■ 年間王者は広島か?G大阪か?チャンピオンシップの決勝の第2戦は12月5日(土)にサンフレッチェ広島のホームのエディオンスタジアムで行われた。12月2日(水)に万博競技場で行われた決勝の第1戦は後半51分にMF柏が劇的な決勝ゴールを決めて3対2でアウェイの広島が勝利。かなりのアドバンテージを手にして地元に戻ってきた広島は仮に0対1や1対2というスコアで敗れたとしてもアウェイゴールの差で年間優勝を決めることができる。
ホームの広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、佐々木翔。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、清水航、ドウグラス、柴崎晃。FW佐藤寿。第1戦と全く同じスタメンとなった。シーズン終盤に怪我で離脱した時期のあるDF水本とMF柏はこの日もベンチスタート。左CBはDF佐々木翔、左WBはMF清水航が起用された。MFドウグラスは33試合で21ゴールを挙げてJ1の得点ランキングは2位と素晴らしい成績を残した。
対するアウェイのG大阪は「4-2-3-1」。GK東口。DF米倉、西野、丹羽大、藤春。MF遠藤、今野、阿部浩、宇佐美、大森。FW長沢駿。アドバンテージを持った広島がしっかりとブロックを作って守ってくる可能性が高いこともあって1戦目に続いてFWパトリックはベンチスタート。FW長沢駿が引き続いてスタメンとなった。FWパトリック、FWリンス、MF倉田、MF二川、MF井手口などがベンチスタートとなった。
■ 1対1のドローに持ち込んだ広島が3度目の年間王者試合は「2点以上を奪うこと」が逆転優勝のための最低条件となるG大阪が先制に成功する。前半27分に右サイドのCKを獲得すると、MF遠藤の蹴ったボールをMF今野が合わせて欲しかった先制ゴールをマークする。元日本代表のMF今野は準決勝の浦和戦(A)と決勝の第1戦の広島戦(H)でもゴールを決めているのでチャンピオンシップは3試合連発となった。前半は1対0とアウェイのG大阪がリードして折り返す。
1点ビハインドの広島は後半12分に切り札のFW浅野拓を投入。あと1点が必要なG大阪も全く同じタイミングでMF倉田を投入。G大阪はさらに後半19分にベンチスタートだったFWパトリックも投入。FWパトリックの高さを生かした攻撃を織り交ぜて2点目を狙う姿勢を高めるが、後半31分に途中出場のMF柏のクロスから同じく途中出場のFW浅野拓がヘディングシュートを決めて広島が1対1の同点に追いつく。
終盤はあと2点が必要となったG大阪が前掛かりになったところをFW浅野拓がかき回して何度か逆転ゴールを奪うチャンスがあったがとどめを刺すことはできず。第2戦は1対1のスコアだったが、2試合トータルで1勝1分けとなった広島が見事に年間王者に輝いた。広島は2012年と2013年にリーグ連覇を達成しているので、直近の4年間で3度もリーグ制覇を達成したことになる。広島はクラブW杯の出場権を獲得した。
■ 価値ある同点ゴールを記録したFW浅野拓磨チケットはソールドアウト。エディオンスタジアムは36,609人の大観衆で埋まった。この数字は広島のホーム戦としてはクラブ史上4番目。正直なところ、「これが本当にエディオンスタジアムなのか・・・。」と思うほどだった。いつもとは全く違う雰囲気になったが、どちらのチームの選手も落ち着いて戦うことができた。初サッカー観戦の人も少なくなかったと思うがいい雰囲気の中で試合が行われた。
広島は「0対1で負けてもOK」というシチュエーションだったが、後半31分のFW浅野拓の同点ゴールが優勝に花を添えた。途中出場したMF柏からいいクロスが入ってきたがゴールまでは少し距離があった。「ヘディングでゴールを狙うのはちょっと難しい。」と思われたが、うまくミートしてコース隅にシュートが決まった。日本代表のGK東口でも止めることはできず。このゴールで広島が一気にリーグ制覇に近付いた。
