■ タックル数の1位は2年連続でMFレオ・シルバ表2は2014年のJ1の個人別のタックル数である。先のとおり、新潟のMFレオ・シルバが1位だったが、2位がFC東京のMF米本で、3位が鳥栖のDF丹羽竜で、4位が甲府のDF佐々木で、5位が仙台のMF富田だった。表3は過去3年間のDF丹羽竜のタックルとインターセプトに関する数値とリーグ内の順位を示しているが、全て5位以内に入っている。守備的な数字のスタッツに関しては化け物レベルである。
ボランチのポジションの選手は「広範囲にプレーできる選手」が上位に入ってきている。新潟のMFレオ・シルバ、FC東京のMF米本、G大阪のMF今野、名古屋のMFダニルソンなどが典型例と言える。先日のエントリーではインターセプト数をクローズアップしているが、鳥栖のDF丹羽竜、浦和のDF森脇も含めて、インターセプトの数値で優秀だった選手の多くはタックル数でも優秀な数字を残している。
→ 2014/12/20
【J1】 サガン鳥栖のDF丹羽竜平のインターセプト数が凄い。 (上) → 2014/12/21
【J1】 サガン鳥栖のDF丹羽竜平のインターセプト数が凄い。 (中) → 2014/12/21
【J1】 サガン鳥栖のDF丹羽竜平のインターセプト数が凄い。 (下)ただ、タックルについては監督によっては嫌う人もいる。2013年までC大阪を指揮したクルピ監督がその1人で、「やむを得ない状況でない限り、スライディングはすべきではない。」という考え方だった。失敗すると大ピンチになること、ファールで相手にFKを与える可能性があること、自分が怪我をして選手寿命が縮まる可能性があること、相手に怪我をさせる可能性があることの4つがその理由である。
クルピ監督の考え方というのは数字にも表れており、やはりと言うべきか、クルピ監督がフルシーズン指揮した2013年のC大阪のタックル数はリーグの中で最も少なかった。(※ 今シーズンはかなり増えている。)最初に記述したとおり、攻撃的なポジションの選手のタックル数は「守備での貢献度」を示す指標の1つになり得るが、監督あるいはクラブによって考え方は様々なので、その点は考慮すべきである。
表2. 2014年のJ1の個人別のタックル数 (1位から30位まで)
| 選手名 | チーム名 | 試合数 | 出場時間(分) | タックル数 |
1 | レオ シルバ | 新潟 | 33 | 2,970 | 162 |
2 | 米本 拓司 | FC東京 | 33 | 2,753 | 134 |
3 | 丹羽 竜平 | 鳥栖 | 33 | 2,911 | 128 |
4 | 佐々木 翔 | 甲府 | 34 | 3,060 | 123 |
5 | 富田 晋伍 | 仙台 | 34 | 2,968 | 116 |
6 | 大井 健太郎 | 新潟 | 33 | 2,967 | 113 |
7 | 松原 健 | 新潟 | 31 | 2,679 | 112 |
8 | 徳永 悠平 | FC東京 | 34 | 2,992 | 108 |
9 | 今野 泰幸 | G大阪 | 33 | 2,766 | 106 |
10 | 小笠原 満男 | 鹿島 | 33 | 2,833 | 105 |
10 | 森脇 良太 | 浦和 | 33 | 2,938 | 105 |
12 | ダニルソン | 名古屋 | 27 | 2,120 | 101 |
13 | 高橋 秀人 | FC東京 | 32 | 2,819 | 94 |
14 | 昌子 源 | 鹿島 | 34 | 3,030 | 93 |
15 | 鈴木 大輔 | 柏 | 32 | 2,836 | 92 |
15 | 阿部 翔平 | 甲府 | 34 | 3,034 | 92 |
17 | 吉田 豊 | 清水 | 32 | 2,726 | 90 |
18 | 森岡 亮太 | 神戸 | 34 | 2,898 | 89 |
19 | 山本 英臣 | 甲府 | 33 | 2,969 | 87 |
20 | 鎌田 次郎 | 仙台 | 31 | 2,708 | 86 |
21 | エステバン | 徳島 | 14 | 1,101 | 83 |
22 | 槙野 智章 | 浦和 | 31 | 2,745 | 82 |
22 | チョン ウヨン | 神戸 | 33 | 2,950 | 82 |
24 | 今井 智基 | 大宮 | 30 | 2,626 | 79 |
25 | 矢野 貴章 | 名古屋 | 26 | 2,295 | 78 |
25 | 塩谷 司 | 広島 | 32 | 2,735 | 78 |
27 | 家長 昭博 | 大宮 | 33 | 2,920 | 77 |
28 | 高橋 峻希 | 神戸 | 28 | 2,381 | 76 |
28 | 新井 涼平 | 甲府 | 32 | 2,667 | 76 |
30 | 中澤 佑二 | 横浜FM | 34 | 3,060 | 75 |
表3. サガン鳥栖の丹羽竜平のタックルとインターセプトに関して (過去3年間)
| 試合数 | 出場時間(分) | タックル数 | インターセプト数 |
回数 | 順位 | 本数 | 順位 |
2012年 | 33 | 2,951 | 118 | 4位 | 21 | 4位 |
