■ アウェイのU-23シンガポール戦2月14日(土)にU-22日本代表とU-23シンガポール代表が親善試合を行った。リオ五輪のアジア枠は2016年1月に行われるU-23アジア選手権の本大会で上位の成績を残したチームに出場権が与えられる。H&A方式からセントラル方式にレギュレーションが変更になったが、U-23アジア選手権の本大会に出場するチームを決める予選が3月末に行われる。I組の日本はマカオ・ベトナム・マレーシアと同組になった。
日本は「4-2-3-1」。GK櫛引。DF松原健、岩波、植田、亀川。MF遠藤航、大島僚、井出、中島翔、豊川。FW鈴木武蔵。攻撃の中心となるMF中島翔は高めのポジションを取ったので、「4-4-1-1」あるいは「4-2-2-2」とも表現できる。左SBは柏のDF山中が招集されておらず、今シーズンはJ2の福岡でプレーするDF亀川がスタメンで起用された。また、追加招集された千葉のMF井出がスタメンに抜擢された。
ベンチスタートになったのはGK牲川、DF室屋、DF奈良、MF原川、MF吉野恭、MF荒野、FW浅野の7名で、今回のシンガポール遠征には18名の選手が選ばれている。当初は岡山のMF矢島慎とG大阪のMF井手口が招集されたが、ともに怪我のため参加を辞退することになった。そのため千葉のMF井出と広島のMF吉野恭が追加招集された。海外リーグでプレーするFW久保裕とMF南野は今回はメンバーには選ばれなかった。
■ ゴールラッシュで8対1の大勝試合は実力で相手を大きく上回る日本が圧倒的に押し込む展開になる。前半10分に右SBのDF松原健の縦パスから裏に抜け出したMF中島翔が左足で豪快に決めて先制すると、前半22分にはMF豊川のスルーパスから再びMF中島翔が決めて2点目を挙げる。さらに前半34分にはDF亀川のシュートのこぼれ球をFW鈴木武蔵が決めて3点目。前半42分と前半46分にもMF井出とMF大島僚が決めて5対0とリードして折り返す。
後半開始からGK牲川、DF室屋、FW浅野、FW荒野を投入。メンバーを大きく入れ替えたこともあって後半の序盤は攻めあぐねたが、後半11分にDF亀川のクロスから札幌のFW荒野が決めて6点目を挙げると、後半31分にはMF中島翔のスルーパスから右SBのDF室屋が決めて7点目。防戦一方のシンガポールは後半33分にセットプレーから1点を返すが、後半38分にDF岩波の縦パスからFW荒野が決めて8点目を挙げる。
結局、2ゴール1アシストのMF中島翔らの活躍もあって日本が8対1で大勝した。メンバーに生き残るために特にアピールしたい立場だった千葉のMF井出は1ゴールで、鹿島のMF豊川も2アシストと結果を残した。一方の守備陣はほとんど攻め込まれる機会が無かったので、評価の難しい試合となったが、一瞬のスキを突かれてセットプレーからゴールを許した。気持ちよく無失点で試合を終えたかったので残念な失点だった。
■ あまり歯ごたえの無い相手日本は22歳以下で、相手のシンガポールは23歳以下だったので、日本の方が1つ年下だったが、実力差は大きかった。シンガポールは非常に守備がルーズで、ほとんど中盤の守備が機能していなかったので、日本の選手は楽にプレーすることができた。相手のシンガポールの選手がどのくらいのモチベーションで試合に臨んだのか?は定かではないが、日本にとってはあまり歯ごたえの無い相手だったと言える。
当然のことながら、「もっと強い相手の方がいいトレーニングになった。」と言えるのは間違いないが、この時期にいい対戦相手を見つけるというのはなかなか難しい。欧州はリーグ戦の真っただ中で、その他の地域でもU-22やU-23の活動に力を注いでいる国は皆無に近い。今回は「東南アジアの気候に慣れること」が一番の目的で、メンバーが集まって怪我をすることなく試合をこなすことが出来た点が収穫と言える。
「このレベルの相手と試合をするのであれば、Jリーグのクラブと練習試合を行った方が有意義なのでは?」という意見もあると思うが、当然、過去には五輪代表はJリーグのクラブとトレーニングマッチを行っている。それも1つの選択肢であるが、日の丸を背負って「国対国の戦い」ということを意識して試合に挑むことも大きな経験になるので、力が劣る国との対戦になったとしても得られるものはたくさんある。
