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中学生からサッカーを始めてJリーガーになれるか？ (前編) | | |　

■　もうすぐ新年度

あと10日ほどで新しい年度がスタートする。入園や入学や入社などの理由で4月から新しい生活が始まるケースでは当事者だけでなく家族も期待と不安が入り混じった何とも言えないドキドキ感とワクワク感を感じていると思う。当然、入園や入学は新たにサッカーなどスポーツを始めるきっかけの1つになるが、学年が上がったら「スポーツクラブに入ろう。(or 入らせよう。)」と考えている人は少なくないと思う。

当サイトでは2011年に以下の3つのエントリーをアップしているが、今の時期というのは「Jリーガーサッカー何歳から」、「中学からサッカー始める」、「中学からサッカープロになった選手」といった検索フレーズでサイトを訪問する人が極端に増える。あれから3年半ほどが経過したので、傾向等が変わっていないのか？を確認するため、「Jリーガーがサッカーを始めた年齢」を再度取り上げてみたい。

　2011/08/24 　Jリーガーと兄弟構成に関して
　2011/10/19 　Jリーガーとその年齢に関して
　2011/10/21 　Jリーガーがサッカーを始めた年齢は？

■　中学生からサッカーを始めてJリーガーになれるか？

今回のエントリーのタイトルは「中学生からサッカーを始めてJリーガーになれるか？」であるが、最初に結論を言うと、『それは非常に難しい。』、『ほぼ無理である。』と言わざる得ない。表1は2015年のサッカーダイジェストの選手名鑑のアンケートを元に「日本人のJリーガーがサッカーを始めた年齢」をまとめたものであるが、このとおり、12歳で累計100%に到達するため、先のような結論が導き出される。

ただ、注意点がいくつかある。前のエントリーの中でも触れているが、「何をもってサッカーを始めたと言えるのか？」という点はかなり微妙で、各選手によって考え方が異なるのではないかと思う。近所の公園で友達とボールを蹴って遊んだことも「サッカーを始めた」に含まれるのか否か。サッカー少年団などきちんとしたチームに入団することが「サッカーを始めた」に相当すると考えて回答した選手も多いと思う。

したがって、このあたりの考え方の違いで若干の誤差は生じると思うが、938名の中で一番多かったのは「6歳から」で233人だった。全体の24.8％に相当するので4人に1人が6歳からサッカーを始めている。次に多いのは「5歳から」で、3番目に多いのが「7歳から」となっている。累計のパーセンテージを見ると6歳で51.5%となるので、約半分の日本人Jリーガーは6歳までにサッカーを始めている計算になる。

表1. 日本人のJリーガーがサッカーを始めた年齢 (有効回答：938名)

	(人数)	(%)	累計(%)
0歳から	2	0.2%	0.2%
1歳から	1	0.1%	0.3%
2歳から	4	0.4%	0.7%
3歳から	51	5.4%	6.2%
4歳から	84	9.0%	15.1%
5歳から	166	17.7%	32.8%
6歳から	233	24.8%	51.5%
7歳から	151	16.1%	73.8%
8歳から	96	10.2%	84.0%
9歳から	81	8.6%	92.6%
10歳から	56	6.0%	98.6%
11歳から	12	1.3%	99.9%
12歳から	1	0.1%	100.0%

■　遅くにサッカーを始めて大成した選手は？？？

7歳までで73.8％、8歳までで84.0%、9歳までで92.6%、10歳までで98.6%なので、「小学校の高学年から始めるのもかなり遅い。」と言えるが、『始める時期が遅いと日本代表になれないのか？』というと「No」である。表2はブラジルW杯の日本代表メンバーのサッカー年齢を始めた年齢を示しているが、MF遠藤とMF山口蛍とDF酒井高とDF伊野波の4人は「10歳から」なのでスタートは決して早くなかった。

表1のとおり、9歳までの累計が92.6%なので、10歳以降にサッカーを始めた選手は7.4%のみ。少数派になるが、そうであるにもかかわらず、4人もの10歳でサッカーを始めた選手がW杯の日本代表メンバーに選ばれている。したがって、「今年の4月からサッカーを始めて将来は日本代表になりたい。」と考えている新・小学5年生とその親御さんも今の時点で夢や希望を捨てる必要性は全くないといえる。

