物語シリーズセカンドシーズン 第2話「猫物語(白)つばさタイガー其ノ貳」を視聴。
とても面白かった。
それは、戦場ヶ原ひたぎと羽川翼と繋がる可能性を描きつつも違う面が
上手く演出されていたからだ。
まずは 戦場ヶ原ひたぎと羽川翼が一緒にシャワーを浴びるシーン。
今回の序盤に挿入された展開。
裸も多くサービスシーン的な意味合いも強いシーンの連続が描かれる。
ただ物語的な意味合いでいえば、このシーンは二人の親密性の強調が描かれている。
この後に一緒の布団で寝て、ご飯を食べるのも親密性を描くことの延長。
二人がお互いに近づいた存在としても描かれている。
しかし 戦場ヶ原ひたぎと羽川翼が決定的に違っていたことが、
後半の羽川翼が作った朝食でわかってしまった。
どうやら羽川翼は平たくいえば味が無い食事でも問題がなく、
もっといえば好き嫌いが無い、興味関心が無いようだ。
ここで前半描かれてきた楽しそうな二人の親密感・一体感から一転。
二人の価値観・生き方の相違が描かれ、問われていく。
この前半と後半の落差が物語とキャラクターへの深みを与えていく。
そして思えば、二人の一体感を感じさせる事も、
実は錯覚だったのかもしれない。それがわかるのが以下の二つのキャベツとパンの描写。
まずは左側の画像のキャベツ。
これは前半の戦場ヶ原ひたぎが朝食を作った時のキャベツだが、
キャベツはものの見事に
真っ二つに分かれている。つまり、このキャベツが二つに分かれた描写から思うに、
前半の時点から二人が(価値観・生き方)分かれていた事を示唆していたのだ。一方、後半で戦場ヶ原ひたぎが羽川翼との相違に気づいたときには、
画像右のように、 戦場ヶ原ひたぎがパンを二つに切り裂いている。
これも、わざわざ戦場ヶ原ひたぎが二人の違いを強調したことを示した描写であり、
上記のキャベツが二つに分かれた描写との対比だと思う。
好き嫌いがあり、この事に意味を感じる戦場ヶ原ひたぎ。
好き嫌いがなく(拘りがない)全てを受け入れる羽川翼。
そんな二人の最大の共通点は阿良々木暦が好きなこと。
話は最終的に好き嫌い論に収斂していく。
「羽川さんはどんな味でも受け入れてしまうってことかしらね極端にいえば」
戦場ヶ原ひたぎはこう切り出し、
羽川翼を食べ物も、生きる中で様々に起こる状況も全て受け入れ、
好き嫌いが無いようにみえるあなたは、本当に阿良々木暦が好きなのかと強く問い詰める。
そしてこの戦場ヶ原の問いに対して、その真意を測りかねている羽川。
羽川翼の異常な生き方が戦場ヶ原ひたぎに暴露された瞬間だ。
まとめ
今回は、戦場ヶ原ひたぎと羽川翼の二人の蜜月を描きつつも
生活する中でわかった二人の違いと羽川翼の特異性を暴く展開。
その中で、二人の生き様の相違をキャベツ等を用いて上手く描いたのが秀逸だった。
特にキャベツを食事シーンへの導入という記号的描写で終わらせずに、
ひたぎと翼の相違の象徴という形で次に繋がる演出にしていたのは上手かった。
好き嫌いが無いのは、本当の好きがないのと同じなのか。
好き嫌いのあり方とは何なのか、という問いも突きつけた今回。
この作品では食べ物から恋愛の人生の好き嫌いについて問いていたが、
私自身はこの一連のやり取りをアニメの好き嫌いと置き換えてみていた。
だから、最後の戦場ヶ原ひたぎの
「今でも、阿良々木君が好きだってもっかい言える?」
の問いが
「今でも、アニメが本当に好きだってもっかい言える?」
と聞こえてしまった。こう置き換えて見るのも面白い。
絵コンテは数井浩子さん。二人の緊密感とそこで発生した相違を描いた演出が素晴らしかった。
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