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コロナウイルス:なぜみんな間違っていたのか。このウイルスは「新しいウイルス」ではない。「免疫がないというおとぎ話」


「さらに間違っていたのは、“人々がこのウイルスに対してすでに何らかの免疫を持っていることはないだろう”と主張することだ」このウイルスに対する免疫反応は誰が考えているより強力だ

<記事原文 寺島先生推薦>
Coronavirus: Why Everyone Was Wrong. It is Not a “New Virus”. “The Fairy Tale of No Immunity”
"It was even more wrong to claim that the population would not already have some immunity against this virus." The immune response to the virus is stronger than everyone thought


グローバルリサーチ 2020年7月2日
ベダ・M・スタッドラー
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年7月28日




 この記事の元記事は、スイスの雑誌「今週の世界」6月10日号に掲載された。論者のベダ・M・スタッドラー氏は、ベルン大学免疫学研究所の元所長であり、生物学者で名誉教授でもある。スタッドラー氏はスイス医療界の重鎮。彼はまた人を挑発するような言い方を好んでする。だからといって、読者は、氏が指摘する重要なポイントを見落とすことはないであろう。この記事は、スイスについての記事であり、他の地域が同じ状況であるとは言えない。私は、それぞれの地域が、それぞれの地域に応じた措置をとるべきだと考えている。そして、抽象的なモデルではなく、真の数値をみつめることを主張している。さらに、読者にはこの記事を最後まで読んで欲しい。というのも、スタッドラー氏は、新型コロナウイルスの検査について非常に重要な論点を指摘しているからだ。

情報サイト「Medium」のBack to Reasonへ
2020年6月2日
投稿されたもの



 これは告発するための記事ではない。(現状を)情け容赦なくしっかり吟味するための記事だ。(まず)私は自分自身を平手打ちした方がいいようだ。というのも、私はずっと長い時間冷静さを欠いたままコロナウイルスを見つめてきたからだ。同時に私は、Covid-19についての議論を今までウイルス学者や疫学者たちに任せっきりにしてきた免疫学の同僚たちに少しイライラしているところがある。そろそろ、このウイルスについての主流ではあるが、その考え方が完全にまちがっている、公表されたいろいろな言説を批判するときだと私は感じている

 まず一つ目。このウイルスが新型であると考えるのは間違っている。

 二つ目。人々がこのウイルスに対する免疫をあらかじめもっていないと考えるのはもっと間違っている。

 三つ目。症状が全く出ないCovid-19に感染している可能性があるなどと言い張ること、もっと言わせてもらえば、何の症状もなしにこの病気を他者に感染させるなどという言い方は、コロナウイルスではないが、「コロナ馬鹿(愚の骨頂)」としか言いようがないものだった。

まあ、しかし、ひとつひとつ見てゆくことにしよう。

1. 新型ウイルス?

 2019年の終わりに新型であると考えられたコロナウイルスが中国で検出された。このコロナウイルスの遺伝子配列(すなわちこのウイルスの青写真)が特定され、2002年に特定されたサーズ(重症急性呼吸器症候群)とよく似た名前であるSars-CoV-2という名前がつけられた。そのとき、我々はこう自問すべきだったのだ。「じゃあ、今回のウイルスは、ヒトを病気にするような他のコロナウイルスとどのくらい近い関係なのか?」と。しかし、我々はそうはしないで、中華料理のメニューにあるどの動物からウイルスが広まったのかの議論を始めてしまった。その間多くの人々が信じてしまったのは、中国の対処があまりに愚かでこのウイルスを自国で広めてしまったのだという言説だ。今は、このウイルスに対するワクチンの開発についての話でもちきりだが、突然、我々の目に入ってきた研究は、今回のいわゆる新型ウイルスはSars-1(重症急性呼吸器症候群)と非常に近いウイルスであることを示すいくつかの研究だ。さらに、毎冬私たちを風邪という名前で苦しめるほかのベータコロナウイルスとも似ているとのことだ。ヒトを病気にするような様々なコロナウイルスの遺伝子配列対応を純粋に調べることはそっちのけにして、(科学者たちは)ウイルスの様々な部分を調べてウイルスの特定化に取り組んでいる。それは、人体の免疫細胞がウイルスを特定化するのと同じことをしているということになる。このことは、ウイルスの遺伝的関係の話ではない。我々人間の人体の免疫系が、今回のウイルスをどう検知しているかについての話だ。つまり、他のコロナウイルスのどの部分を使えば、今回のウイルスのワクチンに利用できるのかということだ。