2013年 | 33 | 2,948 | 112 | 5位 | 33 | 1位 |
2014年 | 33 | 2,911 | 128 | 3位 | 36 | 1位 |
■ 90分あたりのタックル数の1位はMFエステバン次の表4は90分あたりのタックル数のランキングである。1位になったのは徳島のMFエステバンで、2位が川崎FのMFパウリーニョで、3位が川崎FのMF稲本で、4位が鹿島のDF山村で、5位が新潟のMFレオ・シルバだった。元日本代表のMF稲本は出場時間は少なかったが、この数字ではリーグ上位に食い込んでいる。J2の札幌への移籍が決まったが、新天地でもう一花咲かせてほしいところである。
横浜FMのMF小椋、FC東京のMF米本、名古屋のMFダニルソンなどが上位に位置するのは「予想通り」と言えるが、ちょっと意外だったのは12位に入った神戸のMF松村である。ドリブルを武器とするアタッカーであるが、「4.00」というのはなかなかの数字である。途中出場がほとんどだったが、短い出場時間の中で積極的にボールを追い回してアグレッシブに守備をしていたことが分かる数字である。
その他の若手では甲府の大卒ルーキーのMF稲垣が19位に入っている。MF稲垣は攻守両面でバランスの取れた好選手なので来シーズン以降の飛躍が期待される。また、新潟の高卒ルーキーのMF小泉が22位に入っている。新潟は6人の選手がベスト30に入っているが、15位のDF松原と30位のDF川口尚もリオ世代の若手なので、FW鈴木武蔵も含めて若い世代に楽しみな選手をたくさん揃えている。
表4. 90分あたりのタックル数のランキング (タックル数が10以上の選手に限定)
| 選手名 | チーム名 | 試合数 | 出場時間(分) | タックル数 | /90分 |
1 | エステバン | 徳島 | 14 | 1,101 | 83 | 6.78 |
2 | パウリーニョ | 川崎F | 14 | 560 | 39 | 6.27 |
3 | 稲本 潤一 | 川崎F | 14 | 450 | 26 | 5.20 |
4 | 山村 和也 | 鹿島 | 8 | 297 | 17 | 5.15 |
5 | レオ シルバ | 新潟 | 33 | 2,970 | 162 | 4.91 |
6 | 小椋 祥平 | 横浜FM | 19 | 1,346 | 73 | 4.88 |
7 | 梶山 陽平 | FC東京 | 7 | 214 | 11 | 4.63 |
8 | 米本 拓司 | FC東京 | 33 | 2,753 | 134 | 4.38 |
9 | ダニルソン | 名古屋 | 27 | 2,120 | 101 | 4.29 |
10 | 明神 智和 | G大阪 | 12 | 400 | 19 | 4.28 |
11 | 中村 直志 | 名古屋 | 18 | 731 | 33 | 4.06 |
12 | 松村 亮 | 神戸 | 17 | 427 | 19 | 4.00 |
13 | 丹羽 竜平 | 鳥栖 | 33 | 2,911 | 128 | 3.96 |
14 | 内田 達也 | G大阪 | 12 | 734 | 31 | 3.80 |
15 | 松原 健 | 新潟 | 31 | 2,679 | 112 | 3.76 |
16 | 大野 和成 | 新潟 | 20 | 1,498 | 62 | 3.72 |
17 | 岡本 知剛 | 鳥栖 | 19 | 919 | 38 | 3.72 |
18 | 三田 啓貴 | FC東京 | 24 | 1,197 | 49 | 3.68 |
19 | 稲垣 祥 | 甲府 | 19 | 931 | 38 | 3.67 |
20 | 佐々木 翔 | 甲府 | 34 | 3,060 | 123 | 3.62 |
21 | 片岡 洋介 | 大宮 | 17 | 1,290 | 51 | 3.56 |
22 | 小泉 慶 | 新潟 | 26 | 1,122 | 44 | 3.53 |
23 | 富田 晋伍 | 仙台 | 34 | 2,968 | 116 | 3.52 |
24 | 和田 拓也 | 大宮 | 20 | 1,384 | 54 | 3.51 |
25 | 本田 拓也 | 清水 | 24 | 1,723 | 67 | 3.50 |
26 | 水野 晃樹 | 甲府 | 11 | 362 | 14 | 3.48 |
27 | 今野 泰幸 | G大阪 | 33 | 2,766 | 106 | 3.45 |
28 | 大井 健太郎 | 新潟 | 33 | 2,967 | 113 | 3.43 |
29 | 増田 誓志 | 大宮 | 19 | 1,053 | 40 | 3.42 |
30 | 川口 尚紀 | 新潟 | 10 | 450 | 17 | 3.40 |
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【J1】 タックル数から考える「守備での貢献度が高い(低い)選手」は誰か? (後編) に続く。
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