■ 一番の激戦区と言える2列目のポジション手倉森ジャパンもある程度はメンバーが固まってきた。GK櫛引、DF岩波、DF植田直、MF大島僚、MF中島翔、FW鈴木武蔵らが中核で、MF遠藤航とMF原川とMF山中もレギュラーに近い立場である。不確定なポジションは少ないが、2列目についてはMF中島翔を除くとまだ定まっていない。アジア大会のときはMF野津田やMF矢島慎やMF金森らが抜擢されたが、今回はMF井出とMF豊川がスタメンで起用された。
「当落線上と言えるこの2人がどういうプレーをするのか?」がこの試合の大きな注目ポイントだったが、鹿島のMF豊川は積極的で良かった。前半はMF豊川のいる左サイドから攻め込むシーンが多くて、2点目のMF中島翔のゴールと4点目のMF井出のゴールをMF豊川がアシストしている。2ゴール1アシストのMF中島翔がこの試合で一番目立ったのは間違いないが、MF豊川もアピールに成功したと言える。
一方、追加招集でスタメンの座を勝ち取ったMF井出は前半42分に4点目のゴールを記録した。やはり、ゴールというのが一番のアピールになるので、ここで1つ結果を出せたのは良かったが、攻撃に絡む回数は非常に少なかった。ボールに触れる回数が少なかった割にはチャンスシーンに絡む頻度はそれなりに高かったが、MF豊川と比べると存在感は薄かった。もっとボールに触って攻撃に変化を加えたかった。
■ 攻撃の軸として欠かせない中島翔哉「チームとしてどうだったのか?」を問えるほど拮抗した試合にはならなかったので、「個々の選手のパフォーマンスがどうだったのか?」を見るしかないが、先のとおり、MF中島翔は別格だった。どんな相手であっても1点目が入るまではチーム全体がナーバスになるが、前半10分に裏への飛び出しからゴールを記録した。その他にも多くのチャンスに絡んでおり、MOMを選ぶとしたらMF中島翔になるだろう。
MF中島翔は約1年前のU-22アジア選手権で大活躍した。この世代のアタッカーはそれなりに粒がそろっているが、突出した選手はいなかった。前回のロンドン世代は(結局、3人とも関塚ジャパンではあまり or 全く活躍できなかったが・・・。)チーム発足時点でMF香川とMF金崎とMF宇佐美は突出していた。MF香川とMF金崎はすでにフル代表にも召集されていたが、リオ世代の2列目にはそのクラスの選手はいない。
10人~15人ほどの有力選手がほぼ横一線の状態からスタートして2列目のポジション争いが始まったが、手倉森ジャパンとしての最初の大きな活動となったU-22アジア選手権でMF中島翔が活躍して頭1つ抜け出すことに成功した。その後も継続的に五輪代表で結果を出しており、攻撃においては絶対に欠かせない選手になっているが、所属のFC東京でどこまで出場機会を得られるか?は気になるところである。
その他では前半46分のMF大島僚のゴールにつながった横パスもカウントすると2アシストの福岡のDF亀川、途中出場で2ゴールのFW荒野、7点目のゴールを決めた明治大学のDF室屋、直接的にゴールに絡むことは無かったがうまく試合に入ってたくさんボールに絡んだMF原川などはまずまず出来が良かったと言える。京都のMF原川はスタメンではなかったが、彼がいるとこのチームはボール回しがスムーズになる。
手倉森ジャパンはJリーグ開幕直後の3月11日(水)にフクアリでミャンマーと親善試合を行って、その次がU-23アジア選手権の予選となる。27日にマカオ、29日にベトナム、31日にマレーシアと対戦するが、中1日で試合が続いていく。「相手との実力差は大きい。」と思われるので、勝ち点を取りこぼすことはないと思うが、選手たちは今後も自分が代表に呼ばれ続けるためにいいプレーを見せなければならない。
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