■ ブンデスリーガの第3節ブンデスリーガの第3節。2試合連続で4対0と大勝して首位に立つボルシア・ドルトムントはホームのシグナル・イドゥナ・パークでヘルタ・ベルリンと対戦した。ヘルタ・ベルリンも1勝1分けと好スタートを切っている。攻撃陣が好調なドルトムントはELのプレーオフ・ラウンドのオッドとの2戦目で7対2と爆勝するなど公式戦は7連勝中。格下のチームとの対戦が多くなっているが、7試合で27ゴールを奪っている。
ホームのドルトムントは「4-2-3-1」。GKブルキ。DFギンター、ソクラティス、フンメルス、シュメルツァー。MFギュンドガン、ヴァイグル、ムヒタリアン、香川真司、ロイス。FWオーバメヤン。中2日とタイトな日程になっているにもかかわらず、現段階でのベストメンバーとなった。システムは「4-2-3-1」なのか、「4-1-2-3」なのか、微妙なところ。MFギュンドガンとMF香川の位置はかなり流動的である。
アウェイのヘルタ・ベルリンは「4-2-3-1」。GKクラフト。DFペカリク、ラングカンプ、ブルックス、プラッテンハルト。MFシェルブレット、ルステンベルガー、ストッカー、ダリダ、ファン・デン・ベルフ。FW原口元気。日本代表メンバーに選ばれたFW原口は1トップの位置でスタメンとなった。FW原口は2試合連続スタメンとなった。予想システムは「4-2-3-1」だったが、実際には5バックと言える布陣だった。
■ 3対1でドルトムントが勝利して開幕3連勝試合は静かな立ち上がりとなるが、前半15分にロングボールから裏に抜け出したFW原口がキーパーと1対1の形になる。絶好のチャンスを迎えたが、シュートを打つのが遅くなって戻ってきたDFフンメルスにクリアされてしまう。ピンチを逃れたドルトムントは前半27分にショートCKからMF香川が左足でファーサイドに上げたボールを192センチのDFフンメルスが豪快に頭で合わせてホームのドルトムントが先制する。
1対0で迎えた後半6分にはMF香川が左サイドから中央にドリブルで切れ込むと、ファーサイドの裏に飛び出した右SBのDFギンターに浮き球の絶妙のパスを送る。DFギンターの折り返しをフリーのFWオーバメヤンが難なく合わせて2点目を挙げる。その後、ドルトムントはMF香川とMFロイスとMFムヒタリアンという2列目トリオにそれぞれ1回ずつ大チャンスが訪れるが、いずれのシュートも枠を捉えることができない。
後半33分にヘルタ・ベルリンは途中出場のFWサロモン・カルーが決めて1点差に迫る。FWサロモン・カルーは間違いなくオフサイドポジションだったのでドルトムントにとっては不運な判定だった。やや危うくなったが、後半45分にMF香川→MFムヒタリアンとつないで最後は途中出場のFWアドリアン・ラモスが決めて3点目。結局、3対1でドルトムントが勝利した。これでリーグ戦は開幕3連勝スタートとなった。
■ 3ゴール全てに絡んだ香川真司ドルトムントはELの予選から参加しているのでここ最近は過密日程になっている。この日も中2日というハードな日程だったが、トゥヘル監督はあまりターンオーバーをしない監督のようで、主力選手は体力的には厳しい状況。しかも、この日は前半途中に給水タイムが設けられたほどの暑さだった。ドルトムントの選手の動きは決して良くなかったが、それでもしっかりと相手の守備を崩して3つのゴールを奪った。
日本代表に選ばれたMF香川は3ゴール全てに絡む活躍だった。前半の序盤はかなりスローなペースだったのでいいところでボールに触る回数は少なかったが、この日の最初の見せ場と言えた前半27分のショートコーナーの場面ではファーサイドのDFフンメルスに最高のクロスを供給した。MF香川は右利きの選手であるが、左足であれだけ精度の高いボールを蹴ることができるのはとてつもなく大きな武器である。
その後、後半6分に生まれたFWオーバメヤンのゴールの起点にもなった。左サイドでボールを持って中に切れ込んでミドルシュートを狙える位置まで来たが、ファーサイドのDFギンターの動きをよく見ていた。このクロスもパーフェクトなボールだった。C大阪でプレーしていた頃や最初にドルトムントでプレーしていた頃はここまでミドルパスの精度は高くなかったので、ここ数年で新たに身に着けた武器と言える。
