であることは理にかなっている。そのような援助は米国と米国の同盟国がシリアでロシアとロシアの同盟国に対して行ったことや、サイクロン作戦という名でアフガニスタンでソ連に対して行ったことと全く同じ行為だからだ。さらに、 本来米軍はアフガニスタンと何の関係もないし、米軍が米国外で起こしている暴力行為は、米軍の勢力拡張論者たちが国外に軍を駐留させるという間違いのせいで起こっているのだ。米軍には簡単に防御できる自国の国境を守る以外に果たすべき役割はない。そして政府が、地球上を自国の軍隊基地でとり囲もうとする前提こそ間違っているのだ。


ALSO ON RT.COM
Unsophisticated’ disinformation: Moscow rebuffs NYT story alleging Russia offered Taliban money to kill US troops in Afghanistan

 しかしそんな議論をする必要はない。なぜなら、今議論の対象にしないといけないことは、今回のような報奨金事象が本当にあった事なのかどうかについて、だからだ。そしてこの事象が実際にあったことだとは到底思えない。米国の情報機関の仕事はまさに人々に嘘をつくことだ。ニューヨーク・タイムズは、機を捉えては新しい戦争を始めるため情報を拡散することをこれまで何度も繰り返してきた。そう、許してはならないあのイラク侵攻もそうだった。嘘で固められた情報のせいで、何百万人もが命を奪われた。こんな主張をきちんと取り上げてもらうには山のような反証材料を積み上げないといけない。そんなことは我々には本当に到底無理な事だ。

 もう一度反芻しよう。「人々に嘘をつくのが米国の情報機関の仕事だ」。さらにもう一度反芻しよう。「人々に嘘をつくのが米国の情報機関の仕事だ。CIAがメディアに流す情報を軽蔑以外の他のものとして受け取らないようにしよう」。
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