表2. ブラジルW杯の日本代表メンバーがサッカーを始めた年齢

位置	名前	サッカーを始めた年齢
GK	権田　修一	4歳
GK	西川　周作	9歳
GK	川島　永嗣	？？？
DF	伊野波雅彦	10歳
DF	長友　佑都	7歳
DF	内田　篤人	6歳
DF	今野　泰幸	6歳
DF	森重　真人	8歳
DF	酒井　高徳	10歳
DF	吉田　麻也	？？？
DF	酒井　宏樹	7歳
MF	長谷部　誠	？？？
MF	山口　　蛍	10歳
MF	青山　敏弘	5歳
MF	遠藤　保仁	10歳
FW	香川　真司	6歳
FW	柿谷曜一朗	4歳
FW	大久保嘉人	8歳
FW	岡崎　慎司	8歳
FW	本田　圭佑	？？？
FW	清武　弘嗣	6歳
FW	大迫　勇也	3歳
FW	斎藤　　学	7歳

■　12歳からサッカーを始めた松本山雅の飯田真輝

表3は「遅い時期にサッカーを始めた主なJリーガー」を示しているが、名古屋のGK楢崎、広島のGK林卓とDF千葉、浦和のFW興梠、C大阪のMF長谷川アーリアジャスールとDF茂庭、熊本のFW巻などは「サッカーを始めるのが遅かった選手」に分類できる。FW興梠やFW巻などは「11歳から」と回答しているので、小学校の高学年に本格的にサッカーを始めて日本代表に召集されるような選手になった。

ちなみに、上の表1にある「12歳から」と回答した唯一の選手は松本山雅の大型CBのDF飯田である。「三浦知良選手を見て」というのがサッカーを始めたきっかけだったという。詳しい時期は分からないが、DF飯田は9月15日生まれなので、中学生になってからサッカーを始めた可能性がある。(※ 小学6年生の秋以降にサッカーを始めた可能性もあるが、いずれにしても、非常に遅い時期にサッカーを始めている。)

アンケートに答えていない選手もいるので漏れている可能性は十二分に考えられるが、知っている限りでは川崎FのGK西部である。2015年の選手名鑑のアンケートには「サッカーを始めた時期」を答えていないので表1などの結果には反映されていないが、彼が本格的にサッカーを始めたのは15歳のとき。「高校生になってからサッカーを始めてJリーガーになった選手」として有名である。ただ、例外中の例外である。

表3. 遅い時期にサッカーを始めた主な日本人Jリーガー

年齢	人数	主な選手
10歳から	56	遠藤保仁(G大阪)	山口蛍(C大阪)	楢崎正剛(名古屋)	植田直通(鹿島)
11歳から	12	興梠慎三(浦和)	巻誠一郎(熊本)	林卓人(広島)	酒井宣福(福岡)
12歳から	1	飯田真輝(松本山雅)

■　早い時期にサッカーを始めた選手は誰なのか？

逆に「早い時期にサッカーを始めた選手は誰なのか？」を示したのが表4である。3歳未満でサッカーをサッカーを始めたのは全部で7名。全体の0.70%なので、Jリーガーになった選手と言えども、0歳あるいは1歳あるいは2歳でサッカーを始めた選手はレアである。「3歳まで」の累計も6.2%に過ぎないので満足に言葉も話せない段階からサッカーをやらせる必要性はあまりないと言える。

表4のとおり、0歳は徳島のDF広瀬と神戸のDF安田理の2人である。DF広瀬の父親は言わずと知れた初期の浦和で活躍した名選手の広瀬治氏である。彼は「生まれてすぐ」と回答している。一方のDF安田はきっかけとして「トラックにひかれたときにサッカーボールがクッションになって助かったから。」と答えている。どこかで聞いたことのあるエピソードで、その情報がないと真に受ける人も出てくるだろう。

　※ 集計したのはJ1とJ2の選手のみ。(J3の選手は対象外。)
　※ 「2・3歳」など時期があいまいな時は数字が小さい時期でカウントした。

表4. 早い時期にサッカーを始めた日本人Jリーガー

年齢	人数	該当者
0歳から	2	安田理大(神戸)	広瀬陸斗(徳島)
1歳から	1	宇佐美貴史(G大阪)
2歳から	4	伊藤優汰(京都)	内田航平(水戸)	三竿健斗(東京V)	広瀬健太 (湘南)