駄目押しゴールとなった後半45分のFWアドリアン・ラモスのゴールの起点にもなったので、結局、この日はドルトムントの挙げた3ゴール全てに絡む活躍だった。無人のゴールに蹴りこんだ後半半ば過ぎの左足のミドルシュートが決まっていれば最高だったが、十分すぎるほどの結果とパフォーマンスだった。これから飛行機に乗って日本に戻ってくることになるが、気分よく日本代表に合流できるだろう。
■ 全盛期のMF香川真司に戻りつつあるのか!?4試合連続ゴールはならなかったが、これで開幕節のボルシアMG戦(H)から5試合連続でゴールあるいはアシストを記録している。この5試合で4ゴール3アシスト。過去2シーズンはなかなか目に見える数字を出すことができなくて苦しんだMF香川とは思えない。当然、ゴールやアシストといった結果が出ていると次の試合も自信を持ってプレーできるので次の試合でもいいプレーが期待できる。好循環になっている。
少なからず疲労の影響はあったと思うが、この日のMF香川は積極的だった。1点目のアシストのシーンも、2点目の起点になったシーンも、まず最初にドリブルで仕掛けている。相手選手をドリブルで抜き切るというのは難しいが、このようにドリブルで仕掛けることができると相手の守備陣を混乱させることができる。ドリブルで抜き去ることはできなかったが、これだけチャレンジするMF香川というのは近年では珍しい。
これはポジティブな精神状態でプレーすることができている証と言える。「サッカーはメンタルが重要となる競技」と言われることが多いが、特にMF香川の場合はメンタル的なコンディションにパフォーマンスが左右されやすい。この点はあまりいいこととは言えないが、現時点ではいいバランスでプレーすることができている。この状態で日本代表に合流するMF香川がどんなプレーをするのか?は楽しみと言える。
完全なトップ下だったドルトムントでの1年目や2年目と比べるとフィニッシュに絡むプレーは少なくなった。スピードやキレが落ちていることも否定できないが、インゴルシュタット戦のドリブルからのゴールやこの日の果敢な仕掛けを見ると躍動感は戻りつつある。また、この期間に失ったものもあるが、キックの精度など得たものも少なくない。NewバージョンのMF香川に進化しつつあると言えるのではないか。
■ 最大の決定機を逃した1トップのFW原口元気一方のヘルタ・ベルリンは今シーズン初黒星となった。アウェイでの戦いで、力の差があるだけでなく、ドルトムントは攻撃陣が絶好調。そういう事情もあってかなり守備的な戦い方を見せた。最終ラインに5人の選手を並べる5バック気味の布陣で、FW原口の1トップだったが、前半27分のDFフンメルスの先制ゴールでプランは大きく狂った。ドルトムントもほとんどチャンスを作れていなかったので痛い失点だった。
注目のFW原口は1トップの位置でスタメン起用された。ペトロヴィッチ監督が就任した初年度の2012年は浦和で1トップの位置でプレーすることが多かった。1トップは不慣れなポジションというわけではないが、いい形でボールを貰える場面はほとんどなかった。ドルトムントを相手に守備の人数を増やして戦ったら1トップの選手が孤立するのは当たり前なので仕方がないところもあるが、見せ場は少なかった。
残念だったのは前半15分の決定機を逃したことである。後方からのロングボールに対していい受け方をしてドルトムントの2人のCBを一旦は振り切った。キーパーと1対1に近い状態になったのでシュートを打てるチャンスは間違いなくあったが、コントロールがやや思い通りではなかったのか、慎重になりすぎたのか、シュートを打つのが遅れてしまった。最大にして唯一の決定機だったので、本当に残念なシーンだった。
DFフンメルスはそれほどスピードのある選手ではない。DFソクラティスもそこまでスピードがあるわけではないので、FW原口のスピードがあれば振り切ることは可能。この場面は本当に狙い通りの形になったので、最低でもシュートには持ち込みたかった。当然、シュートを決めることができれば最高であるが、こういう決定機でシュートまで持っていけないと印象はかなり悪くなる。評価が低くなるのは仕方がない。
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