 そう、新型コロナウイルスはまったく新型ではないのだ。ただの季節的に流行する風邪のウイルスでしかなく、夏になれば変異し消えてしまうものだ。それはすべての風邪ウイルスと同じだ。そう、世界中どこでも見られるあの風邪ウイルスだ。インフルエンザウイルスについて言えば、インフルエンザウイルスはさらに激しく変異するので、新しいインフルエンザの菌株がみつかっても、だれも「新型だ」などとは言わない。多くの獣医は、新型という表現を嫌っている。というのは、獣医たちはネコや犬や豚や牛たちに何年も同じコロナウイルスのワクチンを打ってきているからだ。

2. 免疫についてのおとぎ話
 世界保健機関(WHO)からすべてのフェィスブック上のウイルス学者まで、みんな今回のウイルスが特別危険だと主張している。その理由:①今回のコロナウイルスに対する免疫はない、②このウイルスは新型。

 トランプ政権で最も重要な顧問であるアンソニー・ファウチでさえ、当初公の場に現れるたびに、免疫がないのでこのウイルスは危険であると表明していた。

 私は、米国のベセスダのアメリカ国立衛生研究所の疫学セミナーでいつもトニー(アンソニー・ファウチのこと)の隣の席に座っていた。当時、我々はお互い関連し合った分野の研究に取り組んでいたからだ。当初、私はトニーの言っていることに疑問は感じなかった。というのも、トニーは私が信頼を置く同僚だったからだ。

 私が正気に戻ったのは、商品化された最初の(新型コロナウイルスの)抗体検査にSars-1(重症急性呼吸器症候群)を検出するための古い抗体検査も入れ込んでいたことが分かったときだ。

 この種の検査に信憑性がでるのはヒトの血液内に抗体があり、ウイルスに対抗する活動を通してその抗体が発生した場合だ。科学者たちは、動物のラマから抗体を抽出することさえしていたが、それはSars-1や新型コロナウイルスやさらにはマーズウイルス(中東呼吸器症候群) を検出するためのものだ。さらに知られるようになったことは、新型コロナウイルスは、すでにSars-1が以前猛威を振るった中国では、あまり深刻な被害を出さなかったことだ。この事実に鑑み、緊急に考え直すべきことは、我々の免疫系はSars-1と新型コロナウイルスを少なくとも部分的には同じウイルスとして特定化しているということであり、いずれか一方のウイルスに接触したことがあれば、もう一方のウイルスから身を守れるということだ。

 その時点で、私が実感できたのは、世界の全てがただただこのウイルスには免疫がないと言い張っているが、実際のところはそんな言説を証明する検査を誰も受けていないという事実だ。こんなものは、科学ではない。「みんながそう言っているから」という直感にもとづく思い込みだ。今日まで、免疫状態とはどんな状態かを隈無く説明できる抗体検査などたった一度も行われていない。具体的には、誰かが免疫状態になった場合、①いつからその人に免疫ができたのか?②この中和抗体は何を標的にしているのか?③他のコロナウイルス上に、免疫を作るのに結びつくような構造がどれだけあるか?などだ。

 4月中旬に、シャリテー(ベルリン医科大学)のアンドレアス・ティール氏のチームがある論文を発表した。その論文には30名の研究者が名を連ね、その中にはウイルス学者のクリスチャン・ドロステン氏も含まれていた。その論文によれば、新型コロナウイルスに接触したことのないベルリン市民のうち34 %が、新型コロナウイルスに対するTー細胞免疫反応を示したとのことだ。 (T-細胞免疫反応は、体内の各組織で起こる免疫とは別の免疫反応である。詳しくは後述)。つまり、我々のT―細胞(つまり白血球のこと)が新型コロナウイルスと普通の風邪ウイルスが同じ構造であると感知しているということだ。そのため、人体は両方のケースに対応できるということだ。

