■ 下平監督になって快進撃が続く柏レイソル1stステージの8節が終了した時点で柏レイソルは3勝2敗3分け7位に位置する。開幕から3試合で0勝2敗1分けと出遅れると3節が終了した時点でミルトン・メンデス監督が家族の健康上の問題で監督を辞任。下平監督が就任するという慌しい序盤戦になったが6節のFC東京(H)で初勝利を挙げるとここからリーグ戦は3連勝。ナビスコカップを含めると5連勝中と完全に息を吹き返した。今、一番乗っているチームと言える。
パスをつなぐサッカーを志向した吉田監督に代わって監督に就任したミルトン・メンデス監督のときはダイレクトプレーの割合が増えたが下平監督になってからは「従来のパスをつなごうとする意識」がまた高くなった。『吉田監督の時ほど極端ではないがミルトン・メンデス監督のときよりはつなぐ意識が高くなっている。』と言えるが、若い選手を積極的に起用していることも下平体制の特徴と言えるだろう。
直近の鹿島戦(A)のスタメン11人の中でリオ世代となるのはMF伊東純、MF中川、MF小林祐、DF中谷、GK中村航の5人。左SBのDF中山雄に至っては1997年生まれの東京世代なのでスタメンの半数以上がリオ世代以下。MF武富も25歳でMF茨田も24歳なので若い選手が主力として起用されている。下にある表1のとおり、ここまでにリーグ戦で出場した選手の平均年齢は24.51才でJ1の中ではもっとも若くなる。
表1. J1の18クラブの平均年齢 (8節終了時点)
【J1】 クラブ別の平均年齢 (8節終了時点) |
ランク | クラブ名 | 平均年齢(才) | リーグ平均との差 |
1 | 柏レイソル | 24.51 | -2.93 |
2 | アルビレックス新潟 | 25.52 | -1.92 |
3 | アビスパ福岡 | 26.41 | -1.03 |
4 | サガン鳥栖 | 26.59 | -0.85 |
5 | 鹿島アントラーズ | 26.89 | -0.55 |
6 | ヴィッセル神戸 | 27.06 | -0.38 |
7 | 湘南ベルマーレ | 27.24 | -0.20 |
8 | 川崎フロンターレ | 27.25 | -0.19 |
9 | FC東京 | 27.35 | -0.09 |
10 | ガンバ大阪 | 27.44 | 0.00 |
11 | ジュビロ磐田 | 27.86 | 0.42 |
12 | 名古屋グランパス | 28.03 | 0.59 |
13 | 浦和レッズ | 28.08 | 0.64 |
14 | ベガルタ仙台 | 28.19 | 0.75 |
15 | 横浜Fマリノス | 28.29 | 0.85 |
16 | 大宮アルディージャ | 28.50 | 1.06 |
17 | ヴァンフォーレ甲府 | 29.26 | 1.82 |
18 | サンフレッチェ広島 | 29.38 | 1.94 |
※ 平均年齢={(各選手のプレー時間*年齢)の和}/チーム全体のプレー時間 |
■ 下平監督になって若い選手が中心に・・・。若い選手が多くなると運動量が多くなってアグレッシブな展開になることが多いが8節終了時点での柏の各選手の走行距離とスプリント回数を1つの表にまとめると表2のようになる。90分あたりの走行距離に着目すると目立つのはMF中川。2列目でプレーすることがほとんど。直近のリーグ戦は3試合はすべてでスタメン起用されているがチームは3連勝。V字回復を見せた柏の象徴的な存在になっている。
90分あたりの走行距離は13.00キロ。「12キロを超えるとかなり凄い。」と言われことを考えると13.00キロは物凄い数字である。ざっと見た限りではMF加藤大(新潟)が90分あたりの走行距離でリーグ1位になると思うが(一定以上の出場時間を得ている選手の中で)13キロを超える選手は片手で数えられるほどだと思うので『MF中川の走行距離はJ1の中でも最上位クラス』と言えるのは間違いないところである。
よく知られている通り、21歳のMF中川の身長は155センチ。Jリーガーの中で2番目に背が低いのはMF久富(秋田)とMF宮城(FC琉球)で160センチなので5センチの差がある。155センチのMF中川の活躍は「小さくでもJ1のトップレベルで活躍できる。」という勇気を体格に恵まれない多くのサッカー少年たちに与えていると思うがその一方で「体格に恵まれていない選手は相当に走れないとダメ」というメッセージにもなる。
表2. 8節終了時点での走行距離とスプリント回数
