ケイトリン・ジョンストーン。人々を騙すのが米国の情報機関の仕事だ。ニューヨーク・タイムズが出したアフガニスタンでの報奨金についての記事はCIAがニュースだと装って垂れ流した情報だ
<記事原文 寺島先生推薦>
Caitlin Johnstone: It is the US intelligence’s job to lie to you.
NYT’s Afghan bounty story is CIA press release disguised as news
RT 論説面
ケイトリン・ジョンストーン
ケイトリン・ジョンストーン氏はオーストラリアのメルボルンに本拠地を置くフリージャーナリスト。彼女のサイトはこちら。Twitterアカウントはこちら。
「米国の工作員からの情報によると」という終わり方をする見出し記事を目にすれば、それまでに読んだ部分については、「フムフム。これはこの話は嘘だと言っているのだな」と考え直した方がいい。
「ロシアが秘密裡にアフガニスタンの武装組織に米国兵士を殺害するための報奨金を申し出ていた。米国の工作員からの情報だ。」という見出しのニューヨーク・タイムズの記事が世間を賑わせた。 ニューヨーク・タイムズに匿名の情報源が伝えたところによると、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が秘密裡にタリバン関連の武装組織にアフガニスタンの合同軍を殺害すれば報奨金を出すよう申し出ていたそうだ。そしてその標的には米軍も含まれていて、トランプ政権はこの事実を何ヶ月も前から知っていたそうだ。
はっきり言って、これは報道機関による誤報だ。大手メディアが証拠もなしにこのような匿名の情報源からの記事を出す時は、CIAがニュースだと装って流した記事をただ垂れ流しているだけに過ぎない。そんな記事が伝えるのは、読者に情報工作員と呼ばれるものたちが、公平で責任のある情報と見せかけて、我々に何を信じようとさせているかということだ。こんなやり方は、大手メディアのニュースでは日常茶飯事にみられるものであるが、 だからといって道義に反するものではないと言っていいわけが無い。
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イラクへの侵略戦争後の世界において、米国や米国の同盟国の情報工作員からの敵対国家に対する匿名の証拠のない非難に対応できる唯一の手段は、反論材料を山のように大量に積み重ね、彼らの言い分が嘘であることを証明する方法しかない。米国はこんな嘘を重ねてきた記録をたくさん所持しているので、ほかの対応方法は合理的な方法ではない。さらに、米国の情報工作員は常にこのような嘘を成り立たせるための基礎的な役割を果たしている。
大手メディアに統制された虚構の外からの声が叫び続けているのはこれらの情報が、「根拠もない、信頼できない、たとえ情報が真実だとしても報じ方が全く公平ではないもの」であるという事実だ。
「昔からあるいつもの話だ。いわゆる情報工作員がありえない話をでっち上げてメディアに情報を流し、メディアはそれを匿名の関係者からのタレコミだと伝える」。ジャーナリストのステファニア・マウリチ氏はこうツイートした。
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「だから逆に、私たちは、まさにその米国情報機関が報奨金を払って無実の囚人たちをキューバのグアンタナモ収容所に連れてこさせたことや、アフガニスタンでの拷問について嘘をついたことや、イラクの大量破壊兵器やベトナムのトンキン湾事件などを戦争の口実にでっち上げたことなどをさもありなんと思えるのだ。これだけの事をやってきたのに、証拠はあったのだろうか?」作家で分析家でもあるジェフリー・キー氏はこうツイートした。
「ロシアがアフガニスタン駐留の米軍に対抗するためタリバンを支援するなど全くありえない話だ。一方、米国がシリアでロシアと対抗するためにイスラム教の聖戦主義者たちの反乱軍を支援するのは全く問題はないのだろうか?聖戦主義者たちは、タリバンは英雄であると公言しているのに」。こうツイートしたのは、作家で分析家でもあるマックス・アブラムズ氏だ。
一方、トランプ政権を批判している民主党のマックレジスタンスという団体は、この根拠のないでっち上げ記事を本当にあった恐ろしい事件としてとらえており、レイチェル・マドー氏はこの記事をプーチン大統領がアフガニスタン駐在の米国兵士の「クビ」を取るために報奨金を持ちかけているとまで言っている。このような言い方は興味深い。というのは、米国兵士のクビに報奨金を出すという行為を有り得ることだと考えるのは、この手口が他国を植民地にするという野望のために実際米国政府がやってきた恐ろしい手口の1つだからだ。そのような米国の手口は今回のようにニューヨーク・タイムズがでっち上げたことではなく、歴史上本当に起こったこととして認知されていることだ。
多くの人々が指摘しているように、ロシアがアフガニスタン駐留の米軍に反攻しようという過激派組織に資金を提供するのは正当な行為であることは理にかなっている。そのような援助は米国と米国の同盟国がシリアでロシアとロシアの同盟国に対して行ったことや、サイクロン作戦という名でアフガニスタンでソ連に対して行ったことと全く同じ行為だからだ。さらに、 本来米軍はアフガニスタンと何の関係もないし、米軍が米国外で起こしている暴力行為は、米軍の勢力拡張論者たちが国外に軍を駐留させるという間違いのせいで起こっているのだ。米軍には簡単に防御できる自国の国境を守る以外に果たすべき役割はない。そして政府が、地球上を自国の軍隊基地でとり囲もうとする前提こそ間違っているのだ。
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しかしそんな議論をする必要はない。なぜなら、今議論の対象にしないといけないことは、今回のような報奨金事象が本当にあった事なのかどうかについて、だからだ。そしてこの事象が実際にあったことだとは到底思えない。米国の情報機関の仕事はまさに人々に嘘をつくことだ。ニューヨーク・タイムズは、機を捉えては新しい戦争を始めるため情報を拡散することをこれまで何度も繰り返してきた。そう、許してはならないあのイラク侵攻もそうだった。嘘で固められた情報のせいで、何百万人もが命を奪われた。こんな主張をきちんと取り上げてもらうには山のような反証材料を積み上げないといけない。そんなことは我々には本当に到底無理な事だ。
もう一度反芻しよう。「人々に嘘をつくのが米国の情報機関の仕事だ」。さらにもう一度反芻しよう。「人々に嘘をつくのが米国の情報機関の仕事だ。CIAがメディアに流す情報を軽蔑以外の他のものとして受け取らないようにしよう」。
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