 スタンフォード大学のジョン・P・A・ヨアニディス氏の研究によると、(ベルリンのアインシュタイン協会によると、同大学は世界で論文が引用された研究者の数ランキングで世界の大学トップ10に入っている)新型コロナウイルスに対する免疫は、抗体という形で見積もった場合、以前考えられていたよりずっと高い反応があるとのことである。ヨアニディス氏が、時代の流れに逆らいたいだけの陰謀論者でないことははっきりしている。それなのに、同氏には、いま批判が浴びせられている。その理由は、同氏が採用した抗体検査は厳密な正確さという点で難がある、だ。そんな言い方をすることで、批判している人たちは、自分たちはそんな検査はまだやっていないことを認めてしまっている。さらに、ジョン・P・A・ヨアニディス氏は、比較で言えば、科学界のヘビー級。ドイツのウイルス学者は、すべて束ねても、せいぜいライト級だ。

3. 予測者たちの見誤り

 感染学者が信じてしまっていた別の神話は、人々の中に免疫はまったくない、だった。感染学者たちは、コロナウイルスが夏になれば消えていく季節的な風邪ウイルスであるということも認めたくなかったのだ。それを認めてしまうと彼らが予測していた感染者数の変異曲線が変わってしまうからだ。どの地域でも、最初に研究者たちが立てた最悪の場合の予想図のようにはならなかった。それでもまだ第二波が来るという予想にしがみついている者もいる。第二波がくると予想している人たちには、そう思っていてもらおう。まだ起こってもいないことを、こんなに前のめりに考える科学研究を私はかつてみたことがない。さらに私が理解できないことは、なぜ疫学者たちがあんなにも死者数に関心をもっていたのかだ。死者数より大事なのは何人の命が救えるか、だろう。

4.「常識」免疫学

 免疫学者として、私は生物学的な手続きを信頼している。それはまさに人体の研究であり、試験や検査を行うことによって適応できる免疫系を研究する手続きだ。2月の末、スイスの政治討論番組の収録後、車で家に帰る途中に、私はダニエル・コッホ氏(元スイス連邦保健局感染病部局局長)にこう話した。「私が思うに、人々は新型コロナウイルスに対する総合的な免疫をもっている」と。コッホ氏は、私の考えには同意しなかった。

 そうは言っても、彼が子どもは感染拡大の動因ではないと語った時、私は彼のその言葉を弁護した。コッホ氏は、子どもはこのウイルスに対する受容体を保持していないのではないか、という疑いを持っていた。そんな疑いはもちろんナンセンスだ。それでも、私たちは彼の見立てが正しいと認めざるをえなかった。 しかし科学者たちは、後になって、こぞって彼を攻撃し、持論を証明する研究を出せと言い出した。それはちょっと皮肉な展開だった。(つまり)ある危険ゾーンにいる集団が死にかけていることを証明する研究を要求する人は一人もいなかったからだ。最初は中国から、後に世界中から同じような傾向のデータ、つまり、10歳以下の子どもはほとんどこの病気にかからないというデータが届いた。その時点で、全ての科学者が子どもには確実に免疫があるという議論をしておくべきだったのだ。他の病気の場合、ある集団には感染しないということであれば、その集団はその病気に関して免疫があると結論づけるだろう。同様に、これは悲しい事だが、人々が老人ホームで死にそうになっているときに、同じ施設で健康上の同じ危険要因を所持しているのに全く無事である人がいるのであれば、そんな無事な人たちには免疫があると考えていいと普通は結論づけるだろう。