背番号 | 名前 | 試合数 | 出場時間 | ゴール数 | 走行距離(km) | 走行距離/90分 | SP回数 | SP回数/90分 |
1 | 桐畑 和繁 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2 | 鎌田 次郎 | 2 | 91 | 0 | 11.59 | 11.46 | 12 | 11.87 |
3 | パトリック | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4 | 中谷 進之介 | 8 | 720 | 0 | 84.507 | 10.56 | 84 | 10.50 |
5 | 増嶋 竜也 | 7 | 630 | 0 | 70.129 | 10.02 | 51 | 7.29 |
6 | 山中 亮輔 | 4 | 154 | 0 | 21.43 | 12.52 | 70 | 40.91 |
7 | 大谷 秀和 | 8 | 591 | 1 | 77.292 | 11.77 | 42 | 6.40 |
8 | 茨田 陽生 | 6 | 464 | 0 | 58.673 | 11.38 | 69 | 13.38 |
9 | 田中 順也 | 8 | 356 | 2 | 49.693 | 12.56 | 70 | 17.70 |
10 | 大津 祐樹 | 6 | 450 | 1 | 59.736 | 11.95 | 93 | 18.60 |
11 | ディエゴ オリヴェイラ | 7 | 557 | 1 | 66.109 | 10.68 | 126 | 20.36 |
13 | エドゥアルド | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
14 | 伊東 純也 | 8 | 633 | 1 | 77.678 | 11.04 | 189 | 26.87 |
15 | 武富 孝介 | 7 | 489 | 2 | 68.185 | 12.55 | 128 | 23.56 |
17 | 秋野 央樹 | 5 | 336 | 1 | 43.353 | 11.61 | 30 | 8.04 |
18 | エデルソン | 8 | 281 | 1 | 41.217 | 13.20 | 72 | 23.06 |
19 | 中川 寛斗 | 3 | 270 | 0 | 39.013 | 13.00 | 100 | 33.33 |
21 | 湯澤 聖人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
22 | 輪湖 直樹 | 6 | 409 | 0 | 51.853 | 11.41 | 93 | 20.46 |
23 | 中村 航輔 | 8 | 720 | 0 | 33.061 | 4.13 | 6 | 0.75 |
25 | 小林 祐介 | 4 | 359 | 0 | 49.367 | 12.38 | 30 | 7.52 |
26 | 太田 徹郎 | 1 | 14 | 0 | 2.493 | 16.03 | 0 | 0.00 |
27 | 今井 智基 | 1 | 90 | 0 | 11.497 | 11.50 | 23 | 23.00 |
28 | 栗澤 僚一 | 1 | 1 | 0 | 0.142 | 12.78 | 0 | 0.00 |
29 | 中山 雄太 | 4 | 305 | 0 | 39.152 | 11.55 | 56 | 16.52 |
34 | ドゥドゥ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
■ リーグ屈指の走行距離を記録するMFエデルソンだが・・・。表2は90分あたりの走行距離を数値の多い選手から順番に並べたものであるが、こうしてみると12キロ以上の選手がかなり多い。頻繁に試合に絡んでいる選手の中ではMFエデルソン、MF中川、FW田中順、MF武富、DF山中、MF小林祐が12キロオーバー。中盤から前目の選手は運動量が必要とされるサッカーになっていて、特に下平監督になってからは「走れる選手」が積極的に起用されていることが分かる。
注目したいのはMFエデルソン。当初は右サイドハーフで起用されていたがなかなかチームにフィットできなくて最近はスタメンから外れたり、早い時間帯に交代でベンチに下がる試合が多くなっているが90分あたりの走行距離は何と13.20キロ。「ブラジル人のアタッカーでこれだけ走ってくれる選手は他にはいないのでは?」と思われる。日刊スポーツによると推定年俸は1億円。走れて技術のある選手の値段は高くなる。
