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【レビュー】さよならの朝に約束の花をかざろう-時間の積み重ねによる感動 

「さよならの朝に約束の花をかざろう」を鑑賞。

見ながら、頭によぎったのは

「アニメの感動の本質は時間の経過の積み重ね」
「映像の本質は物理的な時間の流れよりもはるかに短い時間で時の流れを人に感じさせる事」

という言葉。

これは「星山博之のアニメシナリオ教室」という本に書かれた言葉だ。

この映画をまとめるに、この指摘がしっくりくる。

エリアルが子供から青年、生まれてから死ぬまでの
時間の経過・積み重ねを2時間で感じさせる事で感動を産み出した。
一方で長命のマキアが外見的変化を伴わないことで、
エリアルとマキアの関係性が、エリアルの成長に合わせて
変化していく経過が克明に描かれていたと思う。

身体的にも心の面でも成長し変化するエリアル。
身体的には変わらず、心は強くなっていくマキア。
それぞれに変わる面と変わらない面もありながら、
それでも母と子であり続けたのが、人の心を打つ要因になるのだろう。
 
逆にいえば母のマキアが身体的に変わらず少女であるのが、
子のエリアルにとって残酷でもあり、
いわゆる普通の乳離れとは違う形で乗り越えなくてはいけないのが大変でもあった。

衰退する国家。滅びゆく竜。繁栄する都市。
人の変化とともに世界も時間の経過に合わせて変化を見せていく。
(世界を紡ぎ上げる凝りに凝った美術設定・美術)
変わらないものなのなどないのだ。

そんな時間の経過により変わり続ける世界を、
(無垢性が際立つ造形の吉田明彦キャラを使い)
変わらないもの達からの視点で描いたのが
「さよならの朝に約束の花をかざろう」であろう。
 
こうした時間と経過の物語の集約している点、
(モチーフとしての機織りに時間の意味を込めている)
時間の経過を経ても見た目が変わらないキャラクターを使用した点でも
極めて星山がいうアニメの感動の本質を有効活用した作品だったと思う。
 
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[ 2018/02/24 14:05 ] ニュース | トラックバック(-) | コメント(-)

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