 しかし、こんな常識が多くの人たちの頭からずり落ちているのだ。この人たちを「否定論者」と呼ぼう。深い意味はない。この種の新型否定論者たちに考えてもらいたいのは検査の結果陽性とみなされた(いいかえればウイルスが喉に存在するという結果が出た)人々の大多数は病気になっていなかったという事実だ。「静かなるウイルス運搬者たち」ということばが、手品のように帽子から飛び出してきた。そして、症状なしで病気になる場合もあるという言説も流された。それってすごいことになるだろう!もしこれ以降、この主張が医療界で普通のことであると認められたのなら健康保険会社は本当に苦労するだろうし、学校の先生たちも、生徒に「何かの病気にかかったので学校を休みました」と言われて悩むだろう。一日中症状がなくても、これは病気だと生徒たちは言い張ればいいのだから。

 続いての冗談話は、症状が出ていない病人たちが他の人にウイルスをうつす可能性があるという主張に同意しているウイルス学者がいるということだ。その「健康」な病人たちは、喉にたくさんウイルスがあるので、普通に二人で会話しても「健康」な病人がもう一人の健康な人にウイルスをうつす可能性が十分あるという主張だ。ここで、すこし何が起こっているか整理してみよう。もし、ウイルスが喉やその他の箇所で成長しているとしたら、それは人体細胞がウイルスに冒されているということになる。
 
 人体細胞が冒されたならば、免疫系が即座に人体に警告を発し、感染が発生する。感染の五つの主要な症状のうちの一つが、痛みだ。Covid-19に感染した人々が、最初に感じた喉の痛みを覚えておらず、数日前に症状があったと思わないと主張する場合があることは理解できることだ。しかし、医師やウイルス学者たちが、この事実をねじ曲げて「健康」な病人がいるという話を作り出すことで、パニックを引き起こし、社会封鎖措置をより厳しくすることにつなげるのは、ただの冗談ではすまされない。少なくともWHOは無症状の感染という考えを否定しており、そのことはWHOのサイトにも記されている。

 ここで、簡潔で大まかなまとめをしておこう。特に、感染否定者たちのためにだ。人体はどのようにして細菌に攻撃され、人体はどのようにその攻撃に対応するかについてのまとめだ:病原体のウイルスが私たちの周囲に存在し、全ての人間(免疫があろうがなかろうが)が、ウイルスに攻撃されたとしよう。もし、免疫があるのなら、ウイルスとの闘いが開始される。最初に私たちはウイルスが細胞内に入ることを抗体の助けをかりて遮ろうとする。この反応はふつう体内の一部で起こり、すべてのウイルスが排除されるわけではなく、ある細胞に到達するウイルスも出てくる。この時点でもまだ、症状が出るとは限らないし、病気になっているわけでもない。
 というのも、この時点では、免疫系の二つ目の守備係が反応を始めるからだ。それが先述したT-細胞、すなわち白血球だ。白血球はウイルスが数を増やそうとして隠れている以外の場所からその場所を見極めることが出来る。T-細胞は、最後のウイルスが死滅するまで、人体内をくまなく探し、ウイルスを培養している細胞を見つける。

 であるので、免疫のある人に、コロナウイルスのPCR検査をした場合、検出されるのはウイルスではなく、つぶされたウイルスの小さな部分だ。免疫がある人で、検査の結果陽性となった人はつぶされたウイルスで残っている小さな部分が検出されたということだ。正しい!たとえ感染ウイルスずっと前に死滅していたとしても、コロナウイルス検査で再陽性になることもある。というのは、PCR検査という方法は、ウイルス細胞の小さなかけらでさえも検出するくらい精密なのだ。これと全く同じことが起こったのは、世界中のニュースになり、WHOもとりあげた韓国ですでに完治した200人が二度目の感染を発症したという事件だ。この事件のせいで、このウイルスに対する免疫がないのではという主張が広まった。実際の話は、しばらくしてからやっと、おことわりの記事が報じられたのだが、感染した韓国人たちは完全に健康で、少しの時間でウイルスを撃退したのだ。この話のツボは、ウイルスのほんの小さなかけらでさえ検出して陽性であると認定してしまうくらいこのPCR検査が精密なことだ。つまり毎日報道されている感染者数が多いのは、ウイルスのかけらのせいだということがありえるのだ。

