■ UEFA CLが開幕2011-2012年シーズンのUEFA CLが開幕。ドイツ王者のボルシア・ドルトムントは、初戦でイングランドのアーセナルと対戦。このグループFは、ドイツのドルトムント、イングランドのアーセナル、ギリシャのオリンピアコス、フランスのマルセイユが同居している。
ホームのドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFベンダー、ケール、ゲッツェ、香川真司、グロスクロイツ。FWレワンドフスキ。ドイツ代表のMFギュンドガンがスタメンから外れて、元ドイツ代表のMFケールがスタメン出場。MFケールは2002年と2006年のW杯に出場している。
一方のアーセナルは「4-1-2-3」。GKシュチェスニ。DFサーニャ、メルテザッカー、コシールニー、ギブス。MFソング、ベナユン、アルテタ。FWウォルコット、ファン・ペルシー、ジルビーニョ。FW宮市亮は怪我のためベンチからも外れている。韓国代表のFWパク・チュヨンはベンチスタート。
■ 1対1のドロー最初にビッグチャンスを作ったのはアウェーのアーセナル。前半5分に左サイドのスローインからFWファン・ペルシーのシュートがこぼれたところをFWジルビーニョが拾ってGKと1対1のチャンスを迎えるが決められず。その直後にドルトムントも、カウンターからFWレワンドフスキ→MFグロスクロイツとつないで、MFグロスクロイツがフリーでシュートを放つがシュートを大きく外してしまう。
試合を優勢に進めるドルトムントは、前半9分に、DFフメルスの縦パスを受けたMF香川がDFラインの裏に飛び出してフリーでシュートを放つが、左アウトサイドで放ったシュートは枠から外れてしまう。さらに、前半12分にも、MFゲッツェの絶妙のスルーパスからFWレワンドフスキがGKもかわしてシュートを狙うが、ゴール前で相手のDFサーニャにクリアされてしまう。
立て続けに3つのビッグチャンスを作られたが、何とか守ったアーセナルは、前半42分にMFケールの横パスをカットしてカウンター開始。FWウォルコットのパスを裏のスペースで受けたFWファン・ペルシーがGKとの1対1を確実に決めて先制ゴールを挙げる。前半はアーセナルが1対0とリードして折り返す。
後半になるとアーセナルは引いて守り始めて、ドルトムントがボールを支配して攻め込む展開になる。ドルトムントはMF香川とMFゲッツェの連携でアーセナルの守備陣を崩そうとするが、なかなか最後のところを崩し切れない。攻めあぐねるドルトムントは、MFグロスクロイツとMFケールを下げて、MFぺリシッチとMFブラスチコフスキを投入。MFゲッツェをボランチに下げてさらに支配力を高めていく。
終盤には、MF香川に代えてMFジダンを投入。最後の交代カードを切って同点ゴールを狙うと、それが、ようやく実ったのは後半42分。セットプレーから相手のクリアボールをMFぺリシッチがダイレクトボレーで狙うと、これが鮮やかに決まって1対1の同点に追いつく。結局、そのまま1対1で終了。ともに勝ち点「1」を獲得した。
■ ドルトムントが終盤に追いつく9年ぶりのCLとなったドルトムントは、ドロー発進となった。今シーズンは、アーセナルも調子が上がっておらず、エンジンがかかっていないチーム同士の対戦となったが、終わってみると、シュート数はドルトムントが22本で、アーセナルが8本とドルトムントが圧倒した。
支配率も、ドルトムントが53%とアーセナルを上回っており、ドルトムントとしては前半のビッグチャンスに決めていれば勝ち点「3」も十分にあり得る展開だった。よって、悔やまれるところであるが、最後に追いついて「負けなかった」というのは、次につながるものである。
ホームのサポーターにとっても「もどかしい展開」になったが、ボールを持って攻め込んでいながら、崩し切れていない点はで、昨シーズンのヨーロッパカップでも見られたものである。試合を優位に進めながらも「ミスから失点する」というのも同じで、改めてヨーロッパの舞台での戦いの厳しさを思い知らされることになったが、最後のMFペリシッチのファインゴールで救われた。