MFエデルソンに関しては「期待通りの活躍はできていない。」と感じている人がほとんどだと思う。高年俸に見合った活躍ができていないのは間違いないが相当に高いポテンシャルを持っているのは間違いなさそうだ。「2013年のブラジルリーグの得点王」という立派な肩書きがあるので誰しもがゴールを期待するが献身的に走ってチームのために貢献しようとしているところは正当に評価されなければいけないだろう。
表3. 90分あたり走行距離について (8節終了時点)
背番号 | 名前 | 試合数 | 出場時間 | ゴール数 | 走行距離(km) | 走行距離/90分 | SP回数 | SP回数/90分 |
26 | 太田 徹郎 | 1 | 14 | 0 | 2.493 | 16.03 | 0 | 0.00 |
18 | エデルソン | 8 | 281 | 1 | 41.217 | 13.20 | 72 | 23.06 |
19 | 中川 寛斗 | 3 | 270 | 0 | 39.013 | 13.00 | 100 | 33.33 |
28 | 栗澤 僚一 | 1 | 1 | 0 | 0.142 | 12.78 | 0 | 0.00 |
9 | 田中 順也 | 8 | 356 | 2 | 49.693 | 12.56 | 70 | 17.70 |
15 | 武富 孝介 | 7 | 489 | 2 | 68.185 | 12.55 | 128 | 23.56 |
6 | 山中 亮輔 | 4 | 154 | 0 | 21.43 | 12.52 | 70 | 40.91 |
25 | 小林 祐介 | 4 | 359 | 0 | 49.367 | 12.38 | 30 | 7.52 |
10 | 大津 祐樹 | 6 | 450 | 1 | 59.736 | 11.95 | 93 | 18.60 |
7 | 大谷 秀和 | 8 | 591 | 1 | 77.292 | 11.77 | 42 | 6.40 |
17 | 秋野 央樹 | 5 | 336 | 1 | 43.353 | 11.61 | 30 | 8.04 |
29 | 中山 雄太 | 4 | 305 | 0 | 39.152 | 11.55 | 56 | 16.52 |
27 | 今井 智基 | 1 | 90 | 0 | 11.497 | 11.50 | 23 | 23.00 |
2 | 鎌田 次郎 | 2 | 91 | 0 | 11.59 | 11.46 | 12 | 11.87 |
22 | 輪湖 直樹 | 6 | 409 | 0 | 51.853 | 11.41 | 93 | 20.46 |
8 | 茨田 陽生 | 6 | 464 | 0 | 58.673 | 11.38 | 69 | 13.38 |
14 | 伊東 純也 | 8 | 633 | 1 | 77.678 | 11.04 | 189 | 26.87 |
11 | ディエゴ オリヴェイラ | 7 | 557 | 1 | 66.109 | 10.68 | 126 | 20.36 |
4 | 中谷 進之介 | 8 | 720 | 0 | 84.507 | 10.56 | 84 | 10.50 |
5 | 増嶋 竜也 | 7 | 630 | 0 | 70.129 | 10.02 | 51 | 7.29 |
23 | 中村 航輔 | 8 | 720 | 0 | 33.061 | 4.13 | 6 | 0.75 |
1 | 桐畑 和繁 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
3 | パトリック | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
13 | エドゥアルド | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
21 | 湯澤 聖人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
34 | ドゥドゥ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