高卒3年目のFW浅野拓は今シーズンは32試合で8ゴールを記録しているが、スタメンはわずか2回だけ。1stステージの1節の甲府戦(H)と2節の松本山雅戦(A)はシャドーの位置でスタメン起用されたが、以降、ずっとベンチスタートだった。3月末に行われたリオ五輪のアジア予選に参加するためにチームを離れていた時期にレギュラーを奪われる形になったが、全て途中出場で8ゴール。驚異的な数字である。
8月上旬に行われた東アジアカップのときに日本代表デビューを果たしたが、日本人ではほとんどいなかったタイプのストライカーである。スピードがあるのは誰の目にも明らかであるが、その上、フィジカルも強くて、相手CBにチャージされたとしても倒れることはない。スピードばかりがクローズアップされるが、技術もかなり高い。特にトップスピードに乗った状態でもうまくボールをコントロールできる技術がある。
まずは五輪代表の攻撃の中心の1人として来年の1月に行われる予選で本大会の切符を獲得することが第一。その次の段階としてはFW佐藤寿からポジションを奪うことが目標になってくるが、本人は「海外リーグでプレーすること」も視野に入れているという。最近はマインツのFW武藤嘉が1トップで起用されて相当なインパクトを残しているが、FW浅野拓のポテンシャルも相当に高い。無限の可能性を秘めた選手と言える。
先のとおり、2012年に森保監督が就任してからは4年間で3度のリーグ制覇。4年というスパンで3度のリーグ制覇を成し遂げたのは1998年-2001年までの鹿島アントラーズ、2007年-2009年までの鹿島アントラーズに次ぐ史上3チーム目。ヴェルディ川崎やジュビロ磐田でも未達成という偉業である。主力を引き抜かれることが多いチームであるが、森保監督の下、黄金時代に突入したと言っても過言ではないだろう。
■ 不発に終わったエース・宇佐美貴史トータルで0勝1敗1分けとなったG大阪は2連覇達成ならず。ACLは準決勝敗退でベスト4。ナビスコカップは決勝で鹿島に敗れて準優勝。チャンピオンシップも準優勝。3つのコンペティション全てでタイトル争いに顔を出していることは高く評価されるべきであるが今回も準優勝に終わった。惜しいところまで来ているので余計に選手たちは悔しさを感じているだろう。「8強」に残っている天皇杯で雪辱を晴らしたい。
「2ゴールを奪うこと。」が最低条件となったが、前半27分といういい時間帯にCKから先制ゴールを奪うことが出来た。展開としては理想的だったが、先制した後はなかなかチャンスシーンを作れなかった。MF倉田とFWパトリックを切り札的な存在として用意しており、後半12分に投入されたMF倉田はかなりアクセントになったが、FWパトリックの見せ場あまりなかった。広島の最終ラインの3人が上手く守ったと言える。
「チャンピオンシップでは3試合連続ゴール」となったMF今野は奮闘した。初戦は自らのスローインのミスから逆転ゴールを奪われた。普段のリーグ戦とはレギュレーションが違うので仕方がないところもあるが、あの場面では冷静に判断することができなかった。大きなミスと言えたが、自分で取り返すあたりはさすが。「ボランチとしては得点力が高い。」という選手だったが、この3試合は印象的なプレーが多かった。
逆に悔しいのはMF宇佐美である。今冬の欧州移籍が噂されているのでG大阪でプレーする機会はあとわずかになっている可能性が高いがこの日もノーゴール。2トップの一角でプレーしていた頃はゴールを量産していたが、中盤でプレーする機会が増えた2ndステージに入ってからはゴールペースが伸び悩んだ。日本代表とACLの活動も合わさって相当に疲れると思うが、3試合ともヒーローになることはできなかった。
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