 PCR検査は、当初ウイルスがいる可能性のある場所さえ完璧に検知できるくらい精密なものであるとされていた。しかしこの検査は、ウイルスがまだ生きている(つまり感染力がある)かどうかを検知できないのだ。不幸なのは、この検査結果とウイルスの量(つまり、ある人が呼吸で吐き出すウイルスの量)とを同じだと考えている感染学者がいることだ。幸運なのは、そんな学者たちの面倒を見てくれるデイケアセンターが開いているということだ。ドイツのウイルス学者たちはこのPCR検査の欠点を見落としているので、他の国がどんな政策を取っているかを見ようとしていない。他国の感染者数が急激に減っているとしても、だ。

5. コロナウイルスの免疫に関する問題点

 コロナウイルスの免疫について、実際のところどんな問題があるのだろうか?まず、疫学者たちは、このウイルスの免疫のつきかたについて、はっとしているはずだ。というのは、このウイルスの潜伏期間は2日~14日間とかなり長い(22日~27日間という報告もある)という主張がある一方で、大多数の患者がウイルスをまき散らすのは5日間だけだという主張もあるからだ。両方の主張を一つずつ考えると、こんな結論に至るはずだ。すなわち(大まかに言って)このウイルスに対する免疫の基本は、普通のウイルスから予想される免疫のつきかたと比べて、変わった免疫のつき方をするということである。そう、潜伏期間は長いのに、免疫はすぐにつくという特徴だ。

 さらに、このウイルスの免疫は重い病気を持つ患者たちにとっては大きな問題となる。私たちの抗体の強さ(すなわち私たちがウイルスから人体を守る正確さ)は、年をとればとるほど衰えてくる。さらに、体調が悪かったり、食習慣がよくなかったり栄養失調である人たちは、免疫系が弱く、そのため、このウイルスはその国の医療の問題だけではなく、その国の社会問題を明らかにすることになっている。

 感染した人が十分な抗体を持っていない場合、いいかえれば、免疫反応が弱い人の場合、ウイルスはゆっくりと体中に拡がっていく。その人は、十分な抗体をもっていないため、人体におけるもう一つ残された免疫反応が発動する。そう、T-細胞が体中のウイルスにおかされた細胞を攻撃し始めるのだ。この反応が過剰な免疫反応を引き起こし、たいてい大量虐殺につながる。この反応は、急性輸注反応症候群と呼ばれる。この反応はごくまれに幼児に起こるのだが、そのとき川崎病と呼ばれる病気に似た反応を示す。幼児にごくまれに起こるこの反応が、これまた我が国でパニックをあおるのに利用された。興味深いのは、この症状がでた幼児もすぐに良くなるということだ。感染した幼児たちは、健康な血液をもつ輸血者から抗体をもらう。その輸血者とは、すなわちコロナウイルス風邪を完治した人のことだ。つまり、人々の中に存在する隠された(たぶん実在しない)免疫が、幼児を治癒するのに使われているということだ。

さて、これからどうする?

 あのウイルスはもう去った。おそらく、また冬になったら戻ってくるだろう。でもそれは第二波ではない。ただの風邪だ。今マスクを着用して出歩いている若くて健康な人たちはそのときはヘルメットをかぶった方がいいだろう。なぜなら頭に何かが落ちてくる可能性の方が、Covid-19で深刻な病気になる可能性よりよっぽど高いからだ。

 (スイスが封鎖を緩めた後の)14日間で感染者数が大きく増加したのなら、少なくとも、私たちがとってきた措置のうちの一つに意味があったと分かるだろう。もしそうならなかったら、ジョン・P・A・ヨアニディス氏の最新の論文を読むことをおすすめする。その論文の中で同氏は2020年5月1日の数値に基づいて世界の状況を描いている。65歳以下の人たちのコロナウイルスによる致死率はたったの0.6~2.6 %だ。流行蔓延を乗り越えるため私たちが取る必要がある措置は、65歳以上で健康上の危険をもつ人を保護することに専念することだ。ジョン・P・A・ヨアニディス氏のような最重鎮の専門家がそういっているのだから、封鎖措置の二回目は行う必要はない。