■ 目立つのは五輪代表のDF山中のスプリント能力最後の表4は「90分あたりのスプリント回数」の数値の多い選手から順に並べたものである。1試合で20回を超えると「なかなか凄い。」と言えるが、この数値が20回を超えているのはDF山中、MF中川、DF伊東純、MF武富、MFエデルソン、DF今井、DF輪湖、FWディエゴ・オリヴェイラの8人。走行距離の時と同様に中盤から前目の選手の頑張りが目立つ。新外国人のFWディエゴ・オリヴェイラの数値もまずまず。
目立つのは五輪代表の左SBの1番手のDF山中。途中出場が多いと後半のアディショナルタイムの時間(※ 大抵は3分 or 4分。プレー時間には記録されない。)が効いてくるのでこの点は若干有利に働くがそれでも40.91回というのは立派な数字である。後半途中にDF山中を起用するときは攻撃の部分を期待してベンチは送り出していると思うが期待に応えてサイドでスプリントを繰り返していることが分かる。
すでに触れた155センチのMF中川はここでも33.33回と高い数値を叩き出している。同じように一定以上の出場時間を得ている選手の中で90分あたりのスプリント回数が30回を超える選手はリーグ全体でも両手で数えられるほどだと思う。155センチのMF中川の走力はリーグの中でもトップクラスと言える。逆にMF大谷、MF小林祐、MF秋野といったボランチ系の選手のスプリント回数は非常に少ないようだ。
表4. 90分あたりスプリント回数について (8節終了時点)
背番号 | 名前 | 試合数 | 出場時間 | ゴール数 | 走行距離(km) | 走行距離/90分 | SP回数 | SP回数/90分 |
6 | 山中 亮輔 | 4 | 154 | 0 | 21.43 | 12.52 | 70 | 40.91 |
19 | 中川 寛斗 | 3 | 270 | 0 | 39.013 | 13.00 | 100 | 33.33 |
14 | 伊東 純也 | 8 | 633 | 1 | 77.678 | 11.04 | 189 | 26.87 |
15 | 武富 孝介 | 7 | 489 | 2 | 68.185 | 12.55 | 128 | 23.56 |
18 | エデルソン | 8 | 281 | 1 | 41.217 | 13.20 | 72 | 23.06 |
27 | 今井 智基 | 1 | 90 | 0 | 11.497 | 11.50 | 23 | 23.00 |
22 | 輪湖 直樹 | 6 | 409 | 0 | 51.853 | 11.41 | 93 | 20.46 |
11 | ディエゴ オリヴェイラ | 7 | 557 | 1 | 66.109 | 10.68 | 126 | 20.36 |
10 | 大津 祐樹 | 6 | 450 | 1 | 59.736 | 11.95 | 93 | 18.60 |
9 | 田中 順也 | 8 | 356 | 2 | 49.693 | 12.56 | 70 | 17.70 |
29 | 中山 雄太 | 4 | 305 | 0 | 39.152 | 11.55 | 56 | 16.52 |
8 | 茨田 陽生 | 6 | 464 | 0 | 58.673 | 11.38 | 69 | 13.38 |
2 | 鎌田 次郎 | 2 | 91 | 0 | 11.59 | 11.46 | 12 | 11.87 |
4 | 中谷 進之介 | 8 | 720 | 0 | 84.507 | 10.56 | 84 | 10.50 |
17 | 秋野 央樹 | 5 | 336 | 1 | 43.353 | 11.61 | 30 | 8.04 |
25 | 小林 祐介 | 4 | 359 | 0 | 49.367 | 12.38 | 30 | 7.52 |
5 | 増嶋 竜也 | 7 | 630 | 0 | 70.129 | 10.02 | 51 | 7.29 |
7 | 大谷 秀和 | 8 | 591 | 1 | 77.292 | 11.77 | 42 | 6.40 |
23 | 中村 航輔 | 8 | 720 | 0 | 33.061 | 4.13 | 6 | 0.75 |
26 | 太田 徹郎 | 1 | 14 | 0 | 2.493 | 16.03 | 0 | 0.00 |
28 | 栗澤 僚一 | 1 | 1 | 0 | 0.142 | 12.78 | 0 | 0.00 |
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