■ プレーオフJ1昇格プレーオフの準決勝。リーグ戦で4位になった横浜FCと、リーグ戦で5位になったジェフ千葉がニッパツ三ツ沢球技場で対戦した。このカードはリーグ戦は千葉が2連勝している。両チームとも好調で、横浜FCは4連勝でシーズンを終えており、千葉も3試合連続完封勝利でフィニッシュした。
ホームの横浜FCは「4-2-3-1」。GKシュナイダー潤之介。DF森本、ペ・スンジン、堀之内、阿部。MF佐藤謙、寺田、武岡、野崎、高地。FW大久保。リーグ戦で10ゴールを挙げたFWカイオはベンチスタートで、フットサルのW杯から戻ってきたFW三浦知はベンチ外となった。
対するアウェーの千葉は「4-2-3-1」。GK岡本。DF高橋峻、竹内、山口智、渡邊。MF佐藤勇、佐藤健、米倉、兵働、谷澤。FW藤田祥。15ゴールを挙げているFW藤田祥は2011年は横浜FCに所属していたので、古巣との対戦となった。FWオーロイ、FW荒田、MF深井らがベンチスタートとなった。DF竹内はリーグ戦は全試合でフルタイム出場を果たした。
■ 4対0で千葉が勝利!!!試合の序盤はホームの横浜FCが積極的にシュートを放ってリズムを作っていく。しかし、前半35分に千葉はMF佐藤勇のロングフィードを受けたFW藤田祥がうまく手でコントロールして相手のGKをかわすと、最後は左足でゴールに流し込んで千葉が先制する。立ち上がりから千葉は裏を取る意識が高かったが、ボランチのMF佐藤勇から素晴らしいパスが出てきて貴重な先制ゴールを奪った。前半は1対0と千葉がリードして折り返す。
さらに、後半8分にもFW藤田祥のポストプレーからボールを受けたMF佐藤健がディフェンスラインの後ろに絶妙のパスを送ると、飛び出したMF米倉が落ち着いたコントロールから右足で決めて2点目を挙げる。0対2となった横浜FCは、後半10分にMF野崎に代えてFW田原を投入し、前線に高さとパワーを加えるが、後半13分に千葉はMF兵働のパスを受けたFW藤田祥が豪快なミドルシュートを決めて3対0とリードを広げる。
終盤は横浜FCがボールを保持するようになって、DF阿部のクロスやFW田原の空中戦からチャンスを作るが、GK岡本の好セーブもあってゴールを奪うことはできない。逆に、後半43分に千葉はCKからMF佐藤健が左足でボレーシュートを決めて4対0として、試合を決めてしまう。山形から加入して1年目のMF佐藤健は1ゴール1アシストとなった。
結局、試合は4対0でアウェーの千葉が勝利して決勝進出が決定。11月23日(金)に国立競技場で行われる決勝戦で、J1昇格を賭けて戦うことが決定した。一方の横浜FCは、ホームで、しかも、引き分けでもOKという有利な条件だったが、レフェリーの判定にも泣かされて0対4で大敗。岸野監督が開幕直後に解任されるという激動のシーズンだったが、昇格という目標を達成できずに今シーズンの戦いを終えることになった。
■ 疑惑のジャッジ40節は山形に2対0、41節は松本山雅に2対0、42節は徳島に3対0で勝利して、上り調子でプレーオフに進んできた千葉が、不利な条件を跳ね除ける大勝劇で、J1昇格まであと1勝となった。プレーオフは初の試みであり、リーグ戦で好成績を残したチームを優遇するため、上位チームが有利な条件になっているが、黄色のサポーターでスタンドは埋まっており、ホームのような雰囲気で戦うことができた。
勝つしかない状況なので、横浜FCに先制されると苦しくなるが、前半35分に先制できたのが、何よりも大きかった。リプレーで見ると、FW藤田祥は右手でボールをコントロールしているように見えるので、「ハンド+イエローカード」という判定が妥当だったと思うが、近くにいる副審はFW藤田祥の体で隠れてしまうところにポジションを取っているので、ボールをコントロールするシーンは見えなかったと思われる。
もちろん、ロングボールで裏に走った選手のプレーを間近で観るのは、レフェリーにも難しいので、村上レフェリーにとっても、難しいプレーである。したがって、「千葉にとってはラッキーで、横浜FCにとってはアンラッキーだった。」と言うしかないようなプレーだった。
