■ プレーオフJ1昇格プレーオフの決勝戦。アウェーで横浜FCに4対0で快勝したジェフ千葉と、同じくアウェーで京都に4対0で勝利した大分トリニータが国立競技場で対戦した。リーグ戦の直接対決は1勝1敗で、ともにアウェーで勝利をおさめている。リーグ戦は千葉が5位で、大分が6位なので、決着がつかずに引き分けで終わると千葉のJ1昇格が決定する。
千葉は「4-2-3-1」。GK岡本。DF高橋峻、竹内、山口智、渡邊。MF佐藤勇、佐藤健、米倉、兵働、谷澤。FW藤田祥。千葉のスタメンは準決勝の京都戦と全く同じとなった。エースのFW藤田祥は36試合で16ゴールを挙げて得点ランキングで4位ということで移籍初年度から大活躍を見せた。FWオーロイ、FW深井、FW荒田らがベンチスタートとなった。
対する大分は「3-3-2-2」。GK丹野。DF土岐田、阪田、安川。MF宮沢、丸谷、村井、三平、チェ・ジョンハン。FW森島康、木島。怪我のためMF永芳が欠場となって、元日本代表のMF村井がスタメンで起用された。市原ユース出身のMF村井は合計9年間ジェフでプレーした。FW森島康は37試合で14ゴール、MF三平は39試合で14ゴールを挙げている。
■ 1対0で大分が勝利試合の前半は互角の展開となる。ボールを支配したのは千葉だったが、大分もセットプレーを中心に何度かゴール前を脅かすシーンを作る。ただ、両チームとも、なかなか決定機は作れず。どちらかというと静かな展開で、前半は0対0でハーフタイムに突入する。
後半の立ち上がりは千葉が勢いよく攻めてくるが、大分は3バックの中央のDF阪田を中心にして、辛抱強く守ってチャンスを作らせない。試合は0対0のままで進んで、このまま終わると、千葉のJ1昇格が決まるという流れだったが、後半41分に大分に先制ゴールが生まれる。
後半39分にDF土岐田に代えてFW高松を投入してどういう布陣になるのか、フィールド上が落ち着かない状態のとき、ハーフウェーライン付近で中央にポジションを取っていたDF安川が競り勝ってFW森島康にボールが渡ると、FW森島康がDFラインの裏に走ったFW林に絶妙のパスを送る。すると、裏に飛び出してGKと1対1になったFW林が鮮やかなループシュートを決めて先制ゴールを奪う。
その後、千葉はFWオーロイを投入し、パワープレーを仕掛けるが、チャンスを作ることはできない。結局、試合は1対0で大分が勝利して、2009年以来のJ1昇格を劇的な形で決めた。一方の千葉は、有利な状況で決勝戦を迎えたが、ワンチャンスに決められて昇格ならず。2013年シーズンもJ2で戦うことが決定した。
■ レギュレーションの妙決定機の数は両チームとも多くなかったが、決定機につながりそうな攻撃というのは、千葉の方が圧倒的に多かった。「引き分けでもOK」という状態だったので、千葉は無理に攻め込むことは無かったが、『点を取らなくても昇格できる』という心理がマイナスに働いたように思う。
結局、今年のプレーオフは、3試合とも、リーグ戦で下位のチームが勝利して、一番下の順位だった6位の大分がJ1に昇格することになったが、「引き分けの場合は上位チームが勝ち抜け」というルールが上位チームの戦い方を消極的にしたところもある。「狙って引き分けるのは難しい。」ということは、よく言われるが、3試合とも、まさしく、そういう展開となった。
今回は、6位の大分が昇格することになったので、「6位のチームが昇格するのはどうなのか。」という声も出てくると思うが、仕方がないことである。また、J2の場合、3位になったチームと6位になったチームを比べて、大きな差があるかというと、そういうわけでもない。プレーオフの制度については、相当に上位クラブが有利になるレギュレーションなので、不利な状況から勝ち抜いた大分を称えたいところである。
■ 田坂監督の選択勝たなければならない大分は非常に難しい展開となったが、ワンチャンスを生かした。大分の決定機は、このシーンくらいしかなかったと思うが、ベテランのFW林が冷静なプレーを見せてループシュートで決勝点を奪った。先のとおり、数分前にFW高松が投入されて、相手の千葉の選手が、「どういう布陣になるのか?」と探っているときに、決勝点が生まれた。
0対0のままではダメなので、どこかで仕掛ける必要があって、後半28分にFW木島に代えてFW林を投入し、後半39分にDF土岐田に代えてFW高松を投入したが、田坂監督の仕掛けは早くはなかった。個人的には、「仕掛けるタイミングが遅いかな。」と思ったが、1対0になった後、3枚目のカードが残っていたので、最後に、DF若狭を投入して、逃げ切り体制に入ることができた。
こういう試合になると、悔いを残さないために、積極的に動く監督が多いが、それが裏目に出ることもある。大分は、ボランチのMF丸谷を2列目で起用しており、攻撃的にいくのであれば、ここにMF為田を投入したり、MF石神を左WBに投入して、MFチェ・ジョンハンを2列目に移すなど、いろいろな手を持っているので、どのタイミングで変化を加えるのか、というのが、面白いところだったが、田坂監督の判断は絶妙だったと言える。
■ 久々のJ1へ・・・決勝ゴールを挙げたFW林、決勝アシストのFW森島康、ファインセーブを見せたGK丹野の活躍も光ったが、この日は、左ストッパーのDF安川の活躍が目立った。決勝ゴールのシーンは、DF安川が中盤まで上がっていて、ヘディングで競り勝ったプレーから生まれており、守備でも、慎重かつ大胆にプレーした。MOM級の働きを見せたと言えるだろう。
また、ベテランのMF村井も好プレーを見せた。京都戦で攻撃にアクセントを加えていたMF永芳が欠場となったので、ベテランを先発で起用してきたが、体にキレがあって見事なプレーを見せた。右ストッパーのDF土岐田などは、緊張があったのかミスが多くて、FW森島康のところでも、ボールが収まらなかったので、苦しい展開になったが、MF村井のところでボールが落ち着いて、チームも落ち着いた。
これでJ1が決まったが、6位からの昇格というのは史上初である。資金的な問題もあったので、「6位以内に入っても、プレーオフに出場できないのではないか?」と言われた時期もあるので、快挙と言える。このチームは、一度、どん底まで落ちているので、失うものはない。J1で戦うには、戦力的に厳しいことは否定できないが、思い切りのいいサッカーを見せて、J1に新風を巻き起こしてほしいところである。
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