■ ビッグセーブの多いキーパーというと・・・。当然のことながら、ゴールが決まると流れが大きく変わることは多いが、1つのビッグセーブによって流れが大きく変わることも多い。キーパーは緊迫した場面で失点に直結するミスを冒すとクローズアップされてしまうポジションであるが、逆に絶体絶命のピンチは見せ場となる。1月に行われたU-23アジア選手権の準々決勝のイラン戦は延長戦の前半終了間際のGK櫛引(鹿島)のビッグセーブがキーになった。
昨今のJリーグで「ビッグセーブ」で注目を集めているキーパーというとやはりGK中村航(柏)。リオ五輪代表チームではそのGK櫛引と激しいポジション争いを繰り広げているがとにかく試合の流れを変えるビッグセーブの多いキーパーである。単純に反射神経などが他のキーパーと比べて相当に優れている点が武器となるがポジショニングの良さも見逃せない。2015年はJ2の福岡でプレーしてJ1昇格の立役者となった。
先に取り上げた「ハイボールに強いキーパー」が大型キーパーに多いのとは対照的に「ビッグセーブの多いキーパー」はどちらかというと小柄なキーパーが多い。GK中村航も184センチ。Jリーグでプレーするキーパーとしては「標準的なサイズ」となるが世界基準で考えるとかなり小さい部類である。そういうキーパーが国際親善試合で存在感を発揮するためには大事な場面でビッグセーブを披露する必要がある。
■ 日本代表でポジション争いをする2人のキーパー日本代表のレギュラーポジションを争っているGK西川(浦和)とGK東口(G大阪)の2人もビッグセーブが多いキーパーである。前者は183センチ、後者は184センチ。ともにサイズで勝負するのは難しいが試合の流れを変えるビッグセーブで評価を高めてきた。2人に共通するのはポジショニングの良さと最後まで相手選手の動きをよく見た上で最後に一勝負できる点。簡単に倒れないことはキーパーにとって大事になってくる。
外国籍選手では今シーズンから川崎FでプレーしているGKチョン・ソンリョンはビッグセーブが多い。10節終了時点で川崎Fは6勝1敗3分け。2位と優勝を狙える絶好の位置に付けているが1節の広島戦(A)、6節の鳥栖戦(H)は「先制ゴールになってもおかしくない。」というシュートをGKチョン・ソンリョンがビッグセーブで防いだことが勝利につながった。韓国代表として65試合に出場している実績は伊達ではない。
J1初挑戦となるGKカミンスキー(磐田)もビッグセーブは多い。磐田はここまで4勝3敗3分けで6位。「昇格1年目としては上出来」と言える成績を残しているが10試合で17失点。これはリーグワースト4位となる。守備の堅いチームとは言えなくて、決定機を招く場面は多いが、最後尾のGKカミンスキーが何とか防いで勝ち点につなげている。失点数やセーブ率だけではキーパーを正当に評価することはできない。
同じ昇格組の大宮のGK加藤もビッグセーブが多い。驚異的な反射神経を持っており、MF家長やFWムルジャなど軸の選手が怪我で離脱して点が取れなかった2015年の春先の活躍ぶりは特に印象に残っている。柏から京都に移籍したGK菅野もビッグセーブの多いキーパーである。絶体絶命のピンチをビッグセーブで防いでくれるとチームは盛り上がる。180センチそこそこのサイズで活躍しているキーパーもいる。