■ 大本命のFC東京J2は20チームで新シーズンが開幕する。
大本命といえるのが、FC東京である。GK権田、DF今野、MF米本、MFホベルト、FW平山といった各ポジションに実力者がそろっており、J1の中に入っても、上位クラスの戦力を誇る。ストライカーのFW大黒が退団したのが気になるところであるが、FWロベルト・セザー、FWペドロ・ジュニオールを獲得し、昨シーズンの開幕時よりも戦力は充実している。
3位以内どころか、優勝しなければおかしいほどの圧倒的な戦力を誇り、独走して昇格を決める可能性がきわめて高いが、崩れるとしたら「理想を高く持ちすぎたとき」か、「内紛」があったときだろう。これだけの選手層を誇るチームの場合、どうしても出場時間に不満を抱える選手は出てきてしまう。その辺りをうまくコントロールする必要はある。
■ 昇格を狙う第2グループ第2グループは、京都サンガ、ジェフ千葉、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ、横浜FCといったところ。他に、栃木SC、徳島ヴォルティスというJ1昇格が未経験のクラブも昇格レースに加わってくる可能性はある。
FWディエゴ、MFドゥトラの強力コンビを擁する京都は、前線の「個の力」ではFC東京にも引けを取らない。ただ、大木監督になってサッカースタイルが大きく変わっており、開幕までにどれだけ整理できているか?これまでとは全く違ったサッカーであり、経験の少ない選手も多いので、スタートダッシュに躓く可能性はある。
204㎝のFWオーロイに注目が集まる千葉は、そのFWオーロイの稼働率次第といえる。204㎝という圧倒的な高さは、分かっていても止められないものである。そのFWオーロイがフル出場できればいいが、怪我等で戦列を離れたときにどれだけポイントを稼ぐことが出来るかどうか。代役になりそうなFW青木孝、FW久保といったプレーヤーのパフォーマンスが重要となる。
1年で降格した湘南は大黒柱のMFアジエルが復帰したことが大きなプラスであり、中盤から前は若くて優秀なタレントが多いことが強みである。その反面、最終ラインはDFジャーンとDF村松が抜けて不安いっぱい。いかにして失点を減らしていくか。守備陣の整備が進まないと、昇格レースに加わることなくシーズンを終えるという事態も考えられる。
元サガン鳥栖のFW藤田、元セレッソ大阪のMFファビーニョらを獲得し、オフの補強が大成功した横浜FCも昇格の有力候補である。岸野監督が2年目でほぼ思い通りの補強ができており、もう失敗は許されない状況にある。攻守ともに穴はなく、選手層も厚くなっている。
経営の問題がクリアになった東京ヴェルディにもチャンスはある。近年、ユースが充実しており、高木兄弟ら才能ある若手が次々にトップチームに上がってきて戦力になっている。高木3兄弟の長男のFW高木俊が清水エスパルスに移籍したのは痛いが、前甲府のFWマラニョン、前川崎FのDF森とJ2ではトップクラスの能力を持つ選手の補強に成功。司令塔のMF柴崎の穴を最小限に抑えられれば、若い選手が多く、勢いに乗って一気に昇格を決めることも考えられる。
■ ダークホース昇格未経験のチームでは、栃木SCと徳島ヴォルティスにもチャンスはある。
栃木はJ2で3年目のシーズンであるが、17位、10位と着実に順位を上げており、今シーズンのダークホース的な存在である。DFラインにやや不安を抱えるが、攻撃のタレントはJ2では上位クラスであり、飛躍のシーズンとなりそう。
徳島もJ2の中では資金力のあるチームであり、今オフもFW杉本、MF衛藤、DF西嶋といった即戦力クラスの獲得に成功。MF柿谷、MF島田、MF倉貫と中盤のタレントはいるので、ストライカーのFW津田のほかに、安定した得点力を持つ選手が出てくれば、昇格レースに食い込んでくる可能性はある。
ただし、栃木にもいえることであるが、「初昇格」となると予想以上にプレッシャーがかかるものであり、経験のある選手をそろえているチームでも、終盤に急失速して昇格を逃してしまったチームがある。両チームとも、これまで、一度も昇格レースに加わった経験はないので、過剰な期待は禁物である。
■ その下のグループ現状で「J1昇格候補」といえるのは、この8チームだろう。ただし、2006年の横浜FC、2008年のモンテディオ山形、2010年のアビスパ福岡と下馬評の低いチームがJ1昇格を果たした例もあり、予想外のチームが波に乗って昇格の切符を勝ち取ったケースはゼロではない。
昇格候補組に続く「第3グループ」は、サガン鳥栖、ロアッソ熊本、愛媛FC、ザスパ草津、コンサドーレ札幌となる。いずれのチームも「得点力」に不安を抱えていて、爆発力に欠けるので「上位3チームに入るか?」と言われると難しい気がするが、上位チームには厄介な存在であり、簡単には勝てないチームである。草津はやや守備に不安を抱えるが、あとの4チームは「守備力」は高いので、攻撃陣で殻を破る選手が出てくれば、面白い存在になる。
第4グループは、FC岐阜、大分トリニータ、水戸ホーリーホック、ファジアーノ岡山、カターレ富山。その中で、メンバーが大きく変わっておらず「熟成」が期待されるFC岐阜、DFストヤノフが加わったファジアーノ岡山には注目したい。FC岐阜はFW西川、FW佐藤ら大卒3年目の若手が経験を積んでいて、ポテンシャルの高い選手が攻撃陣に揃っている。
最後に挙げるのは昇格2年目のギラヴァンツ北九州と、昇格1年目のガイナーレ鳥取。北九州は昨シーズンわずか1勝に終わり、今シーズンは元日本代表の三浦泰年氏を監督に迎えている。タレントが不足しており、厳しい戦いになることが予想されるが、そろそろ「下部リーグ降格」という制度が導入されそうになっており、あまり時間は残っていない。両チームとも、今シーズンの順位も大事であるが、簡単に降格しないように地盤を固めることが何よりも大切になる。
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