 通常生活に戻る過程で、我々市民は、恐怖を煽ってきた人たちに謝らせることが必要だろう。呼吸器の使用数を減らすために80歳以上のコロナウイルス患者の命の救済を後回しにしようとした医師たち。さらに、実際はそんなひどい状況でもないのに、警告をあおるようなイタリアの病院の動画を見せ続けたメディア。検査結果が何を示しているかさえ理解していないのに「検査だ、検査だ、検査だ」と叫び続けたすべての政治家たち。近くに感染もしていない陽性患者がいると警告する全く役に立たないスマホアプリを求める連邦政府。

 冬になれば、インフルエンザやそれ以外の風邪がまたやってきたときは、またキスの回数を少し減らして、ウイルスが存在しないときでも手洗いをする習慣にもどればいいだけだ。そしてそれでも病気になった人たちは、マスクをすればいい。それが今回の蔓延で学んだことの証になるだろう。それでもまだ、健康上の危険をもつ人たちを守る方法がわからないのであれば、そんな健康上の危険を持つ人にも効果のあるワクチンが出来るのを期待して待てばいいだろう。

The original article was published in the Swiss magazine Weltwoche (World Week) on June 10th. The author, Dr. Beda M Stadler is the former director of the Institute for Immunology at the University of Bern, a biologist and professor emeritus.
Our thanks to Back to Reason, Medium, for having brought this important article to our attention




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現在の世界的危機で「露-中-米」協力体制というウォレス/ルーズベルトが考えた壮大な計画が復活することになるかもしれない。#「エルベの誓い」



<記事原文 寺島先生推薦>
Might the Current Global Crisis Revive the Wallace/FDR Grand Design for Russia-China-USA Cooperation? #MeetingOnTheElbe

us-russia-org

2020年4月26日





By Matthew Ehret 

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2020年7月26日

 4月14日、プーチン大統領は、2020年1月15日の呼びかけを改めて繰り返した。つまり、国連安全保障理事会の5つの核保有国が主導し、国連憲章の原則に導かれた新たな体制を構築する、という内容だ。クレムリンはこう述べた:
「この会議は明確なビジョンを持つ会議として[ロシア]大統領によって始められたものであり、当然のことながら、現在危機管理のために広く使用されているテレビ会議形式では、このような明確なビジョンを持つ会話をするために必要な雰囲気を醸成することはできません。安全保障理事国5カ国の首脳会談となればなおさらです。」

 プ-チンは以前こういう意図を持った会議を次の様な言い方で述べていた:
「国連創設国は手本を示すべきです。人類の保全と持続可能な発展のために特別な責任を負うのは核保有5カ国です。これら5カ国はまず、世界大戦の前提条件を取り除くことから始め、現代の国際関係の政治的、経済的、軍事的側面を十分に考慮した、地球の安定を確保するための最新のアプローチを開発すべきです。」

 プーチンは声明のわずか2日前、トランプ大統領と3日間で3回目の電話会談を行い、コロナウイルス蔓延の防止策や原油価格、両国が国家的な優先課題として強く掲げている宇宙探査や月面採掘などの協力体制について話し合った。

 ロシアは近年、中国の「一帯一路」(BRI)構想の枠組みへの参入に本腰を入れてきた。両国のこの動きは、2015年以降ユーラシア経済連合が①BRIと統合されてきたこと、②伝統的には東西に延びていたBRI構想が高緯度圏へ拡張され、新たな、期待をそそる「北極シルクロード」と統合されること、などを契機としている。こういったことを背景として、国連創設国の残り三カ国(アメリカ、イギリス、フランス)はそれぞれ、ロシアと中国が今後10年間月面開発で協力するために結んだ協定に、この三カ国も宇宙分野での共通目標を見つけることが多くなっている。こういった方向性は、何十年も前には見られなかったもので、月面の採掘、小惑星防衛、探査などがその内容となっている。