■ MFケールのミスから失点先日、ヘルタ・ベルリンに1対2で敗れたドルトムントは、新加入のボランチのMFギュンドガンを外して、ベテランのMFケールを先発で起用してきた。MFギュンドガンはドイツ代表にも選ばれている選手で「攻撃的なプレーヤー」であるが、まだ、チームに馴染んでいない。これまでは、我慢して起用してきたが、大事な試合で思い切ってメンバーを代えてきた。
これは、悪くないアイディアに思えた。MFギュンドガンは、前に上がりたがる選手なので、MF香川やMFゲッツェが使うはずのスペースを消してしまうところがあった。この点が、MF香川やMFゲッツェが昨シーズンほどの活躍ができていない要因の1つになっていたので、良くないところにメスを入れる形になったが、狙い通りで、「バイタルエリアの渋滞」が解消されて、バランスは良くなった。
ただ、MFケールのイージーなパスミスから先制ゴールを奪われてしまったので、MFケールについては、±でいうとマイナス評価に傾いてしまう。失点シーンの少し前にも、「MFケールの横パスをカットされてカウンターを食らうシーン」があったが、凡ミスで失点してからはプレーも消極的になって、ボールを持ってもたついては、味方のサポーターからも野次が飛ぶという流れになった。
■ MF香川はトップ下で奮闘も・・・これがCLデビュー戦となったMF香川は、終了間際までトップ下でプレー。今シーズンは、チームとしてうまく機能しておらず、MF香川も持ち味を出せない試合が多かったが、この日は、ゴールにこそ絡めなかったが、質の高いプレーを続けた。
良かったのは、「DFラインの裏を狙う動き」と「下がってボールを受けるプレー」のバランスで、ブンデスリーガの試合ほど、マークがきつくないこともあって、ボールにも触って、MFゲッツェとともに攻撃をリードした。
惜しかったのは、前半9分のシュートシーンで、完全に裏に抜けていたので、落ち着いてトラップしてもよかったように思うが、流れのまま左足でシュートを放って「枠外シュート」になってしまった。立ち上がりからドルトムントはチャンスを作っていて、このシュートをMF香川が決めていれば、試合の流れを引き寄せることができたので、悔しいところであるが、狙いも感じられて悪いプレーではなかった。
MF香川は、今シーズン、ここまでドイツカップのSVザントハウゼンを除くとゴールが生まれていないが、コンディションはそれほど悪いとは感じないので、今が辛抱のしどころである。結果こそ出ていないが、悪いパフォーマンスではないので、この試合のようなプレーを続けていけば、ゴールやアシストも増えていくだろう。
■ ドルトムントの脅威の走行距離CLは、試合の直後に「スタッツ」が表示されるが、ドルトムントの走行距離は「125.00km」ということで、とんでもない数字になっている。アーセナルも「114.70km」なので、そんなに悪い数字ではないが、一人当たり「約1kmの差」が出ている。
この数字を、2010年の南アフリカW杯の日本代表と比較してみると、カメルーン戦が109.94km、オランダ戦が108.60km、デンマーク戦が112.904kmだったので、「よく走っている。」と言われた岡田ジャパンの数字と比べても、圧倒的である。(※ ちなみに、カメルーンは102.95km、オランダは104.261km、デンマークは107.51km。)
通常、GKの走行距離は3~5kmくらいなので、フィールドプレーヤー10人に限定すると、ドルトムントの選手は「平均で12km以上」を走っている計算となる。試合展開にもよるが、「10.00km」を超えていれば「まずまず走っている。」といわれる中、この走行距離は異常である。今年のCLは、ドルトムントの「走力で圧倒するサッカー」がどこまで勝ち進むか、楽しみである。
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