■ 過去最高の好スタート2017年のACLの東地区の1節は2月21日(火)と2月22日(水)に行われた。Jリーグ勢は2008年のG大阪以来となるアジア制覇が期待されているが、浦和はアウェイでWシドニーに4対0で大勝。鹿島はホームでKリーグの蔚山現代に2対0で勝利した。そして、G大阪もアウェーでアデレードUに3対0で大勝して、川崎FはホームでKリーグの水原三星と1対1のドロー。浦和・鹿島・G大阪の3チームは白星スタートを切った。
Jリーグ勢(浦和・鹿島・G大阪・川崎F)の4チームの成績をまとめると3勝1分け。いいスタートを切ることが出来たが、表1と表2を見ると分かるとおり、Jリーグ勢はGLの1節と2節の成績が極めて悪い。逆に4節や5節の成績がいいのでシーズンが進んでチーム力が上がって来ると中国や韓国のチームと対戦しても対等以上の戦いが出来るがチームが出来上がる前やコンディションが上がる前は苦戦を強いられて来た。
近年の開幕節は「4チーム合計で1勝2敗1分け」というケースが多かったことを考えると「3勝1分け」というのは申し分ない成績である。川崎Fに関しては残念なドローになったが、表1のとおり、開幕節にJリーグ勢が3勝したのは最大で4チームがACLの本大会に出場できる現行のレギュレーションになった2009年以降では最多タイ。負けなしというのは9年目で初めて。3勝1分けというのは過去最高成績となる。
表1.
【ACL】 Jリーグ勢のGLの1節の成績 (2009年-2017年) |
年度 | 勝 | 分 | 負 |
2009年 | 3 | 0 | 1 |
2010年 | 1 | 1 | 2 |
2011年 | 2 | 1 | 1 |
2012年 | 1 | 1 | 2 |
2013年 | 1 | 1 | 2 |
2014年 | 1 | 2 | 1 |
2015年 | 0 | 1 | 3 |
2016年 | 1 | 1 | 2 |
2017年 | 3 | 1 | 0 |
表2
【ACL】 Jリーグ勢のGLの節ごとの成績 (2009年-2016年) |
節 | 平均勝ち点 | 勝 | 分 | 負 |
1節 | 1.19 | 10 | 8 | 14 |
2節 | 1.19 | 10 | 8 | 14 |
3節 | 1.56 | 14 | 8 | 10 |
4節 | 1.97 | 18 | 9 | 5 |
5節 | 1.91 | 18 | 7 | 7 |
6節 | 1.66 | 16 | 5 | 11 |
■ 好スタートを切った3つの理由を挙げると・・・。いくつかの幸運もあるが、Jリーグ勢が好スタートを切った要因としては以下の3点があげられる。
1つ目 : 最初に登場した浦和がアウェイで4対0と大勝したこと。→ 2月21日(火)に行われたWシドニー vs 浦和のキックオフ時間は日本時間で17時だった。Jリーグ勢の中で最初に登場したのは浦和だったが、2014年のアジア王者のWシドニーを4対0で下した。同日夜に行われた鹿島 vs 蔚山現代は19時キックオフ。鹿島の選手は浦和戦の結果を知らなかった可能性は高いが、翌日に登場したG大阪や川崎Fの選手にとって浦和の大勝というのはエネルギーになったはず。
何だかんだでACLは国別対抗戦になる。夏や冬の五輪などでも他競技の選手が活躍すると日本選手団全体が盛り上がっていい流れが生まれるケースが多いが今シーズンに関しては最初に登場した浦和の大勝がJリーグ勢に勢い付けたように感じられる。当然、鹿島やG大阪や川崎Fはライバルクラブなので「負けられない。」という気持ちも芽生える。先陣を切った浦和の貢献度というのは無視できない要素である。
2つ目 : 日程的な問題 (2月下旬の開幕)→ 精神的な部分のみならず、日程的な問題も大きく関係している。先のとおり、Jリーグ勢はGLの1節と2節の成績が極めて良くないが、試合勘不足の問題やコンディションの問題が成績不振に大きく関係してくる。2015年までは3月初めの開幕がJリーグのスタンダードでシーズンは11月下旬あるいは12月上旬まで続いていく。長丁場の戦いになるのでACLの開幕節が行われる2月下旬に標準を合わせにくかった。
2016年から2月下旬にJ1の開幕戦が行われるようになったが、鹿島と浦和は2月18日(土)にゼロックスを戦ったばかりで、G大阪も2月7日(水)にACLのプレーオフのジョホール戦を戦った。ということでACLのGLの初戦が「今シーズン初の公式戦」となったのは川崎Fのみ。2015年以前と比べると早く仕上げなければいけないスケジュールになっており、ACLのGLの初戦にいい状態で臨める確率は高まっている。
もちろん、移動が大変などゼロックスを戦うチームはある部分では不利に働く。プレーオフを戦ったG大阪も急ピッチでチームを作って来たのでデメリットも少なくないが、試合勘やコンディションという部分ではプラスに作用する。Jリーグの開幕時期を早めたことで雪国で活動するチームは「開幕数試合が連続でアウェイ戦になる。」というハンディを背負うことになるが不利益を被るチームが出てくるのは仕方がない。
3つ目 : 韓国代表クラスのキーパーのJリーグ進出→ 今シーズンのJ1は外国人キーパーが多い。18クラブの中で札幌のGKク・ソンユン、鹿島のGKクォン・スンテ、川崎FのGKチョン・ソンリョン、磐田のGKカミンスキー、C大阪のGKキム・ジンヒョン、神戸のGKキム・スンギュの6人は守護神としてゴールを守ることが予想される。実に1/3のクラブが外国人守護神になる可能性が高い。これは言うまでもなく、Jリーグが誕生して25年目で最も高い割合である。
Jリーグの外国人キーパーというと創生期のスター選手であるGKシジマール(清水)や1994年のアメリカW杯の優勝メンバーであるGKジルマール(C大阪)が有名。その他では創生期の浦和でプレーしたGKミロ(浦和)、黄金期の磐田で活躍したGKヴァン・ズワム(磐田)もいたが限定的。言葉の問題があって躊躇するクラブが多かったが流れを変えたのはKリーグを経由せずにC大阪に加入したGKキム・ジンヒョンだった。
その後、GKオ・スンフンも徳島と京都で活躍。GKキム・ジンヒョンとGKオ・スンフンが日本における韓国キーパーの評価を劇的に高めて今の流れを作った。開幕節で蔚山現代に2対0で勝利した鹿島は前半の決定機を神がかり的なセーブで阻止したGKクォン・スンテに助けられた。一方、水原三星との試合はドローに終わったものの川崎Fも後半33分の相手との1対1を防いだGKチョン・ソンリョン(川崎F)に救われた。
韓国代表クラスのキーパーのJリーグ進出が目立っているが、当然、これだけJリーグに流出するとKリーグのキーパーのレベルはガクンと下がる。しかも、Kリーグの場合、外国人キーパーを登録・出場させることはできないルールなので代表クラスのキーパーの流出分を外国人キーパーで補うことはできない。ACLのことを考えるとJリーグ勢にとっては大きなプラスであり、Kリーグ勢にとっては大きなマイナスである。
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