 ①宇宙圏を前提とした多極新システム②COVID-19と戦うための健康シルクロード③北極シルクロードでの協力を創り出すなどの息を呑むような推進力を基礎にして、今は、非常に重要でありながらも見落とされがちな歴史を見直す良い機会であると私は考えている。こういった見直しを行うと、プーチン大統領が現在求めている列国の様々な考えを連携させるという方向性は、フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領(以下FDR)と彼の忠実な協力者だったヘンリー・A・ウォレス副大統領が主導的役割を果たした時期、つまり1941年から1944年の間に確立されたものであることがわかる。それに驚く必要はない。ヘンリー・A・ウォレス副大統領は「米―露-中」世界秩序という壮大な計画を考えていた。これは大西洋憲章に掲げられた原則を基礎にしたものであり、その内容はウォレスが1942年に行った演説「庶民の世紀」で明確に述べられているからだ。

 多極世界秩序へ向けたウォレス/ルーズベルトの闘い

 ルーズベルト政権下の副大統領として執務する傍ら、ウォレスは1944年に出版した『太平洋で私たちがすべきこと』という本の中で次のように書いている:
「アメリカにとっても、中国にとっても、ロシアにとっても、中国とロシア、中国とアメリカ、ロシアとアメリカの間に平和で友好的な関係が存在することは極めて重要である。中国とロシアはアジア大陸でお互いに補完し合い、さらに両国は共に太平洋でアメリカを補完し、補強するのである。」

 1944年の別の論文『民族は二つ―友好関係は一つ』(サーベイ・グラフィック誌)の中で、ウォレスは、ベーリング海峡を横断する交通機関の接続によるインフラ整備を中心とした米露の北極周辺の関係の運命について次の様に述べている:

 「すべての国の中で、ロシアには①急速に増加する人口、②天然資源、③専門技術があっという間に広まること、という鬼に金棒の取り合わせがある。シベリアと中国には他には例を見ないような豊かな未開拓地がある。1942年の春、モロトフ(ロシアの外務大臣)がワシントンにいた時、私は彼に、カナダ、アラスカ、シベリアを経由してシカゴとモスクワを結ぶ高速道路と航空路の複合路線(いつか実現したらいいと私は思っている)について話しをした。モロトフは、「この仕事は一国ではできない」との意見を述べた後、「あなたと私が生きている間にこの仕事を達成させよう」と言った。このようなアメリカの西部開拓者精神とロシアの東部開拓者精神を結びつける具体的な絆があれば、将来の平和に大きな意味を持つだろう。」

 ウォレスは、欧米人には稀な、長期的な思考とアジアの精神に対する気配りを見せて、次の様に書いている:
「アジアは動き出した。アジアがヨーロッパに不信を抱いているのは、その『優越感』のためだ。我々はアジアに我々を信頼する理由を与えなければならない。特にロシアと中国に対しては、両国の庶民の未来に信頼を寄せていることを示さなければならない。私たちは、中国とロシアの両方に力を貸すことができ、力を貸すことで、私たち自身と私たちの子供たちにも力を貸すことになるのだ。今日のロシアと中国との関係を計画する際には、40年後の世界情勢を考えなければならない。」

で、どこで間違ったのか?

 世界史のこの章については多くのことが言えるが、要するに、複雑な政治的クーデターが起きたのである。このクーデターにより、ウォレスは1944年にハリー・S・トルーマンに副大統領指名を奪われ、1945年4月12日にルーズベルトが不慮の死を遂げたことで、このトルーマンがホワイトハウスに居を構えることになった。

 トルーマンの対露好戦的な態度が、ロシアは12億ドル出資して世界銀行へ加入するという1944年の合意内容が撤回される原因となり、チャーチルの「鉄のカーテン」演説は、「相互確証破壊(MAD)」という二極分化した力学を生み、「核の恐怖に支配された戦後」という容易には崩れない体制が定着することになった。トルーマンは、1947年春、「トルーマン・ドクトリン」を出し抜けに宣言した。この宣言は新冷戦下におけるロシアの拡大に対抗するアメリカの種々の絡み合いをもたらす対外政策であり、ロンドンが仕組んだギリシャとトルコの紛争にアメリカが巻き込まれたことに始まるものだ。トルーマンと歩調を合わせるようにチャーチルはミズーリ州フルトンでこう言ったのである:

 「戦争を確実に防止することも、世界組織の継続的な発展も、私が「英語圏の人々の友愛的な絆」と呼んでいるものなしには得られない。これは、英連邦帝国とアメリカ合衆国との間の特別な関係を意味する。」

 「トルーマン・ドクトリン」や「英米の特別な関係」は、ジョージ・ワシントンやジョン・クインシー・アダムスが提唱し、FDRやウォレスが採用した「対外的な絡み合い」を避けるための「原理共同体」政策が180°方向転換したことを示していた。

ウォレスの反撃

 1946年に米ロ友好を呼びかける演説をしたことで商務長官を解任される前に、ウォレスは、新たな「アメリカのファシズム」の出現を警告した。その「新たなアメリカのファシズム」の出現は後にアイゼンハワーが1961年の軍産複合体演説で明確にすることになる。ウォレスは次のように述べた:
「戦後のファシズムは、逃れようもなく、アングロサクソン帝国主義へと、そして最終的にはロシアとの戦争に向けて着実に前に押し進められるであろう。すでにアメリカのファシストたちは、この「ロシアとの戦争」について話したり書いたりしており、ファシストたちは、特定の人種、信条、階級に対して内的な憎悪と不寛容を見せる口実として、この「ロシアとの戦争」を利用している。」

 1946 年のソビエト・アジア・ミッションでウォレスは次のように述べた:
「わが国の若者たちが戦場で流した血がまだ乾いていないのに、これらの平和の敵どもは第三次世界大戦の基礎を築こうとしている。彼らの邪悪な企みを成功させてはならない。我々はルーズベルトの政策に従い、平和時においても、戦時中においても、ロシアとの友情を育むことで、彼らの毒を解毒しなければならない。」

 ヘンリー・ウォレスは敵が望んだように姿を消すことなく、1948年の大統領選で第三党の候補者となり、愛国者や芸術家の支持を得た。その中でも特筆すべき人物は偉大なアフリカ系アメリカ人活動家/歌手のポール・ロブソンだ。彼が起こした行動を発端にしてマルチン・ル-サー・キング牧師の公民権運動が花開いたのである。ウォレスの大統領選時のいくつかの演説は、今日の世代を教育し、鼓舞することができる心を揺さぶる行動への呼びかけである。第二次世界大戦中は世界的なファシズム運動を止めるために英雄的に多くのことをしたばかりのアメリカ人が、戦後、アメリカ国内で新たなファシズムの出現を止めることに失敗し、チャンスがあったのにウォレスに投票しなかったことを思い起こさせられるのは悲劇的としか言いようがない。

最後の機会?

 ジョン・F・ケネディは在任中の3年間にFDRとウォレスの精神を復活させようとしたが、彼は早々と暗殺され(続いて彼の弟ロバート・ケネディ、マルチン・ルーサー・キング、そしてマルコムXも暗殺された)、アメリカが真の立憲国となる目覚めは再度妨害された。

 今日、ウォレスとFDRの下で実施されたニューディールを凝縮した精神によって推進されている偉大なインフラ計画が、①驚くべきBRI構想、②急速にその全体像が見えてきている北極シルクロード、③健康シルクロード、そして④宇宙シルクロードの中で活性化してきた。このようにして、ロシアと中国は、自分たちが過去半世紀にわたって世界が知っていたアメリカよりもさらにアメリカ的な存在になってしまったという皮肉な役割に気付くことになったのである。

 そこで、現在の危機を私たちに与えられた絶好の機会と捉え、多極同盟と手を携えながら、ウォレス/FDR の壮大な計画をもう一度現実のものにすることを提案する。アメリカがもつ「もっと優れた立憲主義を!」という伝統は、アメリカがこういう方向に進むことをかつてないほど要求している。そして、新シルクロードに代表される「ウィン-ウィン協力」の精神は、飢饉、戦争、帝国という相互に関連した苦しみを世界から永遠に終わらせる鍵を握っているのだ。
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