■ J1の開幕節J1の開幕節。ガンバ大阪 vs 鹿島アントラーズの試合はACLの日程の関係もあって1日遅れの開幕戦となった。会場は完成したばかりの吹田スタジアム。試合が行われるのは2月14日(日)に行われたこけら落としの名古屋戦(=Panasonicカップ)に次いで2回目となる。韓国に遠征して2月24日(水)にACLの開幕戦で水原三星と対戦したG大阪は中3日となる。この試合はやや劣勢の展開だったスコアレスドローに持ち込んだ
ホームのG大阪は「4-2-3-1」。GK東口。DF米倉、丹羽大、金正也、藤春。MF遠藤、今野、藤本淳、アデミウソン、大森。FW長沢駿。G大阪は広島(N)→水原三星(A)→鹿島(H)→メルボルン(H)→甲府(A)と続く5連戦の3試合目。絶対に勝たなければいけないACLの2節のメルボルン戦を控えていることもあってFWパトリックとMF宇佐美がベンチスタート。MF藤本淳やMFアデミウソンらが先発で起用された。
対するアウェイの鹿島は「4-2-2-2」。GK曽ヶ端。DF西大伍、植田直、昌子、山本脩。MF小笠原、柴崎岳、遠藤康、中村充。FW赤崎、金崎。虫垂炎のためチームを離れていたMF柴崎岳がスタメン復帰。「3日前に全体練習に合流したばかり。」なのでぶっつけ本番となる。さらにはチームに電撃復帰した日本代表のFW金崎も2トップの一角でスタメン出場。対照的に「現段階でほぼベスト」と言えるスタメンになった。
■ 1対0で鹿島がアウェイの勝利試合はアウェイの鹿島ペースで進んでいく。G大阪はともに横浜FMから加入したMF藤本淳とMFアデミウソンが絡んだ時は可能性を感じさせる攻撃を見せたがその頻度は低い。前半28分にはFW赤崎ともつれて倒れたDF丹羽大が右肩を負傷して交代。代わってMF井手口が投入される。G大阪は前半41分にMFアデミウソンの突破からMF藤本淳が決定的なシュートを放つがクロスバー直撃で先制ゴールとはならず。
0対0で迎えた後半21分にG大阪はMF宇佐美を投入すると3分後に鹿島はMFカイオとFW鈴木優を投入。ともに切り札をピッチに送り出したが実ったのはアウェイの鹿島だった。後半27分に右サイドのスローインからMFカイオが抜け出して中央に柔らかいクロスを入れると勢いをもって飛び込んできた途中出場のFW鈴木優が豪快にヘディングで決めて鹿島が先制に成功する。19歳のFW鈴木優はJ1通算3ゴール目となった。
注目された吹田スタジアムでの(公式戦)初ゴールはアウェイチームの鹿島のFW鈴木優となった。結局、1対0でアウェイの鹿島が勝利。弾みの付く大きな1勝となった。鹿島は次節がホーム開幕戦。県立カシマサッカースタジアムで鳥栖と対戦する。一方のG大阪は初戦を飾れず。ゼロックスの広島戦(N)を含めると今シーズンの公式戦は3試合勝ちなし。「優勝候補の筆頭」と言われたG大阪は苦しいスタートになった。
■ 過密日程に苦しむガンバ大阪G大阪は先のACLの水原三星戦(A)はスコアレスドローだった。対戦相手が「GLの中では最大の強敵」と言える水原三星だったのでアウェイで勝ち点「1」という結果は決して悪くない。むしろ、いい結果と言えるが、この試合も危ないシーンは多かった。攻撃もFWパトリックとMF宇佐美に1つずつ大チャンスが訪れたがたくさんの決定機を作れたわけではない。これまでの3試合は期待された攻撃陣が今一つである。
開幕前の期待値が非常に高かったので早くもサポーターの不満の声が聞こえてくるような状態になっているが、ACLに出場するチームはこの時期は大きなハンディを抱えながら戦うことになるので気の毒に感じるところもある。結局、ACLに出場している4チーム(浦和・広島・FC東京・G大阪)の中でJ1の開幕戦で勝利したのは浦和だけ。広島とFC東京とG大阪の3チームはいずれもホームながら0対1のスコアで敗れている。
FWパトリックやMF宇佐美を先発で起用できなかったG大阪のスタメンの顔ぶれを見ると分かるとおり、リーグ戦とACLを並行して戦うのは相当に大変であり、1試合のウエイトの重さの違いを考えるとこの時期はACLの方を優先せざる得ない。万全の状態で開幕戦を迎える対戦相手と比べると競争力が落ちるのは当たり前の話である。「強豪チームの宿命」とも言えるが、毎年、ACL組は3月・4月の戦いで苦労する。
この日は前半28分にDF丹羽大が怪我をして負傷交代。過密日程で試合が続くと怪我人も出やすくなる。FW赤崎との攻防だったが倒れ方が良くなかったのか、肩を痛めてしまった。不運な怪我だったが、代わって出場したMF井手口はこの日も好プレーを見せた。これだけアグレッシブにプレーし続けることができる選手は本当に貴重である。アクシデントによる緊急出場だったが「準備不足」を感じさせなかった。
■ ヒーローになったのは19歳の鈴木優磨一方の鹿島は大きな勝利と言える。G大阪側がベストメンバーでなかったのは確かであるが、90分を通してG大阪が主導権を握った時間帯はほぼ無かったと言える。もちろん、前半41分のMF藤本淳のシュートがクロスバーに当たったシーンや後半21分のMFアデミウソンのパスから生まれたMF藤本淳のキーパーと1対1の決定機などピンチはいくつかあったが試合を通してみると「鹿島の順当勝ちだった。」と言える。
鹿島はCBの競争が激しい。「DF昌子の相方が誰になるのか?」が注目されたが五輪代表のDF植田直が抜擢された。いくつかの選択肢がある中での先発起用だったが見事に期待に応えたと言える。1トップのFW長沢駿にほとんど自由を与えず、危ないエリアを消すプレーもできていた。「集中が切れることがある点」が課題と言われているがこの部分でも問題なし。自身の鹿島でのベストゲームと言えるのではないか。
DF植田直の活躍も光ったがヒーローは19歳のFW鈴木優。後半27分に値千金の決勝ゴールをマークした。MFカイオから素晴らしいボールが入ってきたがDF今野とDF米倉の上から叩き込んだ「インパクト大」のこけら落とし弾となった。FW鈴木優は2週間前に行われた讃岐戦、1週間前に行われた水戸戦でも途中出場で決勝ゴールを挙げている。これで3試合連続。プロ2年目にして早くも「頼もしい切り札」になりつつある。
2015年の2ndステージのG大阪戦(H)で「初出場・初ゴール」を記録して大きな話題になったが鹿島にはほとんどいなかったタイプの選手である。鹿島のアタッカーというとテクニックがあって決定的なパスを出すこともできる選手が多かったが、FW鈴木優はストライカー色が強いアタッカーである。決して基本的な技術が低いわけではないと思うが「がむしゃらさ」や「アグレッシブさ」がとにかく目立つ選手である。
どちらかというと「アントラーズっぽくない選手」と言えるが、この年齢にしてこれだけの『ギラギラ感』を醸し出すことができる選手は日本人ではかなり珍しい。手倉森JAPANに呼ばれた経験もあるがリオ五輪の本大会まではあと半年ほど。アピールできるチャンスはたくさんある。当然のことながら、18人枠を巡る争いは熾烈を極めるが、五輪代表に入ってどんなプレーができるのか?を見てみたい選手の1人である。
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