■ FW藤田祥史が2ゴール1対0とリードした千葉は、後半8分に、再び、相手の裏を取ってMF米倉がゴールを決めたが、2点目のゴールも大きかった。中央でFW藤田祥が起点となって落としたボールを受けたボランチのMF佐藤健が左足で絶妙のパスを送ってゴールをアシストしたが、MF米倉が落ち着いて決めて、2点差とした。
MF米倉は42節の徳島戦でも先制ゴールを決めているので2試合連続ゴールとなったが、それ以上に目立っているのが、ボランチのMF佐藤健である。もともと、左足のパスに定評のある選手であるが、シーズン終盤になってチームにフィットしてきて、相方のMF佐藤勇に負けず劣らずの存在感を発揮している。結局、1点目も、2点目も、ボランチからのロングフィードがきっかけになっているが、両方のボランチから精度の高いパスが出てくるのは、今の千葉の強みである。
試合を決める3点目のゴールを決めたのは、またしてもFW藤田祥で、大一番でエースにふさわしい働きを見せた。1点目のゴールは、「ハンドではないか?」と思われる疑惑のゴールだったが、3点目のゴールは年間のベストゴールに選ばれてもおかしくないようなスーパーゴールだった。横浜FCでは活躍できなかったが、今シーズン、千葉に移ってきていいシーズンを送っている。
シーズン終盤は、怪我のためベンチから外れる試合が続いたが、FW藤田祥がいないときは、チームとしても結果を残すことが出来なかった。代役のFW荒田も頑張っており、ゴールを決める活躍も見せていたが、FW藤田祥はゴールだけでなく、起点となるプレーもできるし、裏に飛び出すプレーもできるので、絶対に欠かせない存在である。「欲しいところでゴールを奪う。」というフォワードの選手に必要とされる働きを見せて、チームの勝利に大きく貢献した。
■ 横浜FCは昇格ならず・・・一方の横浜FCは、「引き分けでもOK」という状況を生かせなかった。最終節は3対2でFC岐阜に勝利しているが、この日はスタメンを変えてきて、FC岐阜戦でゴールを決めたFWカイオをスタメンから外して、大卒2年目のMF佐藤謙を起用して、中盤を厚くしてきた。千葉の中盤は強力なので、そのことを意識したのか、調子のいい選手を優先したのか、意図は分からないが、成功はしなかった。
最終節でゴールを決めたとは言っても、FWカイオの出来は良くなかったし、また、途中出場したMF佐藤謙はいいプレーを見せて試合の流れを変える働きを見せたので、ありえない選択ではないと思うが、「引き分けでもOK」というレギュレーションが頭にあって、「点を獲る」という意識よりも、「ボールを保持したい。」という意識が高くなったのかな?という感じもする。もちろん、「0対0でOK」なので、考えは理解できるが、純粋なフォワードが1人になって、前半は攻めきれなかった。
アンラッキーな形で先制ゴールを許したが、追いつくことが出来れば勝ち抜けとなるので、横浜FCは、1点差を保ったままで、反撃体制に入りたかったが、後半8分に2点目を許した。結果論になってしまうが、FW田原やFWカイオというカードが残っており、0対1の状況でFW田原を投入したかったところである。一発勝負の試合なので、交代も難しいが、大一番では、シーズン中に冴えていた山口監督の交代策が成功しなかった。
これで、横浜FCは敗退となった。スコアに関しては、0対1で敗れても、0対4で敗れても同じなので、気にする必要はないと思うが、いい形でシーズンを締めくくって、周囲の期待も高まっていたので、残念な結果となった。ただ、開幕から8試合勝利がなくて、「最下位だったこともある。」ということを考えると、良く頑張ったといえる。来シーズンは、スタートから山口監督が指揮を執ると思われるが、これは大きなプラス要素である。来シーズンのリベンジを期待したいところである。
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